
1.自民党ダイレクト
今回の「支持率下げてやる」問題は、SNSで拡散し大問題に発展。件の問題発言をしたカメラマンは厳重注意を受け、その会社も謝罪する羽目になりました。
ただ、その後、自民党広報本部長の鈴木貴子議員が、『支持率下げてやる』の雑談事件を受けつつ、SNSで『#支持率上げてやる』『#支持率上げる写真あったら欲しい』とハッシュタグをつけて、むしろポジティブに『皆さん、支持率というのを考えていきましょう』『自民党も頑張っていきます』などと発信し、ネットの支持を集めたりしています。
自民党は高市総裁になってから、目に見えてSNSでの発信に力を入れています。
今月6日、高市総裁は自身のX(旧ツイッター)で役員人事を通告した。12日にも小林政調会長に「『税制調査会のスタイルをガラッと変えてほしい』と希望を伝えた」などと長文で自身の考えを説明しています。
党の公式Xでも、記者会見の全文を掲載し、動画も載せています。「音が聞き取りづらい」などの指摘を受け、記者会見する党幹部の胸元にマイクを着用する改善も進め、かなり変わってきている印象です。
こうした動きについて、早稲田大学招聘研究員の鈴木崇弘氏は、次のように解説しています。
既存政党が、SNS発信強化などのその場しのぎの対応策を講じるだけで満足している現状は、体質の古さを露呈しています。行動を起こすこと自体は評価できますが、対応の範囲内で思考を停止させていることが本質的な問題です。これからの政党は、既存・新興に関わらずSNSをどこだけ活用できるかは、支持の生命線になってくるのかもしれません。
社会構造や世界情勢が大きく変貌し、テクノロジーが革新的な進化を遂げている現代において、政党には抜本的な自己改革が求められています。具体的には、党員・国民との関係性の再構築、民意把握の新たな手法、活動の進め方、多様な人材の獲得・育成方法、さらには官僚・業界との関係性など、あらゆる側面を対象とすべきです。これらの「マネジメントとリーダーシップのあり方」を根本から創り直すこと。これこそが、激動の時代において政党に今こそ課せられた、新たなる責務と言えるでしょう。
2.追い詰められるオールドメディア
それでも、自民党が、幹部の記者会見の全文書き起こしを公式XやYouTubeで公開していることは、世間の注目を集めつつあります。
10月14日に行われた、鈴木俊一幹事長と国民民主党との幹事長会談後と、両院議員懇談会後のぶら下がり会見についてそれぞれ、フル動画と書き起こしをYouTubeとXで公開。質疑応答もカバーしており、質問した記者の社名も記載しました。
党広報部長の鈴木貴子衆院議員は「徹底した一次情報と、双方のためにも全文記載の試みは続けたい」「その上で、改行や余白の活用。また、長尺のものに関してはホームページに誘うなど何が最適か、挑戦しながら模索したい」とコメントしています。
鈴木貴子氏は高市早苗総裁の新体制下で広報本部長に就任。前NHKディレクターの経歴を生かし、党公式Xでの会見文字起こしやYouTube動画への字幕付与など、情報透明性を高める取り組みを推進しています。
16日、鈴木氏は自身のXで投稿への「いいね(♡)」に関する考えを表明。「コメントは読ませていますし、“読んでます”の意味で出来るだけ『♡』を付けたい」としつつ、「『マスゴミ』など個人や他党を批判する内容には『♡』を付けられない」と説明。「自民党広報は誰かと敵対するのではなく、“また見たい”“フォローしたい”と思えるアカウントを目指す」と、建設的なコミュニケーションへの意気込みを示しています。
こうした試みは評判がよく、ユーザーからは「高市総裁になってから自民党広報が見違える」「全文書き起こしと字幕で正確な情報が分かりやすい」と好評の声が上がっています。
また、元実業家でユーチューバーの井川意高氏は、国民民主党の幹事長会談を受けた鈴木俊一幹事長のぶら下がり会見の質疑応答を「全文書き起こし」で伝えた自民党広報のXをシェアした上で「これは 評価に値する 糞マスゴミ オールドメディアが ますます 追い詰められる」とツイートしています。
この試みについて、経済評論家の渡辺哲也氏は、オールドメディアが報じる内容に対し、インターネット上の情報、特に一次ソースを用いて、多くの人が真偽を検証する時代になっていると指摘しています。
はい、大衆による監視対象です。 https://t.co/JeXyKA2Fvf
— 経済評論家 渡邉哲也 (@daitojimari) October 26, 2025
