
1.オールドメディア
今年の流行語大賞で筆者がもう一つ注目したいのは、「オールドメディア」がトップ10に入ったことです。
流行語大賞のサイトをみると、「オールドメディア」はトップ10のうち筆頭の「エッホエッホ」に次いで2番目ですから、そういう評価を得ているのではないかと思いますけれども、選者の講評は次の通りです。
オールドメディア/環境副大臣・参議院議員・作家 青山繁晴 さん講評では「一方的な意見だけを都合よく熱狂的に流すことで支持を得る方法」とまるでSNSが敵であるかのような言いっぷりですけれども、なにも「一方的な意見だけを都合よく熱狂的に流す」のはSNSだけではないでしょう。それこそオールドメディア含む多くのメディアがそうではないかと思います。
このところの首長選挙や国政選挙において、〝影響力のあるのはSNS。新聞・テレビは今や不要のオールドメディア〟との論評が出回るようになった。しかし、SNSには宣伝媒体の面もあり、宣伝・広報戦略で商品を話題にして売り上げにつなげようというのは広告業界のセオリーだ。
それが今、政治の世界に適用されてSNSでバズれば当選。選んだのは有権者だが、その政治家について検証・分析・考察する歴史のあるメディアを「オールド」と批判にさらし、切り抜き動画や短時間で一方的な意見だけを都合よく熱狂的に流すことで支持を得る方法は、あまりにも無秩序なのではないか。
アメリカのトランプ政権では、ホワイトハウス報道官がインフルエンサーやネットメディア優先で会見を進め、伝統的な報道機関との対立を鮮明にしている。
SNSの熱狂に流されることなく、オールドメディアとの違いを見分ける力をつけたい。
また、SNSが宣伝媒体の面がある云々にしても、オールドメディアとて、スポンサーの「宣伝媒体」ではないと完全に否定もできないでしょう。受信料経営し、スポンサーと無縁の筈のNHKがあの体たらくであることをみれば、この講評自身、偏ったものを感じてしまいます。
2.情報の民主化
「オールドメディア」で受賞した、青山繁晴環境副大臣は、司会にコメントを求められ次のように答えています。
――それでは「オールドメディア」で受賞をされました青山副大臣、受賞の感想を述べていただきます。青山副大臣は、「オールドメディア」という言葉は「ニューメディア」という言葉との対比で言ったんのではなく、本当の情報をみんなで共有する「情報の民主化」を進めるために、報道が本来の使命を果たせるようになってほしいという願いを込めてつけた言葉であり、「オールドメディア」という言葉自身が消えていくことが理想だというのですね。
青山繁晴:
選考委員の方々、誠にありがとうございます。光栄に思いますが、まず予算委員会じゃなくて参議院の本会議が終わって駆けつけてまいりました。遅れたこと申し訳ございません。
一言だけですけれども、私はその「オールドメディア」と名付けた当の、共同通信の記者出身で、18年9ヶ月の土台にもなっております。 したがって批判とか、ましてや皮肉で申したんじゃなくて、端的に言うと、私のところに来る記者は若い記者がとても多いこともあって、この若い記者諸君が中堅になり、家族にお金もたくさんかかる時に、すでに今のメディアの会社の大半はないよと。会社がなくなってしまう懸念があると。
で、そういうことにちゃんと立ち向かって、自分の足で歩いて、自分の手で情報を取って、ニューメディアとの対比ではなくて、この報道の本来の使命が果たせるようになってほしいということで、まあ14年申し続けてきました。
今年確かに「オールドメディア」という言葉がよく使われましたが、正直私の申した真意とは少し違う文脈もあるとは思ってます。 でも言葉というものは、当然私は作家でもありますので、一人歩きすることがむしろ大切なので、これによって情報というものの根本、あるいは情報で成り立っている民主主義の根本を、みんなが考えていただくきっかけになればいいなと考えております。本日は誠にありがとうございました。
――青山先生、SNSでこの「オールドメディア」という言葉を発信されました。その時の反響はどうだったんでしょう?
青山繁晴:
えっと、最初はあんまりなかったですよね。 だから逆に、まあ14年間も言い続けてきたということが言えると思いますが。まあ14年前、15年前はまだ、この大きな大きなマスメディアっていう会社が危機を迎えるというのは、例えば新聞の購読数もとても多かったですけど、今はもうとにかく60歳、70歳の方々でないと新聞を定期購読してないっていう現実がありますから。時代の進展とともに、この言葉の意味もみんなに考えるきっかけになっていったんじゃないかなと思います。
――この言葉から今後どうなると思われますか?
