
1.高市総理の存立危機事態発言の分析
高市総理「存立危機事態」発言について、11月10日の国会で野党から撤回を求められた高市総理は「従来としての政府の立場を変えるものではございません。どのような事態が存立危機事態に該当するかについては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して政府が全ての情報を総合的に判断する」と従来とスタンスを変えていない、と答弁しました。
ただ、筆者としては、「存立危機事態」について、日本から「可変できるレッドライン」を引いたと解釈できる部分もあることから、100%スタンスが変わっていないと言い切れない部分もあるのではないかと思っています。
これについて、12月4日、認知科学者の苫米地英人氏は、自身の動画で、高市発言は従来の立場からの大転換を示したものだと指摘しています。
件の動画の要旨は次の通りです。
〇高市総理の「存立危機事態」発言の要点苫米地氏は、高市発言を「同盟国」に台湾を含めるという拡大解釈と、事実上の国家認定を行ったとし、これで日本は中国への経済依存からの脱却を選択せざるを得ない状況になったと指摘しています。
・高市総理は、国会で「台湾有事」を「どう考えても存立危機事態になり得る」と答弁し、それが公式な議事録に残った。
・「存立危機事態」は厳密に定義された法律用語であり、従来の政権は中国の核心的利益を避け、戦略的曖昧さを維持するため、公式発言を避けてきた。今回の発言は、その方針を覆す前代未聞の行為である。
〇「存立危機事態」の法律上の意味
・日本の防衛事態の6段階の危機レベルのうち、第5段階に位置する。
・平和安全法制(2015年成立)によって定められた概念であり、日本が攻撃されなくても、同盟国が攻撃された場合、自衛隊が集団的自衛権を行使して防衛活動を行うことが可能となる。
・高市総理の発言は、この「同盟国」に台湾を含めるという、極めて大きな拡大解釈と、事実上の国家認定を示唆した。
〇中国の反応と国内への影響
・中国にとっては、台湾の国家認定と宣戦布告に等しいと見なされ、強い反発と経済制裁(インバウンド減少、対日投資の規制など)のリスクを高めた。
・この事態により、日本は今後、中国への経済依存からの脱却を、嫌でも選択せざるを得ない状況に追い込まれた。
〇憲法九条改正の背景にある真の目的
・現行の自衛隊は警察権の行使として位置づけられ、抑止力として機能している。
・九条を改正し、自衛隊の存在を憲法に明記すること(特に2項の交戦権に関する部分の改正)の最大の目的は、有事の際に特別職公務員である自衛隊員の離職を防ぎ、徴兵制を可能にするための法的根拠を確立することにある。
2.サンフランシスコ平和条約は無効だ
11月26日、高市総理は、立憲民主の野田代表との党首討論で「存立危機事態」発言の真意を問われ、次のように答弁しました。
高市総理:御存知のとおり、サンフランシスコ平和条約は、日本が第二次世界大戦の終結と主権回復を認めた条約で、朝鮮の独立承認、台湾・澎湖諸島・南樺太・千島列島を放棄し、沖縄・小笠原諸島はアメリカの施政権下に置かれることを定めた条約です。この条約は、日本は台湾の領有権を放棄したものの、台湾がどこに帰属しているのかを定めたものではありません。
存立危機事態の認定については、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して政府が全ての情報を総合して判断する、と繰り返し答弁しています。
なぜ答弁したかというと、予算委員会で質問をいただき、政府のこれまでの答弁を繰り返すだけでは委員会が止まる可能性があるため、全国民の代表である国会議員の具体的な事例を挙げての質問に対し、誠実にお答えをしたつもりです。 ただし、政府の見解はあくまで個別具体的に判断するということです。また、サンフランシスコ平和条約により、我が国は台湾に関する権利を放棄しており、台湾の法的地位を認定する立場にはございません。日本国政府の統一見解は、昨日決定したものも、先ほど来答弁した通りで、それ以上でもそれ以下でもございません。
ところが翌27日、中国はこのサンフランシスコ平和条約は無効だと主張しました。
この日、中国外務省の郭嘉坤報道官は、定例会見で記者質問に次のように答えています。
CCTV記者:昨日の党首討論で、高市早苗首相が「(日本は)サンフランシスコ条約に基づく全ての権利を放棄しており、台湾の法的地位を承認する立場はない」と発言したと報じられました。中国はこの発言に同意しますか?
