
1.スペシウム光線が打てなかった神谷代表
11月26日、高市総理と野党代表による党首討論が行われました。
最後に質問に立った、参政党との党首討論のやり取りは次の通りです。
神谷宗幣君(参政党代表): 参政党代表の神谷宗幣です。今、国民はですね、政治と金の問題や議員の定数よりも、国力が落ちて生活が苦しくなっているということに不満を持っていると感じています。その原因の一つとなっている国民の情報や富を奪ってですね、国に損害を与えている行為、これを止めたいと思いまして、我々は昨日、スパイ防止法というのを法案として提出をいたしました。神谷代表は3分の持ち時間の中でスパイ防止法と失われた30年についての質問を行ったのですけれども、神谷代表は党首討論後の会見で、次のように語っています。
総理もスパイ防止の必要性を感じられると思いますが、スパイ防止法は非常に広範でして、その中身が大事です。外国人代理人制度や対外謀略機関の設立といったものは総理も訴えておられますが、その他にも我々はですね、情報を奪うこと自体を罪とする。それから破壊工作ですね、データを壊すとか、情報を取ろうとする行為自体も禁止する。それからあと、国民にしっかりと情報リテラシーを持ってもらって、みんなの目で情報をチェックしていく。それから国家が、政府がですね、恣意的なスパイ認定をして、罪のない人が罰せられるということは絶対にあってはならないと思いますので、監視の民主化、そういったことも含めて防止が必要だと考え、提案しましたが、総理のスパイに対する構想をお聞かせいただきたいと思います。どういう思いか聞かせてください。
高市内閣総理大臣: あの、スパイ防止法、まあスパイ防止法という名前になるかどうか分かりませんが、まあそういうあのインテリジェンス・スパイ防止関連の法制を作らなきゃいけないというのは、これは自民党の参議院の公約にも書かせていただきました。現在考えておりますのは、まず基本法的なもの、そして外国代理人登録法、それからロビー活動公開法などについて、今年も検討を開始して、速やかに法案を策定するということを考えております。まあ今、あの物理的、また技術的(※破壊工作を指す)とおっしゃいましたか、ええ、そういう破壊行為についておっしゃいましたが、これらはあの今の法律でも罪でございますので、罰せられるんじゃないかと思っております。それからあの情報リテラシー教育、これもものすごく大事です。今も経済安全保障関連で言いましたら、どういう形で接触が図られるか、どういう手段を外国勢力が使ってくるか、こういったことに関して、企業などに情報発信をさせていただいているところでございます。
神谷宗幣君: はい、ありがとうございます。この法案に関しては、我々も一緒にやれることだと思いますので、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。あと2つ目です。失われた30年、日本だけが経済成長をできませんでした。世界の中で相対的に貧しくなった根本的な原因を総理は何と考えておりますか?お聞かせください。
高市内閣総理大臣: まあ、それはやっぱりあのバブルが崩壊して、その時にですね、やはり不良債権や金融システムの問題があり、リーマンショックもございました。その前にはアジア通貨危機もございました。まあ、そうした外的要因もあり、だから企業がですね、お金をどちらかと言えば溜め込んで、なかなか設備投資や人的投資、まあ従業員の給料などには使えなかった。まあ、その状況が貧困を招いたと思っております。
神谷代表: はい、皆さんこんにちは。今日はあの党首討論は先ほどありましたので、いつもよりちょっと遅い会見になりましたけれども、多数お集まりいただきましてありがとうございます。この1ヶ月間、また国会選挙になっていろんなことがありまして、台湾有事についての発言ですとか、議員定数の削減についてといったこともございます。また、それに関しては個別質問ありましたらお答えをしていきたいなという風に思いますが、私のほうは代表質問から予算委員会から先ほどの討論という形で、賛成党はやはり18議席になってですね、初めてそういった場に立たせていただけるという機会を得られたことは、本当にありがたいなという風に思いますし、私のも、今日もですね、ちょっと最後時間があるつもりで手上げたらなかなか当んないんで、待ってたら終わったというですね、ちょっとこうスペシウム光線が打てなかったウルトラマンだという風にさっきSNSに書いてたんですけど(笑)。はい、あの最後の要望が言えなかったと残念でしたが、私も初めてですので、色々手探りでやっておりますけども、大体1回やると加減が分かりましたので、以降しっかり皆さんの期待に応えてやっていきたいなという思いであります。神谷代表は初めての党首討論だったということで、勝手が分からなかったとしながらも、加減は分かったと述べています。
