維新に出し抜かれた国民民主

今日はこの話題です。
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1.自民に近づく維新


10月15日、自民党の高市早苗総裁は、日本維新の会の吉村洋文代表と国会内で会談し、新たな連立政権の発足を視野に、政策協議を始めることで合意しました。

会談後、高市総裁へのぶら下がり取材の模様は次のとおりです。
高市総裁:
16日から東京にいらっしゃる藤田代表と私、両党の政調会長による政策協議をすることになりました。

――首相指名選挙について協力を求めたとのことでしたが、維新側からはどのような判断がございましたか?

高市総裁:
何といっても政策の一致が第一なので、16日から本格的に政策協議をやろうということになりました。

――連立についても触れられたとのことでしたが、そちらについては特に何かおっしゃっていたことはありますでしょうか?

高市総裁:
それも含めて基本政策、ほぼ一致はしていると思うんですが、いろんな政策についてきちっと協議をするということでございます。

――16日からの政策協議は、いわゆる首班指名選挙や連立も含めた見据えたような政策協議をやるのかというのと、具体的にどの項目で、どういった政策について話していくのか、15日の会談のことを教えてください。

高市総裁:
特に今、項目を決めているわけではなく、あちら側からも政策が出てきて、私たちからもそれを検討するという形になろうかと思います。15日、何かたたき台があるという話ではございません。

――先ほど国民民主の玉木代表との会談で、一緒に責任を担っていただきたいと要請をされていて、一方、維新の吉村代表との会談の中でも連立を組む要請とか、この差というか維新の方により踏み込まれたのは…?

高市総裁:
責任を担うということは同じですよ。これは政権の中で責任を担っていただくということでございますから、その大きな意味の差があるわけではありませんが、なかなか共同代表ということで大阪から出てくることが困難でいらっしゃる吉村知事も出てきてくださっておりますので、その辺り本音ベースで首班指名のご協力、それも一緒に政権を担っていただく、連立含みのご協力をお願いしたいということを率直に申し上げました。

――吉村代表は副首都構想と社会保険料の件で高市総裁の考えを聞きたいということを常々おっしゃっているようですが、そこについて総裁からご説明されたんでしょうか?

自民党・高市総裁:
15日は副首都構想についてお話をいたしました。これは自民党の中にも政調会長時代に議論の受け皿を作ったものでございますので、これは議員立法で出せるものですから両党で政策の協議体をしっかりと作ってやっていくということです。2026年の通常国会辺りを目指してやっていけたらと思います。特に15日は副首都構想ですとか、それから私から申し上げたのはいろんな補助金ですね、こういったものを整理していきたいという話を申し上げました。
一方、日本維新の会の吉村代表は「政策協議がまとまらないといけないし、政策協議が成り立つかどうか今後協議する」と述べ、首班指名選挙で高市氏に投票するか問われると、「その考えでいい」と明言しました。

16日には政策協議の初会合を開くとのことで、吉村氏は、維新が重視する「副首都」構想や社会保障改革の実現を主張。政策協議には、自民側から高市氏と小林鷹之政調会長、維新側から藤田文武共同代表と斎藤アレックス政調会長が出席するとのことです。

これで維新の協力で、高市氏の総理選出の公算が大きくなってきました。


2.党首討論ラッシュ


連立政権、首班指名を巡っての党首会談は自民と維新だけではありません。15日はおおよそ次のように様々な党首会談が行われています。
〇政治の動きと党首会談(10月15日)
・午後2時:自民×立憲
・午後3時15分:自民×国民
・午後4時:立憲×維新×国民
・午後6時:自民×維新(吉村代表が急きょ出席)
・野党3党(立憲・維新・国民)の連携と政策の溝

〇各党のスタンスと首脳のコメント
・立憲民主党: 政権交代のチャンスとして、野党候補の一本化を呼びかける。
・国民民主党: 「安全保障を含む政策の一致が必要」とし、「数合わせには乗らない」姿勢。憲法改正などで立憲との隔たりを指摘。
・日本維新の会: 「まずは立憲と国民民主でまとめるべき」との様子見の姿勢。

