幕引きしたい人達と突き刺さる現実

今日はこの話題です。
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1.事実上の撤回をしたと受け止めた


11月26日、高市政権になって初の党首討論が行われました。

党首討論に臨んだ立憲民主の野田代表は、台湾有事をめぐる存立危機事態の判断に関して改めて高市首相の見解を質したのですけれども、討論後、高市総理から具体例が出なかったことを指摘し、「、「従来の見解を上書きするような答弁だった。事実上の撤回をしたと受け止めた」と話しました。

該当のやり取りは次の通りです。
野田代表 :
【前略】 総理のご発言は、事前に政府内や自民党内で調整をした上での発言ではなかったのではないかと思うのです。また、同盟国であるアメリカは、台湾について曖昧戦略をずっと取ってきました。であるならば、日本も曖昧戦略でいくべきところを、日本だけ具体的に姿勢を明らかにしていくのは、これも国益を損なうことだと私は思いました。独断専行だったのではないでしょうか。そのことによって日中関係が悪化してしまったことについて、総理はどのような責任を感じていらっしゃるのか、まずお答えをいただきたいと思います。

高市総理:
まず、日中関係でございますが、首脳会談で確認した通り、戦略的互恵関係を包括的に構築していくこと、そして、安定的で建設的な関係を構築していくことを確認しました。また、お互いに懸念や課題がある場合には、首脳同士のコミュニケーションを通じて解決していくことも確認しました。現在、私の高市内閣はこの方針を堅持しております。日本は、常に中国に対し、対話に関しては建設的でオープンです。ですから、今後も対話を通じて、より包括的な良い関係を作っていくこと、そして国益を最大化すること、これが私の責任だと感じております。

野田代表:
改めて、なぜこうした発言をされたのか、その真意をお尋ねしたいです。尖閣の場合は、我が国の固有の領土で国内問題だと自負し、内外に説明し続けています。一方、中国は台湾を「核心的利益」の核心としており、国内問題だと考えています。ですから、尖閣の国有化によって生まれた摩擦よりも、私は影響は深刻ではないかと思っています。改めて、総理のご発言の真意をお聞かせください。また、中国が台湾を海上封鎖し、武力の行使を伴うものであれば、存立危機事態になり得るケースと答弁されましたが、その真意と改めて政府の公式見解をお伺いします。

高市総理:
まず、私の答弁でございますが、存立危機事態の認定について、いかなる事態が該当するかは、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して判断する、と繰り返し答弁しております。これは、平和安全法制成立当時の安倍総理の答弁もそうでした。

なぜそうした答弁をしたかというと、予算委員会で質問をいただき、私自身の過去の台湾有事に関する発言にも言及され、台湾有事に限定して、シーレーンの封鎖という具体的な事例も挙げてご質問があったからです。私も具体的なことに言及したいとは思いませんでしたが、予算委員会という場で、これまでの政府答弁を繰り返すだけでは委員会を止められてしまう可能性もあるため、国会議員の皆様は全国民の代表であることから、具体的な事例をあげて聞かれた範囲で、私は誠実にお答えしたつもりです。

ただ、政府の見解は、繰り返しますが、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して総合的に判断するということです。台湾については、非政府間の実務関係として維持しています。また、サンフランシスコ平和条約で我が国は台湾に関する全ての権利・権限を放棄しており、法的地位を認定する立場にはございません。聞かれたことに対して、言える範囲で答弁しましたが、日本国政府の統一見解は、昨日決定したものも含め、先ほど答弁した通りです。それ以上でもそれ以下でもございません。

野田代表:
公明党の斉藤代表への質問に対する閣議決定文書も拝見しました。今確認させていただいた基本的な政府見解をですね、総理には繰り返し繰り返し、様々なレベルで説明していかなければいけないだろうと思います。そこから一線を超えることのないようにしていただきたいと、重ねて要請いたします。
具体例が出なかったから「撤回した」と受け止めた? 訳が分かりません。

今回の騒ぎで、立憲が発端になったとか、批判が集まり、拙いと思ったのか、自分から幕引きに走ったように見えてなりません。自分で火をつけて自分で消してまわる、マッチポンプとはまさにこのことです。