そして法案のほうはですね、昨日スパイ防止法案について、他党に先駆けて提出するということができました。これに関しても、参議院選挙の前からですね、かなり街頭演説でも「やります」ということを、それを期待して賛成党に投票したよという声もたくさんありましたので、他党とのすり合わせみたいなものもやっても良かったんですけど、やってる間に臨時国会終わっちゃってしまいますと、公約は果たせないの、で、まず我が党としては広く法案を出して、あとは自民党さんなり維新さんなりですね、国民民主さんも出されるということですので、そういったところと協議できればよりいいものを提出できるんじゃないかなという風に考えております。
2.実態に合わなくなった党首討論
けれども、参政党の党首討論について、神谷代表の持ち時間が3分だったことなどから、SNSでは、各党に割り当てられる配分時間の差に「参政党の3分はいくらなんでも可哀想だった」、「見直したほうがよいと思う」、「3分で何を議論するんだ」、「全部一律でいい気がする」などと不満の声が上がっています。
党首討論は、衆参両院の常任委員会である「国家基本政策委員会」の合同審査会として行わ、衆参いずれかで10人以上の所属議員を持つ野党会派のトップが参加できることになっています。
各党の配分時間については、衆議院の公式サイトには「野党間で調整する」とありますけれども、実際は、議席数に応じて持ち時間が決まるよようです。
因みにこの日の党首討論の時間配分は、立憲民主党・野田佳彦代表が28分、国民民主党・玉木雄一郎代表が8分、公明党・斉藤鉄夫が6分、参政党・神谷氏が3分でした。流石に3分はウルトラマンに過ぎるというものです。
振り返ると、党首討論は政党間の議論を活性化する目的で平成12年から始まりました。今回で74回を数えます。導入当初の時間は40分だったのですけれども2015年に45分に延長されています。
そもそも党首討論のモデルとなった英議会下院は二大政党制で、日本も導入当時は自民党と民主党の二大政党制を志向していました。けれども、今や野党の数が多くなり、もう実情と合わなくなってきていることは否めません。
こうした運営方法について、近畿大の丹羽功教授は「今の国会の実態に合っていない……これではまともな議論ができない。時間を延長したり、時間配分のルールを見直したりする必要があるだろう」と指摘。討論の内容についても「一般的な国会質疑との違いが分かりにくい。細かい政策の話ではなく、党首同士で大きな方向性を議論する場にしたらどうか」と提案しています。
また、政策研究大学院大の竹中治堅教授は、「安全保障政策や財政政策など議論すべき議題は山のようにある。予算委は野党が一方的に首相に質問することになっているが、首相が反論できる党首討論でより頻繁に議論を行えば、国民にも分かりやすいのではないか」と党首討論の充実を訴えています。
少数与党である今ならば、猶更、与野党の意見の違いを可視化させ議論を活発化させるべきだと思います。

3.参政党のスパイ防止法案
参政党の神谷代表は、会見でスパイ防止法案について、他党に先駆けて提出したと述べていますけれども、参政党のスパイ防止法案とはどういうものなのか。
これについて、参政党は11月26日、党の公式チャンネル動画で解説しています。
件の動画の概要は次の通りです。
・法案提出の背景と現状認識このように、参政党は、スパイ活動を「諜報(情報収集)」「宣伝活動(情報戦、有利・不利な情報流布)」「謀略(暗殺、誘拐、経済混乱工作など)」の3つの要素に分類した上で、包括的に定義する必要があるとした上で、既存の穴を埋めるための六項目を挙げています。
+日本が「スパイ天国」と呼ばれており、諸外国の情報戦から国民を守る法律がなかった。
+参政党の公約がきっかけで政権側もスパイ防止法制定の動きを見せ、国民の意識が向上した。
+法案反対勢力の存在から、不都合な事情を持つ人たちがいると推測される。
・法律の歴史的経緯と再定義
+戦前は刑法に間諜罪があったが、昭和22年に「戦争放棄」を理由に削除され、法律が失われた。
