
1.aespaの激震
1月2日、ビデオリサーチは、昨年大晦日の「NHK紅白歌合戦」の平均世帯視聴率で、午後9時から11時45分までの第2部が35.2%(関東地区)だったと発表しました。合格点とされた35%超えを3年ぶりに記録したということです。
その一方、今年の紅白では、国内に激震を起こしました。aespa問題です。
aespaとは、韓国大手SM ENTERTAINMENT所属の4人組ガールズグループで、メンバーは、韓国出身のカリナとウィンター、日本出身のジゼル、中国出身のニンニン。多国籍なバックグラウンドを持つグループです。
問題の発端は2022年に遡ります。中国人メンバーのニンニンがファン向けアプリに「かわいいライト買ったよ」と卓上ランプの写真を投稿したところ、そのランプが原子爆弾によって生じるきのこ雲のような形をしていたため、当時、一部で物議を醸しました。
紅白出場が決まったことでこの騒動がSNSで再燃。オンライン署名サイト「Change.org」では「aespaの紅白出場停止を求めます」という署名活動が開始され、昨年12月24日時点で14万件を超える件数にのぼりました。
けれども、NHK側はこの署名活動に対し、特段の対応や出場取り消しといった措置を取ることはありませんでした。渦中のニンニンはインフルエンザになったとかで出場辞退したものの残りの3人のメンバーは、予定通りステージに立ちました。
2.原爆被害を軽視し揶揄するような意図がなかったという大嘘
このaespa紅白出場騒動については国会でも取り上げられました。
2025年12月2日の参議院総務委員会で、日本維新の会・石井苗子議員はNHKと次のような質疑を行っています。
石井苗子議員:
小池理事の方から、NHK放送の内容に関してはかなり丁寧に調査吟味をして、有識者の方々にも意見を聞き、公共放送としてふさわしい番組コンテンツを制作しているということで、業務運営にも適切にこの組織としての責任を負っていくというご説明がございました。
ここで皆様もご存知だと思いますが、昨年、性加害疑惑を報道された人物が監督した映画の主題歌を紅白歌合戦の舞台で歌唱することが、二次被害にあたる可能性があるという一部の批判に対し、その可能性を排除することもできないということで、当該アーティストと紅白制作チームの協議の結果、かなり直前に曲目を変更するという対応があったと承知しております。
資料6を見ていただきたいのですが、今年出場が決定したアーティストの中に、原子爆弾のきのこ雲をデザインしたような卓上のライト――写真がそうです――これを「プリティ(可愛い)」と評価した人物が含まれていたということで、本件については、当該人物が所属するグループの紅白出場停止を求めるネットの署名が12月現在で10万人を超えております。
NHKは紅白の出演について、「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画・演出にふさわしいか」という3点から出場者を総合的に判断しており、今の段階で予定に変更はないと回答されていると報道があります。このグループの出場の判断、NHKとしてはどのように整理して受け止めたのかお伺いします。
山名啓雄理事:
お答えいたします。ご指摘のアーティストにつきまして、所属事務所の方に、当該メンバーに原爆被害を軽視し揶揄するような意図がなかったということなどを確認してございます。 そして、ご案内のように紅白歌合戦の出場アーティストにつきましては、「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画・演出にふさわしいか」という観点から、NHKの自主的な判断で決定をさせていただいております。 紅白歌合戦の出場者、そして曲目などにつきましては、毎年多くの視聴者の皆様から様々なご意見をいただいておりまして、今後もできる限り多くの方に喜んでいただけるような番組作りに努めてまいりたいと考えております。