青山繁晴:
さっき言いました通り、「ニューメディア」っていう言葉との対比で言ったんではないんで。本当はその「オールド」が取れてですね、あるいはニューメディアとのいわゆる二分法になるんじゃなくて。 さっき言いました通り、情報の民主化でもありますから、ネットっていうのは。僕自身が誹謗中傷に直面してますし、インターネットのダークサイドは大きいですけれど、それでも本当の情報をみんなで共有できるようになったので。その方向で進んでいけば、「オールドメディア」って言葉がむしろ良い意味で消滅する時代になればいいと思います。
けれども、今回の流行語大賞の選者含めて、その「オールドメディア」が、SNSなど「ニューメディア」を敵視し、二分法に陥っているのだとしたら、青山副大臣の願いを何一つ汲み取っていないことになります。
3.マスコミが数を持ち出してきたら割合を見る、割合を出してきたら数を見る
先ほど筆者は「一方的な意見だけを都合よく流す」のはオールドメディアもやっているのではないかと述べましたけれども、12月3日、働き方改革総合研究所株式会社代表取締役の新田龍氏は、「「マスコミが数を持ち出してきたら割合を見る、割合を出してきたら数を見る」の教えは今回も実に有効だ」とするツイートをしています。
件のツイートを引用すると次のとおりです。
「マスコミが数を持ち出してきたら割合を見る、割合を出してきたら数を見る」の教えは今回も実に有効だなあ。新田氏は「一般ユーザーが、いちいち、これもまたデマか?誤報か?みたいなファクトチェックをやらないといけないんだ」と不満をぶちまけていますけれども、まったく同感です。
【割合】
・軍需企業の24年販売額、日本勢が最大の4割増! 主要国で最大の伸び!!
↓
【数】
・軍需企業の24年販売額、米国勢「3,340億ドル」に対して日本勢はわずか「133億ドル」
・国別ランキングでも、日本は中国やロシア、韓国を下回る「世界8位」
・世界の防衛企業上位100社のうち日本勢はわずか「5社」、トップの三菱重工でも「世界32位」で、世界トップ企業(ロッキードマーティン)の1/13の規模
本日の「数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を使う」は日経新聞ですか。
なぜ「絶対額」ではなく、あえて「増加率」を強調するんでしょうか。売上額で見てしまうと大したことないから? それとも、マスコミの皆さんが大好きな「軍靴の音」が我が国から聞こえてくるかのように演出したいんですかね。それでいうと、記事本文では「防衛企業」と書いてるのに、X投稿の見出しでは「軍需企業」と表記してるのもその一環なんでしょうか。いろいろと姑息な印象操作ですね。
なんで我々一般ユーザーが、いちいちマスコミの悪意に付き合わされて、「これもまたデマか?誤報か?」みたいなファクトチェックをやらないといけないんだよ。ジャーナリズムがやるべきは、読者を不安に陥れたり、政権の支持率を下げたりすることじゃなく、読者が自ら判断できるだけの事実を提供することでしょうよ。こんなんだから「オールドメディア」とか揶揄されるんだよ。
マスコミの皆さまにおかれては、「新聞倫理綱領」の「報道は正確かつ公正でなければならず、記者個人の立場や信条に左右されてはならない」といった条文を100万回読み直し、真っ当な報道をおこなって頂きたく願っております。一般市民からの信頼を失うと、あなた方の視聴率もPVも購読数も下がる一方ですからね。
「マスコミが数を持ち出してきたら割合を見る、割合を出してきたら数を見る」の教えは今回も実に有効だなあ。
— 新田 龍 (@nittaryo) December 3, 2025
【割合】
・軍需企業の24年販売額、日本勢が最大の4割増! 主要国で最大の伸び!!
