
1.外務省とJICAの大チョンボ
ホームタウン騒動をSNSでの誤報の拡散が原因だった、で片づけるのは簡単かもしれませんけれども、でも、そうしてしまうと本当の問題が見えなくなってしまう危険があります。
8月26日、経済産業省出身で経済学者、慶大大学院教授の岸博幸氏は「アフリカのホームタウン問題は外務省とJICAの大チョンボ。普通は合意内容について相手国政府と文書でしっかり擦り合わせて発表させるもの。相手国がいい加減な説明してるので、そこをおざなりにしたとしか思えない。日本人ファーストが流行ってる時だからこそ細心の注意すべきなのに。担当者は更迭すべきだし、ホームタウン自体も一度中止すべき。」と自身のX(旧ツイッター)でツイートしています。
けれども、このツイートには、「"内密に進めてたのが日本国民にバレた"ってのが正解」とか「チョンボではなく日本側が嘘ついてるだけ」とか「さっと発表して、さっと実行するつもりだったんですよ。普段JICAは注目されてないし」とか。国が全く信用されていません。
どんなにデマだと叫ぼうが、丁寧に説明しようが、ネットでは次々と関連資料がほじくり返されては晒され、疑念だけが積みあがっている状態です。
確かに、これを打ち消すには、岸氏がいうように、ホームタウン自体も一度中止くらいしないと無理ではないかと思います。
アフリカのホームタウン問題は外務省とJICAの大チョンボ。普通は合意内容について相手国政府と文書でしっかり擦り合わせて発表させるもの。相手国がいい加減な説明してるので、そこをおざなりにしたとしか思えない。日本人ファーストが流行ってる時だからこそ細心の注意すべきなのに。担当者は更迭すべ…
— 岸博幸(慶應義塾大学教授) (@hiroyukikishi) August 26, 2025
JICAコンサルタント資料。
— 夏樹蒼依 (@natsuki_aoi123) August 28, 2025
拡大して読んでみて。
タンザニアやガーナの若者を日本で働かせるって、三条市の外国人受け入れを支援するって、はっきり書いてあるけど?
これもまたデマだとコミュニティノートつくの?まぁ別についてもいいけど。https://t.co/TNHXTdwP0P pic.twitter.com/MwA5LQywXQ
2.本当にデマだったのか
それ以前に、ホームタウン事業でSNSで広まった言説が、本当にデマだったのかという問題もあります。
これについて、柳ケ瀬裕文・元参院議員が、自身の動画チャンネルで解説しています。
件の動画のポイントは次の通りです。
・外務省やJICAは「交流事業」だと説明するが、実際には日本の労働力不足とアフリカの人口増加を背景に、アフリカからの労働者移住を促進することが真の目的。柳ケ瀬氏の見解を見る限り、今回の騒動は、国が事実上の移民政策を進めようとしたところがバレてしまったから慌てて誤魔化そうとしているようにしか見えません。
・日本政府は「移民政策はとっていない」と主張するが、これは日本政府が「移民」という言葉の定義を狭く解釈しているに過ぎない。現実に日本に住む外国人は増え続けており、これは実質的な移民政策である
・外務省が「特別な査証(ビザ)の発行は想定されていない」としている点に対し、既存の「特定活動」ビザなどを活用すれば、特別な法律改正や新制度なしに外国人受け入れを促進できるため、この外務省の発表は欺瞞である。
・2024年3月にナイジェリアでビザ申請センターが2か所新設されたことに言及し、これは今回のホームタウン事業によるビザ需要の高まりを想定したもの。
・国際移住機関(IOM)の事務局長の発言や、TICADのシンポジウムのテーマ・背景資料から、アフリカ開発会議の大きなテーマが「アフリカから日本への労働力移住」であることは明らか。
・過去の技能実習制度が、当初は「技能移転による国際貢献」と説明されたが、実態は「低賃金労働力の確保」だった。今回の事業も同様に、建前と実態が異なる。また、技能実習制度の代わりに新設される「育成就労制度」は、外国人労働者の受け入れをさらに容易にするものだ。
・対中国戦略としてTICADを進めること自体は評価する一方、アフリカでの影響力拡大は、中国のように政治と経済を絡めるべきであり、安易な移民促進では挽回できない。
・今回の騒動で多くの国民が事業に注目したことで、「移民推進のような下手なことはできない」というメッセージが外務省やJICAに伝わり、自身の発信活動の成果があった。
3.今すぐ事業を中止すべき
また、別の角度から、JICAの「ホームタウン計画」には欺瞞があると指摘する人も居ます。自民党の青山繁晴参院議員です。
8月27日、青山議員は自身の動画チャンネルで「アフリカ用ホームタウン 中止せよ」と訴えています。
件の動画のポイントは次の通りです。