+スパイ活動は、単なる秘密漏洩だけでなく、以下の3つの要素を包括的に定義する必要がある。
/諜報(情報収集)
/宣伝活動(情報戦、有利・不利な情報流布)
/謀略(暗殺、誘拐、経済混乱工作など)
+新法案は、これらの活動を「やってはならない」と定める、基本中の基本から始める。
・スパイ防止法の効果
+国民の情報リテラシーが向上し、危機意識を持つことで、国全体の防諜能力が大幅に強化される。
+特に、経済安全保障の観点から、技術や情報の海外流出を防ぐ上で極めて重要である。
・参政党が提案する6つの包括的要素
+法案は「対外勢力」「政府」「国民」の3つの視点から、既存の穴を埋める6つの項目で構成される。
/スパイ活動罪(罰則)
/外国影響力透明化制度(予防)
/防諜機関の創設(組織)
/政務三役へのセキュリティクリアランスの適用(人事)
/国民へのリテラシー教育(教育)
/政府の権力乱用の監視の仕組み(チェック機能)
・法案の意義
+日本の現状は西側主要国と比較して、上記6項目がほぼ未整備で危険な状態にある。
+特に「政府の権力乱用の監視」の仕組みを盛り込むことで、国民の基本的人権を守りつつ、スパイ対策とのバランスを取ることを重視している。
+政府案に先立って「国民の側に立った広いスパイ防止法の論点」を示すためのプログラム法案としての意義がある。
もっとも、神谷代表自身が会見で述べたように、参政党としては、広く法案を出して、他党と議論できればよいというスタンスとのことなので、これれを叩き台として議論を進める考えのようです。
党首討論でも、高市総理が「今年も検討を開始して、速やかに法案を策定するということを考えております」と述べていますから、活発な議論は行われるのではないかと期待します。
4.規制の網の拡げ方
さて、スパイ防止法というだけで、あっち界隈からは、やいのやいのと言ってくることは容易に予想できますけれども、マスコミとて戦々恐々ではないかと思います。
この日の参政党の会見でも、記者から質問がでました。その時のやり取りは次の通りです。
記者(白坂):マスコミがスパイ防止法を気する気持ちは分かります。ただ質問が2つともフリー記者だったからというのは気になりました。大手メディアは守られるだろうと多寡を括っているのか分かりませんけれども、フリーの記者は自分の立場が弱いことを自覚していて、スパイ防止法が制定されると真っ先にターゲットにされると警戒しているのかもしれません。
フリーランスの白坂です。今回の記者会見にあたって配布されたあのスパイ防止法のペーパーに関してなんですけども、基本理念の見たところですね、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならずと書かれていると。まあこれはいいと思うんですよ。で、その後に報道または取材の自由に十分配慮しなければならないと。ここで急に配慮とトーンダウンしてしまってるんですよね。その後の理念に何百も長方等を行い、またはこれを助けてはならないと。こうすると、なぜか報道に関してはトーンダウンをして、その後の何百も行いと、なんかこうさらっと書かれているのを見ると、我々あの報道人としてはあのいかようにも解釈されて、スパイ防止法に定職する可能性が非常に高いんじゃないかと、そのように感じました。神谷代表の考えをお聞かせください。
神谷代表:
基本理念で、あのプログラム法ですから、こういった理念に基づいて具体的に詰めていきましょうということなので、それに関しては我々は報道の自由、それから、まあ報道の自由がなければ結局民主主義も守れませんし、できませんから。それに関してはあの別にそれを不当に侵害できるようにしようとか、そんなこと一切考えていないということでありますので、またあの具体的に法案ができてきた時にそれがちゃんとなってないじゃないかという風になるんであれば、またその時ご指摘いただければいいんじゃないかなという風に思っております。
記者(白坂):
そうであればですね、やっぱりあの知る権利は憲法で規定されてますので、この配慮もやっぱりあの基本的人権と同じように侵害してはならないと、そのように書くべきじゃないかと考えます。
神谷代表:
どうしてもですね、こういうあのスパイ防止法とかになると情報の取扱いについて機密性求められますので、一定の制約はそれ国民もそうですけども、メディアの方も受けると思いますし、当然政治家も受けると思いますので。だからその辺のところをですね、だから不当に侵害してはいけないということですから。正当性があれば、あの基本的人権に関してもね、公共の福祉で一定の制約がかかるということになりますので、別にメディアや報道自由だけは一番下げているというのは私たちを意図してないので。そこそういう風に読み込まれたということなんであれば、実際どういう法案ができてくるかというところ見ていただいて判断していただければいいので、意図的にそれを下げたというのはね、皆さんそう感じられただけであって、我々そう意図で書いてませんので。そこはあのご理解いただきたいと思います。
~
フリー記者:
スパイ防止法案についてお尋ねしたいと思います。今回提出された法案も拝見しましたが、「謀議等」の二つの定義のうち、二つ目の「虚偽の情報発信」などによって、国民の安全を害する恐れのあるものという定義は、かなり漠然としているという印象を持ちました。
条文をよく読むと、この犯罪をすぐに設けるのではなく、国に2年以内に検討させる内容になっているかと思いますが、その定義の中に「外国により行われるもの」が対象になるとありました。この「外国により」という要件を入れた狙いは、日本人を全く対象にしないということなのか、また、この「外国」という表現が、外国政府や外国の政府機関によるものを取り締まる、という理解で合っているのか、確認させてください。
神谷代表:
はい。「外国により」という部分だけに限定しているわけではないのですが、主としてはやはり、外国の政府だったり、軍事機関だったり、そういったものを主に置いています。
ただ、彼らの意を受けて国内で(戦前の)ゾルゲや尾崎のようなスパイ活動などが行われた場合は、当然、網にかかってくると思います。しかし、主眼としてはやはり外国の影響工作です。
我々も議会でもいいましたが、「賛成党がロシアの影響工作を受けている」「賛成党の支持者がそれに踊らされている」と言われ、それを規制すべきだと国会で議論されているわけですが、我々も外国の影響工作は実際にあると思っており、それは防がないといけないと思っています。問題意識は一緒です。
しかし、あまり広く網をかけすぎてしまうと、「影響を受けている」とされた党員が非常に怒っています。アカウントを潰されたりして、自分たちは何も通じてやってるわけではない。ただ自分の思いを投稿したら、それを「ロシアのボットで拡散されている」と言われても、本人たちからすればどうしようもないことです。本人は何もしてなくて、ただ自分が思っていることを書いていただけなのに、「外国の影響を受けている」とされ、自分でどうしようもないところで、個人の発信が止められてしまう。これはかなり横暴なことを政府は行っていると思っています。
我々はその点に強い問題意識を持っており、あまり広くやりすぎると、不当逮捕のような不当な処罰につながりかねないので、そこはきちっと絞りをかけつつ考えていきたいというところで、「外国により」という一言を入れています。これだけしかやりませんということではないのですが、なるべく焦点を絞って法案を作ってもらいたいという意図で入れているとご理解ください。
フリー記者:
確認ですが「そこにだけではない」という言い方になると、外国政府機関だけでなく、日本国民も場合によっては網にかける可能性は考えておられるということでしょうか。
神谷代表:実際に政府がそうなわけでしょ? SNS規制をしようとしている点があります。今、例えばSNS規制をやらなければいけないと言っているのは・・・・・・
フリー記者:
今回の賛成党の法案は、誰を対象にしているのかというところで、一見読むと・・・
神谷代表:
だから今答えたように、外国からの影響工作が主です。しかし、それに日本人が使われているとなったら、それは当然、網はかけないと取り締まりがダメになってくるでしょう。ただ、いきなり「全て行きます」という風にすると範囲が広くなりすぎるので、外国の影響工作に、例えば使われているとか、めちゃくちゃ協力しているとかなれば、それは当然法が及びますよ、ということであります。
フリー記者:
わかりました。ありがとうございます。
神谷代表のいうように、規制の網の拡げ方はよく考えるべきですし、またその網の目の大きさもどれくらいにするのかも含めて国会でよくよく議論していただきたいと思いますね。
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