郭家坤:台湾の中国への返還は、第二次世界大戦の成果と戦後の国際秩序の重要な構成部分だ。カイロ宣言、ポツダム宣言、日本の降伏文書など、一連の国際法的効力を持つ文書は、いずれも中国の台湾に対する主権を確証している。台湾の地位問題は、1945年の抗日戦争の勝利によって早くも全面的に解決された。1949年10月1日、中華人民共和国中央人民政府が樹立され、中国全土を代表する唯一の合法政府となった。これは政権交代であり、国際法主体としての中国に何ら変化はない。中国の主権と固有の領土境界は変わらず、中華人民共和国政府は台湾に対する主権を含む中国の主権を正当かつ完全に享受し、行使している。 1972年の日中共同声明は、「日本国政府は、中華人民共和国政府を中国の唯一の合法政府として承認する」と明記し、「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを改めて表明する。日本国政府は、中国政府のこの立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第8条の立場を堅持する」としている。
いわゆる「サンフランシスコ平和条約」は、第二次世界大戦の主要当事国である中国やロシアを除外し、日本との一方的な和平交渉を行うために発布された文書である。この文書は、敵国との一方的な和平交渉を禁じた、中国、米国、英国、ソ連を含む26カ国が署名した1942年の国際連合宣言の条項に違反している。また、国際連合憲章や国際法の基本原則にも違反している。台湾の主権など、非署名国としての中国の領土権や主権に関する条項は、すべて違法かつ無効である。
高市早苗首相は、国際法上完全な法的効力を持ち、日中共同声明や日中平和友好条約といった二国間文書においても明確に強調されているカイロ宣言とポツダム宣言への言及を避け、代わりに違法かつ無効とされるサンフランシスコ講和条約のみを名指しした。これは、首相が依然として反省の念を示しておらず、日中四大政治文書の精神によって築かれた日中関係の政治的基盤を揺るがし続けていることを改めて示している。国連の権威を無視し、戦後国際秩序と国際法の基本規範に公然と挑戦し、さらにはいわゆる「台湾の未確定地位」を煽ろうとさえしている。これは首相の失策をさらに悪化させており、中国はこれに断固として反対しており、国際社会も厳重な警戒を強いられるべきである。我々は改めて日本に対し、真摯に反省し、誤りを改め、誤った発言を撤回し、中国へのコミットメントを具体的な行動で示し、国連加盟国として最低限の義務を果たすよう強く求める。
「サンフランシスコ平和条約」は、中国やロシアを除外して結んだから無効だとし、1949年建国の中華人民共和国は「中国全土を代表する唯一の合法政府」だと強弁しています。国際法をも自分の都合のよいように解釈して、自分の主張を押し通そうとする。まさに三戦の「法律戦」をまんまやっています。郭家坤:台湾の中国への返還は、第二次世界大戦の成果と戦後の国際秩序の重要な構成部分だ。カイロ宣言、ポツダム宣言、日本の降伏文書など、一連の国際法的効力を持つ文書は、いずれも中国の台湾に対する主権を確証している。台湾の地位問題は、1945年の抗日戦争の勝利によって早くも全面的に解決された。1949年10月1日、中華人民共和国中央人民政府が樹立され、中国全土を代表する唯一の合法政府となった。これは政権交代であり、国際法主体としての中国に何ら変化はない。中国の主権と固有の領土境界は変わらず、中華人民共和国政府は台湾に対する主権を含む中国の主権を正当かつ完全に享受し、行使している。 1972年の日中共同声明は、「日本国政府は、中華人民共和国政府を中国の唯一の合法政府として承認する」と明記し、「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを改めて表明する。日本国政府は、中国政府のこの立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第8条の立場を堅持する」としている。
いわゆる「サンフランシスコ平和条約」は、第二次世界大戦の主要当事国である中国やロシアを除外し、日本との一方的な和平交渉を行うために発布された文書である。この文書は、敵国との一方的な和平交渉を禁じた、中国、米国、英国、ソ連を含む26カ国が署名した1942年の国際連合宣言の条項に違反している。また、国際連合憲章や国際法の基本原則にも違反している。台湾の主権など、非署名国としての中国の領土権や主権に関する条項は、すべて違法かつ無効である。