・国民民主党・玉木代表 :立憲に維新と国民を足しても過半数に足りず、「新たな少数与党」になるだけで、政権の枠組みの構想が示されない
・立憲・野田代表    :高市総裁に「野党3党で候補統一に努力中。3党固まれば公明党にも呼びかける」
・自民・高市総裁    :国民民主党に対し「政策を迅速に実現していくために、一緒に責任を担っていきたい」
・自民・鈴木幹事長   :憲法・エネルギー問題などで国民と政策が一致している
これら会談を通じ与野党のみならず、野党間でも政策の隔たりが浮き彫りとなっています。
政策の大きな隔たりはざっと次の通りです。
・安全保障: 立憲(敵基地攻撃容認に対極)と国民・維新(自民党に近い立場、国民は安保法制全体に賛成)で、根本的な平和安全法制の部分で歩み寄りが難しい状況。
・エネルギー政策: 立憲(原発再稼働に対極)と国民・維新(自民党に近い立場)で隔たりが大きい。
はっきりいって、維新・立憲・国民3党連携については、基本政策一致は遠い状況なのですけれども、幹事長・国会対策委員長間で協議を継続することを確認しています。

立憲の野田代表は、「自民党から政権を奪うチャンスは十数年に1回しかめぐってこない。大事な局面だ」と意気込んでいますけれども、お流れになるように思いますし、そうなって欲しいところです。


3.ぼやく玉木


次々と局面が変わる中、連立の最有力とされた国民民主を差し置いて、維新がぐっと自民に近づいている訳ですけれども、これについて、15日、ジャーナリストの後藤謙次氏がBSーTBS「報道1930」で次のようにコメントしています。
後藤謙次:
ま、時系列で言えばですね、国民(民主党)を維新が抜いたんですよ、自民党との距離感から言えばですね。

キャスター:
どういうことでしょう。

後藤謙次:
つまり、これまで一番自民党に近いパートナーが国民民主の玉木さんと見られてたわけですから。それが入れ替わってですね、最後のホームストレッチで維新が抜いたと、そんな風に思うんですね。でおそらく自民党側もですね、もう最後の局面ですから、ギリギリ、ギリギリ折れたと思うんですね、要求について。これ政府高官が言ってたんですが、「是々非々」という言葉があるけども、いや、これ舌がこんがらがっちゃうんですが、「是是非」だと。つまり、自民と維新は、そういうカードを出した。「是」の方が少し多いと。

キャスター:
そうですか。

後藤謙次:
「非」は「非」だけども、「是」の方が多いんだから、いいんじゃないかと。ざっくりした合意は、この間の公明党との対応とはちょっと若干違って、少しなるほど、ま、ハンドルで言えば、遊びを持った形でですね、呼びかけたんで、維新も、ま、受け入れると。それと維新とやっぱり高市さんは奈良と大阪っていう関係からですね、かなり近いんですね。

キャスター: ああ。

後藤謙次:
ただ、今、奈良の県知事って維新の人なんですね。ただ、これについては当時自民党の候補が割れたっていうことがあってですね、それが、ま、その維新知事が誕生したということであって。元々遠藤敬と高市さんは非常に良好な関係があるんだということで、ま、地下水脈がここで表に出てきたってことだと思いますね。

キャスター:
2日間会ってると。ま、昨日もそういう報道があって、ま、怪しいなと思った人もいるかもしれませんが、こういう風に進めてきたということですね。

後藤謙次:
そうですね。ただ、維新の中でもやっぱりこれまで維新と自民党は、森山、前の幹事長を中心にしてやってきたわけですから、若干その自民党側のルートが違うところに違和感を持ってる維新の幹部もいるんですね。だけど、それ以上にやはり政権に近づいたところに行くという意味を維新が取りあえず持ったんじゃないでしょうかね。とりわけ副首都構想と。なるほど。ある意味、維新のま、肝のところで合意を受けるということになれば、まあやむを得ないねと。ということですよね。
後藤氏によると、維新が国民民主を抜いて自民に近づいたと評していますけれども、更にこれまで仲がよかったとされる自民森山幹事長ラインではないところから話を通している辺り、自民の主流派が完全に変わった感を受けます。

一方、維新に抜かれた国民民主の玉木代表は自身の動画で次のようにボヤいています。
・つい数時間前まで藤田共同代表と、野党のですね、統一候補を目指して・・・結構、藤田さんも真剣に議論していただいてたなと思ってたんですけど。もう自民党と連立で逃げることが決まってたのか?みたいな感じ。ちょっと、なんか二枚舌みたいな感じで扱われて、我々としては残念だなと正直思いました。

・もう明日から早速、藤田さんと高市さん、そして自民党の小林鷹之さんと、維新の斉藤アレックス政調会長がですね、あの4者で集まって協議して、協議が成り立てば、もう高市さんと書くということなんで。なんか聞くとこによると、もう前から決まってたらしいんで。であれば、この三者協議はなんだったんだと、いうことでね。いや、もう自民党とやるんだったら最初から言ってよって感じですよね。

