青い星のランデヴー

今日はこの話題です。
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1.3I /ATRAS


恒星間天体の接近が一部で話題になっています。

7月1日、小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)が運用するチリのリオ・ウルタドにある掃天望遠鏡によって一つの天体が発見されました。

ATLASはNASAが資金提供してハワイ大学が開発・運用するシステムで、小惑星が地球に衝突する危険性を検知するシステムです。ハワイに2ヶ所、チリ、南アフリカに配備された合計4つの掃天望遠鏡を用いて毎晩数回、全天を自動的にスキャンすることで運動する天体を監視している。

掃天望遠鏡とは、特定の天体を一点集中で観測する「指向観測」とは異なり、空の一定範囲または全天を「掃くように」網羅的に観測する「掃天観測」に特化した望遠鏡のことです。

今回発見された天体は、ATRASで観測史上3番目に確認された「恒星間天体 (Interstellar)」という意味で「3I/ATLAS(正式名称: C/2025 N1)」と名付けられました。

この「3I/ATLAS」が報告されると同時に、ATLASが世界中で運用する他の3つの掃天望遠鏡と、カリフォルニア工科大学がカリフォルニア州で運用するパロマー天文台のツビッキー掃天観測施設(ZTF)のそれぞれのアーカイブデータから、6月14日にさかのぼってデータが収集されました。そして、さらに世界中の多数の望遠鏡によって追加観測が実施され、「3I/ATLAS」の詳細が徐々に明らかになっています。


2.深宇宙の炭酸飲料


観測での3I/ATLASのデータは次の通りです。
〇基礎データ
・見かけの明るさ:約18等級(発見当初)
・太陽に対する相対速度:約 61 km/s、
・軌道:地球に接近するような軌道ではなく、星間空間から飛来してきて二度と太陽へ接近しない双曲線軌道となっていることから、星間空間から飛来してきた恒星間天体であることが確認された。
・サイズ:核の正確なサイズは、コマの輝きに包まれて推定が難しく、最大5.6キロメートルから最小440メートルと推定

〇初期観測
・発見当時は地球から約5億2400万キロメートル離れており、彗星らしいと推測
・現在は太陽系内深くに進入し、現在、輝く尾と氷の核を包む雲状の部分である「コマ」が本格的に観測され始めている。
・NASAのSPHERExやジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測により、3I/ATLASが大量の二酸化炭素を放出し、「深宇宙の炭酸飲料」のようであることが判明。
・彗星の主成分は通常水とされているが、3I/ATLASのコマには水よりも二酸化炭素が多く含まれており、その極端な比率の理由を説明できていない。
・その仮説として、彗星核に大量の水の氷があるものの、表面に二酸化炭素などの氷を主成分とする外殻が形成され、水の放出を妨げている可能性が提唱されている

〇詳細観測
・ヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡(VLT)の観測で、通常は岩石質の惑星や小惑星で見られるニッケルがコマに含まれている可能性が示唆。
・ ニッケルは融点・沸点が高いため、彗星が金属を豊富に含むコマを作るには、通常は太陽にかなり接近する必要があるが、3I/ATLASは太陽から約4億8000万キロメートルも離れた場所でニッケルを放出している。
・この仮説としてニッケルが揮発性の高いカルボニルという物質に含まれており、それが気化する際にニッケルも一緒にコマを形成している可能性があるといわれている。

〇今後の期待
今後、3I/ATLASが太陽にさらに接近し活動が活発化することで、核の化学的性質など、さらなる詳細が明らかになることが期待されている。
3I/ATLASが注目されているのは、単に恒星間天体であるだけでなく、その観測データが通常の彗星とはあまりに異なる特徴を示しているからです。




3.惑星の種


3I/ATLASは通常の彗星とは異なった点が多々あることから、その正体について色んな説が飛び交っています。

例えば、ユーリッヒ研究センターのスザンネ・ファルツナー教授は3I/ATLASが、惑星形成の種として機能する可能性があるという説を唱えています。

件の説の概要は次の通りです。
〇3I/ATLASの特性
・3I/ATLASは、オウムアムアやボリソフに続く3番目に確認された星間天体であり、これまでの2つと比べて約2倍の速度で移動している。
・塵のコマを持つ星間彗星であり、核の推定直径は約5.6km(3.5マイル)と、以前のものよりはるかに大きい。
・銀河系の別の領域から飛来し、太陽系のどの天体よりも古い可能性がある

〇従来の惑星形成モデルの課題
・従来の集積モデルでは、ガスと塵の原始惑星系円盤内で惑星が形成されるが、以下の2つの主要な問題がある。
 +特に巨大惑星の形成に要する時間が長すぎる(観測される円盤の平均寿命はわずか100万〜300万年)。
 +集積プロセス中に成長の障壁がある(約1メートルを超える天体は衝突時に跳ね返ったり砕けたりし、大きな天体に融合しにくいとされる)。

