
1.Grokに聞いてみた
筆者も税の専門家でも何でもないので、Grokに「食料品に対する消費税を0%にするとどうなるか」を聞いてみたところ、次のように返してきました。
〇主なメリット飲食店においては、売上にかかる消費税をいったん客から預かって、そこから仕入にかかった消費税を引いて納税するという仕組みが肝で、食料品の消費税をゼロにすると、売り上げにかかった消費税から仕入れにかかった消費税を差し引くことができなくなるため、収める消費税が高くなるという訳です。
・家計負担の軽減(特に低所得層)
+平均的な4人家族で年間約6.4万円の負担減になるとの試算があります(第一生命経済研究所)。食料品は生活必需品なので、物価高対策として即効性が高く、低所得者ほど恩恵が大きい(逆進性緩和)。高所得者も減税を受けますが、食費の割合が低いため相対的に低所得者有利です。
・消費喚起と経済効果
+食料品価格が実質的に8%程度下がる可能性があり、消費が増えて景気が上向く期待があります。減税規模は年間約5兆円程度と試算されています。
・海外で成功事例が多い
+イギリスやアイルランドでは食料品をゼロ税率(0%課税、仕入税額控除あり)にしており、生活必需品の負担を抑えています。標準税率が20-23%と高い国でもこれで対応可能です。
〇主なデメリットと問題点
・飲食店・小売業の負担増(特に中小企業)
これが最大の論点です。日本の消費税は「仕入税額控除」方式で、売上にかかる消費税から仕入にかかる消費税を引いて納税します。
+食料品を「非課税」(売上税0%だが仕入控除なし)にすると、食材仕入時の消費税が控除できなくなり、家賃・光熱費・人件費などの課税経費の消費税を丸抱えすることに。
+結果、ラーメン店・定食屋・弁当屋などの飲食店で消費税納付額が増え(実質増税)、経営悪化・廃業リスクが高まります。テイクアウト販売も打撃を受けやすいです。
+スーパーなどの小売も、食料品売上が大半の場合に控除額が減り資金繰りが悪化する可能性があります。(※「ゼロ税率」なら控除可能で負担増はないが、日本提案の多くは非課税扱いの懸念あり)
・線引きの難しさと新たな癒着・混乱
+「食料品」の定義が曖昧で、イギリスでは「ケーキ vs ビスケット」で10年以上裁判になった例があります。日本でも軽減税率導入時に新聞ロビーがあり、業界陳情が増えて政治癒着の温床になる恐れです。経理処理がさらに複雑化(8%・10%に加えて0%)し、レジ改修や事務負担が増えます。
・財政への影響
+年間5兆円以上の税収減。財源として政府基金や外為特会剰余金が提案されていますが、恒久化すると社会保障財源が不足し、他の税増や給付削減につながる可能性があります。
・価格転嫁されないリスク
+事業者が負担増を吸収して価格を下げない場合、消費者への実質値下げ効果が薄れます。一方で競争激化で中小店が潰れ、大手チェーン有利になる恐れも。
【中略】
〇食料品の消費税を0%にした場合の飲食店への影響:仕入税額控除ができなくなる仕組み
日本で議論されている「食料品に対する消費税0%」は、主に非課税扱い(または一部提案でゼロ税率)を想定したもので、特に飲食店(レストラン、ラーメン店、弁当屋など)で深刻な問題が生じます。核心は消費税の仕入税額控除制度にあります。以下で、現在の仕組みから順を追って詳しく解説します。
・消費税の基本的な納税計算(仕入税額控除方式)/消費税は「預かった税金 − 支払った税金 = 納税額」で計算されます(本則課税の場合)。
+預かった消費税:お客様から受け取る消費税(売上税額)
+支払った消費税:仕入や経費で支払う消費税(仕入税額控除対象)
+差額だけを国に納付(控除しきれなければ還付)
現在の軽減税率(食料品8%、店内飲食10%)の例
仮にラーメン店で、以下の数字を想定(簡易的に税抜き価格で計算):項目 ,金額(税抜) ,適用税率 ,消費税額
売上(拉麺1杯) ,1,000円 ,10% ,100円(預かる)
食材仕入 ,400円 ,8% ,32円(支払う)
その他経費 ,300円 ,10% ,30円(支払う)
+預かった消費税:100円
+支払った消費税(控除対象):32円 + 30円 = 62円
+納税額:100円 − 62円 = 38円
飲食店は食材仕入の8%分をしっかり控除できているため、負担が軽減されています。
〇食料品を「非課税(消費税0%、ただし控除不可)」にした場合の問題
日本で提案されている食料品0%の多くは非課税扱いです(消費税法上、輸出のようにゼロ税率ではない)。非課税の致命的な特徴:売上消費税は0%だが、仕入税額控除が一切使えない。
同じラーメン店の例で食料品を非課税にすると:項目 ,金額(税抜) ,適用税率 ,消費税額
売上(拉麺1杯) ,1,000円 ,10% ,100円(預かる)
食材仕入 ,400円 ,8% ,32円(支払う)
食材仕入 ,400円 ,0%(非課税) ,0円(支払わないが、控除も不可)
その他経費 ,300円 ,10% ,30円(支払う)
+預かった消費税:100円(店内飲食は変わらず10%課税)
+支払った消費税(控除対象):30円のみ(食材分の32円は控除不可!)