2.日本はすでに代価を支払った


幕引きを図り始めているのは野田代表だけではありません。当の中国もそうです。

11月22日、中国を代表する国家級のポータルサイト「中華網」は、「日本はすでに代価を支払った。外交と経済は深刻な損害を被った」というコラム記事を掲載しました。 

件の記事の概要は次の通りです。
〇日本が払った対価
・日本の高市早苗首相の不適切な発言が、国内外からの強い非難を招き、日本の外交・経済に広範な悪影響を与えている。
・日中韓文化大臣会合、日中友好記念行事、JETRO関連の中国国内活動24件など、多数の中日交流活動が中止または停止に追い込まれた。
・中国政府が日本産水産物の輸入停止を宣言。ホタテなどの対中輸出品は通関できておらず、日本の水産業者に深刻な懸念が生じている。
・日本行きの航空券が54万枚以上キャンセルされ、日中対立の長期化により日本の経済は来年1兆円を超える損失を被る可能性があると予測されている。
・中国によるレアアース(希土類)の輸出管理厳格化が懸念されており、自動車や電機などの製造業に影響が及ぶ可能性がある。特に半導体分野は中国への構造的な依存度が高い。
・経済の落ち込みに対処するため、日本政府は総額21.3兆円の経済対策の策定を進めている。
・日本人タレントの公演や日本映画の中国公開計画が相次いで中止・延期となった。

〇専門家の分析
・項昊宇氏:高市氏の発言が日中関係の「断崖絶壁のような後退」を引き起こしたと指摘。
・陳洋氏:高市首相の今後の対応(言動の縮小または挑発行動の継続)のいずれも、日本の政治と外交に深刻な影響を与えると分析している。
この記事が掲載されると、これで日本に対する風向きが変わるのでは、との見方が出ている一方、中国のSNSでは「まだまだ足りない」「もっと日本に対して強硬に出るべき」「日本は完敗した」などの激しいコメントもあります。

日本でもこの記事が報道されると、ネットで議論が沸騰。「これで手打ちになるのか?」「いや、もっとやってくれ、これから先も日本に渡航して来ないで」などのコメントがでています。

両国の国民は幕引きにはまだ早いという声が優勢のようです。


3.中国の反日リアクションのマーケット影響は軽微


けれども、本当に日本が経済的打撃を受けているのなら、市場も反応してしかるべきと思うのですけれども、そうなってはいません。

11月25日、ダイヤモンド社のマネー誌「ザイ」は、「中国の一連の反日リアクションのマーケット影響は軽微。台湾有事の地政学リスクは遠のく」という記事を掲載しています。

件の記事の概要は次の通りです。
〇中国総領事による反日暴言とその波紋
・中国の薛剣駐大阪総領事がSNS「X」で、高市早苗首相の「台湾有事を日本の存立危機事態」とする国会答弁に反発する反日的暴言を投稿。
・「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」(高市首相斬首を意味する文言)は後に削除された。
・中国外交部も「日本に対して必ず正面から痛撃を加える」「14億を超える中国人が血肉をもって築いた鋼鉄の長城の前で頭を割られて血だらけになる」など、おどろおどろしい暴言を繰り返している。
・これらの発言は「稚拙を大きく超えて、まるでテロリストの言動」であり、「品位のかけらもないヒステリックな恫喝」と評されている。
・中国政府はこれらの発言を容認し、反日行動を連日けしかけている。
・日本側は総領事関連の行事に出ない通達を出すなど、静かに抵抗している。
・中国国内ではXは閲覧できず、一連の投稿の件は一切報道されていない。

〇国際社会の反応と日本の冷静な対応
・国際社会は、米国や台湾からも非難が上がり、中国の「非常識な印象」が強まっている。
・ジョージ・グラス駐日大使がXで、呉江浩・薛剣両大使の行動を「揺るぎない日米の絆を一層深めるためのご尽力、まことにお疲れさまでございます」と皮肉った。
・日米同盟が「台湾海峡の平和と安定を維持するという固い決意を貫いている」ことを強調し、武力による現状変更の試みに反対すると、台湾侵攻を強く牽制した。
・中国の「沖縄は日本ではない」発言に対し、米国務省は日米安全保障条約第5条を尖閣諸島を含む日本に適用する方針を改めて示した(11月20日)。
・11月第2週の日本の株式市場は、中国の一連の反日アクションに対しネガティブな動きを見せなかった(ロシアのことわざ「中国の最終警告は、特に何も起こらない警告を意味する」を引き合いに出している)。