高市早苗首相は、国際法上完全な法的効力を持ち、日中共同声明や日中平和友好条約といった二国間文書においても明確に強調されているカイロ宣言とポツダム宣言への言及を避け、代わりに違法かつ無効とされるサンフランシスコ講和条約のみを名指しした。これは、首相が依然として反省の念を示しておらず、日中四大政治文書の精神によって築かれた日中関係の政治的基盤を揺るがし続けていることを改めて示している。国連の権威を無視し、戦後国際秩序と国際法の基本規範に公然と挑戦し、さらにはいわゆる「台湾の未確定地位」を煽ろうとさえしている。これは首相の失策をさらに悪化させており、中国はこれに断固として反対しており、国際社会も厳重な警戒を強いられるべきである。我々は改めて日本に対し、真摯に反省し、誤りを改め、誤った発言を撤回し、中国へのコミットメントを具体的な行動で示し、国連加盟国として最低限の義務を果たすよう強く求める。
これについて、嘉悦大の高橋洋一教授は12月6日の北國新聞単独連載で次のように指摘しています。
【前略】高橋教授は、三戦の「法律戦」を挙げた上で、「国際法にはいろいろな抜け穴があり、中国は歴史戦を仕掛けている。サンフランシスコ平和条約には、中国とソ連が署名していないという点を突いている。中国は、こうした歴史戦を通じて、台湾、沖縄などについて自らの政策を正当化しようとしている」と中国は歴史戦を仕掛けているというのですね。
そのうちに、中国は51年のサンフランシスコ平和条約を違法、無効と言い出した。細かい法律戦は別として、サンフランシスコ平和条約が無効なら、それで放棄した台湾は日本領になってしまう。
しかし、国際法にはいろいろな抜け穴があり、中国は歴史戦を仕掛けている。サンフランシスコ平和条約には、中国とソ連が署名していないという点を突いている。中国は、こうした歴史戦を通じて、台湾、沖縄などについて自らの政策を正当化しようとしている。
要するに、今の中国は台湾のみならず、強欲にも沖縄まで自国のものと言っているのだ。多くの西側諸国はサンフランシスコ平和条約に署名していることから、この中国の主張はなかなか認められないだろう。
いずれにしても、日本は中国の主張に対して有効に反論しながら、自らの立場を世界に伝え、台湾のみならず沖縄まで自国領土としたい中国の覇権主義に警報を鳴らす必要がある。これこそが外交である。
3.台湾は日本のままになるぞ
この中国の主張について、12月7日、JーCASTニュースは「「サンフランシスコ平和条約は無効」発言に「台湾は日本のままになるぞ」のツッコミ なぜ中国は強引な主張を」という記事を掲載しました。
件の記事の概要は次の通りです。
〇中国側の主張と対応JーCASTニュースは、中国の発言は、高市発言に対する「意趣返し」であるとし、日本は「歴史的事実に基づく丁寧な情報発信と、国際社会との安定した対話」をすべき、と述べています。
・サンフランシスコ平和条約の無効主張:
+中国外務省の報道官は2025年11月27日、戦後日本の領土整理を定めたサンフランシスコ平和条約について、「中国やソ連など主要当事国を排除した状態で結ばれた」として無効を主張しました。
・尖閣諸島(釣魚島)への主張:
+12月1日には林剣副報道局長が尖閣諸島について「中国固有の領土」と主張しました。
・日本への抗議:
+高市首相の「台湾有事」に関する答弁に対し、中国外務省は「内政への乱暴な干渉」と反発し、11月13日に日本の金杉憲治・駐中国大使を呼び出して抗議しました。
・「琉球は日本ではない」報道:
+11月15日、中国共産党の英字新聞『チャイナ・デイリー』が「琉球(沖縄の旧称)は日本ではない」とする記事を発表しました。
・強硬な主張の背景:
+一連の主張は、高市首相の発言への「意趣返し」と見られています。
+SNSでは「サンフランシスコ平和条約が無効なら、台湾は日本のままになるぞ」という中国の発言への「ツッコミ」が見られました。
〇高市首相の発言と従来の日本の姿勢
・高市首相の発言:
+2025年11月7日の衆院予算委員会で、台湾有事について、集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になりうると明言しました。
・従来の日本の首相の姿勢:
+1972年の日中共同声明以降、日本の首相は中国の「台湾は中国の一部である」という主張に完全な同意を避け、存立危機事態についても明言を避けてきました。
+これは、1951年のサンフランシスコ平和条約で台湾の帰属先を明らかにしないまま放棄した経緯に連なる慎重な態度でした。
・「一線を踏み越えた」との見方:
