
1.ぼっちの石破
8月3日、Abema「ABEMA的ニュースショー」に出演した元日本テレビ記者の政治ジャーナリスト青山和弘氏は、参院選で与党が過半数割れしたことを受け、次のように解説しています。
司会:なるほど。さあ、青山さん。森山幹事長が仮に辞任したら、石破総理の続投は厳しくなると。
青山:はい。そうですね。あの、森山さんはやっぱりあの、石破政権を本当に支えてきた。逆に言うと森山さんしかいないっていうぐらいだったんですね。で、森山さんやっぱりこの幹事長としての責任をやっぱり明確にするってことをこの前段階で言われて、ま、やめるとまでは言ってないんだけども、あれは、ま、辞任を示唆したってことはもう間違いないと思うんですよ。はい。ただね、私、石破さんにやっぱり取材すると、この森山さんがやめるってことに、大変今も本人も危機感持ってるんですね。だから多分留任すると思うんで、ま、留任に応じる可能性もゼロじゃないと思うんですけども、実際に石破さんがそこでやめた時に、うん。もうね、次の幹事長の成り手が、うん。想像つかないんですよ。はっきり言うと。ほう。ええ。
青山;例えばね、まあ、小林鷹之さんが「やられたら」っていうのも、本人に前であれだけども、多分受けないと思うし、小泉進次郎さん、誰だってね、この石破総裁のもとで幹事長って今受けようって人は、もうもはやいないんじゃないかと。で、1人、ひいては小野寺さんっていう政調会長やめるかもしれない。そうすると、もう党の執行部全員が辞任しちゃう可能性だってあるんですね。ま、そうなってくると、ま、そこで石破さんが完全に行き詰まるっていう可能性は私あると思う。ま、だからそれぐらい今実はもう石破さんの辞任っていうのは、ある意味もう「しょうがないな」っていうぐらいの状況まで来てるなとは思います。
司会:河野さんも森山さん辞任すべきだっておっしゃって。ええ。河野さんはどうなんですか?幹事長に。
青山:いや、あの、河野さんも多分受けにならない。ま、これは別にあの、たられればの話だから言ってもしょうがないんですけども、もう今だから石破さんはもうやめるべきだって、まさに小林鷹之さんが言ったように、みんな思ってる中で、なんで自分がじゃあそこで幹事長を受けるのかっていうところに、やっぱり正当性を皆さん見い出せない状況になってると思いますね。うんうん。
司会:さあ、今後の政治日程このようになってます。ポイントはどういうところでしょうか?うん。
青山:やっぱり、あの、最大のポイントっていうか、まず1つはやっぱりこの終戦の日っていうのは、うん。で、のにやはりあの、先ほどにあったに、石破さんっていうのはその年なんだね、今年、何と言っても。だからここでやっぱり自分の、ま、談話というと決定が必要になるけれども、ま、コメントでもいいから、何かの形でやっぱり出したいっていうのがあって。ただここで8月15日に出すっていうのが非常に難しいんだとすれば、ここにある9月2日のですね、降伏文書調印の日とかに合わせてもしくはもうその後でもいいから、何らかのメッセージを出したいという風に思ってるんです。この石破さんが出したいメッセージの内容っていうのは。
青山:これはですね、石破さんはこのやっぱり歴史責任と向き合うべきだみたいなことも彼が言ってたんですけど、こうするとやはり安倍派とちょっと真向から対立するような形になるんで、ま、自民党内が持たないとすると、ま、文民統制と言って、やはり軍が暴走した、それをなぜ閣僚とか、いわゆる政治家が止められなかったのかっていう、この文民統制のあり方に絞ったメッセージにしようって話はもうあるんですね。ま、これをだからどういう風に出すのか、のは模索している。で、実はですね、昨日はこういったメッセージそのものを見送るんじゃないかって報道が出たんですね。で、私、それ石破さんに確認したら、「ま、出ますかね」こう言ってたんですね、石破さんは。「変わりますでしょうか?」モニターが「新聞を信じてはいけません」と。はあ。ま、つまり、新聞はそうやってもう「見送る」みたいな報道は出たんだけれども、もう「大体辞任へ」だって自分はやめる気ないのに書かれたし、こういうようなもうメディアとの対決状況になっちゃってるんですよ。なるほど。ま、というような状況なんで、やっぱりまだ模索を続けてるんだろうなと思いますね。
このように、石破政権を支える唯一の存在である森山幹事長が辞任すると、後を引き受ける人が見当たらないことと、石破総理自身も辞任の意思がないにもかかわらず、メディアが「辞任へ」と報じていることに反発し、メディアとの対立姿勢を強めていると述べています。
