
1.錯綜する張又侠失脚情報
中国でのクーデター未遂説については、現在も様々な情報が飛び交っていて未だ判然としていません。
1月30日、ジャーナリストの鳴霞氏は自身の動画で次のように解説しています。
聞き手: 中国軍部が、習近平国家主席の指示で張又侠氏を軍紀違反で拘束し、取り調べを開始したとの発表があり、世界中に衝撃が走っています。一方で、逮捕は事実ではなく、反習近平派の軍が北京を制圧するクーデターが発生し、習近平氏が逃亡中であるとの錯綜した情報もあります。現在、どのような情報が集まっているのでしょうか。鳴霞氏によると、 張又侠氏と劉振立氏の拘束は間違いないようだが、決定的な証拠はなく、北京は事実上の戒厳状態にあると述べています。
鳴霞氏: 張又侠氏の後任に関する情報も含め、過去の経緯を分析した結果、粛清が行われたのは事実と考えられます。習近平氏は昨年末から、張又侠氏と劉振立(りゅう・しんりつ)氏を拘束する計画を立てていたようです。その主な理由は、張又侠氏が台湾侵攻に対して慎重な姿勢を崩さず、反対し続けたことにあります。 中国政府は1月24日に張又侠氏の拘束・調査を発表しましたが、それ以降の28日まで、追加の情報は一切途絶えています。
聞き手: 米国メディアの一部では、張又侠氏がミサイルの機密情報を米国へ漏洩させたことが原因と報じられていますが、この点はいかがでしょうか。
鳴霞氏: それは事実ではありません。習近平氏がメディアを掌握し、張又侠氏を陥れるために、親中派の海外メディアに虚偽の情報を流させたものと思われます。 現在、民主活動家などからの情報を総合すると、信頼度は80%から90%に達します。私が詳細に記録した最新の状況をご報告します。
鳴霞氏: 25日以降、北京周辺で軍が動いており、戦車が出動したとの情報もあります。信頼できる情報源によれば、張又侠氏に近い軍人たちが動いた可能性が高いです。張又侠氏が現在も拘束下にあるという見方が有力です。 習近平氏は昨年、台湾侵攻の具体的計画を策定しましたが、張又侠氏は「軍が崩壊する」として強く反対しました。習近平氏にとって、張又侠氏は台湾侵攻の最大の障害となっていたのです。
鳴霞氏: 12月頃、張又侠氏は習近平氏に対し、「相次ぐ軍幹部の逮捕により、軍が機能不全に陥っている」と進言しましたが、これが習近平氏の逆鱗に触れました。ミサイル軍のトップなども既に排除されており、最後に残った大物である張又侠氏がターゲットとなったのです。
鳴霞氏: 現在、北京市内には第82集団軍が進入しているとの情報もあり、内戦に近い緊迫した状態です。共産党の長老たちが仲裁に入り、平和的解決を模索しているようですが、一歩間違えれば国家の崩壊を招きかねません。北京は事実上の戒厳状態にあり、米国防総省も事態を注視しています。
鳴霞氏: 加えて、胡錦濤前国家主席が病死したという未確認情報もありますが、政府は混乱のため発表できずにいるようです。また、北京郊外での銃撃戦や、会食の場を利用した張又侠氏の拘束劇など、具体的なエピソードも伝わっています。
鳴霞氏: 聯合参謀部参謀長の劉振立氏も、家族と共に拘束されたと言われています。彼は身の危険を察知し、半年前から軍の指揮センターに身を隠していましたが、最終的には拘束されたようです。 現在、軍用車両が移動する様子も確認されていますが、決定的な映像証拠はまだ出ていません。私個人の見解としては、張又侠氏ほどの人物をこれほど容易に排除できるのかという疑問もありますが、状況は極めて深刻です。今後も最新の情報が入り次第、皆様にお伝えします。
2.張又俠と劉振立はもう死んでいる
昨日のエントリーで、ニューヨークに本社を置く「看中国」紙が、張又侠が事前に用意していたとされる密信を公開したことを紹介しましたけれども、「看中国」の日本版YouTubeチャンネルの看中国フォーカスは、もっと過激な見立てをしているようです。看中国フォーカスは1月30日に「習近平執政10年で最も危険な瞬間、元中組部副部長が国外逃亡!習近平、1000万人規模の大粛清か 北京で銃声も」、「中共、最も危険な瞬間か?張又俠・劉振立はすでに死亡との噂、紅二代が激怒「一線を越えた!」胡錦濤・温家宝が圧力、習近平は追い詰められている…」という動画を配信しています。