・アフリカ4カ国と日本の4都市を結びつけるJICAの「ホームタウン事業」は、誤解を招き、中止すべきだこちらは、今までの文化交流と変わるものではないから、その場で直ぐに適切に対処すればよかったのが、SNSのせいにしてサボっていたからこんなになったのだという意見です。今までと変わらないのか、隠れた移民政策なのかはさておくとしても、こういう事態になった理由としては、なんともお粗末です。
・日本政府が「SNSによる誤解」と説明しているが、事実経過とは異なる
・問題の発端は、ナイジェリア政府が日本への永住権や特別ビザが付与される制度だと発表したこと。
・BBCの西アフリカのピジン語版ニュースサイトなどでも同様の内容が拡散し、これがSNSでの炎上の根源。
・ナイジェリア政府は日本政府の要請で発表を修正したが、その内容は「修正(correction)」というタイトルだけで、具体的な説明が不足。
・永住権や特別なビザの発行を否定する内容が明記されておらず、現地の人々の間で「永住できる」という誤解が解消されていない
・騒動の原因は外務省やJICAが、アフリカ諸国の政府発表が「こうあったらいいな」という希望的観測に基づくことがあるという、世界の常識を理解していなかったこと。
・「ホームタウン」という名称自体が誤解を生みやすい上、修正を十分に発信しなかった日本政府の責任は重い
・タンザニアの新聞が「日本が町をタンザニアに献上した」と報じたように、事業が日本とアフリカの友好関係に逆効果をもたらしている
・日本国民の感情も損なわれており、今すぐ事業を中止すべき。
・外務省は、外務大臣と副大臣と政務官と外務省でやっているホームタウン構想について、他の議員に入ってきて欲しくないと思っている
・ホームタウン構想の元は、第5回のアフリカ開発会議の時に安倍イニシアチブという安倍さんの構想としての文化交流、教育交流の続きで別に中身変わってない
・元々外務省もあまり関心持ってなかった。ただしこれが騒ぎになり出した時にすぐに動いて。国際交流は今まで別に変わってませんって発信すべきだったの。それをせず、SNSのせいだけにしてるから今みたいな困った状態になってる
4.全く違った宇宙
今回の騒動について、SNSとそれ以外とで情報に対するフィルターに違いがあるという面白い指摘もあります。こちらのブログの「なぜ木更津市はナイジェリア移民に街を明け渡そうとしているのか」という記事です。
件の記事のポイントは次の通りです。
・騒動の背景:JICAがアフリカ4カ国と日本の4都市を「ホームタウン」として認定した事業が発端。このニュースが「日本が移民に埋め尽くされる」といった誤情報とともにSNSで炎上した。テレビ新聞などの一定の価値観や裏取りなどがない、生の「一次情報」をフィルタリングしないで受け取る層が増えたことで認知の差が拡大し、政府やマスコミがコントロールできなくなってきたというのですね。
・情報分断の深刻さ:騒動を知っている人と全く知らない人がいるのは、SNSのレコメンデーション機能によって情報が分断されているため。新聞を読まない層は、政府が移民を「一時労働者」と表現する建前と本音を使い分けている背景を理解しにくくなっている。
・ナイジェリア政府の発表:BBCの英語版がナイジェリアの報道を引用し、日本が「特別なビザ」を発行し、木更津市が積極的に移民を受け入れると報じた。
・既存の偏見:「政府は日本人を移民に置き換えようとしている」という前提を持つ人々が、この情報を真実だと信じ込んだ。
・ナイジェリア政府とBBC:問題の深刻さに気づき、報道を訂正・軌道修正した。
・日本政府:ナイジェリア政府に訂正を求め、官房長官は「日本は移民を受け入れない」と明言した。しかし、多忙な中で丁寧な説明ができたかは疑問が残る。
・木更津市・千葉県:市役所や県知事のもとには抗議が殺到。当初は「誤情報」と反発していたが、後にネット上の不安が本物であることに気づいた。
・地方都市の課題:人口流出に悩む地方都市(特に木更津市)が「選ばれる都市」になるために外国人定住を模索しているという事実も、騒動の背景にある。
・SNSの脅威:従来の新聞やテレビによる情報統制が通用しない時代になり、SNSでは不安を煽る情報が次々と拡散される。クリック数を稼ぐための悪意ある情報も存在する一方、それ以外の情報も混在しており、ファクトチェックが困難な状況が問題。
・「違う宇宙」の存在:政治家がSNSの持つ独特な感覚やユーザーの認識を理解しないと、国民との間に「全く違った宇宙」が広がっているような状態になる。
だからといって、オールドメディアや政府・自治体がSNSを悪者にして弾圧しようとするのなら、それは間違っています。国民はこうした動きをさせないよう監視の目を光らせ、抗議の声を上げ続けていく必要があると思いますね。
この記事へのコメント
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「小野公使のブログ」さんのよると、アフリカホームタウン問題炎上は、これを隠す意図もあるのではということです。
https://ameblo.jp/yokohamatakades/entry-12926727892.html