捲られる世界と現代の刀狩

今日はこの話題です。
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1.逆切れするNHK


11月19日、NHKの稲葉会長は都内のNHK放送センターで定例会見を行いました。

会見で稲葉会長は、毎年恒例の現代用語の基礎知識選「2025 T&D保険グループ新語・流行語大賞」で『オールドメディア』が選出されたことについて聞かれ、「私は、ネットメディアか、オールドメディアかのある種の二分法っていうのはあまり好きではない。少なくとも、NHKに関して言うと、その二分法は当てはまらないと思っております」と発言しました。

そして、「いまのネットを含む情報空間は、アテンションなどで歪められた面がけっこうあって、そういう情報空間に対して、NHKはあくまでも正しい情報を提供し、豊かな番組を配信することで、そういうネットを含む情報空間を、いわば、NHKの考える正しい情報、あるいは豊かな番組で塗り替えしたい』として、NHKは“情報空間の参照点”としての役割を果たしたい」と語りました。

更に、稲葉会長は、NHKは新しいメディアだと思っていると述べると、「そういう意味では、我々、オールドメディアなどと言われる筋合いはないというふうに思ってます」と反論しました。

まぁ、思うのは結構ですけれども、高市政権発足時「ダッチアングル」で報じるなどしたNHKが「NHKの考える正しい情報」でネットを含む情報空間を塗り替えたいなどど、NHKが考える正しさとやらを検証するのが先のように思います。

実際、稲葉会長の発言に、ネットでは「「筋合いはない」とは出資者に対してえらいモノの言いようですね」、「言われる筋合いはないって、それがオールドと言われる所以でしょう。学ばないから視聴者が離れていっているという分析もできないとは、NHKの存在意義などありません。」「彼らが提供してると標榜してるのは、「正確で客観的な情報」なのに、自分たちの考える「正しさ」を押し付けてる事を自白してる」など、炎上しています。




2.デマの境界


筆者は、稲葉会長の発言の節々にネットを敵対視というか、NHKが正しいのだ的な「驕り」を感じてしまうのですけれども、石破前政権は、インターネット上の偽・誤情報について規制を掛ける旨の発言を何度かしていますけれども、参政党の神谷代表は、11月13日の予算委員会で、SNS規制と検閲について質問しています。

件の質疑の概要は次の通りです。
〇SNS規制と検閲疑惑について
神谷宗幣:
コロナワクチンの問題で、米国では政府がGoogleやMeta社に削除・制限を求めた事実が、また日本国内でも「ワクチン」という発言だけで動画が消される事象があったことを総理はご存知でしょうか。

高市総理:
「ワクチン」と発言する動画が削除されるといった個別事例は把握しておりません。

神谷宗幣:
米国議会で検証された事実であり、日本でも多くの事例(我が党員で43回動画削除の事例など)がありました。トランプ大統領が「言論の自由を復活し、政府による検閲を終わらせる」という大統領令に署名したのも事実です。 日本国内で施行された「情報通信プラットフォーム対処法」は、どのような法律か、総務省の政府参考人から説明をお願いします。

藤田誠太郎総務省官房総括審議官:
本法は「特定電気通信による情報流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」です。 権利侵害に対するプラットフォーム事業者の削除等の考え方、侵害を受けた方の申し出の手続き、そして大規模事業者に対する迅速な対応と透明化の要求が主な柱です。

神谷宗幣:
権利侵害に対する規制をかけるという考えについて、総理の見解をお聞かせください。

高市総理:
偽情報、誤情報、誹謗中傷などの違法有害情報は、国民生活に重大な影響を及ぼす深刻な課題であり、迅速な対応が必要です。 一方で、表現の自由と透明性の確保に十分配慮する必要があり、法律は事業者の自主的な取り組みを促すことを基本としています。

神谷宗幣:
私も権利侵害(誹謗中傷、名誉毀損)への規制は必要だと考えます。しかし、総理も言及された虚偽情報やデマについては、判断が非常に難しく、表現の自由との兼ね合いから慎重な対応が必要ではないでしょうか。

高市総理:
虚偽であるかの判断がしにくいのは確かです。 しかし、公共の福祉の観点から、デマが災害時などに人命に関わる深刻な事態を引き起こすことを考えると、公益を損ねるような虚偽情報については、対応を考えていく時代になったと考えます。

〇外国からの影響工作とスパイ防止法について
神谷宗幣:
SNS規制の背景にある「外国の影響工作」への対処が必要です。 自民党の平議員が国会で、「参政党念頭か ロシア工作で特定政党言及の投稿拡大」と質問した事例は、根拠不明なまま特定の政党を工作の対象と決めつける印象操作であり、極めて問題です。 もし国会で議論するのであれば、ロシア工作の根拠となる公式な資料を提示すべきです。 海外からの影響工作を防ぐためにも、スパイ防止法の制定が必要と考えますが、高市総理のお考えをお聞かせください。

