1.福利厚生の未来に関する調査
アメリカ・コネチカット州に拠点を置く従業員福利厚生および労災保険の大手プロバイダーThe Hartfordは2025年3月4日から28日に掛けて、701社の雇用主と1,000人のアメリカ人労働者を対象に「2025年福利厚生の未来に関する調査」を行いました。
その結果、Z世代の40%が週に数回、うつや不安の症状を感じていることが分かりました。さらに46%が、メンタルヘルスに関する支援を求めることに恥じらいや抵抗感を抱いていることが明らかになっています。
Z世代とは、主に1990年代後半から2010年代前半にかけて生まれた世代を指し、「デジタルネイティブ」としてインターネットやスマートフォンが当たり前の環境で育った特徴があります。彼らは社会課題への関心が高く、自己実現や社会貢献を重視する傾向があり、SNSでのつながりや経験を大切にする消費行動をとるとされています。
今回の調査でZ世代の4割がうつを経験している背景には、10代後半から20代前半という多感な時期に、パンデミックによる社会的孤立を経験したことや、SNSによる「常時比較」の環境があり、自己肯定感を下げ、誰かと繋がっているはずなのに孤独を感じるというジレンマがZ世代に強く影を落としているとも指摘されています。
更に、Z世代の多くは学生ローンを抱えており、就職後も家賃や医療費、食費の高騰に直面。アメリカ心理学会(APA)は、Z世代が「経済的ストレスの最前線」にいると分析しています。
経済的ストレスはZ世代だけの問題ではありません。
実に労働者全体の74%が、給料日前に生活費が足りない経験があると回答しており、58%は解雇される不安を常に感じているとのことです。
ただ、最近になって、Z世代はSNSやオンラインフォーラムで、「#mentalhealthmatters(メンタルヘルスは大切)」などのハッシュタグを通じて自分の感情を言語化し、共感を広げ、互いを支える文化が根づき始めているのだそうです。

2.Z世代は自公が敵だと思っている
9月22日、実業家の岸谷蘭丸氏は、公明党の岡本三成代表との対談の中でZ世代の閉塞感について語っています。
該当部分を抜き出すと次の通りです。
岡本:岸谷氏によると、Z世代にはやはり経済の問題が重くのしかかっていて、何に使っているか分からないけど金がなくなっているという若者の感覚を代弁しています。そして、Z世代は「自民党を敵だと思ってる」と閉塞感を生んでいる責任の一端は政治にもあるのだと述べています。
政治家の役割は、若者たちが閉塞感を感じることなく、自分らしく楽しく生きられるよう選択肢を増やすことだと考えています。海外志向が薄れている若者世代に、多様な選択肢を提示し具現化するには、どうすればよいでしょうか。
岸谷:
僕たち世代の閉塞感の根本には、やはり「お金」の問題があると感じます。お金に余裕があれば、「今のうちに頑張ろう」というマインドが生まれるはずです。たとえば、若者世代の所得税を大幅に引き下げるといった極端な政策も、動機付けになるのではないでしょうか。
岡本:
つまり、若い時のさまざまなチャレンジにかかる自己負担を極力少なくし、誰もがチャンスを得られる仕組みを作ることが重要だということですね。
岸谷:
はい、その通りです。それに加えて、今の時代は「ナラティブ」、つまり物語性が重要だと思います。昔は「家を買う」「車を買う」といった明確な目標がありましたが、今はサブスクやキャッシュレス決済などで、何にお金を使っているか意識する間もなく消費が進みます。だからこそ、消費者はストーリーに価値を見出します。政治にも、お金を配るだけでなく、人々がワクワクできるようなビジョン、そしてその物語の一部であるというアイデンティティを与えてほしいのです。
岡本:
政治家の役割は、特定の価値観を国民に押し付けることではなく、多様な選択肢を用意することだと私も思います。その中で国民が各自にとって最適な選択ができるようにすることが大切です。
岸谷:
そうですね。国民も最近は政治の配慮を感じ始めているかもしれませんが、依然として多くの若者は自民党を「敵」だと見なしています。この意識を払拭しない限り、根本的な解決は難しいでしょう。
岸谷:
