多党化時代と多くの皆さんを取り残している立憲民主党

今日はこの話題です。
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1.多党化時代の民主主義立て直しを


政治が混乱している昨今、マスコミ記事でも「多党制」という言葉がチラホラ見受けられるようになりました。

多党制とは、複数の政党が政治に参加し、政権を争う政治体制のことです。多党制の特徴として、3つ以上の政党が政治に参加っすること、特定の政党が長期にわたって政権を維持することが難しく、政権交代が頻繁に起こる可能性があること、議席数が少ない政党が、他の政党と連立を組んで政権を維持することがあることなどが挙げられます。

8月9日、日経新聞が「多党化時代の民主主義立て直しを」という社説を掲載しています。

件の記事のポイントは次の通りです。
〇戦後民主主義の変質
・日本の民主主義は「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を基盤に成立した。
・「55年体制」は冷戦終結とともに崩壊し、多様な価値観を持つ人々の民意を反映する従来の仕組みが機能しなくなった。
・経済成長の鈍化と政治の機能が「負担の分かち合い」にシフトしたことで、国民の政治不信が高まり、投票率低下などの「制度疲労」が顕在化している。

〇参院選が示した「多党化」の課題
・7月の参院選で自公両党は過半数割れし、衆参両院で少数与党となった。
・既存政党が退潮する一方、新興政党が躍進し、単独で政権を担えない政党が乱立する「多党化時代」に突入した。
・多党化は多様な価値観を反映できる利点があるが、政策の合意形成が困難になり、政治が停滞するリスクも伴う。

〇政治に求められる「熟議」と「説明責任」
・多党化時代において、政党は幅広い合意を形成する能力が問われる。
・与党と野党は、物価高対策などの重要課題について「熟議」を重ね、国民に見える形で合意を見出す仕組みを構築する必要がある。
・責任ある政策を提示する責任は野党にもある。

〇ポピュリズムとSNS時代の課題
・既存政党への不満が高まると、ポピュリズムが勢いを増す傾向があり、参院選で躍進した参政党の例もそれに近い。短期的な利益の優先や排外主義の助長に警戒が必要だ。
・SNSは有権者の政治参加を促す一方、情報の偏りや信頼性の問題も指摘されている。
・偽情報の拡散など、公正な選挙を阻害する行為への対策が喫緊の課題となっている。

〇民主主義改革の必要性
・1990年代には「政権交代の可能性の低さ」と「首相の指導力の弱さ」を克服するため、小選挙区制の導入や「橋本行革」が行われた。
・しかし、二大政党制の実現には至っておらず、現在の多党化時代に適した二院制や選挙制度について、深い議論が不可欠である。
・日本は、世界の潮流である権威主義の台頭やポピュリズムの波に対し、民主主義の質を高め、世界に範を示す存在になるべきだ。
日経は、権威主義の台頭やポピュリズムの波が世界の潮流だと認めた上で、日本が民主主義の質を高め、世界に範を示す存在になるべきだと主張していますけれども、ポピュリズムを「ポピュリズムはアウトサイダーを標榜しながら民衆に依拠し、既成エリートを批判する政治手法」と定義して、ポピュリズムが勢いを増すのは、既存政党への不満が高まったときだと述べていますけれども、こちらの日経の別記事でもポピュリズムをそのように説明しています。


2.日本は多党制の時代になるか


また、参院選最中の7月10日、沖縄タイムスは参院選コラムと銘打って、「日本は「多党制」の時代になるか選挙後の政局展望」という記事を掲載しています。

件の記事のポイントは次の通りです。
〇参院選後の政権運営の行方
・自民・公明の与党が参院で過半数割れした場合、石破茂首相は退陣する可能性が高い。
・仮に過半数を維持しても、衆参両院で少数与党であるため、政治の混乱は続くと予測される。
・公明党の斉藤鉄夫代表は、過半数割れでも石破首相を支える考えを示しており、与野党の力学が変わらない限り、自公政権は続く可能性が高い。
・衆参で少数与党となると、国会運営は困難を極め、税制など国家運営の根幹に関わる政策決定権を野党に握られるリスクがある。
・野党が連合政権を作る機運は乏しく、次期衆院選の結果次第で「自公+α」か、野党連合か、全く新しい連立政権の枠組みが形成される可能性がある。

〇自民党総裁選の展望
・石破首相が退陣した場合、7月末までに総裁選が行われ、8月上旬に新首相が選出される日程が浮上している。
・総裁選には、林芳正、小泉進次郎、高市早苗、茂木敏充、小林鷹之、岸田文雄といった面々の出馬が取り沙汰されている。
・政治的実績と安定感を備える林芳正氏が現実的な選択肢であり、岸田氏が林氏を推す側に回れば「林新総裁」の流れが強まる可能性がある。

