
1.台湾は独立国だと証明できた
1月6日、日本維新の会の石平参院議員は、台湾を訪問。台北松山空港で報道陣の取材に応じた石平氏は、中国語と日本語で挨拶。自身が中華人民共和国から入国禁止措置を受けていることに触れつつ、問題なく台湾に入国できたとし、「台湾は中華民国であり、中華人民共和国とは全く違った別々の国であることをこの瞬間に証明してみせた……世界に対して台湾は独立した国家であることを伝えた」と述べました。
石平氏は台湾に4日間滞在するとし、各界の関係者といかに台日間の友好・協力関係を強化し、台湾海峡とアジアの平和を維持するかについて話し合うと語った上で、今回の訪台で多くの成果を得たいとし、台湾の各界の友人たちと楽しい時間を過ごせることを願っているとコメントしました。
翌7日、日本維新の会の藤田文武共同代表は記者会見で、石平氏の訪台について、「石平議員は自身の出自も含めて相当、この問題に思い入れがあると思う……今回の件については、党としても報告を受けているし、それは個人の議員として信念のもとに行っているものと承知している」と背景を説明しています。
一方中国はというと、中国外務省の毛寧報道官は、この日の定例記者会見で、AFP通信の記者から「石平氏が訪台し、台湾が独立国家だと表明したことについてどうとらえるか」と質問が飛びました。この質問に毛寧報道官は「悪人の妄言は論評に値しない」と斬って捨てています。
2.石平に対する反制措置を講じる決定について
石平氏は自身で中国からの入国禁止措置を受けていると述べていますけれども、その措置は昨年9月8日に発効しています。
その内容は次の通りです。
「石平に対する反制措置を講じる決定について」この制裁措置が発効した翌9日、在日本中国大使館の報道官が会見で、これについて質問されています。その模様は次の通りです。
日本の参議院議員・石平は、長期にわたり台湾、釣魚島(尖閣諸島)、歴史、新疆、チベット、香港などの問題に関して誤った言論を拡散し、公然と靖国神社を参拝してきた。
これらの行為は、中日四つの政治文書の精神および「一つの中国」原則に重大に違反し、中国の内政に深刻に干渉し、中国の主権および領土保全を深刻に損なうものである。
《中華人民共和国反外国制裁法》第三条、第四条、第五条、第六条、第九条、第十五条の規定に基づき、中国側は石平に対し、以下の反制措置を講じることを決定した。
一、中国国内におけるその動産、不動産およびその他各種財産を凍結する。
二、中国国内の組織および個人が、石平といかなる取引、協力等の活動を行うことを禁止する。
三、本人および直系親族に対し、査証(ビザ)を発給せず、入境を認めない(香港・マカオを含む)。
本決定は、2025年9月8日より施行する。
中華人民共和国外交部
外交部令第17号
2025年9月8日
【記者】中国の声明を見る限り、中国政府は、石平氏が「中国側の立場とは異なる主張」を発信したことと「靖国神社を参拝したこと」が原因としています。
中国外交部(外務省)がこのほど、日本の石平参院議員に対する制裁を発表したことについて、コメントは。
【報道官】
石平氏はかつて中国国籍を有していたが、日本に来て日本国籍を取得した後、長期にわたり有害な虚偽情報を公然と撒き散らし、悪意をもって中国を誹謗中傷し、頑なに極端な反中的言動や中国を敵視する言動をとり続けた。
これは中日間の4つの基本文書の精神及び「一つの中国」原則に著しく背き、中国の内政に深刻に干渉し、中国の主権及び領土的一体性を深刻に損なうものである。良心を売り渡して私利をむさぼるこのような行為は、非常に軽蔑すべきものである。
「中華人民共和国反外国制裁法」に基づく中国側の対抗措置は、自国の権益を守るために必要な措置であり、石氏らに対する強力な懲戒であり、厳しい警告である。
3.反外国制裁法
中国政府は石平氏に制裁を加える根拠として、中国の「反外国制裁法」を出していますけれども、これは、2021年6月10日に施行された法律で、アメリカをはじめとする諸国が中国に対して行う制裁に対し、中国政府が報復措置を講じるための道具として使われています。
声明で取り上げられたこの法律の該当条項と主な内容は次の通りです。
第3条:中華人民共和国は覇権主義と強権政治に反対し、いかなる国がいかなる口実や方法によって中国の内政に干渉することにも反対する。第3条で、「中国の内政への干渉」や「差別的措置」があったら制裁するとしていますけれども、石平氏が靖国神社に参拝したことのどこが、内政干渉あや差別的措置になるのでしょう。相当に恣意的な運用ができる法律である匂いがプンプンします。