+今回の高市発言は、過去の首脳の姿勢を大きく踏み越えたものと見られています。
・米国のメディアは、トランプ大統領が習近平国家主席との会談後に高市首相に自重を求めたと報じており、国際社会から「一線を踏み越えた」と見られている可能性が高いと指摘されています。
〇今後の課題
・名目GDPで日本の約4.5倍の規模を持つ中国との間でこの状況が続けば、日本経済に多大な影響が出ることは避けられません。
・歴史的事実に基づく丁寧な情報発信と、国際社会との安定した対話を今後いっそう考えていくべきであるとしています。
4.中国の複合法律戦
前述の高橋洋一氏は、中国のサンフランシスコ平和条約無効論について、「多くの西側諸国はサンフランシスコ平和条約に署名していることから、この中国の主張はなかなか認められないだろう」と述べていますし、ネットでは、サンフランシスコ平和条約を無効にしたら、台湾は日本に戻ってくるぞ、と盛り上がっていますけれども、本当に中国は何も考えずにそんなことを言い出しているのか。
これについて、一般社団法人日本沖縄政策研究フォーラム理事長の仲村覚氏は、全て何年も前から計画していた、国連を舞台にした複合法律戦だと警鐘を鳴らしています。
日本沖縄政策研究フォーラムは12月2日付の記事「中国複合法律戦:王毅外交の初動と日本の主権防衛に向けた緊急提言」でその戦略を分析しています。
件の記事の概要は次の通りです。
〇中国複合法律戦の概要と戦略つまり、中国は、国際社会を巻き込んで、自分の味方につけ、日本を孤立化させることによって尖閣も台湾も自分のものにしようと狙っているというのですね。
・2025年11月下旬の王毅外交の動きを起点とし、中国が国連(UN)のメカニズムを悪用して展開する「複合法律戦(Lawfare)」の戦略的エスカレーションを分析・シミュレーションする。
・示される戦略は、中国の戦略的な基本原則と国際法の仕組みに基づき、「高い論理的必然性をもって実行されるリスクがある」と判断した。
・軍事的な衝突やグレーゾーン活動を、国際的な議論の場を有利に設定するための「手段(入場券)」と位置づけ、国連総会や国際司法裁判所での法律戦を通じて、現場の現状を不可逆的に変更することにある。
〇王毅外交による初動(戦略的舞台設定)
・2025年11月下旬の王毅氏と英・仏常任理事国との会談が発生。これは対日批判の舞台を二国間から多国間の「戦後秩序」論争へとシフトさせるための重要な外交的布石(発生済)
・王毅氏は「ポツダム宣言」のような特定の法的用語を避け、「第二次世界大戦の勝利の成果を共同で擁護する」必要性を強調し、英仏との摩擦を最小限に抑えた。
・この外交的布石の直後、中国は日本の防衛政策に関する発言を「国際法に違反し、戦後国際秩序を損なう」行為であると非難する公式書簡を国連文書に記録。これにより、日本の行動が論争の俎上に載せられ、制限をかける効果を狙っている。
〇複合法律戦の四段階エスカレーション・シミュレーション
・東シナ海での偶発的な紛争をトリガーとし、中国が安保理に議題を持ち込み、米国・英国・フランスの拒否権行使(否決)を誘発した後、以下の論理的な四段階でエスカレートさせると予測。
+フェーズ I:認知領域の支配と外交的非難(情報戦):
/拒否権行使直後に情報空間を支配し、常任理事国(米・英・仏)と日本を国際的に孤立させる。
/拒否権を行使した国々に対し、「偽善性」の非難を即時に展開する。
+フェーズ II:国連総会への舞台転換:
/安保理の「機能不全」を根拠に、議論の場を国連総会へ移す(極めて高い蓋然性がある)。
/国連総会の多数決の権威を利用し、国際的な正当性を確立する
+フェーズ III:国際司法裁判所(ICJ)による法的正当性の追求:
/国連総会での多数決を背景に、国際司法裁判所(ICJ)への「勧告的意見(AO)」の要請を目指す(高い蓋然性がある)。
/これにより、日本の法的地位を恒久的に不安定化させることを狙う。
+フェーズ IV:軍事・経済的強制力の統合:
/法的・政治的成果を「許可証」として、経済制裁やグレーゾーン活動を正当化し、現場の現状変更を加速させる
■複合法律戦の戦略転換マトリックス
この戦略の核心は、軍事的な衝突やグレーゾーン活動を、国際的な議論の場を有利に設定するための「手段(入場券)」として利用することにある。
1)初動:軍事活動の発生と安保理への議題持ち込み
・国際社会/日本側の認識: 東シナ海の偶発的紛争(軍事活動による緊張の発生)
・中国の真の戦略的目標: 安保理への議題持ち込み(国際的な法的議論の強制開始)
・戦略的役割の転換: 軍事活動は、安保理に議題をエスカレートさせるための「手段(入場券)」となる。