+納税額:100円 − 30円 = 70円(以前の38円から32円増税)
→ 食材仕入にかかっていた消費税分(32円)が丸ごと飲食店の自己負担になる。これが「実質増税」の正体です。
2.非課税とゼロ%
ここでポイントとなるのがなぜ「食料品の消費税を0%」と表現しているか、です。0%なら課税しない、非課税と同じではないかと思うのですけれども、ここにカラクリが潜んでいます。
これについて、公認会計士で千代田区議の佐藤さおり氏が、半年程前に自身の動画チャンネルで解説しています。
佐藤さおり氏は件の動画の冒頭で次のように述べています。
食料品に対する消費税を0にする、こんなことが国会内で話し合われています。実は、賛成派と反対派でパックリ二分しています。一体誰が得をして誰が損をするのか、極めてフラットな視点で専門家の意見として解説をしたいと思います。今巷に溢れている国会議員の主張、そして専門家の主張でさえ、どちらかの意見に偏ったものとなっています。ですので、この解説では史上初となる、どちらの意見にも偏らない、賛成派も反対派も納得していただけるであろう解説内容になっております。消費税0%になった場合どうなるかの完全版の解説です。佐藤さおり氏は食料品0%が免税取引なのか、それとも非課税取引なのかでその意味合いが異なり、0%賛成派は免税取引で解釈し、0%反対派は非課税取引で解釈していると指摘しています。
消費税といえど、その中にはたくさんの分類があります。そして今回重要になってくるのが、そもそも消費税はかかるんだけれども0%にしますよ、と言ったら、輸出取引と同じように免税取引としますよ、とするのか。もしくは、政策上の事情から非課税取引としますよ、とするのか。これどちらになるのかによって、同じ0%でも全く意味合いが異なってきます。非課税取引となるのか、免税取引となるのか、ここが食料品消費税0%の政策が成功するか失敗するかの分かれ道だと思っていてください。
否定派の意見の方は非課税取引を想定して解説をしていることが多いです。そして賛成派の意見の方は免税取引を想定して話していることが多いです。
まず、そもそも消費税とはというところから基本的なところから解説をさせていただきます。消費税というものは、そもそも仕入税額控除によって税負担の転嫁というものが生じるものです。
(仕入税額控除の説明として、メーカー→卸売業者→小売業者→消費者の流れにおける消費税の納付(税額転嫁)のメカニズムが詳細に解説されます)
ここまでの話がいわゆる消費税が一般的に課税されるまでの流れを説明したものになります。専門用語でいうと課税取引といいます。
佐藤さおり氏による、動画での非課税取引と免税取引の解説は次の通りです。
〇非課税取引このように佐藤さおり氏は、食料品0%といっても、それが非課税の0%であれば、事業者も消費者も両方損をすることになるので、せめて免税取引の0%にすべきだと主張しています。
非課税取引による隠れた税負担について説明します。 卸売業者が非課税売上を上げる業者だと仮定します。例えば食料品に対する消費税が非課税となる場合、卸売業者が売上に対しては税金がかかってきません。しかし、仕入れたものにかかった税金(メーカーから支払った消費税)は、非課税売上に対応する仕入れにかかった税金として控除ができません。
これにより、卸売業者は仕入れにかかった消費税分を「損」しないために販売価格に上乗せします(値上げ)。同様に、小売業者も仕入れ価格が上がった分、販売価格をさらに上乗せします。
結果として、最終消費者は本来支払うべき税負担額(例では60円)より多い額(例では82円)を支払うことになってしまいます。これは名目上の税負担に加えて、事業者が価格に転嫁した隠れた税負担が乗っかってきているからです。これを「タックス・オン・タックス(税金に対して税金をかけている)」と言います。
〇免税取引(ゼロ税率)
免税取引というカテゴリーの中で食料品に対する消費税を0にしようということを行った場合、大変得が出できます。よって、食料品の消費税賛成派の人はこちらを前提として議論していることが多いです。