3.天国から地獄への財務省
オールドメディアが報じる内容について、ネット民がその真偽を検証するということは、オールドメディアと真実との間に情報の乖離があるということです。
先の自民党総裁選でも、オールドメディアによる、進次郎上げ、高市下げがこれでもかと繰り広げられました。
先述の渡邉哲也氏は「色々話を聞くと、オールドメディアも財務省を中心とした霞が関も、進次郎が勝つシナリオしかなかった模様、情勢調査を真に受け、かなりのリードで勝てると踏んでいた」とツイートしています。これなども、オールドメディアと真実との間に情報の乖離があったという証左でしょう。
実際、高市総裁の誕生は、財務省にもサプライズをもたらしました。
財務省では、陰に陽に関係者らが小泉氏を支えていて、また、小泉陣営の選対本部長に就任した加藤勝信・前財務相についても財務省出身の複数議員が支え、小泉氏への政策レクチャーにはつながりのある財務官僚も加わっていたのだそうです。小泉氏の総裁就任に備えて、財務省関係者が連立を想定する政党との折衝も水面下で続けていました。
というのも、前の石破政権で少数与党に転落し、25年度の予算編成に向け、野党との調整が不可欠になり、財政拡大を求められたという苦い経験から財務省は同じ轍は踏むまいと先手を打っていたからです。
けれども、その試みも、高市総裁誕生で宙に飛び、それどころか、片山さつき財務相が乗り込んできました。彼らにとっては天国から地獄へ、なのかもしれません。
色々話を聞くと、オールドメディアも財務省を中心とした霞が関も、進次郎が勝つシナリオしかなかった模様、情勢調査を間に受け、かなりのリードで勝てると踏んでいた。進次郎のネガティブ報道が週刊誌中心で、オールドメディアがアリバイ報道していたのもこれが原因かと、公明の連立離脱の遠因かも
— 経済評論家 渡邉哲也 (@daitojimari) October 19, 2025
4.多様化する情報源
10月17日、ジャーナリストの三枝玄太郎氏は、自身のネット番組で、国民民主の玉木代表がフラフラした挙句、与党入りも出来ず評判を落としたことについて、次のように述べています。
政党支持率を見ると、参政党と日本保守党はともに減らしていますが、立憲民主党も1.1ポイント減らしています。国民民主党だけが0.4ポイント増えていますが、これは玉木雄一郎さんが最初に高市さんと協議を始めたために、期待が高まったのだと思います。まったく、その通りだと思います。石破前政権は、SNSについてデマだ、規制だと敵視していましたけれども、これらをみると、オールドメディアの方がよっぽどミスリードしているのではないかとさえ思えてきます。
鈴木俊一幹事長と榛葉幹事長の会見を見た時、「国民民主党と自民党は一緒になる」と思いましたが、その後の玉木さんの会見を見て「これはダメだ」と思いました。 玉木さんの敗因は、立憲民主党とオールドメディアを信じたことです。オールドメディアは、数合わせで高市さんを上回れば何でも良いのです。彼らには政策など関係ありません。
立憲民主党の安住幹事長も「とにかく数合わせで良い」と言っていました。 しかし、玉木さんのバックには連合の芳野友子さんがいます。連合は立憲民主党への影響力が強く、吉野さんは最初に玉木さんに「自民党との連立はまかりならん」と釘を刺しました。
私は、玉木さんは連合と手を切らないと、将来大きくはなれず、総理大臣などなれないとずっと言い続けてきました。足立さんにその話をすると、「私がいる間は保守的な政策は曲げさせないから信じて」と言ったのですが、結局曲がってしまいました。これが玉木さんの限界だったと思います。
さらに、玉木さんがアホだと思うのは、そもそも玉木さんの「個人商店」に過ぎなかった国民民主党が、なぜ院で27議席も取れたのかという点です。これは連合のおかげではありません。当時、石破政権、岸田政権、特に石破政権のような「左派自民党政権」が続いていた中で、安倍さんを支持していた保守層、特に18歳から50代前半までの「就職氷河期を経験した保守的な人たち」が国民民主党に行ったからこそ勝てたのです。
もっとも、SNSとて、AIをつかった偽動画や偽ツイートも出現しているそうです。
これからの時代、オールドメディアならだけ、SNSだけといった限られた情報ソースで物事を判断する危険性にもっと留意すべきではないかと思いますね。
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