石井苗子議員:
はい。NHKの紅白はですね、「今年のパフォーマンスはあれが良かった」「赤組がどう、白組がどう」といったことで評価をもらう番組にしていただきたいんですが、SNS絡みの事例というのは、起こる可能性があるか分からないものです。
SNSで何かあった場合、全てNGだと申し上げているわけではなくて、例えば、出場ガイドラインのようなものの中に、世の中の変化に伴って「何ヶ月前までには出場者の変更はしない」というような規定も設けた方が良いのではないかと思うんです。「SNSで何かが起こるたびにどうしたらいいか」と考えるのでは、「分からなかった」では済まない時代だと思います。
NHKは、災害報道やドキュメンタリー番組など、NHKが誇れるという番組がたくさんあると私は思っております。SNSの批判というような事案が続いてしまえば、公共放送としての信頼を失ってしまう。そのあたりは、国民の皆様に理解してもらいやすいように、今後どうしていくか。これはNHKの会長に意気込みをお伺いしたいと言い出し思います。
稲葉清三会長:
紅白歌合戦を始め、こうした参加者の方々を巡るいろんな動きがございます。現状、清掃(※注:文脈から「選考」や「情勢」の意か)を通じた様々な動きがありまして、それを前もって累計化して対応方針を決めるというのも、なかなか難しい問題があります。その時々で、どのように判断するのが適切かというのを考えながら決めていきたいということでございます。
いずれにしても、例えば紅白歌合戦であれば、曲目、番組の構成など、毎年多くのお声をいただいていまして、視聴者の皆様の関心や期待が非常に高いという風に思ってございます。そうした声に応えて、できるだけ視聴者の皆様に喜んでいただけ、一年を締めくくるにふさわしい内容の番組になるよう、引き続き努力してまいりたいという風に思います。
いずれにしても、NHKは正確で豊かな情報を広く伝えて、人生に彩り寄り添えるような番組コンテンツを間断なく提供する役割・使命を果たし続け、国民の皆さんの信頼に応えていきたいという風に考えてございます。
石井苗子議員:
はい、ご説明よく分かりましたが、今の時代は情報の発信のスピードと深さが早い(速い)ので、これはぜひ前もって色々とご検討されるガイドラインというようなものをお作りになられた方がいいかと思います。
この質疑でNHKの山名理事は、ニンニンに原爆被害を軽視し揶揄するような意図がなかったということなどを確認したと答弁していますけれども、これは真っ赤な嘘だと指摘する声がありました。ジャーナリストの山口孝之氏です。山口氏は動画で次のように述べています。
山口氏:確かにこれを見ると、揶揄する意図はなかったというのは無理があると思います。
これは完全な嘘です。国会で嘘をついた。エスパという韓国の、ま、音楽グループの中国人メンバー、ニンニンという女が、原子爆弾のきのこ雲をデザインしたような卓上ライトをこれ購入した上で、「可愛いでしょ」って投稿したっていうんですね。
とんでもないことじゃないですか、そんなの。その実際の投稿がこれなんですね。そのニンニンという女が、本人がそれを知っていたかどうか分からないと言っているんですが、NHKはそれを真に受けてか、山名という人が石井苗子さんの質問に対して、そのニンニンというね、メンバーは原爆被害を軽視・揶揄する意図はなかったことを確認したと言ったんです。
ところが、これは完全な嘘です。国会で嘘をついた。どういう嘘をついたか私、証明します。