つまり、石破降ろしの中、石破総理には味方が殆どいないというのですね。
2.いつまで続投するのか
8月4日、国民民主党の玉木雄一郎代表は、衆院予算委で石破総理に対し「そもそも総理はいつまで続投されるのか」と詰め寄りました。
その時交わされたやりとりの要旨は次の通りです。
玉木雄一郎(国民民主党代表):総理、そもそもいつまで続投されるんですか?これまで各党の代表者の質問を聞いて、さまざまなご答弁をいただいていますが、総理と交わした約束がどこまで責任を持って履行されるのか、国民は懸念しています。党内で様々な議論があることは承知していますが、ご自身の意思として、いつまで続投されるおつもりなのか。秋の補正予算まで、などといった具体的な期間や、その理由を国会と国民に対し説明していただきたい。石破総理は玉木代表のいつまで続けるのかという問いには一切答えず、日米関税合意に関する追及にもほぼ何も答えませんでした。
石破(内閣総理大臣):日米合意については、わが政権においてずっとアメリカと交渉を続けてきたものです。合意に至ることも大変でしたが、これからそれをどう実行に移していくかが重要です。4318品目にもわたる品目の取り扱いについて、事業者の皆様が不当な不利益を受けないか、最後まで見届けなければなりません。それがいつまでかということは、今断定はできません。しかし、不安な状況がいつまでも続いていいはずがありません。一日も早く解決できるよう、国難突破のために努力してまいります。それがいつになるかは断定できませんが、一日も早くできるようにするのは当然のことです。
玉木雄一郎:だいぶ長く続けられるんだな、という印象を受けました。赤沢大臣の交渉は評価しますが、問題は自動車関税です。相互関税の部分は一部改善が見られましたが、現在も課せられている27.5%の自動車関税はいつ15%に下がるのでしょうか。新たな大統領令が必要となると思いますが、その見通しをお聞かせください。これは多くの自動車関連産業や、そこで働く従業員の皆様、そして来年の賃上げにも密接に関わる問題です。
赤澤(国務大臣):先ほどから申し上げている通り、交渉のルールが今までと違うやり方をしているため、相場観というものがなかなかありません。通常、他国の交渉状況は参考になりませんが、イギリスは合意後、大統領令が出るまでに1ヶ月と8日間、さらに実施までに2週間ほどかかっています。わが国よりも条件が良いはずの英国でもそのような状況であることを念頭に置きながら、できるだけ早く実現したいと考えています。一日1億円、10億円、20億円の損失が出ている企業があることは承知していますので、一刻も早く実現するように全力で働きかけてまいります。
玉木雄一郎:赤沢大臣も頑張っておられましたが、この問題は総理とトランプ大統領が直接やって突破するしかないんじゃないですか。赤沢大臣が握手している写真も見ましたが、その後、総理からトランプ大統領に電話を一本入れましたか?「ここまでよくやってくれた、これからもやっていこう」といったコミュニケーションは取られていますか?
石破:合意が実現した後、私の名前でステートメントを渡していますが、直接の電話はいたしておりません。しかし、必要であれば大統領との会談を行うことは躊躇するものではありません。それは国益の最大化を図るために、時期も内容も決めてまいりたいと考えています。
玉木雄一郎:必要性があるかないか、必要性はありますよ。今、赤沢大臣も毎日膨大な不利益と損失が生じていると認めました。だったら今こそ総理が動く必要があるんじゃないですか。続投の意義はそこにあるんじゃないですか?なぜ、我が国にとって最大の輸出品目である自動車の関税が27.5%のままなんですか。交渉の成果が出ていないじゃないですか。総理が動くべき時ではないですか。総理が続投するなら、腹を決めてやるべきです。それが内閣総理大臣の仕事ではないですか。
石破:ご指摘はよく理解できます。続投を実現するためといったケチなことを申し上げているわけではありません。どうすれば国益が最大限に実現し、多くの方々の心配を解消できるか、最善の決断をしてまいります。
玉木雄一郎:日米合意について、ラトニック商務長官は「日本は銀行だ」と言い、アメリカにプロジェクトの選択・決定・実行の権限を与えると述べています。これは、日本は金を出すだけで、アメリカに言われるがままになっているということではないですか?日本は銀行なんですか?
