維新の策謀と手薬煉を引く官僚達

今日はこの話題です。
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1.維新の議員定数削減は麻生への宣戦布告


10月20日、自民党の高市早苗総裁と日本維新の会の吉村洋文代表が国会内で会談し、政策協議で合意、「連立政権合意書」に署名し、政権を樹立すると確認しました。

維新は連立入りに伴い21日の首相指名選挙で高市氏に投票。高市氏の女性初となる総理選出は確実な情勢となりました。

維新は入閣せず、当面は閣外協力とし、政策実現が進めば、入閣も検討するとしていますけれども、総理補佐官に維新の遠藤敬国対委員長を起用する案が浮上しています。

維新が、連立政権入りを優先させるために、国会議員の定数削減を自民党と連立を組む「絶対条件」に位置付けたことについて、連立合意に向けたハードルを下げたとか、「政治とカネ」の問題が置き去りになるとかマスコミを中心に批判の声が上がっています。

けれども、維新にとって、議員定数削減について実施時期と削減数は重要な意味を持っている可能性があります。というのも、この議員定数削減要請自体に維新の狙いが隠されているという指摘があるからです。それは「解散阻止」です。

これについて、ジャーナリストの鮫島浩氏が、18日放送の自身のネット番組「SAMEJIMA TIMES」で解説しています。

件の動画のポイントは次の通りです。
・維新は当初掲げた政策(消費税ゼロ、企業献金廃止など)から一転し、「議員定数削減」を連立・首班指名投票の絶対条件とした。
・これは「身を切る改革」という維新の看板を立てやすく、自民党(高市執行部)も受け入れやすい裏取引があったと見られる。
・最大の狙いは、麻生氏主導の年内解散総選挙を阻止すること。定数削減の法案成立・内容決定まで、解散は事実上できないようにする。
・維新は国民民主党との協議を打ち切り、自民党との連携を加速。
・自民・維新の議席で過半数に迫り、高市氏の首班指名は確実な情勢となり、10月21日に高市政権が誕生する見通し。
・衆議院で約50議席程度の削減が提案されているが、自民党内で反発があり、与野党の合意形成も難しいため、年内の法案成立は極めて困難と見られている。
・野党(特に少数政党)にとって比例区削減は死活問題であり、協議は紛糾必至。
・維新は、閣僚ポストは受け取らず、世論の批判を避ける「閣外協力」の方向を探っている。
・目先の目標は、国民民主党に先駆けて「与党の一角」のポジションを確保すること。
・維新は法案成立を遅らせることで解散を先延ばしし、次の総選挙で議席を減らすのを防ぎ、議席が多い今のうちに自民党に高く「売りつける」戦略。
・麻生氏が目指す「自民党単独過半数回復」のための早期解散戦略は封じられるのかについては、議員定数削減を巡る維新と自民党の攻防が、今後の政局の最大の焦点となる。
定数削減について、識者の多くは、自民の公明潰しとの見方をしているようですけれども、維新が解散潰しのために仕掛けたとするならば、見方によっては、ウィンウィンの手だといえなくもありません。


2.今ではないだろう


なんども繰り返しますけれども、公明にとって連立離脱は悪手としか筆者には思えません。斎藤代表の連立離脱理由の説明もコロコロ変わっています。

10月18日、ネット番組の「選挙ドットコムちゃんねる」にゲスト出演した、前衆議院議員で公明党の伊佐進一氏は連立解消の背景について、次のように述べています。
・連立解消は、公明党が自民党に対し「ガチンコでの連立協議」を要求し続けた結果であり、当初から覚悟があった。
・自民党高市総裁の就任直後、通常のお祝いではなく、あえて厳しい要求を突きつけたのは、公明党の「今回は本気だ」という姿勢と覚悟を示すため。
・裏金・不記載問題で自民党が非公認とした候補者に公明党が推薦を出し続けたことで、公明党の「政治と金にクリーン」というイメージが傷つき、選挙全体に悪影響を与えたと総括。この反省が連立解消という大きな決断に繋がった。
どうやら公明は「政治と金」の問題をこれまでずっといってきて、たまたまこのタイミングでの離脱になった説で押し通すように見えます。

この伊佐進一氏は、17日、ネット番組の「虎ノ門ニュース」に出演して、連立離脱について、キャスターの須田慎一郎氏と議論しています。

件のやりとりを引用すると次の通りです。
須田:
いや、だから僕はね、やっぱりあの、基盤、足元は安定させた方がいいだろうというところで、そんな「離脱、公明党離脱すべきだ」っていう立場じゃないんですよ。