このニンニンという女が買った韓国のサイトでどういう風に言っているか。「核爆発ムード」、名前が「きのこ雲」、「広島のあの日」という名前なんです。
この商品名を見て買った女が、原爆で苦しんで死んでいった日本人を揶揄する、軽視する、その気持ちがなかったはずがないじゃないですか。
これ、明らかな虚偽答弁をしたんです。私たちの税金と受信料を使って、今度NHKが大晦日の紅白歌合戦にこの人たちを出場させてあげるそうです。
悲劇をあざ笑う人間がNHKの公共放送に登場することは絶対に耐えられないと思う方は、ぜひね、Change.orgの「紅白出場停止を求めます」というサイトに署名をしてみてください。
3.金と枕営業
12月30日、aespaの紅白出場停止を求める件に関する記者会見が行われました。
会見に臨んだのは、日本維新の会の石井苗子・参議院議員、元ジャニーズ所属で、現在は「メンズ地下アイドル」をプロデュースしている磨童まさを氏、インフルエンサーの地雷チャン氏です。
会見の模様はネットにアップされていますけれども、その概要は次の通りです。
〇 aespaの紅白出場停止を求める主な理由磨童まさを氏は、今回の問題について、SMエンターテインメントによる明確な謝罪がないこと、本人が直接説明すべきであることを指摘していますけれども、筆者が気になったのは、紅白出場の裏に、いわゆる「枕営業」があるという指摘です。
+ 原爆を模したランプをSNSに投稿した行為の重大性
/ 歴史的悲劇を軽視し、被爆者や遺族の感情を逆なでする行為であるため
/ 日本の公共放送であるNHKの舞台に立つ者として、著しく不適切であるため
〇 NHKおよび関係機関の対応への批判
+ 14万人を超える反対署名の受理拒否
/ 窓口で「ビジネス関係がない」という理由で拒絶された事実の告発
/ NHK側が「拒否の事実はない」と虚偽の説明を行っていることへの抗議
+ 国会および公共放送としての責任欠如
/ 揶揄する意図の有無にかかわらず、国民の不快感に対する説明が不十分
/ 「音楽で国境を超える」というスローガンが特定勢力の優遇に利用されている疑念
〇 登壇者の主張と今後の決意
+ インフルエンサーとしての社会的責任
/ Z世代のファンに対し、正しい歴史認識と道徳観を伝える必要性
/ 殺害予告などの過激な嫌がらせに対しては、法的措置を講じる姿勢
+ 公共放送のあり方への提言
/ 受信料を支払う日本国民の感情と優先順位を第一に考えるべきである
/ 改善が見られない場合、NHKの解体や受信料解約運動が加速する可能性の示唆
件の部分のやりとりは次の通りです。
事務局(進行):生配信のチャット欄からも質問が寄せられております。エスパさんが所属されているSMエンターテインメントさんに関して、出場を進めている件についてどういった見解があるかという質問をいただいております。磨童まさを氏が指摘するように、金と枕営業で出場者が決まるのであれば、わざわざ税金をいれて番組を作らせるものなのかという疑問は拭えません。
磨童まさを:僕は正直申し上げますと、ま、やっぱり金銭的な関係なのと、あと僕は結構芸能界の裏を見てきたので分かるんですけど、枕営業だったりとかそういうのもあると思います。はい。
記者(フィー):最近、民放もそうですけど、非常に韓国をゴリ押ししているなと感じることがあります。NHKの内部にどれくらい韓国の影響を受けていたり、そういった人材がいらっしゃるのか。影響を受けるようなポジションにいるのか、そういった話ってお聞きになったことはありますか?
石井光子:具体的に何人でどのくらい影響があるかという話を私が伺ったことはないんですけれども。
磨童まさを:枕営業ってさっき僕出しましたけど、その何か裏付けみたいなのを聞いたことが(あるかということですか)?