件の動画の要点は次の通りです。
■習近平執政10年で最も危険な瞬間、元中組部副部長が国外逃亡!習近平、1000万人規模の大粛清か 北京で銃声も
〇軍用車両の移動と北京の厳戒態勢
+SNS上で大規模な軍用車列やミサイル部隊の移動映像が拡散
/張家口市から北京方向へ向かう動きが確認され反乱を疑う声も
+北京市内では夜間外出禁止や検問所の設置など戒厳令に近い状態
/長安街では軍と警察の特殊部隊による合同巡回が実施され緊張が走る
〇軍最高幹部である張又侠氏らの拘束と軍内の混乱
+中央軍事委員会副主席の張又侠氏と参謀長の劉振立氏が調査対象に
/習近平政権下で最大級の軍内粛清であり国内外に大きな衝撃
+軍内部では幹部の辞職が相次ぎ一部の官僚は国外へ亡命
/元中共中央組織部副部長がすでに海外へ脱出したとの情報
〇習近平氏への権威失墜と末端官兵の抵抗
+末端の兵士たちの間で最高指導者への敬意が消滅
/習近平氏を「パオズ」という蔑称で呼び不満を露わにする現象
+中央からの指令に対し各戦区の将官たちが沈黙による消極的抵抗
/軍の指揮系統が事実上の機能不全に陥っている可能性
〇台湾侵攻をめぐる戦略的対立
+習近平氏が掲げる「2027年までの台湾侵攻準備」への異論
/張又侠氏ら実務派はリスクを考慮し2035年までの延期を主張
+習近平氏の武力統一への執着は自身の権力維持と報復回避が目的
/軍全体の腐敗責任を最高指導部ではなく将官に転嫁し排除を継続
〇体制崩壊へのマイルストーン
+長年の盟友であった張又侠氏との決裂は権力構造の末期症状
/「第2の文化大革命」とも言える大規模粛清が党内を狂気へ
+党内抵抗勢力の一掃により改革の道が閉ざされ体制崩壊が不可避に
/権力の過度な集中が逆に体制の弱体化を招く結果となっている
■中共、最も危険な瞬間か?張又俠・劉振立はすでに死亡との噂、紅二代が激怒「一線を越えた!」胡錦濤・温家宝が圧力、習近平は追い詰められている張又俠氏と劉振立氏が既に死亡しているのが本当であればとんでもない情報ですけれども、件の動画では、この情報はあるうYouTubeチャンネルのブロガーが可能性としてあり得るとした上で「共産党の長老たちが習近平に彼らの安否を問い質している」と述べていると看中国フォーカスは紹介しています。
〇中国共産党内部における軍指導部の不透明な拘束と混乱
+張又俠と劉振立の2名が死亡した可能性と安否不明の状況
/公式発表では「調査中」だが、実際は蔡奇指揮下の武装集団による襲撃説が浮上
/警護兵が殺害され、軍の指揮系統が完全に麻痺している異常事態
+共産党長老および太子党(紅二代)による習近平への猛烈な反発
/胡錦濤や温家宝が説明を要求するも、蔡奇や習近平側は情報を遮断
/紅二代のルール(特権階級の保護)を壊したことへの軍幹部の激怒
〇習近平と反発勢力との対立構造の本質
+思想対立ではなく、特権階級の利権と将来の安定を巡る争い
/習近平の独裁的な統治が国際的孤立を招き、高官の利益を毀損
/習近平が「習家王朝」を目指し、娘の習明沢を後継者に育てる噂への警戒
+反習勢力が抱える「体制維持」という致命的なジレンマ
/習近平を倒したいが、特権の源泉である共産党体制は残したいという本音
/体制守護を掲げる習近平を、体制派の論理で排除することの難しさ
〇中国共産党の崩壊に向けた3つの最終シナリオ
+国内外からの圧力に伴う習近平の権力喪失と連鎖的な党の崩壊
+信頼していた側近による裏切りと暗殺、および後継者による解体宣言
+反習勢力の中から体制そのものを終わらせる人物が出現し、習近平を排除
+いずれの経路を辿っても、共産党体制の終焉は回避不能な段階へ到達
現時点ではその真偽は怪しいというか、なんとも判断できないのですけれども、昨日のエントリーで取り上げたように看中国紙が張又俠氏の密信を公開していますからね。筆者はなぜこのタイミングでそんな密信が公開されるのか不思議だったのですけれども、仮に張又俠氏が既に死亡しているとするのなら、このタイミングでの密信公開は、ある意味「遺書」代わりとみることもできる訳で、その意味では看中国紙はもっと詳細な情報を掴んでいることも考えられます。
