
1.革命防衛隊は国家内国家
イラン政府が機能していない状態で、果たしてどこまでイランが戦線を維持できるのか分からないのですけれども、イランの革命防衛隊は国家内国家だという指摘もあります。
この辺りについて、3月6日配信の選挙ドットコムで触れられています。該当部分のみ抽出すると次の通りです。
今野忍: イラン情勢も国会に影響してくるからね。トランプ氏とイスラエルの関係や、革命防衛隊の役割など、専門家が詳しく解説する前の「入門編」として話せればと思います。革命防衛隊がイラン経済の3分の1を握っているとは驚きです。これではたとえイラン政府を倒しても、ベネズエラのようにいくのはどうなのかと疑問が湧きます。
山本期日前: いや、以前紹介した豊島晋作さんの「テレ東BIZ」も情報量がすごすぎて、終わった後にアウトプットできないって人が多いんですよね。
今野忍: あの人は天才だよ。このチャンネルは、その情報を整理するためのワンクッションだと思ってもらえれば。
山本期日前: イスラエルによるイランへの攻撃や、ハメネイ師の側近の暗殺など、衝撃的なニュースが続いていますね。
今野忍: イスラエルは情報の取得能力が凄まじいね。AIやサイバー攻撃で、通信や防衛システムを完全に無力化している。中国やロシアのシステムを使っている独裁国家は震えているはずだよ。
山本期日前: トランプ氏がイスラエルの戦争に深く関与している理由は何でしょう。
今野忍: 国内の政治が行き詰まっていることと、11月の中間選挙を見据えている側面があるね。ただ、支持層の「福音派」はイスラエルを重視するけれど、「ラストベルト」の労働者層などは戦争を望んでいない。マガ(MAGA)の中も一枚岩ではないんだ。
山本期日前: そして革命防衛隊ですね。イラン経済の3分の1を握っているという話は驚きでした。
今野忍: そう、道路や建設、エネルギーから金融まで支配しているからね。単なる軍隊ではなく、国家の中に別の国家があるようなものだ。これを転覆させるというのは、イランという国そのものを壊すことに等しい。
山本期日前: これでも今だからここまでやってるとアメリカへの恨みみたいなのはより強くなるでしょ。
今野忍: なるからだからじゃあアメリカに徹底抗戦みたいなパターンの人の方が増えるからなかなかも当面難しいっていう。おっしゃり今だからあれでしょ?名前が上がっているのはえあれでしょ?あのハメネイ師の息子。何だっけ?名前がねもうねイランの人の名前覚えられないんだよ俺。どっか書いたんだけどなどっか書いて。ハメネイのこの息子、モジタバ。そうモジタバって俺どこに書いたこれあのえっと裏面です。裏面かはい。モジタバっていうね次男さんがいるんだね。でこの人は今回の攻撃でそうこれこれあの奥様を殺されてんですよ。だからまず反発になるだろうで2つの懸念があるって言われて。1つは世襲になっちゃうじゃん。革命国家だからなんとみたいに。革命によって生まれた宗教革命によって生まれたイランイスラム体制だから世襲どうなのってのが1つ。ともう1つはその革命国家の最高指導者になるには憲法であのイスラムの高位のイスラム学者じゃないといけないです。イスラム学者っていうですでそれそうじゃないんですよモジタバは。根本はそうだったけどこれだから基本的にはこの最高指導者の選ぶところの入れる人っていうのがだからこれが今出ている人たちとあんまりいないっていう。そう。でこの人になったらどうなるかというとやっぱ奥様を攻撃で殺害されてるし強硬路線ってなるだろうと少なくともイスラエルは見ていますよね。でイスラエルのあの国防大臣はこの人になったら、国防大臣か、真っ先に暗殺するって言ったわけ。もうカオスでしょ。モサドが暗殺対象。そう。だもうもうもう牽制してるというか牽制という脅しだよね。はい。モジタバになったらもう殺しに行くぞって言ってるわけイスラエルは。暗殺なんて日本でないじゃないですかこの人になったら国防大臣暗殺みたいな。これはちょっとやっぱレベルが違いますよね。