〇野党の動向と連立の可能性
・国民民主党の玉木雄一郎代表は「政策本位で協力する」と述べ、自公との連携を否定していない。
・玉木氏は、賃上げが続くなら消費税減税は不要との見解も示しており、これは参院選後の政局を見据えた発言とみられる。
・玉木氏や日本維新の会の前原誠司氏のようなスタンスの野党は、与党との政策協議で実利を得ようとするだろう。

〇日本の政治構造の変化
・日本の政治は流動化し、大きな転換点を迎えている。これは一過性のものではなく、不可逆的な流れである可能性がある。
・背景には、特定の支持政党を持たない無党派層の増加と、既存政党への不信感の高まりがある。
・特に若年層は既存政党への支持が低く、ネット空間での選挙活動が得意な新興政党が支持を集める傾向が強まるだろう。
・高齢層の有権者が減少する一方で、若年層の影響力は今後10年間で高まっていくと予測される。
・既存政党が多様化する価値観や社会の分断に対応しきれず、支持基盤を失いつつある。

〇「多党制」時代への移行と選挙制度の議論
・日本は、どの政党も過半数を獲得できない「多党制時代」に突入しつつある。
・これにより、ドイツなどの欧州諸国のように、比較第一党を中心に様々な組み合わせの連立政権が常態化する可能性がある。
・日本の政治が歴史的な転換点を迎えている今、10年、20年後を見据え、どのような選挙制度が求められるのか、真剣に議論する時期に来ている。
こちらのコラムでは「多党制時代」への流れは必須だとし、将来を見据えた選挙制度を考えるべきだとしています。ただその奥には、ネット空間での選挙活動が得意な新興政党が若年層の支持を集める傾向があり、その結果としての多党制は「好ましくないもの」、という前提があるように見えてしまいます。

先日の参院選翌日、「今までと全然違うのは、選挙に行く人っていうのは基本的に政治とかの基本知識を持っている人が行っていた……今までは投票率が上がるのはいいことだと思っていたんだけれども、果たしてどうだろう」と抜かしたどこかのコメンテーターがいたようですけれども、沖縄タイムスのコラムはこのコメンテーターの考え方に通じるものがあると筆者は感じます。


3.参政党の日本人ファーストはこれまでと違う


また、沖縄タイムズは7月17日に同じく参院選コラムとして「日本でも「自国第一主義」が台頭か 問われる有権者の覚悟」という記事を掲載しています。

件の記事のポイントは次の通りです。
〇「ファースト」政党の共通点と相違点
・過去にも「国民の生活が第一」「都民ファーストの会」といった「ファースト」を掲げる政党は存在した。これらの政党は、子育てや生活支援を政策の中心に置いていた。
・今回の参院選で躍進が報じられる参政党も、減税や子育て支援策を打ち出しており、共通点がある。
・しかし、参政党の最大の特徴は、排他的な外国人政策と、国際協調を軽視する**「脱・脱炭素政策」**にあり、従来の「ファースト」政党とは一線を画している。

〇参政党とトランプ政権の類似性
・参政党の神谷宗幣代表は、街頭演説などでトランプ氏を度々引き合いに出している。
・トランプ政権と同様に、参政党は「グローバリズムにあらがう」姿勢を強調し、**「まず自国民の生活を守る」**と訴えている。
・また、脱炭素政策や多様性・公平性・包括性(DEI)政策の見直しなど、トランプ政権の政策をお手本にするよう石破茂首相に求めている。

〇既存政党への警鐘と「エスタブリッシュメント」への反発
・既存政党は参政党に警戒感を抱いているが、単に批判するだけでなく、なぜ多くの有権者が共感するのかを真剣に考えるべきだと指摘されている。
・自民党の石破首相は「外国人との秩序ある共生社会推進室」を設置したが、参政党の主張に対する明確な考えは示さなかった。
・参政党への支持が集まる背景には、**「エスタブリッシュメント(既存の支配層)は自分たちのことを考えていない」**という、現状への不満や将来への不安を抱く国民の感情がある。
・これはトランプ氏が米国で共感を呼んだ状況と類似しており、政府や既存政党の政策(外国人受け入れ、ODA、気候変動対策など)が、国民の幅広い理解を得られていないことが一因だと分析されている。

〇政治とメディアの「説明責任」
・米国のバイデン政権高官は、トランプ氏に敗れた理由を「政策が国民にとってどのような意味を持つかを十分に説明できていなかったから」と反省した。
・日本の既存政党にも、自分たちの政策が国民にとってなぜ必要なのかを、繰り返し、丁寧に説明する**「説明責任」**を果たす姿勢が求められている。
・この責任は、政治を取材し報じるメディアにも同様に課せられており、メディアも自らのあり方を批判的に検証し、伝え方を試行錯誤すべきだと提言されている。

〇日本の転換点としての参院選
・「自国第一主義」は、国際協調を前提とする日本の自由貿易体制や地球温暖化対策に影響を与え、国内の分断を深刻化させる可能性をはらんでいる。
・今回の参院選は、日本の進むべき道を方向づける歴史的な転換点となるかもしれない。
このコラムでは、参政党の「日本人ファースト」を取り上げ、過去「ファースト」を唱えた政党と比較して、排他的な外国人政策と、「脱・脱炭素政策」がそれらとは全然異なるものだと主張しています。

これら政策は、いわゆる「反グローバリズム」のものですけれども、それを取り上げて批判するということは、このメディア自身がグローバリズム側に立っていることを示しています。

そして、なぜ参政党が支持される背景には、「既存の支配層は自分たちのことを考えていない」という民衆の不満にあるとし、彼らに丁寧に説明する「説明責任」を果たす必要があると述べています。

けれども、この主張の裏には「自分達の考えこそが正しいのだ」という驕りが見え隠れしている気がしてなりません。


4.お前ら立憲は何考えてる?