本当なんかそれこそ極論なんで、20代は所得税めっちゃ低いですとか。わかんないですけど。なんか本当それぐらいやってくれたらうわわるぞ、今のうちにっていうマインドになる気がするんで。ま、やっぱお金があるっていうのは一定だ。やっぱりこの国民の103万の壁がこんだけ刺さったってのは、やっぱそこだよなとも思いますし。なんかあとは、これはなんか戦略的な話だかもしれないですけど、やっぱナラティブだと思うんですよ。重要なのは。やっぱ僕ら時代って、特にナラティブの時代だと思ってて。ま、これどんなことにも言えることですけど、やっぱ物が溢れすぎて、消費が溢れすぎて、僕らって消費してる感覚ないんですよ。例えば昔だったら、「お金稼いでどうしたいの?」って言われたら、「家買いたい」「車買いたい」「これしたい」っていうビックな野望があったじゃないですか。僕らは何に金を使わされてるのかわかんないけど、なんか金が減ってくるんですよね。
で、これは、ま、税金もあるだろうし、もちろん社会保障高い、税金高い、ものが高い、あると思うんですけど。やっぱじゃあなんかサブスクで金払ってるなとか、なんかApple Payしちゃったなとか、なんかクイックペイしちゃったなとか。なんか本当それぐらいの気づいたらお金がない。要は消費させようと社会がしてる中で、タッチポイントが多すぎて、気づいたら減ってるみたいな感じなので、何に金使ってるかわかんない。で、そんな中で売れてくものって、なんかナラティブがあるものな気がするんですよね。なんでストーリーで価値を見い出す時代だろうと思ってるんで。同じものを売るにしても、やっぱりどのストーリー性があって、どういう風にあなたはこれの一部だよというアイデンティティを付与してあげるかみたいな時代なのかなと僕は思ってまして。で、それで言うと、やっぱナラティブを売って欲しいし、そのためのビジョンを見せて欲しいってのが、多分政治に期待することなと思います。
岡本:
僕、あの、政治家の役割って、その政治家が持っている価値観を国民に強要することでは絶対なくて。うんうん。そのルールの中で最大の選択肢を用意すると。だ、あなたにはあなたの価値観、別の方にはこの価値観があるので、この選択肢の中で一番いい選択肢をどうか、あの、エクササイズしてくださいと。あの、いうようなことだと思ってるんですよね。
岸谷:
うんうんうん。いや、間違いないですね。こうなんかそこの気遣かってくれてるんだろうな、俺たちを、ってなんか最近ちょっとずつ見えては来てるはずなんですけど。ま、やっぱなんか国民というか、若い子たちは自民党を敵だと思ってる節はずっとありますよね。そこがなんか払拭されないと何ともだと思うんですけど。ま、与党も大変だなとかは、僕は思っておりますが。
3.消費税を21年間未納した東京都
9月22日、東京都は、都営住宅等事業会計をめぐり、21年間にわたり消費税の納付漏れが発覚したと公表しました。
これは、2002年度に都営住宅等事業会計が一般会計から特別会計に移行した際、消費税の納付義務が生じていたにもかかわらず、支払われていなかったとのことです。
未納問題が明らかになったのは、インボイス制度の導入に伴い、国税庁が過去の記録を都に照会したことが切っ掛けでした。都は国税庁からの指摘を受けて、時効の対象とならない2019年度から2022年度までの4年間分、合計約1億3,642万円を納付したのですけれども、2002年度から2018年度までの17年間分については、「時効が成立したため、納付義務は消失した」として支払わない方針のようです。
この17年間分の未納額は、直近4年間の平均額から試算すると約6億円に上ると見られているのですけれども、都は「算出できない」として具体的な金額を明らかにしませんでした。
この問題に対し、当然ながら都議会やSNSでは「税に対する理解の甘さ」「一般国民なら脱税で処罰されるのに、都は許されるのか」といった批判が噴出しています。特に、公認会計士でもある、佐藤さおり都議は、都の対応を強く非難しています。
この件は「東京都の特別会計」としてSNS上でトレンド入りし、日刊スポーツなど複数のメディアが報じています。
小池百合子都知事は「誠に遺憾」と述べ、石原慎太郎元都知事の時代から続いていたと言い訳し、他の特別会計でも同様の事例がないか確認を指示しているようです。
前述した、佐藤さおり都議は東京都の予算の使い方に切り込み、「補助金データをダウンロードすると“支払先の名前”が見れなくなっている」とか、いろいろと切り込んでは動画配信しているのですけれども、配信をみるたびに都の闇深さに驚くばかりです。
消費税を21年間も未納し、うち17年間分はその額すら分からない杜撰さを考えると、これら以外にも、あちこちに地雷が埋まっているのではないかと予想されますし、こういうのもまた、政治不信や敵視される要素としてカウントされるのではないかと思います。
4.対立する検地と刀狩