〇中国が猛批判する理由
・中国が猛批判するのは、高市首相の「存立危機事態」発言が、中国にとって最も痛いところを突き、大きな抑止力となることに焦っているため。
・日本の判断の正当性:
 +台湾は中国の一部ではなく、中国はこれまで一度も実効的支配をした歴史はない。
 +存立危機事態の認定は日本の判断でするべきものであり、中国が口を挟む筋合いはない。
・台湾有事は日本有事発言について、安倍晋三元首相も同様に発言しており、「日米同盟の有事」であり、中国が深手を負うことになると牽制していた。
・地理的・経済的重要性:
 +与那国島から台湾までの距離はわずか110km。
 +台湾は中東などからのエネルギー資源の重要なシーレーン(海上交通路)の近くにあり、空路にも大きな影響が出る。
・米国シンクタンクCSISのシミュレーションでは、日本が米国・台湾に協力すれば中国に勝ち目はないという結果が出ている(24ケース中、中国が勝利したのは3ケースのみ)。高市発言は「中国が負ける」状況を作り出すため、大きな抑止力となる。

〇リスクの後退と市場の動向
・中国の暴走と対抗措置:
 +中国は自国民の日本への渡航自粛(中国人への違法犯罪多発などを理由に)や、日本産水産物の全面輸入停止措置を発表した。
 +しかし、日本への経済ダメージは限定的(中国人観光客の消費は中国系企業内で完結しがち、水産物は中国以外の販路が育っている)であり、中国側の方が厳しい状況にある。
・中国側の一方的暴走と、それに対する関係各国(日米台)の冷静な対応により、台湾有事のリスクは著しく後退した。
・高市首相は中国の反日行動に対して沈黙を維持しており、「無視が最も効果的」。
・習近平国家主席は日本の参戦無しに台湾進攻を試みる戦略だったが、失敗し「怒り狂って国際社会に醜態をさらけ出して」いる。しかし、怒り狂った方が負けであり、習氏が失脚するところまで暴走するのではないか。
・11月に入り株式市場のボラティリティは高まっており、AI、ハイテク、半導体の銘柄を中心に下落しているが、これは投機的なシステマティックリスクであり、過度に心配したり狼狽したりする必要はないとしている。
市場は中国の恫喝にも、まるで反応していません。


4.高市総理の存立危機事態発言をめぐる台湾の本音


更に、21日、ジャーナリストの櫻井よしこ氏が理事長を務める 「国家基本問題研究所」は、台湾でインド太平洋戦略シンクタンクを設立してCEOを務めている矢板明夫・国基研企画委員をゲストスピーカーに迎え、最近の台湾国内の様子の解説や参加者との質疑応答を行っています。

矢板氏が語った概要と質疑応答は以下の通りです。
【概要】
・台湾自身は日本を応援する
 +台湾海峡危機に関する高市総理の発言が日中間の問題となっている中、焦点となる台湾自身の中で今回の件がどのように受け止められているのか、台湾在住者の目で現状を伝えたい。
 +台湾の一部野党が「台湾を巻き込むな」と中国寄りの発言をすると、日本国内では「台湾は迷惑している」などと報じられていると聞くが、実際には高市総理への支持が広がっている。
 +例えば、頼清徳総統や外交部長が、日本の海産物を食べるパフォーマンスをXに投稿して日本を応援している。また、台湾の民間団体が「高市早苗友の会」を発足させる動きもあり、日本への支持は燎原の火のように広がりを見せている。

・高市発言の意味
 +今回の高市総理の発言は、中国による台湾侵攻の当事者が、これまで中国・台湾・米国の3か国だったのが、ここに日本が加わり4か国となり、状況が複雑化したことを意味する。つまり、米国の曖昧戦略が明確になるだけでなく、日本の介入によって、他の西側諸国が介入する可能性も生じる効果が期待される。
 +2021年12月1日に「台湾危機は日本危機」という安倍氏の発言に対して中国は当然抗議した。しかし、その当時の安倍氏は一国会議員であり、発言は民間団体の主催する会でのものだった。それに対し今回は、日本の総理大臣として、しかも国会での答弁である。この違いは、台湾にとって日台関係の大きな前進を意味する。