高市総理:
スパイ防止法の制定は、私自身が総裁選挙で訴えていたことです。外国勢力からの工作や情報の摂取から、日本の社会の安定や民主主義を守るために必要です。外国代理人登録制度なども含め、外国勢力から日本を守るための対応を検討していきます。

神谷宗幣:
スパイ防止法等の制定は必要だという点で、総理と目的意識は一緒です。 SNS規制については、EUのデジタルサービス法のように、削除理由や処理内容を国民や研究者が確認できる透明性あるデータベースを匿名で構築するなど、情報の透明化を進めていただきたいです。

〇お金による影響工作(企業献金・パーティー券)について
神谷宗幣君:
外国からの影響工作は、SNSだけでなくお金を通じても行われます。 外国の影響下にある可能性のある企業からの献金や、外国人によるパーティー券の購入などは禁止すべきではないでしょうか。 現在、外国人持ち株比率50%超でも、5年以上上場している「特例上場日本法人」は献金OKという例外規定がありますが、これは合理性に欠けます。献金を続けるのであれば、どの企業から、どの党へ、いくら献金されたかを国民が簡単に確認できる可視化の仕組みを設けるべきです。 また、外国人によるパーティー券購入は原則禁止ですが、罰則がありません。ここもより厳しくすべきです。

高市総理:
国会議員は、外国人、日本人を問わず、お金による影響を受けてはならないのは当然です。 外国人等からの寄付禁止規定に特例上場日本法人の例外が設けられたのは、上場企業は厳しい市場監視を受けているため、禁止の趣旨に反しないという理由で、2006年12月に自民党からの議員立法で導入されました。 また、パーティー券購入の禁止規定は設けられましたが、相手の国籍確認の難しさから罰則は設けられませんでした。 自民党総裁として、ご提案のような外国人からの献金・パーティー券購入の完全禁止の導入については、こうした経緯を踏まえて検討する必要があると考えております。

神谷宗幣:
SNS規制を厳しくするのであれば、よりダイレクトな影響力を持つお金による工作についても、より厳しいルールが必要です。

〇放送法の政治的公平性と行政指導について
神谷宗幣:
テレビ・新聞(オールドメディア)の偏向報道も問題です。我が党は選挙中に偏向報道を受け、BPOに訴えましたが対応してもらえませんでした。 BPOに訴えても対処されない場合、総務省から放送事業者へ注意・指導・処分がされる場合はあるのでしょうか。また、その判断基準をお聞かせください。

林総務相:
BPOは放送事業者による自主的な取り組みであり、政府の見解は差し控えます。 しかし、総務省として、政治的公平との関係で注意を促した事例や、放送事業者が定めた番組基準に抵触する放送があったとして行政指導を行った事例はございます。 行政指導は、放送法の目的に照らしていかがな点を認めた場合に、個別具体的な状況に即して必要に応じて行っています。

神谷宗幣:
放送法が守られるよう、総務省は引き続き監督を徹底するよう要望します。
神谷代表は、SNS規制について、情報通信プラットフォーム対処法を引き合いに出し、「削除理由の透明性確保(データベース構築)」を提案。SNS規制の核心である「虚偽情報」「デマ」の線引きについて問い質しました。

これに対し、高市総理は「公益を損ねる」という基準を示したものの、この判断基準が誰によって、どのようなプロセスで下されるのか明確ではなく、ここが今後の議論のポイントになるのではないかと思います。




3.アカウント所在地晒し祭り


そんな中、X(旧Twitter)でアカウントの所在地が表示される新機能が実装されたことが話題になっています。この機能は、ユーザーが自身や他者のアカウントがどの地域から発信されているのか確認できるというものです。

具体的には次の通りです。
〇表示される主な情報
・アカウントの所在地(国または地域):アカウントの拠点となっている国や地域が表示。
・アカウントの登録日
・その他: ユーザー名の変更回数、アカウントの認証ステータス(いつから認証アカウントか)、接続元(VPN使用の可能性など)といった情報

〇機能の目的
・Xのプロダクト責任者によると、「グローバルな『町の広場』としてのXの完全性を確保するための重要な第一歩」とされている
・特に、ボットや偽情報アカウント、工作アカウントの判別を容易にし、ユーザーがコンテンツの真正性を検証できるようにする狙い。
この新機能について、Xユーザー間では様々な反応や議論が起こっているようです。

肯定的な意見としては、「所在地が異なる、またはVPNなどを利用していると見られる工作アカウントや偽アカウントが多数判明したという報告があり、スパム対策や情報操作の防止に役立つ」とか、「投稿内容とアカウントの拠点が一致しているかを確認でき、アカウントの信頼性を判断する材料になる」が挙げられ、懸念・注意点としては「自身の国籍や所在地が可視化されてしまうことに対し、プライバシーの侵害や、言論が規制されている国にいるユーザーへの影響を懸念」する意見が上がっています。

