参院選の総括委員会と総理の椅子にしがみつく石破

今日はこの話題です。
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1.参院選の敗因を検証する総括委員会


7月31日、自民党は参院選の敗因を検証する「総括委員会」の初会合を開きました。

総括委員会のトップを務める森山裕幹事長は初会合の冒頭、「参院選で多くの国民から厳しい声をいただいた。厳粛に受け止めなければならない」と、険しい表情で挨拶をしました。

石破総理は参院選の勝敗ラインを与党が過半数を維持できる50議席を目標に掲げて挑んだものの敗北。にも関わらず続投に意欲を示しているため、党内は支持派と反対派で分裂しています。といっても内実は反対派が多数で、7月28日の両院議員懇談会に出席した古屋圭司衆院議員によると、延べ63人の衆参国会議員が意見を述べ、43名が辞職要求あるいは早急な総裁選挙を主張。引き続き職に留まるべきと主張した議員はわずか7名で、それ以外の主張が13名とのことでした。

また、8月4日午前に行った会合では、今回の選挙で選挙区から立候補して落選した候補者から聞き取りを行っています。出席者によると、オンラインの出席を含めおよそ10人から意見が出され、SNSの活用など党の政策発信がほかの党と比べて弱かったという指摘のほか、政権与党としての実績をもう少し発信できなかったのかといった声が出されたということです。また、選挙結果を受け、党員が納得できるよう、組織としてのけじめが必要だという意見も出されたようです。

続いて4日午後の会合では、比例代表で落選した候補者からも聞き取りを行っています。

会合の出席者によると、オンラインも含めて二十数人の落選者が参加。石破総理ら執行部に「けじめ」を求める意見が相次いだそうです。1人区の宮城選挙区で敗れた石川光次郎氏は「自分の力不足ではあったが、逆風の選挙であり、政治とカネをめぐる一連の問題について多くの国民がまだまだ納得していない状況が背景にあったという現場の声を伝えた。最前線で頑張った党員が納得できるけじめをつけなければリスタートできないという話もした」と発言。比例代表で落選した和田政宗氏は出席後、記者団に「根本的に党の出直しをやらないと、次の選挙も同じような結果になる」と語りました。

更に、徳島高知選挙区で落選した大石宗氏は「落選は候補者の責任だが、『党首の発信力は非常に大事だ』という話は出た。党執行部は真摯(しんし)に話を聴いていて、かなり危機感を持っている……草の根の組織があり、地域の仲間がたくさんいることが自民党の財産だ。多くの仲間と力を合わせて地域や日本の課題を解決していくことで党勢を回復するという地道な作業をしていくしかない」と述べました。

総括委員会は、議員や有識者らから意見を聞き、8月中に報告書をとりまとめるとしていて、反対派は石破総理を含む執行部の責任を明確にし、自発的な辞任につながる展開を志向しています。

森山幹事長はとりまとめ後に退任する意向を示していることを受け、ある中堅議員は「大黒柱の森山氏が辞めれば、もはや石破内閣ではなくなる。『僕だけ残ります』とはならない」と指摘しています。


2.誰がここまで自民党を駄目にしたんだ


自民党内の「石破おろし」が加速する中、石破総理は続投意欲を見せ続けています。熱を帯びる石破総理の発言に側近は「総理はものすごく使命感に駆られている」と漏らしているようです。

どうやら、自民党執行部は前述した総括委員会を通じて、自民が長年抱えてきた課題に焦点を当てようと目論んでいるようで、特に石破総理は派閥の裏金問題など石破政権以前からの問題が自民の支持離れにつながったと考えていると伝えられています。

石破総理は、周囲に「古い自民党には戻したくない」と語り、その「古い自民党」として強く意識するのが、「石破おろし」を主導している面々なのだそうです。そもそも「石破おろし」なぞは、本来は解散しているはずの派閥単位による政治行動であり、とりわけ派閥の裏金問題の震源地だった旧安倍派が活発に動いていると石破総理はみているとされ、「こんな出鱈目をやられてたまるか。だれがここまで自民党を駄目にしたんだ。自分のことしか考えていない」と強い憤りを見せているそうです。

政治評論家の有馬晴海氏は「石破首相は“自分が代われば、もっと悪い自民党になる”という思いが強いと周辺から聞いています。衆参で少数与党である自公が国会運営を乗り切るためには、総理は自分しかいないと思っているのでしょう……近く解散総選挙になるのではとウワサされていますが、野党側の状況からして難しい。参院選の勢いで野党が党勢を拡大させるチャンスではありますが、議席を伸ばした国民民主党や参政党などは、候補者を立てることも難しい。衆院選は小選挙区制ですから、289の選挙区に候補者を立てるとなると、それなりの人材を集めなくてはならない。あと数ヵ月で候補者をそろえられるかといえばそれは難しく、野党が不信任案を出してくることはないと思っているのでしょう」と分析しています。