・中国はなぜ過激に反応するのか
 +かつてトランプ大統領が北京空爆の発言をしても、大きな反応を示さなかった中国が、今回過激に反応した理由は、習近平氏のメンツが潰されたためと推察される。10月30日に韓国で開かれたAPECにおいて、習近平氏と高市氏が会談した際、中国外交は成功したかのように中国国内で宣伝された。しかし、帰国して1週間という時期に高市氏の発言があり、中国の国家的威信が傷ついた。
 +この過激な反応は今後どうなっていくのだろうか。中国には成功体験(中国漁船の海保巡視船衝突事件で日本が譲歩した)があり、強く出れば日本は譲歩すると考えている。そのため、日本に対する圧力を硬軟織り交ぜながら継続するだろう。
 +では、日本にどこまで譲歩させようとするのか。それは、発言の撤回というよりも、高市総理の靖国神社参拝を阻止することにあると思われる。
今年は対日戦勝80周年にあたり、高市氏が靖国神社に参拝すれば、中国国内で反日デモが起きるだろう。その場合、デモの矛先が共産党政権に向かうことは避けられない。靖国問題は中国の国内問題となるため、中国としては何としても避けたいところだ。しかし、日本が譲歩すれば、中国に成功体験をさせてしまうことになる。日本は決して譲歩してはならない。

【質疑応答】
Q. 最近の頼清徳政権の対中姿勢について伺いたい。
A. 現在の台湾政界は与野党対立が激しく、決して一枚岩とはいえないが、頼清徳政権は中国に対して決して弱腰ではない。ただし、台湾が中国と対峙する場合、米台関係が背景として欠かせない今、米台関係があまり良好とは言えないことが懸念材料としてある。米国は、台湾の半導体メーカーであるTSMCの工場を米国内に建設するように圧力をかけており、現在、交渉中である。

Q. 中国人民解放軍の動きについて伺いたい。日本が譲歩しなければ、軍事圧力を強めるのか。
A. まずは経済制裁から圧力を強めるだろう。経済制裁は効果が目に見えやすく、中国国内に成果をアピールできるためだ。同時に、インフルエンサーを使って高市発言の撤回を求め、日本の世論を揺さぶる認知戦を展開するだろう。さらに、中国に親しい国々が高市批判を展開し、その次の段階として、軍事演習で圧力を高める可能性がある。日本を仮想敵国とした軍事演習は稀だが、台湾周辺で大規模な演習を行えば、日本に圧力をかけることが可能である。

Q. 中国の大阪総領事である薛剣氏をペルソナ・ノン・グラータ(PNG)として追放すべきか。
A. 米下院議長のペロシ氏が台湾を訪問した際、中国は台湾に対する経済制裁を行ったが、しばらくしてこれを解除した。日本の尖閣諸島国有化の際も、対日制裁としてレアアースの輸出を停止したが、しばらくするとそれを忘れたかのように行動する。したがって、日本が動揺して、慌てて言うことを聞く必要はない。
 薛剣氏の投稿は、中国の外交手段の一つでしかない。彼をPNGとして追放すれば、日本の毅然とした態度を示すことができる。しかし、薛剣氏が中国に帰国すれば英雄となり、中国国内で反日の波が起きる可能性がある。日本の外交官も追放され、在中国の日本企業が迷惑を被り、それが高市政権の責任とされるだろう。薛剣氏を日本に留め置けば、当然、日本で仕事ができない飼い殺し状態になる。追放しないという選択は、決して弱腰ではない。
矢坂氏によると、巷の報道とは違って、高市総理への支持が広がっていること、日台関係が一歩前進したこと。薛剣氏をペルソナ・ノン・グラータで追放するより、日本に置くことで仕事ができない飼い殺しにすべきだと述べています。

たしかにここで幕引きされるのは勿体ない気がします。高市政権にはこれをチャンスにして、国防を始め、必要な政策をドンドン進めていただきたいと思いますね。



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