〇「惑星の種」としての星間天体
・星間天体が、崩壊したり跳ね返ったりしにくい「大きな核(種)」を提供することで、「迅速かつ効率的な惑星形成の種」として機能できる
・特に高質量星は、重力によってより多くの星間天体を引き寄せ、この「種まきシナリオ」を通じて惑星形成を加速させる可能性が高い
・これは、若い銀河団で巨大惑星が急速に形成されている観測結果も説明できる
・この考えが正しければ、木星や土星のような巨大ガス惑星の形成を加速させるメカニズムを提供でき、これらの惑星の存在をめぐる時間的な矛盾を解消するのに役立つ。
・私たちの地球の一部を含む、後から形成された惑星は、その構成物質の一部として星間起源の物質を含んでいる可能性がある。
・初期の恒星世代では惑星形成が遅かったことも示唆しており、古代の恒星から生まれた星間天体が、若い惑星の核になっていた可能性がある。
・この理論は、星間天体に関するさらなる観測を通じて検証される必要があり、将来的には惑星形成モデルに星間天体を組み込む必要があるかもしれない。
ただ、この説は、巨大な核の説明はしても、その異常な速度や軌道について説明している訳ではありません。

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4.青い星のランデヴー


ここからは段々オカルトになってきますけれども、案の定、3I/ATLASは探査機だ説もあります。

ハーバードの天文学科長を9年間務めたアヴィ・ローブ教授は、Mediumの自身のブログで、3I/ATLAS発見間もない7月13日に「3I/ATLASの初期異常」という記事を書いています。

件の記事の概要は次のとおりです。
〇異常な初期観測データ
・2025年7月1日に地球と太陽の距離の4.5倍の距離で観測された3I/ATLASは、異常に明るいと計算されました。これは小惑星の典型的な反射率(アルベド)に基づくと、直径約20キロメートルの物体であることを示唆します。
・この推定サイズは、統計的に見て極めて異常です。先行する星間天体1I/オウムアムアの約200分の1の大きさであり、もし小惑星だとすると、3I/ATLAS規模の天体を1個発見するまでに、1I/オウムアムア規模の天体を100万個発見しているはずだからです。

〇彗星説と小惑星説
・このサイズの異常は、3I/ATLASが彗星であり、ガスと塵のプルーム(尾)からの太陽光の反射によって明るくなっているという説を強く支持します
・この場合、本体(核)は直径1キロメートル未満であると考えられます。
・その後、観測されたスペクトルには、彗星に特有の原子ガスや分子ガスのスペクトル特徴が見られなかったと報告されました。
・スペクトルは反射太陽光の赤化の証拠のみを示し、これは塵の存在か、あるいはカイパーベルト天体に見られるような有機物(ソーリン)による表面の赤化を示唆しています。
・「赤い表面」 の解釈では、周囲にガスや塵のプルームはなく、直径は約20キロメートルのままです。

〇未解決の疑問と興味深い可能性
・3I/ATLASが統計的にありえない小惑星でもなく、炭素系分子のスペクトル特徴がない彗星でもない場合、「それは何なのか?」という疑問が生じます。
・3I/ATLASは太陽に近づくにつれて明るさを増しており、ルビン天文台やハッブル・ウェッブ宇宙望遠鏡などによる今後のデータがその性質を明らかにすると期待されています。
・将来のデータで彗星の尾が存在しないことが示された場合、3I/ATLASがランダムな速度ではなく、意図的に太陽系内に送り込まれた巨大な星間天体であるという、非常に興味深い可能性に直面することになります。
・アーサー・C・クラークは、SF小説「ラマとの待ち合わせ」で、3I/ATLAS の推定サイズにそれほど遠くない、円筒形の 50×20 キロメートルの異星人の宇宙船が太陽系内に侵入したことを描写しています。
・3I/ATLASが地球の軌道面から5度以内の逆行軌道を周回していることは、星間空間からのランダムな方向に対して極めてまれな一致(確率、約0.002)である
・2025年10月29日の太陽最接近時、3I/ATLASは地球から見て太陽の反対側を通過するため、地上からの観測が困難になる。
・3I/ATLASの発見から数日後、Wikipediaの編集者は、学術誌掲載前だとして、ローブ氏の論文や3I/ATLASの異常性に関する言及を省略しました。
・この慣行が、科学界がパラダイムを打破する証拠を抑圧する心理的理由を説明した自身の別の論文の論点を裏付けている
・3I/ATLASの異常性に対する寛容な議論こそが、新たなデータ収集を促し、科学にとってより良い結果をもたらすため、異常性の隠蔽や従来の考え方を維持しようとする門番の努力は最終的に失敗に終わる
・科学は、既存の知識を要約するだけでなく、未知の証拠を探し求める子どものような好奇心を持つべきである。
ローブ教授は、3I/ATLASについて、Mediumの自身のブログで他の記事もバンバン上げているのですけれども、科学界はあまり相手にしていないようです。今後の観測でその正体が明らかになるのか。ちょっと注目していきたいと思います。

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