最大の違いは、非課税取引の時とは打って変わって、仕入れの税額(メーカーから支払った消費税)として仕入税額控除が認められることです。非課税取引と違って、価格を値上げする必要はありません。
売上の税金は0円、仕入れに対しては税金を払っている(控除できる)。この場合、なんと「納付税額が戻ってくる(還付される)」のです。これは輸出免税の業者さんが受けている消費税還付と全く同じロジックです。
この場合、最終的な取引全体を通じた税金は、メーカーの納税額と卸売業者の還付額が相殺され、私たち消費者も税金負担が0となります。
ただし、レストラン経営者など、食料品を仕入れて課税対象の役務提供(外食)として売る業者が関わると、卸売業者は還付を受けますが、レストラン経営者は仕入れにかかる消費税(0円)を売上税額から控除できなくなるため、納付税額が上がってしまいます(例では30円から60円)。これがゼロ税率反対派の意見の一つです。
〇総論
非課税取引のロジックで食料品に対する消費税を0%にしてしまったら、事業者も消費者も両方損をします。点々流通する物品については非課税を設定することは避けないといけません。
食料品に関して設定するのならば、せめて「免税取引(ゼロ税率)」として設定をすべきです。
免税取引の場合、輸出免税と同じく還付を受けられる事業者を国民感情として許容するのかどうかが政策的な論点となります。
ちなみに財務省としては「今までの通り全部課税取引にしましょうね」、つまりどんなやり方であれゼロ税率はダメだという考え方です。
ただ、佐藤さおり氏自身が解説しているように、たとえ免税取引の0%にしたとしても、飲食店は仕入れにかかる消費税を売上税額から控除できなくなるため、増税になると指摘しています。
3.ゼロ%課税のシミュレーションとカラクリ
けれども、その飲食店にしても、そもそも仕入れ品に消費税がかかっていないのだから、たとえ仕入れ控除が受けられなくてもプラマイゼロではないかという見方もできます。
これについて、税理士YouTuberのヒロ税理士が、自身のチャンネルで次のように解説しています。
〇0%案の目的と内容ヒロ弁護士によると、現実には、仕入れ先が食料品の消費税を8%から0%にしても、その減った8%分を価格に上乗せして、実質据え置きとするリスクがあり、仕入れ額控除ができない飲食店側がその損を被ってしまうというのですね。
・物価高騰対策・生活支援として、生活必需品である食料品の消費税(軽減税率8%)を0%にするという案が一部政党から出ている。
・外食(店内で飲食)の消費税は10%のまま、仕入れ(食料品)の消費税が0%になることを想定している。
〇税法理論上の影響(理想的なケース)
・理論上は、飲食店の手元キャッシュフローはプラスマイナスゼロで変化はない。
・仕入れ時に消費税(8%)を払わなくなる分(例:8円減)、国に納める消費税額(仕入税額控除の適用不可)が増える(例:12円→20円)が、差し引きの結果は同じになる。
〇現実的なリスクと「大損」のカラクリ
・最悪のケースとして、仕入れ先が本体価格(税抜価格)を値上げし、税込価格を据え置くリスクがある。
・この場合、飲食店は仕入れのコストが税込みで変わらないにもかかわらず、仕入税額控除(8円分)が受けられなくなるため、国への納付額が増える(20円)。
・これにより、実質的なコストが増加し、シミュレーションでは手元キャッシュフローが100円から92円に悪化(実質的な増税)する。この価格据え置きリスクが「大損するカラクリ」の正体。
〇対策
・仕入れ先との厳密な価格交渉を行う。
・販売価格におおもとからコストを上乗せする。
・(現行法前提の暫定対策として)売上5,000万円以下の事業者は、納付額が軽減される簡易課税制度を利用する。ただし、0%課税が実現すると、簡易課税制度の優遇措置(飲食店の4割課税)が見直される可能性が高い。
〇最終的な提言
・複雑な多税率を避けるためにも、一番公平で効果的なのは、消費税率を一時的にでも一律減税することである。