・我々はぶれずに、もう政策本位で、政策を前に進めるということで、一致できるところとは、協力していくと。
玉木代表は、維新が加わるなら我々が連立に加わる必要もなくなったと思うとし、16日午後に公明党と党首会談を行う考えを示しました。

玉木代表は、維新の動きを批判していますけれども、自民だ立憲だとフラフラと腰が定まらないうちに、一気に捲られた印象です。優柔不断なのか、先が読めないのか分かりませんけれども、流れに乗り遅れた感は否めません。






4.チャンスを掴むNHK党


チャンスを棒に降ったかに見える玉木代表を横目に、維新以外にも、この大チャンスをモノにした政党があります。NHK党です。

10月15日、自民党は15日、政治団体「NHKから国民を守る党」の斉藤健一郎参院議員との参院会派「自民党・無所属の会」を結成したと発表しました。

副党首の斉藤氏はNHK党のただ一人の国会議員で、どの会派にも属していませんでした。2024年10月の臨時国会での首相指名選挙では、自民党の高市早苗氏に投票。3月には25年度予算に賛成しています。

自民党は7月の参院選で大敗し、参院では公明党と合わせても過半数に足りない状況に加え、公明党が連立離脱を表明したことから、無所属議員らとの連携を模索していました。自民党が参院での多数派形成の一環で、NHK党を取り込みに図り、NHK党もそれに乗っかった訳です。

これで、参院の新たな会派別勢力は、自民党・無所属の会101▽立憲民主・社民・無所属42▽国民民主党・新緑風会25▽公明党21▽日本維新の会19▽参政党15▽共産党7▽れいわ新選組6▽日本保守党2▽沖縄の風2▽無所属8となりました。

これについて同じく、15日、ネット番組「SAKISIRU」はNHK党の斎藤参院議員をゲストに迎え、事の経緯を解説しています。

件の動画のポイントは次の通りです。
〇会派入りの概要
・斎藤健一郎参議院議員(NHK党)が、近く自民党を中心とする参議院の院内会派(自民党・無所属)に加入する方針が固まった。
・この動きは、当時の自民党が衆議院選挙後に少数与党という現状を踏まえて、参議院で勢力を拡大する対応の一環。
・この話は自民党からの打診ではなく、斎藤議員自身が以前から自民党にラブコールを送り続けていたことがきっかけ。
・会派入りの調整は、主に京都の西田昌司参議院議員を通じて進められ、石井準一幹事長、松山参議院会長を経て、高市総裁(当時)にまで話が通って最終合意に至った。

〇会派入りの条件と目的(NHK党側)
・斎藤議員が会派入りを承諾した唯一の条件は、以下のNHK問題に関する政策実現に尽力すること。
 +NHKのスクランブル化の推進。
 +現在所属の委員会から総務委員会への異動(差し替え)を行い、NHK問題に集中できるようにすること。
 +年金受給者も対象とする受信料の割引制度の導入。
 +NHK受信料の収納率が77%にとどまっている現状を**100%**にすることを目指す。

〇双方の思惑と背景
・立花孝志党首が掲げる「選挙と政治を分ける」方針に基づき、政策実現のために、野党議員としては「千載一遇のチャンス」と捉えて与党会派入りを決断。
・斎藤議員は、1年前の首班指名で唯一「高市早苗」と記名しており、今回の会派入りは高市総裁を応援したいという気持ちも込めたもの。
・自民党は少数与党化の中、参議院における一議席の重みが増しており、このタイミングでの加入を受け入れた。また、自民党の議員の中にも、オールドメディアの偏向報道に対する不満や問題意識があり、NHK党の協力に理解を示す動きがあった。

〇今後の活動
・斎藤議員は、無所属の部屋がなくなり、今後は自民党議員と共に参議院の総会に参加することになる。
・会派入りは参議院の会派の話であり、衆議院選挙など選挙協力については、今後の活動次第となる。
・今後は、政策実現、特にNHK問題に関する質疑を通して、スクランブル化を3年以内に実現するための礎を築きたいと意気込みを語った。
政策実現のためには野党より与党に入るのが絶対的に有利です。これで本当にNHKのスクランブル化が実現しようものなら、与党批判ばかりの野党よりもずっと成功したといってよいと思います。

果たしてNHK党が自民と連立を組むのかは分かりませんけれども、選挙協力にまで持ち込めるのであれば、高市自民である限り、今後の選挙でも他の野党よりもずっと有利になってきます。

チャンスとみるや、一気に決断した党とウロウロする党、こうした態度のツケは次の選挙で回ってくるのではないかと思いますね。




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