↓
【数】
・軍需企業の24年販売額、米国勢「3,340億ドル」に対して日本勢はわずか「133億ドル」… https://t.co/tBSAIaA2Qx pic.twitter.com/Tq1e2xJbiv
4.放送は『放って送る』
ひと月ほど前になるのですけれども、参政党の専門動画チャンネル「赤坂ニュース」に映画監督の荻野欣士郎氏が出演し、テレビ業界の偏向報道と構造の問題について述べています。
件の動画の概要は次の通りです。
〇報道の根本的な目的と業界の体質衝撃的な内容です。テレビ報道は事実ではなく「作品」だというのですね。これでよくSNSを批判できるものです。これが実態であればBPO云々ではない気がします。それならば、ネット並みに多チャンネル化して、一つのチャンネルの影響力を弱めると同時に、その「作品」の良し悪しを視聴者自身に判断してもらう方向に向かう、要するに視聴者側がリテラシーをうんと高めていくしかないのかもしれませんね。
・最優先事項は「視聴率」
+中央のテレビ局の報道は、世の中を良くすることや社会の変化よりも、視聴率を上げることが最大の行動指針であり、番組企画や制作の判断基準となっている。
+このため、「何のために」という報道の目的意識が希薄になっている。
・非効率な企画・組織構造
+新しい企画は過去のデータに基づく**「数字が取れる保証」がない**として却下されやすく、前例のある企画が優先される。
+テレビ局は親会社(新聞社など)の子会社のような構造で、失敗を恐れて既存の企画を踏襲する傾向がある。
+局の上層部は現場に行かず、ネット情報などで判断し、制作会社がその意向を現場で実現させるという「裸の王様を育てる」ような構造がある。
・「放って送る」文化と問題の放置
+上司から「放送は『放って送る』ものだから、終わったことは気にするな」と教えられるなど、問題があっても深く追求せず放置する文化がある。
+地方局が「県民の代表」意識を持つ一方、キー局は「誰のため」という意識がなく、相手の見えない視聴者へ向けて発信している。
〇意図的な「捏造・改竄」の手法
・映像の捏造と歪曲
+取材現場で、ホームレスが寝ていた場所を別の映像にすげ替えるなど、ディレクターによる事実を歪める偏向編集が常態化している。
+学生へのインタビュー映像で、異なる文脈の発言をカット編集で繋ぎ合わせ、制作者側の意図に沿ったコメントに作り変える発言の改竄が行われる。
+報道現場では、取材対象者の本来の意図よりも番組の構成や主張が優先されている。
・印象操作と演出の多用:
+報道番組にBGM(音楽)を入れることは、視聴者の感情を誘導するため不適切である。
+特定の対象に対し、画面の色調を青(ネガティブ)や暖色系(ポジティブ)に変えるなど、音響効果や映像加工によって「事実」よりも「印象」を作ることが優先されている。
〇メディア内の力関係と報道姿勢
・新聞社との従属関係
+日本のメディア構造は特殊で、テレビ局の上に系列の新聞社が存在し、新聞の意向が報道内容に強く反映される。
+政治報道などでは、新聞社に内容の可否を確認する必要があり、新聞社の命令で報道内容が左右される。
+テレビは機動力が低く、新聞社の報道を後追いする傾向が強い。
・「操り人形」としての出演者
+アナウンサーの目線、ブレス(息継ぎ)、カット割りのタイミングなどから、アナウンサーが**上層部の主張を代弁する「操り人形」**に過ぎず、本人の言葉ではないと指摘される。
+現場の動揺や予定調和的な演出がうかがえるカメラワークのミス(ズームバック後の揺れ)もあった。
・報道の同調圧力(ツチノコ理論)
+TBSなどの報道姿勢は、全員がボール(話題)に群がり全体が見えていない「子供のサッカー」状態に例えられる。
+誰かが「これが問題だ」と言い出すと、確認もせずに全員が飛びつき、報道が過熱する「ツチノコ理論」が指摘される。
〇外部からの批判への反応と小木野氏の活動
・外部批判への排他的な姿勢
+テレビ局はインターネットやSNSに対し、プライドからくる恐怖心を抱き、あえて批判することで優位性を保とうとする傾向がある。
+荻野氏がYouTubeで偏向報道を検証した際、TBSから著作権侵害を理由に「集中的な警告(赤BAN)」を受け、意図的な口封じと見られる対応をされた(後にアカウントは復活)。
・映画制作による問題提起
+小木野氏は、テレビ局内で情報が歪められる様子を伝える映画の制作を決意。
+映画をエンターテイメントとして、偏向報道に興味がない人にも問題を投げかける「広場」にしたいと考えている。
+目的はテレビを「変えたい」ことであり、外部の力で次の世代のために組織の意識改革を促したい。
・視聴者への提言(メディアリテラシー)
+テレビで放送されていることは「事実」ではなく、制作者の意図が反映された「作品」であると認識すべき。
+映像の説得力に騙されず、テレビの情報を鵜呑みにしないリテラシーが必要。
+視聴者自身が情報を調べ、検証する姿勢が重要である。
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