+軍事活動は、安保理が関与できる唯一の根拠である「国際的な平和と安全への脅威」という要件を満たす法的口実を提供します。
2)中間段階:拒否権の誘発とレバレッジの獲得
・国際社会/日本側の認識: 安保理の議論(「先住民族問題」による主権への挑戦)
・中国の真の戦略的目標: 常任理事国(米・英・仏)による拒否権の誘発(偽善性の証拠収集)
・戦略的役割の転換: 拒否権は、安保理の機能不全を証明し、議論の場を国連総会・国際司法裁判所へ移すための梃子(レバレッジ)となる。
+中国は、拒否権行使直後に情報空間を支配し、拒否権を行使した国々(米・英・仏)を「戦後秩序の守護者」としての役割を果たせなかったとして国際的に非難します。
3)最終段階:法律戦による現状の不可逆的変更
・国際社会/日本側の認識: 安保理の否決(「平和維持の失敗」と国際的なパニック)
・中国の真の戦略的目標: 国連総会・国際司法裁判所での法的優位性の獲得(国際的な合法性の創出)
・戦略的役割の転換: 法律戦(裁判所・総会)は、現場の現状を不可逆的に変更するための核心的手段となる。
+国連総会での多数決や国際司法裁判所での「勧告的意見(AO)」の獲得を目指し、その法的・政治的成果を**経済制裁やグレーゾーン活動を正当化する「許可証」として利用する。
〇戦略的タイミング
・中国が紛争(入場券)を発動するタイミングは、日本の国内の政治的脆弱性が最大化する時期(特に4月〜6月の「琉球地位未定論」や「沖縄孤立論」を煽る世論戦のピーク)に同期させる可能性が高い。
・この時期に紛争を起こすことで、「これは単なる領土紛争ではない。日本政府による『先住民族(琉球の人々)』への弾圧と主権侵害に対する、国際的な人権救済の要請である」という倫理的大義名分を国際社会に提示することを狙っている。
また、日本沖縄政策研究フォーラムは、11月22日付の記事「ポツダム宣言体制の復活を許すな!悪用されてきた「2014年日中合意」」では、2014年に結ばれた「日中四項目合意」について次のように分析しています。
・2014年合意の第1項には、「双方は、日中間の四つの基本文書の諸原則と精神を遵守し…」とある。ポツダム宣言は、第二次世界大戦の終結に際し、連合国が日本に対して発した降伏勧告の最終宣言であるのに対し、サンフランシスコ平和条約は日本が独立国として国際社会に復帰することになった条約です。
・中国側のロジックは、この一文を起点に、以下のようにポツダム宣言へと接続されている。
+2014年合意第1項: 日本は「四つの基本文書」の遵守を再確認した。
+1972年日中共同声明(基本文書の一つ): その第3項には「日本国政府は…ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」と明記されている。
+ポツダム宣言第8項: 「カイロ宣言の条項(盗取された領土の返還)は履行されるべし」と規定している。
+結論: したがって、日本は2014年の合意においても、ポツダム宣言に基づき尖閣諸島(釣魚島)を中国に返還する義務を再確認したことになる。
・中国は、この第1項目を根拠に、「日本は2014年にもポツダム宣言の精神を守ると約束したではないか」と主張し、日本の主権行使を「約束違反」として批判しているのである。
つまり、中国は今の世界秩序の法的根幹をサンフランシスコ平和条約からポツダム宣言に変えさせることができれば、日本を国際社会の一員から、被占領国の地位にまで貶めることができるという訳です。
ポツダム宣言による国際秩序構築。これが中国の狙いだとすると、確かに、サンフランシスコ平和条約は邪魔になります。今、中国は、その邪魔なサンフランシスコ平和条約を消しにかかり始めた。であるが故に、一見荒唐無稽な「サンフランシスコ平和条約無効論」を言い出した。そう考えていくと辻褄があってきます。
日本沖縄政策研究フォーラムは対抗策として、「日本政府が、戦後国際秩序の根幹は、サンフランシスコ平和条約と国連憲章であり、ポツダム宣言ではないと明確に国際社会へ宣言すること」と、「アメリカと連係して、日米共同でサンフランシスコ平和助役体制の法的優位性を再確認する閣僚級以上の共同声明を発出すること」の2点を提言しています。
日本政府は勿論のこと、日本国民も、国際秩序の根幹は、サンフランシスコ平和条約と国連憲章であることを再確認し、世界各国と協力して、今一度大きく宣言すべきではないかと思いますね。
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