伊佐進一:
なるほど。

須田:
ただ、そうは言っても、保守の中でもやっぱり割れていて。「公明党イコール中国である」とかね。要するに、「自公政権でずっと足引っ張ってきたじゃねえか」とかね。これは私じゃなくて、松井一郎っていうね、日本維新の会の元代表がいるんですが、「公明党ってどんな政党?」って聞いたら、「あのこんにゃくみたいに、くにゃくにゃしている政党dと」っていうね(笑)。そうだねなんて二人で話してたように、なんかこうね、定まってないみたいなところがあるところについてはちょっと不満だったけども。だからと言って、政権離脱出していいっていう風には思ってなかったですからね。

伊佐進一:
ま、そういう意味では、須田さんとしても26年間の自公連立政権というのは、やっぱりそれはそれで大きな価値があったという風に評価していた。

須田:
ええ、ええ。もう少し大きな政治情勢から見ると。やっぱりどうなんでしょうね。かつて自民党一強時代、自民党が与党として長く政権の座にいました。で、結果的に細川連立内閣ができて代わりました。長く一つの政党や力が政権を担っていると、やっぱり澱(よど)むよねと。腐敗してくるよね。不祥事が漂ってくるよね。やっぱりここはある意味で、アメリカをモデルとした政権交代の可能な二大政党。これ、やっぱり実現していくべきだろうという議論があって、結果的に小選挙区制が導入されたわけですよ。やっぱりそれが正しいと思ったんだけれども、我々も思ったけれども、ただあの民主党、旧民主党政権の3年3ヶ月を見せられた時に、「無理だ」と。これは政権交代可能の二大政党制やってしまったら、日本はね、根底から崩れてしまうぞというところで。そこをね、うまく補強したのが自公という枠組みだったと私は思うんですよ。

須田:
ただ、これはいよいよこれもだめだということで。ま、そういう風に認識したかどうかわからないけれども、やっぱり国民民主党の台頭であるとかね。あるいは、参政党の登場であるとか、多党性の時代に入っていったんだろう、日本の政界も。そういった意味で言うと、ま、公明党が、それまではどうしてもいた方がいいんじゃないかと思ったけれども、公明党は公明党のね、新しい道を歩んでもいいのかなと。自公という枠組みの中にいるんじゃなくて。なんか、その方がきれいだったら、野党としてとは言っても、別に全部が全部反対するんでも、かんでも反対するんじゃなくて、やはりその政策実現のために役割を果たしていく責任野党っていう立場になった方が、公明党にとってもハッピーだったのかな。まあ、それが結論なんですよ。だけど、「今じゃねえだろう」っていうのはありますよ。
須田慎一郎氏は公明の連立離脱そのものは肯定しているものの、離脱のタイミングは「今ではないだろう」と力説しています。




3.閣外協力の狙い


自維連立政権樹立で、維新は「閣外協力」とする方針となっていますけれども、所属議員が10人以上の政党による閣外協力は、平成9年発足の第2次橋本龍太郎改造内閣で自民と連立を組んでいた社民党と新党さきがけ以来となります。

自民と維新は連立政権合意書に基づき、履行に向け両党で協議体を設置。維新は与党の一角として、政府提出法案の事前審査に加わります。

当初、自民側は維新に閣内協力を求めていました。一般的に連立を組む各党が閣僚を送り出し、政権運営で連携する閣内協力を行うことで、法案や予算案の議決など国会運営全般で足並みを揃えるのが通例です。連立の最も安定した形式で、自民側が閣内協力を求めたのはそういった理由からです。

閣内協力は自らの政策を実現させる機会が増える反面、責任も重くなります。維新内では「閣内で政権運営に責任を負うべきだ」という意見も出る一方、ベテラン勢を中心に「まずは閣外で、自民がどこまで維新の政策を本気で実行するか様子を見るべきだ」との慎重論もあったようです。

この閣外協力となったことについて、18日、テレビ朝日「サタデーステーション」で、テレビ朝日政治部長の山本志門氏は次のように解説しています。
・もともと高市さんは維新に閣僚ポストの数を公明以上に渡したいと、副大臣や政務官人事でもどんどん政府の中に入ってほしいと、こういう打診をしていた
・維新側にも「政府の中に入って政策を進めていった方がいい」という考えもあった
・政府で仕事をしたことがない人がほとんどなので取り込まれてしまう恐れもある。ここは人材不足を認めていました
・年内は閣外協力で様子を見たうえで「年明け以降に閣僚を送ってより強い協力関係を築いていくのか今後検討していくと思う
維新は自民に取り込まれてしまうことを警戒して、とりあえず閣外協力としたというのですね。

