
1.しどろもどろの斎藤代表
10月11日、公明党の斉藤鉄夫代表がYouTubeチャンネル「ReHacQ」の生配信に出演しました。
配信では、「ReHacQ」プロデューサーの高橋弘樹氏から視聴者からの質問を次々と浴びせ、斎藤代表がしどろもどろになる場面が何度かありました。
昨日のエントリーでは、政治と金を理由に連立解消したにも関わらず、その斎藤代表自身が政治資金収支報告書の不記載をしていたことに触れましたけれども、「ReHacQ」では、その質問がでていました。
高橋弘樹氏から不記載をめぐって、「本質的に自民党とどう違う?」と聞かれた斉藤氏代表は「いろいろな不記載の問題ありました。宅建政治連盟からの寄付について、記載漏れがあった。単純にミスでございます。本当に申し訳ございません……選挙の時の諸経費について、コンビニの領収書を20枚、これはですね、あの時の問題の本質はコンビニの一括領収書だったので細目が分からない、お茶を買ったのか、何を買ったのかが分からないという意味で、これはまさに政治資金規正法、公職選挙法によって『いけないこと』ですので、すぐ訂正の報告書を出しました。これは政治資金にかかわることで」と説明しました。
そして、21年に資産等報告書の不記載については「姉から非常に複雑な相続を受けました。これは政治資金とは関係ありません。資産報告書。国会に私が今ある資産を報告しないといけないんですけど、私の姉夫婦が長年行ってきた細かな投資のことを含んだ相続を受けたわけですが、その記載に漏れがございました。これは相続税をきちんと払いました。相続税の基準に従って、訂正の報告書を国会にも訂正のものを出しております。そのことについては、全く私のミスで弁明の余地はありませんけど、その点についてはおわび申し上げます」と語りました。
これに対し高橋氏が「自民党との本質的には何が違うんですか。組織ぐるみだったかどうかですか」と突っ込まれると、斉藤氏は言葉に詰まりながら「まずは私の相続の問題は政治資金ではなく、私の資産の報告の仕方が間違っていた。これは政治資金ではないということ……50万円、宅建協会からいただいていたお金を報告ミスだったのは、まさにこれは報告しなかったわけですから。これについては私のミスになります。選挙の時のコンビニの報告書の中に不備があったことについても、これはこんなこと言って逃げるわけではありませんけど、たくさんの議員が指摘されています。この点でもミスということで、謝るしかない」と説明した。
けれども高橋氏が更に「自民党の議員でも謝っている人もいるじゃないですか。許せる議員と許せない議員についての境目、どこに線引きがあるんですか」と質されると、斉藤代表は「私どもが言っているのは、不記載の問題がありました、今回どの方が新総裁になられても正そうと思ったのは、選挙が済んだ、禊が済んだとおっしゃってる方もいる。ならば、禊が済んだ後に出てきた新事実については、説明責任を果たしてくださいと。党の姿勢を。この人がいい、この人が悪いではなくて、党の姿勢を党の総裁にお伺いしている」と釈明しました。
選挙という「禊」が済んだあとに不記載、不始末がでてきたら、説明しろ、党としての姿勢を正せというロジックを立ててきました。けれどもこのロジックは公明党自身にもいえることで、もしも今後不記載問題があったら自身も党の姿勢を示さなければならなくなるという諸刃の剣です。
2.次の次
また、斎藤代表は離脱した連立について再び自民党と再び連立を組む可能性に言及しています。
該当部分のやり取りは次の通りです。
高橋:斎藤代表は、次の次の総理のときに連立を組む必要があると述べています。要するに高市政権のうちは連立しないと白状したも同然です。実に分かりやすい。
公明党が平和を望む党だと認識しておりますと。え、視聴者さんが質問ですね。で、高市さんが総裁になって多くの国民が期待し、喜んでいるように見えますし、株も上がって国が盛り上がって良いムードになっていると私は感じます。ま、この方は、この方は感じます。
これらの現象は、日本の平和への駆けにならないでしょうか?そうすると政治と金の話をなさると思いますけども、私から見ると、この今の株価が上がっていたり、国民が期待している状況に、ちゃんとコミットした方がいいんじゃないでしょうか、というような質問が来ていますが、これに関してはどう思いますか?