国民からみれば、出鱈目をやっているのはどっちだ、日本を駄目にしているのは誰なんだ。国民の苦しみには目もくれず、総理の椅子にしがみついているだけじゃないか、と突っ込みたくなります。


3.萩生田の政策秘書を略式起訴


そんな中、8月3日、東京地検特捜部が自民党の萩生田光一元政務調査会長の政策秘書について、略式起訴する方針を固めたと報じられました。

萩生田元政務調査会長の政策秘書は、旧安倍派の政治資金パーティーをめぐり、萩生田氏が代表を務める政治団体の収支報告書に収入の一部、2000万円あまりを記載していなかったなどとして告発され、去年、東京地検特捜部が起訴猶予にしていました。

けれども、今年6月に東京第5検察審査会が「旧安倍派事務局からの指示を受けて虚偽記載を行ったという面はある……違法性を十分認識しながら萩生田氏に相談せず、旧安倍派からの指示に反対することもせず従った」と指摘。「起訴猶予を続ければいつまでも虚偽記載はなくならない」として、秘書を起訴すべきだと議決しました。裏金事件で議員関係者に起訴相当の議決が出たのは初めてのことです。

その結果、特捜部は、不起訴とした判断を改め、時効が成立していない分について秘書を、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で略式起訴する方針を固めたというのですね。

件の秘書は、これまでの任意の事情聴取に秘書は虚偽の記載を認めているということですけれども、公開の裁判を経ずに罪を確定させる略式の手続きには本人の同意が必要で、秘書が略式起訴に応じなければ在宅のまま起訴することを検討するものとみられています。

この動きにネットでは、「秘書のせいにするな」とか「とかげの尻尾切りよな」など、萩生田氏への批判の声がある一方、「石破降ろしを画策した途端に秘書が立件された」とか「まだ裏金問題やってんのかよ、森かけ桜みたいだな。やり方がえげつないわ」など、石破総理側の牽制だという声も上がっています。

けれども、この「牽制」はそれなりに効果はあったようで、7月25日には、「驚く事に、石破総理は開票の途中で続投を宣言しました……もちろん今日の衰退は総理一人の責任ではなく私も反省すべき点がある事は否めません……政治家の出処進退は自分で決める。私達が先輩から受け継いだ自民党の矜持と伝統は総理も共有していると信じます」と吠えていた萩生田氏が、8月1日になると「全てが総裁のせいではありませんし、そのような事を言う仲間は一人もいません……戦後80年、鎮魂の時期に党内でごたごたが続く事は誰も望んでいません」と萎んでいます。


4.石破総理が恐れる閣僚スキャンダル


けれども、それで「石破降ろし」が沈静化するかといえば、そうでもありません。

そもそも、「辞めない」としがみつく総理を引きずり降ろすことは簡単ではありません。

1976年に発覚したロッキード事件当時の三木総理は、田中角栄・元総理への捜査に前向きな姿勢を取ったことに田中派が反発し、自民党内で「三木おろし」と呼ばれる倒閣運動が起こったことがあります。

この時、三木総理は退陣を拒否し、衆院議員の任期満了まで1年近く総理を続けたことがあったのですね。

こうした反省から、現在の自民党の党則には、党所属国会議員と都道府県連代表の総数の過半数の要求があれば総裁選を前倒しできる“総裁リコール規定”が設けられました。もし、リコールが発議されれば、石破首相が退陣表明しないまま総裁選が行なわれる可能性もあり、8月8日に行われる予定の両議員総会が注目を集めている訳です。

これについて、政治ジャーナリストの野上忠興氏は、「自民党で新総裁が選ばれても、石破首相が退陣しないと言えば首相交代にはならない。辞めたくない首相を退陣に追い込むには内閣不信任案を可決する必要があるが、他の法案を通さなくていいのであれば不信任案の採決は引き延ばせる。国会を開いたタイミングで内閣不信任案が成立しても、総辞職ではなく解散・総選挙という選択もできる。そうなれば自民党には最悪でしょう」と指摘しています。

その一方、「石破総理が一番心配しているのは閣僚のスキャンダルだ。大臣が1人でも辞任に追い込まれれば、今の政権に後任人事や内閣改造を行なう力はない。今度こそ民心を失って退陣に向かわざるを得ない」と述べる、石破支持派のベテラン議員もいるそうです。

そんな中、石破内閣の三原じゅん子・こども政策担当相に暴力団関係者との“交遊疑惑”がスクープされています。

8月3日のエントリー「石破おろしと高市潰し」で、石破総理が戦後80年談話の発出を巡って、ジャーナリストの須田慎一郎氏が、もし談話を強行した場合、何人かの閣僚が辞任する可能性があり、石破総理も最終的に諦めざるを得なかったというのが真相のようだと述べていることを取り上げましたけれども、それが本当であれば、石破内閣の閣僚の辞任は、石破総理をしてやりたいことをやれなくさせるだけのダメージを与えることができるのだともいえます。

果たして、居直る石破総理を党内から引きずり降ろすことができるのか。両院議員総会に注目です。



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