3.素人が軍を動かす危険性
いずれにせよこれから注目が集まるのは、今後の習近平政権とその動きです。
1月30日、ネット動画「チャンネルくらら」では、元陸上自衛隊西部方面総監・陸将小川清史氏が解説者として、中国で今、何が起きているのかについて解説しています。
件の動画の概要は次の通りです。
小川清史(元陸上自衛隊陸将):他の識者含め、巷では、今回の粛清で習近平主席が軍の実験を完全に握ったという見方が出ていますけれども、小川氏によると、中国軍レベルの軍を動かすには最低でも25年から35年間の軍人としてのキャリアが必要であるにも関わらず、軍人でなく、政治家の習近平主席が直接軍隊に命令を下すことになれば、必要以上の犠牲を自国の軍隊にも強要するばかりか、他国にも無用の被害をもたらすかもしれないと警告しています。
はい、皆さんこんにちは。シンクタンク研究員の小川です。まず中国の状況ですが、習近平国家主席が軍の幹部、軍事委員会のメンバーを粛正していると言いますか、クビにしていくと、もうあと自分しか残っていないみたいな状態になっているわけですね。そうなると、これ軍事委員会、軍のトップ集団ですから、ここが軍隊を動かすことになっていますけれど、習近平が直接軍隊を動かすという状態になりかねない。これ、ある意味非常に危険です。
つまり軍人であれば、どれぐらいやれば妥当な作戦になるか、そのむやみやたらな人殺し集団にならないかってことを分かった上で、国家の意志を強要するための軍隊の動かし方って分かりますけれど、これ違う人がやった時は非常に危ないです。あのレベルの軍隊を動かそうと思ったら、どう考えても25年から35年間の軍人としてのキャリアが必要だと思います。軍隊を動かし訓練し、様々なことを学んできて、人の動かし方も分かってきて。ところがこの習近平は軍人じゃありません。政治家ですので、政治家が直接軍隊に命令を下す。これは、本当の可能性も考えずに、必要以上の犠牲を自国の軍隊にも強要するけれども、他国にも無用の被害をもたらすかもしれません。
まあ、これ第二次世界大戦におけるヒトラーが伍長までしかやっていない人が直接軍隊に対して「あっちを攻めろ、こっちを攻めろ」と。分散攻撃になって非常に損害を出す、で相手も非常に必要以上の苦しみを受けるっていう状態が生まれてしまいます。まあ最新でその中もガタガタになりますしですね。結果、ドイツが負けた時、降伏した時には真っ当な政府がない状態でしたので、もう強制的に停戦を受け入れ、敗戦国となったわけです。
その点、日本の場合(終戦時)は、きちんと対応する政府がいました。政府が対応して降伏文書にしました。もうこんな風になってしまったらどうでしょうか。中国、ま、確かに今の共産党一党独裁、習近平主席による国家運営っていうのは不安かもしれない、確かに危険です。でもこれが崩れてなくなったらどうなるか。ルーマニアのようにチャウシェスクが倒された時に、周りの国には民主主義国家がたくさん居続けでしたので、割とソフトランディングができましたが、今の中国ではそういう状態にならないかもしれません。
もしかしたらテロリストがたくさん出るかもしれないっていうか、出る可能性です。そうすると中東諸国でテロが発生し、様々な国に対してこう、まあ、あそこではですね、一番の狙いはイスラエルをなきものにしようということでテロリストがイランのテロの親分の支援を受けて動いていますが、それはヨーロッパ諸国にも波及してしまう状態。これと同じようなことが起きかねません。日本の国内でも。ですから、今の体制が崩れて違う形になった方がいいっていうことには一概には言えません。より日本にとっては危険で処置がしづらいかもしれません。それは北朝鮮についても言える話だと思います。
筆者は、かといって、将軍クラスの軍幹部を粛清しまくってしまったら、習近平主席がいくら命令を出したところでまともに軍は動かないのではないかと思ってしまうのですけれども、ジャーナリストの峯村健司氏はBS11番組「インサイドOUT」で「元々中国のこの軍のシステム、人民解放軍のシステムっていうのは、割とこう、トップが下にこう、直接こう、指示が行き渡るようなシステムになってますので。あんまりこの真ん中の軍事委員会とか、いわゆるこの中間管理職がいなくても機能するようになってるんですね」と指摘しています。