赤沢:日本が資金提供者だという部分は一部当たっている部分もあります。J-BICは銀行ですので。しかし、日米双方に利益があるからこそ協力しているわけで、一方的にお金を出して終わり、というものではありません。9:1については、アメリカのやる気の表れだと理解している。日本から金だけ持ってこようとしているという理解はしていない。
玉木雄一郎:なぜ、交渉内容を公式に発表しないのですか。アメリカ側は、例えばボーイング100機や防衛装備品について追加で、などとすべて具体的に書いています。日本政府としての認識はこうだ、と官邸のホームページなどで国民に示すべきではないですか?アメリカばかりが発信を続け、既成事実が積み上がっていくのは良くないことです。
石破:それは合意書ではございませんので、相手の考えとすり合わせる必要はありません。ただ、日本政府として公式にそういうものを出す以上は、相手の考えと食い違いがあってはなりません。国民の皆様に間違いなく言えることは、きちんと示したいと思っています。何が必要で、何が必要でないか、今のご指摘も踏まえて検討させていただきます。
玉木雄一郎:だらだらと長く続けることで、政権を長引かせているのではないかと疑われないためにも、交渉内容を明らかにすること。そして、自動車関税については、改めてトランプ大統領と交渉していただきたい。実行を遅らせることで延命を図るのはやめていただきたいと思います。
3.トランプとの会談を画策
玉木代表は、石破総理に対し、自動車関税について改めてトランプ大統領と交渉すべきだと促していましたけれども、裏ではその動きがあるという情報も出てきています。
8月1日、ジャーナリストの須田慎一郎氏は未確認情報としながらも自身の動画で次のように述べています。
須田慎一郎: 皆さん、こんにちは。ジャーナリストの須田慎一郎です。本日は少し驚くべき情報が入ってきました。まだ完全に裏が取れていない未確認情報ではありますが、情報源は日米関税交渉の裏方を担ってきた経済産業省です。なんと、関税交渉の最終決着の為、日米首脳会談を画策しているというのですね。それ自体は必要なものかもしれませんけれども、その目的が政権延命の為なのであれば、何をかいわんや、です。
この交渉では、赤沢経済再生担当大臣がラトニック商務長官と交渉し、最終的に15%の関税率で着地しました。この成功には、赤沢大臣の功績はもちろんですが、経済産業省の存在が非常に大きかったと考えられます。
その経済産業省から入ってきた情報によると、どうやら石破首相が8月16日、終戦記念日の翌日にアメリカを訪問し、トランプ大統領との会談を調整しているというのです。
須田慎一郎: 関税交渉の決着を受け、最終的には日米両首脳が握手を交わし、節目を迎えるのが自然な流れです。今回の交渉は合意文書を作成しない方針のようですが、トップ同士の会談は重要です。石破首相は、赤沢大臣を自らの代理として交渉に送り出していました。その最終的な決着を、自らがトランプ大統領と会談することでアピールしようとしているのでしょう。
この動きの背景には、石破首相が相当追い詰められている現状があります。もし自民党の両院議員総会が開かれれば、総裁選の前倒し実施が決定される可能性が高い。こうした内外の窮地を打開するため、石破首相は**「アメリカカード」**を切ろうとしているのではないか、と私は見ています。
トランプ大統領との個人的な信頼関係をアピールし、「自分を引きずり下ろせば、アメリカとの交渉が暗礁に乗り上げるぞ」というメッセージを国内に発信したい。そうした思惑があるように思われます。
須田慎一郎: しかし、これは石破首相だけの思惑ではありません。トランプ大統領もまた、苦しい状況にあります。EUとの交渉に続き、日本との交渉も妥結したという実績を国内に強くアピールしたいはずです。エプスタイン文書の問題で批判にさらされている中、このビッグディールは彼の窮地を救う大きなカードとなるでしょう。
このように、日米両首脳の思惑が一致していることから、8月16日、17日の日米首脳会談は実現する可能性が高いと私は考えています。
赤沢大臣が渡米した際も、当初からトランプ大統領との会談が約束されていたわけではありませんでしたが、周囲の動きによって実現しました。今回も同様に、両者の思惑が一致している以上、首脳会談の実現は十分あり得ます。
現在、経済産業省や財務省の官僚たちが、この会談実現に向けて水面下で動いているという情報も入ってきています。この計画が実現するかどうか、今後も取材を進めてまいります。新たな情報が判明次第、皆さんにお伝えしますので、続報をお待ちください。
4.大事なのは辞め方
石破総理は、総理の椅子にしがみ続けるため、やれることは何でもやるモードに入っているように見えます。
大型選挙三連敗の責任を裏金問題と旧安倍派に押し付け、マスコミを敵視し、トランプ大統領をも利用する。権力維持のためならなんでもあり。責任責任と口にするくせに、その行動や態度に責任感は感じられません。