先述した沖縄タイムスのコラムは、参政党が支持を集めた理由について、国民の中に現状への不満があり、それに既存政党が応えられていないのだと述べていますけれども、それは事実のようです。

8月8日、JBpress誌は、先の参院選で東京選挙区で当選した立憲民主党の塩村あやか氏へのインタビュー記事を掲載していますけれども、その一部を抜粋すると次の通りです。
——こうしてインタビューしていると、かなり痩せたうえに、腕などの日焼けからも苦戦した様子が伝わってきます。東京選挙区と同じく、全国の比例得票でも立憲の結果は厳しいものになりました。自民、国民、参政に次ぐ、4番手となっています。

塩村あやか・参院議員(以下、塩村):今回、他の野党と同じように消費減税を訴えましたが、他党は他にもより強い理念を前面に押し出していた。立憲ももっと違うアジェンダを出して、立憲独自色の強い政策やスローガンを有権者に伝えることが大事だったと思います。

集会にいくと高齢者、中高年から「消費税が減ると社会保障費はどうなるの?」と言われました。これまで「支え合う社会」を言ってきたのに、不安にさせてしまったのです。コアな立憲支持者も支持が揺らいでいることを自覚しないといけません。

さらにマイノリティーを守るという訴えが、マジョリティーを見ていないと映ってしまっているのも問題です。

先日、とある地域を訪問した時、テントに集まっている地元の皆さんに挨拶する機会がありました。初対面だった顔役男性に挨拶すると、厳しい言葉をかけられました。

「お前ら立憲は何考えてる?多文化共生やマイノリティーばかりで、普通の人の暮らしを考えたことあるのか?」。「日本人ファーストで頼むよ」と続けた彼の言葉を聞きながら、周囲の方々も強くうなずいていました。それを見て、本当にショックでした。

生活が苦しくても、頑張って踏みとどまっている人に対して、私たちの訴え方は「誤解」を与えているのかもしれません。税金で助けられている層ばかりの仕事をやっている、普通の日本人から搾取していると捉えられてしまっている可能性があります。もちろん、それは誤解です。

私たちの主義主張がマジョリティーに伝えられているのか——。党として、きちんと総括すべきです。

「誰一人取り残さない政治」の発信が強く、「多くの皆さんを取り残している政治」に取られていないか。「こぼれ落ちない政治(社会保障・福祉)」」を大切にしつつ、「伸ばす政治(経済産業)」の発信も同様に重要です。

——その顔役が言った「日本人ファースト」を掲げる参政党が今回、躍進しました。東京選挙区でも2位は66万票を獲得したさやさんとなっています。

塩村:選挙戦で訪問した観光地の一角は、ぱっと見で8割がブランド品やアニメグッズを抱えている訪日外国人でした。自分たちは所得が上がらず、生活が苦しいのに、海外旅行と買い物を楽しむ多数の外国人を見ると、かつての日本人と入れ替わってしまった現状に苛立ってしまうのかもしれません。

ところが、同じく選挙戦での車中からみた工事や解体の現場では、半分以上が外国人の労働者というところがたくさんありました。その外国人が政治家の訴えで不安になり日本に来なくなってしまったら、誰が現場仕事を担うのでしょうか。

外国人に選んでもらえる国にしていかないといけない現実もあるのです。一部の政党の党勢は上がったかもしれませんが、日本にとってのマイナスも多い選挙結果になったとも感じます。

他方、野党第一党として、外国人に対する不安や不満を掬えなかった責任は感じています。誤った情報は解消しなくてはいけないし、背景にある物価高を引き起こす円安や給料を上げることができなかった問題は、政治が取り組むべき課題です。

【以下略】
多文化共生やマイノリティーばかりで、普通の人の暮らしを考えたことあるのか?、日本人ファーストで頼むよ、と言われたことがショックだと語っていること自体がショックです。

まだそんな認識でいたのか。「誰一人取り残さない」が「多くの皆さんを取り残している」と今頃言っているようでは、やはり立憲民主は立憲民主なんだなと思ってしまいます。

もはや多くの国民は「日本人ファースト」でない政治にはうんざりしています。人間にファーストもセカンドもないというのなら、日本全体を底上げする政策を掲げて実行すべきですし、でなれけば、取り残された多数の有権者の支持を得られることはないのではないかと思いますね。




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