記者(フィー):裏付けとかは特にないんですけど、やっぱり僕も芸能界20年いたので、そういう話はやっぱり結構聞くんですよ。で、やっぱりNHKがあそこまでね、こんなに大炎上して、あんなにかたくなにエスパをずっと出演させようとしてるのは、やっぱり僕、お金関係か、ま、そういう芸能界の闇だったりとか、そういうことしかないと思ってるんですよね。他に理由がないと思ってます、僕は。
地雷チャン:あ、私も賛同します。私も芸能界10年以上いるんですけれども、やはりあの声優の業界にも枕営業だったりっていうのが横行してるのは事実なので。なので私はそれを批判的に見てたので、もちろん参加をしたこともありませんが、そういう事実があることはありますので、これが会議(出場決定)の原因です。はい。
石井光子:今回の本人たちが、というのではなく、大きな事務所なので、SMエンターテインメント、あそこは(他に)ハイブとかありますし。おそらく違うんでしょうけれども、本人たちが駆り出されるわけではないんでしょうけど。
磨童まさを:もしあるとしたら、そのもっと売れる前の形とか。
地雷チャン:あ、そうですね。大体「枕隊」と呼ばれる人たちは売れてない人たちなので、声優業界でも同じでした。
4.有吉の沈黙
ただ、紅白の本番ではaespa出演の場面では少し異例の事態が起こりました。
パフォーマンス前の曲紹介で、aespaに関しては司会のNHKの鈴木奈穂子アナウンサーが紹介し、司会の有吉弘行氏と綾瀬はるか氏が紹介することはありませんでした。
『紅白』では、説明事項などをアナウンサーが読み上げることはあっても、曲紹介はタレント司会が担当することが殆どですから、異例といえ、さらにパフォーマンス披露後も、aespaのメンバーと司会陣らのやり取りは一切ありませんでした。
NHKの鈴木アナがaepsaの曲紹介をしている際、横にいた司会の有吉弘行氏が他の曲紹介の場面とは打って変わって、口を真一文字に結び、固い表情でいたことに、Xでは「aespaの紹介は最初も終わりもNHKのアナウンサーだったね。 有吉さんは真顔だった」「aespa紹介の時、広島出身の有吉は笑顔なし 抗議の気持ちの表れか」などの声が上がりました。
これについて、「紅白」に近いある音楽関係者は「SNS上では、広島出身の有吉さんが、aespaに対して抗議の意味で“真顔”になったと指摘する人もいますが、本当のところはわかりません。ただ、こうした騒動があったことから、aespaが関連する場面の一挙手一投足に注目が寄せられていたことは間違いありません。NHKも出場自体は問題ナシとしたものの、パフォーマンス以外は半ば“隔離”的な対応をし、これ以上余計な火種を生まないよう配慮した結果、このような対応になったのだと思います。何をしても炎上する状態になってしまっていますから、aespa、進行する司会双方にとってもこれがベストな選択だったとは思います」とコメントしています。
筆者は、有吉氏は事前に自分で曲紹介はしないとNHK紅白スタッフと話していたのではないかと思っています。
なぜなら、紅白は、その台本も時間も秒単位で決められて進行するからです。
2021年の『第72回NHK紅白歌合戦』で司会を務めた俳優の大泉洋氏は、本番前日に東京国際フォーラムで行われたリハーサルに参加。報道陣の取材に応じたのですけれども、アドリブについて聞かれた大泉氏は「紅白というのは時間が秒で刻まれていく。私が1つアドリブを入れると何かを削らないといけなくなるので、余計なことはしちゃいけないなと。私が割り振られている台本の中で私が勝手に入れ替えるということになろうかとは思っています……あまり私は時間を気にしていないので、そこは両サイドの2人が気にしていただけたら。私は45分で終わらなくていいと思っている。紅白過激派なので」と明かしています。
ということは、aepsaの曲紹介を誰がやるかについても、みっちりと台本を練った筈で、有吉氏、綾瀬氏にも話をしたと思われます。その結果ああなったということは、両氏が自分で紹介はしなくない、あるいはしないと意思表示したのではないかと考えています。
当日、aespaが歌った曲は、『Whiplash』という2024年10月にリリースされたaespaの5thミニアルバムのタイトル曲でだったのですけれども、この曲の冒頭部分の歌詞は「One look give 'em Whiplash (衝撃をお見舞いするわ)」「Beat drop with a big flash(ビートが落ちたとたん大きなフラッシュと一緒にね)」となっていることから、SNS上では、日本語訳された歌詞の一部が原爆を連想させるという指摘が拡散されていました。
しかも、有吉氏、綾瀬氏の両司会が共に広島出身であることを考えると、配慮が無さ過ぎます。
もし、本当に有吉氏、綾瀬氏はaespaの局紹介を拒絶したとしても無理からぬことだと思います。この件はNHKにとっての汚点になったのは間違いないと思いますね。
この記事へのコメント