山本期日前: そうだアメリカはベネズエラパターンでいいわけよ。なんで今の体制のままでも言うこと聞くな人、穏健って言い方がいいのかわかんないけど要はわかりやすく違うとトランプさんの言うこと聞く人になって石油ビジネスとかにも1枚も2枚も噛ませてくれんだったらいいんだけどネタニヤフ・イスラエル側はもうこの体制をやっぱり転換しないと信頼ができないと。常に核の脅威もあるしなんだしって。でやっぱイスラエルはご案内通りやっぱユダヤ人国家だからもう何全世界的に回しても自分たちは戦い抜くみたいな人たちだから。ホロコーストとかさやっぱそこはちょっと特殊な国家なんで一切妥協しないと思う。
今野忍: そうっすね。だからこの辺りがちょっとアメリカとイスラエルでもちょっと考え方が実は違う。アメリカとイスラエルもさあるしイランはイランであのこれ宗教革命の政権だからちょっと他の王制とか民主国家とはもちろん違うし普通の独裁国家ではないんですよ。やっぱあくまであの宗教革命によって1979年によってできた国だから決め方も最高指導者の選びは専門家会議っていう88人ここで話し合って決めるわけね。の人たちが集まったってハメネイとイスラエル空爆行くからね。うわあ。この前もあったんだそう。これだからもうだもう集まるのがもう危険みたいなただオンラインでやったりするとそれが情報とか取られる可能性。そうなんだろうねだからこの暗殺はハメネイ氏やられたのもいろんな監視カメラから何か全部ハッキングされてたって話なんだよ。でテヘランのそういう宅に集まるって情報も掴んでこれファイナンシャル・タイムズとか書いてんだけど、もう数年前からイスラエルはテヘラン各地に、テヘラン各地がやっぱ宗教革命ってさ結局いいように見えてただの独裁国家なんだ、結局ね。革命政権っていうけどさ。でその独裁国家の中で、最高指導者、その独裁国家の中で、あのもういろんな監視カメラとかっぱあるわけよね。それを全部ハッキングしてたってわけ。で幹部の動きとか全部見抜いて、それで通勤ルートとか見抜いて、そのあの日に集まるんだって28日だから。これがホワイトハウスにそもそも何回か行っているんだよねあのネタニヤフ総理が。1月年末年始にそん時にやっぱこのことを説明してたって話。「やれると、やれるからさ一緒にやろう」みたいな。
件の選挙ドットコムの配信は、続けて次のように解説しています。
山本期日前: もうイスラエルがアメリカに行く時っていうのはなんかこれから信号なんじゃないかっていう。この説明を聞く限り、今野氏が指摘するように「革命防衛隊の中にある程度トランプアメリカと話せる人がトップ」にいないとどうにも動かないようにも思えてきます。
今野忍: まあよく行くけどね。そのま基本兄弟国家とやっぱりユダヤ系のねあれがあるからアメリカにもうそのユダヤ人の人口で言ったらねアメリカだって相当な人だからそこはあれなんですけどただ今回それがあってで瓦礫から遺体収容してるからねハメネイの。それをその写真をネタニヤフ・トランプは見たって言ってる。すごい確認。もう大丈夫。証拠までそうそうそう。あれ掴むっていうなかなかないですよね亡くなった人の遺体みたいな。どうなんだろうなちょっともう軍抜いちゃってくからねこの情報の取得能力というか今回の空爆だったら相当AIとかサイバーで最初に向こうの通信からミサイル防衛システム全部ぶっ壊してってるから全然機能してないじゃん。
山本期日前: うんそうすね。
今野忍: そう中国とロシア震えると思うよ。基本的には中国やロシアのそういうシステム使ってたやつだから。
【中略】