それでも、石破総理が総理を辞めないと粘れば粘る程、自民党の古い体質が変わるのだという見方もあります。
東京大学先端科学技術研究センター教授の牧原出氏は、石破総理の現状について、次のようにコメントしています。
石破首相に批判的な意見があるのは承知の上で、私は日本政治とりわけ自民党の古い体質を変えるには、ここで石破首相は粘った方がよいのではないかとみている。ただ辞めるべきではないとまでは言わない。辞め方次第で自民党を変えることもできるということだ。牧原教授は、石破総理が辞めるかどうかよりも、「どう辞めるか」、そして今後の政治のあるべき方向性を打ち出せるかが自民党の行方を左右するだろうと述べています。
首相のポイントはここだろう。
首相は周囲に「野党に頭を下げて、予算や法律を成立させられる人がほかにいるのか」と語る。
自民党の総裁選挙があったとして、その後に登場した新総裁が、第1に衆議院で首相指名されるか、第2に、野党と交渉して法律・予算を成立させられるかは未知数だ。また、仮に首相になったとしても、場合によっては昨年の臨時国会以降の野党との交渉を再度やり直すことになる。当時は自公は参議院は多数だったが、現在は参議院も少数であり、石破政権以下のパフォーマンスしかできない可能性が高い。たとえば今後生じうる国会人事などは、困難を極めるだろう。
自民党の総裁は首相になるならば、自民党の総裁だけではない役割を持つ。国会で多数をもっていれば、総理総裁分離論は派閥の論理でたまに出るに過ぎず、誰が総裁であっても基本的な統治の流儀を継承できた。だが、少数与党であれば、総裁の交代は、すべて一からやり直すことになる。
そうした少数与党としての責任をどうとるのかということが石破総裁が交代するかどうかにかかっている。自民党が内向きの論理、たとえば落選議員への総裁の責任などを主張するのは、党内限りであればご自由にとなるが、国民からみれば落選=ノーとした政治家の意見をなぜ聞かなければならないのかということにもなる。野党ならばよいが、与党ならば勝手すぎるとも言えるだろう。つまり、石破総裁辞任を求める議員には、必ずしも国民からみて大義があるとまでは言えない。所詮は党内抗争の産物とみるべきだろう。
その意味では下野論がもっともすっきりする総裁選考の条件だろう。だが、簡単に下野はできないということでもある。
かつては派閥があり、個々の議員は派閥の論理に従えば事足りた。しかし派閥が実質消滅した現在、個々の議員が自らどう行動するのか考え、説明責任をもつ状況となっている。党内がまとまらず、最後まで騒ぎ続けたのがまさに与党だったかつての民主党だ。来る両院議員総会が、民主党のようにまとまらない姿をさらけ出すのか、自民党らしくまとまるのか。私は多分に「民主党」化するとみているが、いずれにしても個々の議員の見識と判断がそれぞれに問われる。政治資金問題もそこには効いてくるだろう。かつて三木おろしをしのいで最後は総選挙で敗れ辞職した三木武夫首相は、「私の所感」と題する文書を出し、それが総裁予備選をはじめとする党改革の一つの方向となっていった。石破首相は、今後の政治のあるべき方向性を、ここで出すこともできる。内容次第で、以後の自民党にとって無視しがたい方向性となることも十分あり得る。それは自民党にくさびを打ち込むことになるが、古い体質のまま新総裁でまとまったからと言って、国民の支持が戻るわけはない。人気のある総裁を期待しても、すぐに国民に見透かされる。やはり党内の意見対立が激しくなろうと、分裂含みになろうとも、自民党は今のままではいられず体質改善を図らないと、党の支持率は今後も底辺をさまようだろう。
要は総裁をやめるかやめないかも重要だが、どうやめるかはさらに重要だということになる。日本政治が岐路に立つ中、石破首相の振る舞いがその後の政治を規定するのは間違いない。
石破総裁は、そうした自民党の体質をこれまであぶり出すことで、孤立しながらも存在感を出してきた。ここでも要求に屈してただやめるのではなく、何らかのメッセージをしっかり出すべきだろう。自民党は、石破後にほぼ劣化へと進むのは間違いない。少数与党であり続けるとすれば、このまま総裁選挙になだれ込むと、新総裁は党を立て直す間もなく野党交渉に忙殺され、短命政権へと息切れする可能性が高い。したがって、もし総裁選挙を行うならば、石破首相の書簡を受け取った上で、十分時間をとってその間石破首相が政府を担い、他方で各候補が野党との関係、官邸の再構築、政策の継承について準備をした上で総裁選挙に臨むという段取りが不可欠である。だが、それは実際には難しいのではないか。やはりどうなっても自民党はすり減っていきそうである。
けれども、そもそも、辞めることで足跡を残すような人は引き際を心得ているものです。石破総理についていえば、その時は完全に逸しました。もはや石破総理は、どう辞めようが、汚名しか残さないのではないかと思いますね。
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