9月25日、JICAは国内の自治体をアフリカの国の「ホームタウン」に認定する交流事業をめぐり自治体への抗議などが相次ぎ、過度な負担が続いているとして、事業を撤回する方針を明らかにしました。
JICAの公式発表は次の通りです。
本年8月の第9回アフリカ開発会議(TICAD9)のテーマ別イベントで、JICAは、「JICAアフリカ・ホームタウン」構想を発表しました。この構想は、日本国内の4市を各々アフリカ4か国の「ホームタウン」として認定し、各種の交流事業を通じて、各国と日本の地方自治体との交流を図ることを目的としていました。JICAは25日に開いた記者会見で、外務省や自治体と検討を進めた結果、自治体に抗議の電話やメールが相次ぎ、過度な負担が続いているとして、事業を撤回することとし、すでに4つの自治体に説明し、いずれも撤回への理解は得られているとしています。
また、元々本件構想の下では、国内の自治体、アフリカ関係国及びJICAとの間で交流事業を調整・実施していくことを想定していましたが、その具体的な内容については今後決定されることになっていました。
しかしながら、「ホームタウン」という名称に加え、JICAが自治体を「ホームタウン」として「認定する」という本構想のあり方そのものが、国内での誤解と混乱を招き、4つの自治体に過大な負担が生じる結果となってしまったと考えています。このような事態に至ったことについて、関係自治体の皆様に対し、改めてお詫び申し上げます。
JICAとしては、このような現状を重く受け止め、関係者の皆様方との協議も踏まえ、今般、「アフリカ・ホームタウン」構想を撤回することとしました。
他方、アフリカ地域を含む諸外国との間で、国際交流を促進することは引き続き重要だと考えています。JICAとしては、「アフリカ・ホームタウン」構想を撤回した上で、今後も国際交流を促進する取組を支援していく考えです。
その上で、JICAとしては、これまで移民を促進するための取組は行ってきておらず、今後も行う考えはないということを、改めてこの機会に表明いたします。
今後も、JICAの取組について、国民の皆様に対して丁寧な説明に努めていく考えです。また、JICAの事業に伴う外国人の入国及び滞在に関しては、これまで通り、JICAとして、きめ細やかな管理体制を取っていきます。
本件に関して不明な点があれば、関係自治体ではなくJICAに照会いただきますようお願いします。
JICAの田中明彦理事長は「誤解を正すための措置は直ちに行ってきたつもりだが、自治体の日常業務にも影響が及んでいる状況に鑑み、名前も含めて撤回することにした」と説明。一方で「混乱に屈したという意識は全くない。この事業は日本人と外国人とで協力して有益な活動を行うために構想したが、環境が整わない可能性を考えると撤回したほうが有益だ」と述べています。
JICAや外務省が「ホームタウン構想」に関する「誤情報」によって、自治体への抗議が収まらないから撤回した、とさもSNSが悪いかのような言い方をしていますけれども、基本SNSは色んな情報が飛び交う中で、嘘は暴かれ、落ち着くところに落ち着いていくものです。
ネットをちらちら見る限りでは、アフリカの報道ではこういっている、BBCはこうだ。日本の発表と向こうの発表文が違うぞ、とか次々と燃料が投下されていました。肝心の火元を消さずに誤情報だといっているだけで鎮火する筈もありません。
結局は「撤回」と表明することでようやく鎮火に向かった訳です。
去年10月のエントリー「もしも豊臣秀吉が総理大臣になったら」で、筆者は、もしも豊臣秀吉が今の日本で総理大臣だったら何をやるのかを考えてみると、金をばらまくのではなく、「検地」・「追放」・「刀狩」をするのではないかと述べたことがあります。
「検地」は予算の使い方を公開して正していくことで、「追放」は不法外国人の強制送還、「刀狩」はSNS規制になると述べましたけれども、どうも今の秀吉ではない、今の日本政府は、「刀狩」ばっかりやっているのに対し、「検地」と「追放」は国民世論が突き上げている、一種の対立構造にあるようにも見えます。
「刀狩」がまったく必要ないとはいいませんけれども、やり過ぎるとネパールにならないとも限りません。既に国民の5人に1人は暴力革命を肯定するくらいには追い詰められているのです。
政府は国民の声にちゃんと耳を傾けて、「刀狩」ばっかりしてないで、「検地」と「追放」を強力に進めないととんでもないことになるかもしれないという危機感を持つべきではないかと思いますね。
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