4.習近平が過小評価した五つの要素
一方、今回の張又俠氏と劉振立氏の拘束しても、事態は収束しないという見方もあります。
1月31日、元拓殖大学海外事情研究所教授の澁谷司氏は自身のネットチャンネルで次のように解説しています。
習近平主席は、自らの政治体制を盤石にし、後継者問題を有利に進めるため、政敵である張又侠(ちょう・ゆうきょう)の排除に踏み切りました。しかし、この強硬策は習主席の予想に反し、政権基盤を揺るがす深刻な連鎖反応を引き起こしています。習主席が過小評価した5つの要素から、現在の危機的な状況を分析します。
1)習主席は「紅二代」(革命幹部の子弟)と「元老派」による集団的反発を過小評価したと考えられる。澁谷氏の上げる5つの要素はいずれも習近平主席の「過小評価」が原因となっています。特に4つ目、5つ目の過小評価をみると、今の習近平主席は国内政争はおろか、人民の声も国際社会の目すらも視えていないことになります。
長年、紅二代と元老派は離反していたが、本件では稀に見る「反習連合」を形成した。両派が互いを認め合ったわけではないが、「権力の世襲制阻止」という共通理念で一致していた。習主席は張又侠を失脚させれば、その後は意のままに権力を振るえるという「速戦即決」を目論んだようだが、実態は交渉段階に引きずり込まれたと見るべきだろう。結局、習主席の思い通りには運んでいないのが実情である。
2)習主席は張又侠の影響力を過小評価していたと思われる。
張氏のネットワークは軍、党、そして官界(官僚社会)にまで跨がっている。一度の挫折があったとしても、依然としてその影響力で中国の有力層全体を動かす力を持っている。
3)習主席は軍の将軍らによる張氏支持の決意を過小評価していた。
張氏への支持はもはや個人への忠誠ではなく、将校たちの安全を確保するための集団的意志であると考えられる。事件後、軍内部で異常な沈黙が続き、忠誠を示す動画や支持表明がほとんど見られない状況こそが、習派と反習派の激しい綱引きの表れである。
4)習主席は人民の政治的判断力を過小評価した。
公式情報の空白は、かえって人民の憶測や独自の解釈を刺激した。張氏という重要人物を巡る異常事態を、簡単に隠蔽することは不可能である。
5)習主席は国際社会が北京の「煙幕」を見抜く能力を過小評価した。
北京当局は常にメンツや「孫子の兵法」を用いて内外を欺こうとするが、国際社会は習政権の想像以上に、権力の異変を冷静に注視している。
件の動画で澁谷氏は、次のように指摘しています。
・この嵐はまだ終わっていない。張氏の失脚は、習主席の権力を安定させるどころか、習派と反習派の深い亀裂を露呈させた。今日のターゲットは張氏であるが、明日は劉源(劉少奇の息子)のような、潜在的な変数となり得る重要人物が標的になる可能性もある。澁谷氏は、今回の粛清による混乱は終わっていないどころか、中国共産党のシステムそのものが制御不能な状態に陥ったとし、「中国共産党という権力運営モデル」全体が持続可能か分からなくなったと指摘しています。
・真に危険なのは張氏個人の運命ではない。今回の事件で、中国共産党のシステムそのものが制御不能な状態に陥ったことこそが本質的な問題である。この権力の再編は、一度の制度改革や形式的な表明だけで簡単に収束できるものではない。
・習派と反習派の交渉が妥協に終わるか対立に発展するかに関わらず、今後も軍部、党内の紅二代、元老派、そして地方勢力が継続的に介入し、圧力をかけ続けるだろう。これはもはや特定の指導者の勝ち負けの問題ではなく、中国共産党という権力運営モデル全体が、今後も維持可能かどうかという極めて重大な局面にあることを意味している。
事態は深刻です。春秋戦国か三国志か。中国はまた戦乱の時代に向かうのかもしれません。日本を始めとして各国は、そのとばっちりを受けないよう備えを固める必要があるのではないかと思いますね。

この記事へのコメント