斎藤:
はい。あの、え、そういう、あの、もし我々も、この連立政権合意を成立させて、ま、一緒に連立政権を作り、日本経済を本当に前に進めていくということを願って政権協議に臨んでいたわけですけれども、あの、先ほど申し上げているように、どうしても私たちとしても譲れない線があった。うん。現場の人たち、我々を支えてくださっている人たちの、その本当に切実な声、うん。え、がありました。譲れない線があったということはご理解いただきたいと思います。
高橋:
「6対4」ぐらいとおっしゃっていましたが、この中でも、ま、例えば、支持者とか、ま、創価学会の方とかの、**どういう層の人たちが特に「許せない」**とおっしゃっていたのですか?例えば、女性・婦人部などが許せないと言っていたとか。
斎藤:
いやいや、そういうある特定のグループがどうのこうのということではなくて、全体だと思います。
高橋:
うん。もうやっぱ全体的にそういう声がちょっと多かったかなと。え、ま、「ちょっと」よりだいぶ多かった。「6対4」「7対3」ぐらいでしたか?「6対4」「7対3」ぐらい。「6対4」、「6.5対3.5」ぐらいでしょうか。
斎藤:
ま、あのはい。あの、色々党に寄せられている色々な声を合わせるとそういうことかと思います。
高橋:
なるほど。「連立に戻る条件は設定していますか?」という質問も来ていて、ま、これ例えば、ま、今ちょっとそういう区切りではないかもしれませんが、高市新総裁がやはり「政治に真剣に取り組む」と、「有権者と向き合いたい」という風にして、改善案とかさっきおっしゃった二つの点について説明をする、みたいなことだったら、戻る可能性もあるんですか?
斎藤:
あの、ま、今回一旦こういう決断をさせていただきましたので、この決断をすぐまた覆すということはなかなか難しいと思いますけれども、当然、そういう我々が求めたことをやってくださるということであればですね、あの、ま、今後一緒に協力し合っていくということは当然あると思います。うん。うん。ま、ただし、あの、ま、一旦野党になるわけですから、また新たに連立政権を組むというのはまたちょっとハードルがあるかなとも思います。
高橋:
では、直近ではなさそうということですか?
斎藤:
あの、ま、要するに連立政権に入るかどうかというのは、首班指名の時に、誰の名前を書くかということですから、その首班指名のチャンスがあるときに、またその連立政権協議というのはあり得る。であり得る。
高橋:
だから次の次ということですか?今回はもうないということですよね。
斎藤:
ま、今回は、ま、こういう決断をさせていただきました。うん。で、次の次が、ま、そういう状況になっているかどうかっていうところですかね。はい。うん。
3.外交問題なので控えさせていただきたい
高市政権とは連立しないということは、やはりその裏には中国があるのではないかと考えるのは普通です。
「ReHacQ」の高橋氏は、その点についても質問をぶつけています。
そのやりとりは次の通りです。
高橋:中国大使と何を話したのか。高市総裁について話題が出たのかと問われた斎藤氏は、なんと「外交問題」だと答えたのですね。
これ、これちょっと私にはよくわからないのですが、コメントで来ているので聞きます。陰謀論めいたものも、権力者や政治家がちゃんと答えることが大事だと思っていますので、聞きますね。この直前に中国大使と会っていたんですよね?だから、その中国大使から何か言われたんじゃないですか、という質問が多く来ています。言われたなら言われた、言われてないなら言われてない、単に外交上の会合だったならそうだと、正直に答えるのが良いと思います。大使とはどのような話をされたのですか?
斎藤:
はい。あの、え、中国大使は私の議員会館の部屋に来られました。これは以前から予定が決まっていたことです。
高橋:
連立離脱の前からですか?かなり前ですか?
斎藤:
かなり前からです。実は私、党の代表というのは多くの外国の方と接します。特に各国大使とたくさん接しておりまして、例えば夜、大使館の夕食会に出席することもあります。大使の方は、できるだけ日本の政治家と知り合って、会える時には会って、日本の政治の状況を聞こうとしています。はい。そういう意味では、20〜30の大使が私の部屋に来て、色々な懇談をしていくのはよくあることです。大使というのは、議員会館に来られると、その国を代表される方ですから、ちゃんとSP(セキュリティポリス)がついて、はい。ずっと私の部屋まで来て、はい。大使が私の部屋の中で懇談している間はずっとその外で待っていて、はい。はい。はい。帰られる時はそのSPがまた玄関先まで送っていくという非常にオープンなものです。
高橋:
密室なものではなく、ちゃんと答えた方がみんなが安心すると思うので聞きますが、どれくらい前から予定できましたか?もう1、2ヶ月前みたいなレベルですか?