また、翌19日放送のフジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」で、フジテレビの松山俊行解説委員長が次のように説明しています。
・維新は(一時は)入閣というところで検討されたようですが、そこは置いておく。カードとしてこれから先、使えるということもあると思う
・維新が推進しようとしている政策を(高市内閣で)行うためのカードとして、入閣というものをもうワンステップ、取っておくということもあるんだと思う
昨年5月、自民とは国会議員に支給される「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)改革の関連法案で合意したものの、文書で期限を明記せず反故にされた過去があります。そうしたことから、維新が推進しようとしている政策、たとえば「議員定数削減」実現に対する、自民側の「本気度」を見極めようとする狙いがあるとみているようです。


4.官僚は手ぐすねを引いている


これらオールドメディアが解説する閣外協力の説明は、維新の駆け引きの一環という側面からのものが中心になっていますけれども、ネット番組「SAKISIRU」の新田氏は別の角度から「閣外協力」でも悪くないと解説しています。

18日に配信した、新田氏の解説動画の要点は次の通りです。
・TBSの独自ニュースで、「維新が大臣を送り込まずに閣外協力を検討する」という話が報じられ、SNSで賛否の意見が噴出。
・その後、NHKも「維新の中で閣外協力の意見が強まる」と配信し、この方向性が現実味を帯びている。
・橋下氏は「今、閣僚をやる人材がいないのでは」とXでポスト。松井氏も閣外協力の報道に前向きな受け止めを示している。
・閣外協力に対して世論は、「ちゃんと閣内に入らないとダメだ」というネガティブな意見も多く、Yahoo!ニュースのコメント欄では炎上気味のコメントが多数見られた。
・自民党からの複数閣僚ポスト提示があったため、総務大臣や社会保障改革担当大臣などのポストは引き受ける方が良いという思いもある
・しかし、新田は、維新の「閣外協力」は悪くないと考えている。
・ある霞ヶ関OBによると、霞ヶ関は維新が閣内に入ってくることに対して「手ぐすね引いて待っている」状態。
・なぜなら維新が自民党に突きつけている「12の項目」が、霞ヶ関に対しても「いきなり全面戦争に近い」相当きつい要求であるため。
・具体的な要求例1:「政府効率化」(仮称:日本版Doge)の推進。
・具体的な要求例2:「中医協の改革」(診療報酬改定の決定機関)の推進。医師会など業界団体との絡みが深く、厚労省官僚にとって非常に大きな影響力を持つポイント
・官僚たちは「あの手この手で攻撃してくる」と霞が関OBは指摘している。
・官僚OBは、「民主党政権が3年で崩壊した理由を維新はもう一度考え直すべき」と主張。
・崩壊の要因として、民主党側の政権に入る準備不足があった。
・戦後、自民党政権が続くことを前提としたシステムのため、野党側(特に野党第一党)に正確な情報が共有されない状況が常態化している。
・官僚は「嘘をつき、文書を改竄し、政治家を取り込んで意のままに操る」など、「いかに面食らわすか」を考えている。
・政治経験が長くても、議会と行政府は違うため、行政府で力を発揮できるかとはイコールではない。官僚に「騙されない」工夫が必要。
・【対策1】閣内に入る場合:大臣とともに、「大臣補佐官」をセットで入れることがポイント。大臣補佐官には、役所のOBなど、官僚のことをよく理解し、かつ維新サイドに立って状況を把握できる人材を登用すべき。
・【対策2】閣外協力の場合(閣僚を出さない場合):「お目付け役」を首相補佐官や大臣補佐官として官邸や重要省庁に配置すべき。元維新の政調会長でマニフェスト作成に携わった音喜多議員のような、維新の政策を理解している人材を登用する。
・過去、自民党と連立を組んだ野党(社会党など)はすべて崩壊しているため、維新は「腹をくくって上等」の構えでないと、うまくいかない可能性がある。
新田氏によると、維新の政策に対し官僚が抵抗し、あの手この手で骨抜きにしてくるから、閣外協力でも悪くないというのですね。

筆者には、この新田氏の解説の方がよりリアルに感じますし、政策実現という意味では、しばらくこちらの方がよいかもしれないと思えてきました。

ともあれ、維新のみならず、多くの野党がたとえ閣外であっても行政経験を積んで、官僚に騙されないよう経験を積んでいくべきではないかと思いますね。





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この記事へのコメント

  • 超神将軍•オーバーロード

    改めて高市早苗総理の誕生を祝いたいです‼これからが本番ですから正々堂々と政治を行われる事を期待しながら祈らせていただきます。
    だか、それを喜ばない大馬鹿者の田原総一朗には怒りが込み上がります。BSテレ朝の番組内で[あんな奴は死んでしまえばいい!]などと愚か者な方に成り下がったものですよ。それに対しての謝罪も出さないテレ朝にBSテレ朝にはテレビ局としては最低以下だと思いたい
    2025年10月21日 15:02