4.世間は生きている、理屈は死んでいる。
また、参政党の神谷宗幣代表も食品の消費税0%に反対していますけれども、その理由について参政党の動画で次のように述べています。
聞き手:神谷代表は、先述の佐藤さおり氏説明の還付金(免税取引)制度前提での見解を述べていますけれども、そもそもスーパーの値付けは消費税ではなく売れるかどうかで決めていると、現場感覚での意見を述べています。
食品の消費税ゼロについて、反対の理由を今一度お聞かせ願いますか。
神谷宗幣:
まず、食品だけの消費税をゼロにしても効果が薄いということです。実際に食品の消費税をゼロにしたら、商品の価格が8%分下がるかというと、そうはなりません。スーパーなどは消費税の金額に基づいて価格を決めているのではなく、市場で売れるかどうかを見て値付けをしています。そのため、「消費税がなくなりました」と言っても、価格がきちんと8%分下がるかというと、下がらないのです。したがって、国民の財布にもあまり優しくない施策です。
さらに言えば、食料品の消費税がゼロになると、(仕入れ側である)飲食店が払う消費税が増加してしまう問題があります。これまでは仕入れ時に支払った消費税分を控除(還付)できていたのに、それができなくなるためです。結果として、飲食店の税負担が増え、倒産や廃業につながる可能性があります。
また、一方で還付金を受け取ることになるのが食品メーカーです。最終的に還付されないといった話になると、食品メーカーにまた何百億円という還付金が流れることになり、制度として意味がありません。
それならば、還付金の制度なども全てなくして、価格に(税金分を)上乗せしなさいとすべきです。「海外では乗せられない」といった意見もありますが、それは消費税として載せる必要はなく、価格に含めれば良いだけの話です。
消費税は、結局中小企業や一般の消費者には厳しく、大企業に有利になるという、税として根本的に悪い仕組みです。中途半端な延命策を打つのではなく、一気に廃止すべきだと考えています。
まぁ、神谷代表は、食品スーパーの店長やってましたからね。バリバリの現場目線からみれば、食料品の消費税0%はあまり意味がないという説明には説得力があります。
このようにみてくると、食料品の消費税0%にしたとき、それが非課税の0%であれば、みんな損。免税取引の0%にして、還付するようにしても、その恩恵に預かれるのは事業者だけで、飲食店はなし。そして、その事業者(スーパー)にしても販売価格は消費減税額ではなく市場価格で決めるので100%恩恵を受けるとは限らない。また飲食店に卸す事業者自身消費減税分を本体価格に上乗せしてくるリスクもあることが分かります。
最終消費者に近い飲食店にとっては、いいことはあまりなく、デメリットばかりということになります。食料品の消費税0%は、聞こえはよいかもしれませんけれども、机上の空論に近く、実際は増税になると見た方がよいのではないかと思います。
ですので、naga様のリクエストに私なりに答えるとするならば、「食料品の消費税を0%にすると、理屈上はプラマイゼロ。しかし実際は増税になる公算が極めて高い」ということになるかと思います。
世間は生きている、理屈は死んでいる。勝海舟
この記事へのコメント
naga
ありがとうございます。やはり分かりにくいですが自分でも調べてみます。
理解できたことの一つは税率が0(免税か非課税かのどちらにしても)になってもその分価格が下がらなかったら損になるということですね。そこは分かりました。
どちらにしてもメインの食材(材料)だけでなく電気代、水道代その他の消費税も控除しないといけない(実際にそこまでやっているかどういかは別ですが)という大変複雑なものですね。現在では、相当な零細でなければ、コンピューターがあるので計算が間違えてなければ簡単に算出できると思いますが。
こんなややこしいものなら、税率が0.5%か1%分かりませんが、相当低くしてその代わりに還付などしない方式にすればと思います。