斎藤:
えっと、それは、秘書がいないと分かりませんが、でもかなり前、いやいや、まあ大体1、2週間前にいつもアポイントが入っています。
高橋:
入ってきているということ。どんなこと?外交問題なので全部話せないと思いますが。はい。別に連立の云々関連に関しての議論はあったのですか?
斎藤:
はい。あの、ま、「どういう状況ですか?」というお話は確かにありましたけれども、あの、何かその、そこで公明党はこうすべきだとか、あすべきだとか、こうしてほしいとか、あしてほしいとか、そういう要望の話は一切ありません。
高橋:
要望はなかったですか?
斎藤;
全くありません。
高橋:
「うちの首相の意向を申し上げております」みたいなことはなかったですか?
斎藤:
そういう、「状況どうですか?」という情報交換程度のものです。私もですね、実は大変興味があって、劉建超(りゅう けんちょう)という人が中連部(中国共産党中央対外連絡部)の部長でした。中連部っていうのは中国共産党の外交のトップです。中国にはいわゆる外務部、外交部長、これが大臣ですけれども、この大臣よりも実は中国共産党の中連部、その部長の方が外交上は偉い立場の方です。はい。その方と私も、2、3ヶ月前に訪中した時にゆっくり話したんですが、その劉建超さんが突然いなくなっちゃいましたね。はい。私も知らない人ではないので、親しく話をしてきた人なので、はい。はい。「これなぜですか?」というか、逆に私が向こうから情報を引き出そうとして、色々話をしましたが、あまり教えてもらえなかったです。
高橋:
教えてもらえなかったですか。あ、そうか。そういう話をしてたんですね。
【中略】
高橋:
あと、ま、あの、これ、あの、端的に、あの、短くで構わないんですが、中国大使と話してこのタイミングなんで、高市さんのことどういう風に評価してましたかとか、どんなこと知りたがってましたかみたいな質問を着てましたけど、どんな話出たんですか?高市総裁に関しては。中国大使の話で。
斎藤:
あ、中国大使ですよね。確か中国大使の話の中で、あの、これ興味だと思います。高市さんについてでなんかどういう会話をしたかっていう。いや、それはあの、ちょっとそういう会話の内容についてはこれ外交問題でもありますし、控えさせていただきたいと思います。
高橋:
あとやっぱこの、え、先ほどの昨日か、10日に、ま、もうここで連立離脱するって決めた時に、ま、自民党のこう手続き上結構そこで決めるのは難しかったんじゃないですか?って質問来てんですけど、ま、これまあれですかね、斎藤さんの考えとしてはもう1週間前から振ってたよって話ですかね。
斎藤:
ある意味では1ヶ月前にもう3党党首会談で自民党も検討しますと当時の石破総理がおっしゃってたこと。うん。で、あの、あの時突然行ったわけではなくて、はい。あの、最初に、え、新総裁が我々に会いに来られた時にからもう問題視してたことですので、ま、1週間経ってお答えが持ってこってこられなかったという。うん。で、これから検討するということでは私もその答えを党に持ち帰れないとこのように判断したものです。
話がでなかったら「ない」ですみますし、あったら「ありました」だけでもよい筈なのに、わざわざ「外交問題である」と発言したのですね。高市総裁の存在そのものがすでに「外交問題」になっている、と。これは凄い。高市総裁が総理になったら、もうそれだけで、対中抑止力になりそうです。
ネットでは、このときの斎藤氏の狼狽え振りをみて、プチ炎上しているようですけれども、なんだかなという感じです。
ネットでは、「仮に、公明党が中国の意図を受けて動いているのなら、逆に「中国としては公明党が政権の中にいないと困る」となる筈だから矛盾している、とおいう指摘もありますけれども、日本保守党の北村晴男議員によると中国の呉大使は、自分が生き残るために、習近平主席に対し、自分は仕事しているぞ、強い態度を示しているぞとアピールしているのだとの推測を述べています。
なるほど、説得力のある説だと思います。けれども逆にいれば、公明が、中国の一外交官の本国向けアピールに狼狽えて、連立解消にまで走ったのだとすると、実に間抜けというか情けないと言わざるを得ません。まぁ、そのお陰で、自民の足枷が外れたと考えれば、結果オーライとすべきではないかと思いますね。
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