外国が国際法と国際関係の基本的準則に違反し、さまざまな口実や自国の法律を利用して我が国を封じ込めたり、抑圧したり、中国の公民や組織に対して差別的、制限的な措置をとったり、我が国の内政に干渉したりした場合、我が国は相応の対抗措置を取る権利を有する。
第4条:対抗措置の対象となる個人や組織を「反制裁リスト(ブラックリスト)」に掲載することができる。
第5条:リストに載った本人の配偶者、直系親族、および本人が実質的に支配・管理する組織(企業など)も制裁対象にできる。
第6条:国務院の関係部門は、それぞれの職責に応じて、実際の状況に基づき、本法第4条および第5条に規定する個人および組織に対して、以下のいずれかの措置または複数の措置を講じることを決定することができる。
1. ビザ発給拒否・入国禁止(香港・マカオ含む)
2. 中国国内の資産(不動産・動産など)の凍結・差し押さえ
3. 中国国内の組織・個人との取引や協力の禁止
4. その他必要な措置
第9条:対抗措置リスト及び対抗措置の確定、停止、修正又は取消しは、外交部又は国務院の関連部門の命令により公布される。
第15条:中国の主権、安全、発展の利益を損なう「その他の行為」に対しても、この法律を適用して対抗措置をとることができる。
4.「漢奸」石平有話要説
中国が石平氏への制裁を発表した2025年9月は、石平氏が2025年7月の参議院選挙で日本維新の会から初当選してから2カ月後です。やはり日本の国会議員になり、政治的影響力を持ったことで恐れを抱いた可能性も考えられます。
もっとも、石平氏によると、この制裁措置によって自分が海外の中国人の間でも一躍有名になったと述べており、それを利用して、昨年10月から月2回程度で中国語での動画配信を始めています。
今年1月3日、石平氏は「「漢奸」石平有話要説 新年特別号」という中国語での新年挨拶動画をアップしています。
件の動画の概要は次の通りです。
〇 2025年の振り返りと個人的な重要事この動画で既に石平氏は、自分が台湾に入国することは台湾が中国の支配を受けない別の国だという証明になると述べています。
+ 日本の憲政史上初となる中国大陸出身の国会議員誕生
/ 四川省で生まれ育ち日本に帰化した経歴での当選は歴史的先例
/ 参議院外交防衛委員会での初質問時に大きな反響を受ける
+ 中国政府による制裁対象となった日本人議員第1号としての名誉
/ 中国国内に資産はなく入国意志もないため実害は一切なし
/ 制裁により海外華人社会での知名度が飛躍的に向上
/ 次回選挙に向けた強力な政治的ブランドとしての活用
〇 日本の政治情勢と国防への展望
+ 高市早苗首相の誕生と異例の高支持率
/ 若年層を中心に圧倒的な支持を獲得し安定した政権運営を継続
/ 中国による多方面の圧力や脅しに屈しない姿勢を堅持
+ 国防力の抜本的強化と憲法改正の推進
/ 習近平政権の脅威により日本国民の国防意識が覚醒
/ 自衛隊を「国防軍」と明記するための憲法第9条改正を目指す
〇 台湾訪問の目的と国家承認の証明
+ 日本の国会議員(外交防衛委員会理事)としての公式訪問
/ 台湾の要人や国防関係者との日台協力体制の強化に向けた協議
+ 「肉身(身一つ)」による台湾独立の証明
/ 中国入国禁止の身で台湾に入国し、実効支配の及ばない独立性を提示
/ 中国外交部がこの論理的矛盾を突く質問に対し回答を回避
+ 台湾の安全保障と日本の命運の密接な関係
/ 台湾海峡の平和維持は日本の安全保障に直結する死活的問題
/ 板明夫氏のシンクタンク「インド太平洋戦略智庫」による招待
〇 将来的な中国への理想と個人の抱負
+ 中国の「大一統」からの脱却と諸国分裂の提唱
/ 春秋戦国時代のような多様な国家が共存する形式を理想視
/ 四川、上海、広東などが独立した民主国家となる平和的未来
+ 政治家としての不退転の決意
/ 「漢奸」との批判を恐れずアジア全体の平和と民主主義のために尽力
そして、最後に「いつの日か中国が民主的で文明的な国家になることを願っています。個人的な理想を言えば、中国は「大一統(中央集権)」ではなく、春秋戦国時代のように分裂し、四川共和国や上海共和国といった複数の国になるのが、自由な思想が育まれるためにも、平和のためにも最善だ」と述べて締めくくっています。
中国当局がいくら石平氏を制裁しようが何をしようが、帰化して日本に住んでいる石平氏の動画配信を止めることは難しいでしょう。しかも制裁したお陰で、石平氏が中国語での発信を始めてしまうという藪蛇というおまけつきです。
日本の国会議員である石平氏の発言力が増すことで、どのような変化が起きてくるのか注目して見守っていきたいと思います。
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