また、表示される所在地が、最近の旅行や一時的な転居、またはVPNの使用などによって影響を受け、正確ではない場合があることも指摘されたり、海外在住のアカウントが「日本」と表示されるなど、不正確な情報が表示されるケースも報告されているようです。

それでも、この機能によって、“なりすまし”も判別しやすくなり、SNSの脆弱性を突いた情報工作への対策としても有効だと歓迎する声も少なくありません。少なくとも、情報に付随する属性を明確化するという意味で透明性が高まったといってよいと思います。

実際これによって、様々なアカウントがネットユーザーによって「調査」されているようで、例えば、中国の毛報道官のXはVPN利用で、発信元が「アメリカ合衆国」になっているとか、工作アカウントが多数発覚して騒ぎになっています。




4.現代の刀狩は行われるか


筆者はここ最近、今の日本で行われつつあるのは秀吉の政策だとして「検地」「伴天連追放」「刀狩」を挙げて、SNS規制は現代の刀狩に当たると述べてきましたけれども、戦国の当時の刀狩はどうだったのか。

一般的に「刀狩令」は、1588年に豊臣秀吉が全国に布告した、百姓から刀などの武器を没収する法令です。この政策は、一揆を防いで農民を農事に専念させ、兵農分離を進めて身分制度を固定化する目的があったとされ、没収された武器は、方広寺の大仏を鋳造するための釘やかすがいに使われました。

ただ、実際は、刀を一つ残らず没収した訳ではなく、多くの武具は残されたそうです。

名古屋刀剣博物館のホームページでは刀狩について次のように説明されています。
【前略】

豊臣秀吉は刀狩り令によって百姓から武器を取り上げることで、兵として合戦に参加して戦働きに重点を置き、年貢を怠る者や多発する一揆を抑制。さらに、百姓の武装解除をし、その武具を常備軍へ回すことや、刀を武士の象徴とし、刀を所持できる特権階級とすることで、武士と百姓の身分を明確に分ける「兵農分離」を狙っていたのです。

しかし、刀狩り令によってすべての刀や武具が農村から消えたわけではありませんでした。刀狩りはその土地を治める大名が、村を治める領主や大人百姓(おとなびゃくしょう:村役人など、村の代表を務める百姓)に命じて武具を取り上げるという方法を採用。そのため、取り上げられる武具は大人百姓の采配で決められることもあった他、田畑の運営に必要な害獣駆除などに用いられる鉄砲や槍、祭祀などに用いられる武具などは、大名の認可があれば例外的に所持が認められていたのです。

なお、接収された武具は刀や脇差を中心としていたため、刀狩りの目的のひとつに朝鮮出兵の際の武具調達があったとされることもありますが、定かではありません。

豊臣秀吉の刀狩りによって、百姓は公然とした、刀をはじめとする武具が所持を禁じられました。

しかし、豊臣秀吉は農村における武具の根絶を目指したわけではなく、百姓から帯刀権をなくし、武具の使用規制によって兵農分離政策を推し進めることが目的。

そのため、農村には多くの武具が残されましたが、兵力を割くことなく各地の治安を回復させ、武士と百姓の違いを明確にしました。戦国時代には指標となる身分制度がなかったため、刀狩りは近世における封建体制の基礎となり、江戸時代に整備された武士を特権階級とした身分制度へとつながっていきます。

江戸時代には、江戸町民すべての帯刀が取り締まられるようになり、刀と脇差の2振を帯刀することができるのは武士階級のみとなった他、刀の長さや鞘(さや)の色、鍔(つば)の形などが、身分によって定められるようになりました。しかし、江戸幕府もすべての刀を庶民から取り上げず、多くの民家には刀が残されており、日本人にとって身分問わず刀は身近な存在として残りました。

【後略】
このように、当時の刀狩りは、その土地を治める大名が、村を治める領主や大人百姓に命じて武具を取り上げるという方法を採用したため、少なからずお目こぼしがあったというのですね。この村を治める領主や大人百姓が刀の没収の差配をするという方式は、SNSでいえば、プラットフォーム事業者自身が「虚偽情報」「デマ」の線引きを行って対処するというものに当たるといってよいと思います。

前述の質疑で、高市総理はプラットフォーム対処法について「事業者の自主的な取り組みを促すことを基本とする」と答えていますけれども、これは正に「村を治める領主や大人百姓が刀の没収の差配をする」という当時のやり方と殆ど同じです。

ただ、当時と違うところがあるとすれば、秀吉の刀狩が、下剋上を回避し、武士と百姓の身分を明確に分ける「兵農分離」を目的としていたのに対し、今は「上級国民」とも揶揄される一部の特権階級の存在(身分制度)の解体や、特定の勢力にとって有利になるような工作を阻む方向での「刀狩」が求められているという点です。

その意味では、Xでのアカウントの所在地表示は、狩るべき刀の所在を明らかにするという効果をもたらすのではないかと思います。畢竟この機能は、プラットフォーム事業者自身が「刀狩」を行う上で重要な指標ともなるのではないかと思いますね。



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