今野忍: これもちょっとこれがやっぱニュースによく出てきて皆さんちょっとねまもちろん詳しい方は全然もう飛ばしていいですあの本当に初歩なんで。ただこれがわかんないと結構わかんなくて。まイランってまご案内通り人口9000万人いてあの全軍隊で言ったらえ革命防衛隊20万人。イランの国軍って別にあるんですよ。日本でいう自衛隊とアメリカでいう米軍みたいな別に国軍40万人。だから20万対40万人だからそういう意味では国軍の方が大きいんですよ。でただあのバシジっていうのかなあの民兵の組織もいて60万人ぐらい。これは基本的に革命に付随するから。どっちが強いかでその人数的な規模もあるんですけど、9000万人の人口においてね大国なんですやっぱイランって。で基本的には盾と矛関係。盾が国軍だからミサイルを防衛するのは国軍の仕事。外から飛んでくるミサイル打ち込むのが革命防衛隊の仕事。で最大の弾道ミサイルとかいろんな武器持ってヒズボラとかハマスとかに革命の輸出とかあのシーア派のそのなんて言うのかな?氾濫の種みたいのあるんですよそういうのを作ってんのは革命防衛隊。分かれてるですよ。組織自体が違うんですよ。で革命防衛隊ってのはただの軍隊じゃなくてこれはねちょっとね例えらんないですね。例えらんない。あの要は今ま他にもあるのかもしんないけど要はま強いては中国も人民解放軍共産党の軍隊じゃないですか。革命防衛隊もイラン国民の軍隊じゃないですよ。イラン国の軍は国軍、革命防衛隊は別に。あのイスラムのその最高指導者の体制を守るために作られた1979年にできたんだ。一緒なんだよイスラム革命の時できてるわけ。
だから例えばえっとパフラヴィー国王の時だと機能しない人たち。機能しない、なかったの。なかった人たち。そうホメイニっていうその革命でできた初代のあの最高指導者今はハメネイ、2代目でホメイニの時に作った軍隊なんです。で軍隊なんだけどイランの3分の1ぐらいは持ってるって言われたわけ。3分の1はえぐいすね。そうとしては半分じゃないかっていう人もいるんだけどその辺詳細までちょ僕詰めらんなくてただ建設インフラ道路ダム地下鉄鉄道橋。こういったの作ったりあとエネルギーで言うと石油とガス。はいこれです。で有力な企業を持ってます。で通信金融輸送港湾。だからもうNTTとかがあの革命防衛隊。そうそうだ自衛隊にNTTとかあのなんだろうあの鹿島建設とかゼネコンとかあと何そうだねいろいろソフトバンクとか入ってるイメージ。全部持ってるっていう。携帯電話のサービスをやってるかもしんない。いやこれはちょっとやばいですねこれはだから崩れないってことですよね。そうそう崩れないっていうか崩しようがないのよ。だ国家イランていう国家の中に革命防衛隊ってもう1個の国家があるイメージ。壊しようないじゃんこんな。これを壊すってことはイランっていう国を崩壊させるってことだから。
だからこの革命防衛隊をそもそも転覆させようっていうそういったことがまず前提としてないっていう。だから論理に成り立たないんよねイランの経済の3分の1を完全に殲滅しなきゃいけないってことだから何らかの形だから今の司令官を残したって残っちゃうわけ。各場所で働いてる人もいるしみたいな。そうそうそうそう。そういったところです。だから自前で予算を持っていてだから自衛隊とかさアメリカの米軍みたいに国家予算がついて軍隊的じゃなくて自分たちは予算持ってるわけよ。だって自分たち経済動かしてんだから。はいで自分たち武器も作れるし武器の輸出もできるし自前で成り立ってるわけよ。でそれがないと経済が成り立たないってことですもんね。そうむしろイラン経済の中枢にそこがどっぷり浸かってるという。こういう組織。これトランプさん目線うまく付き合わないといけないっていう。うまく付き合うそうだね。だからパターンとして考えられる1番賢いパターンは革命防衛隊の中にある程度トランプアメリカと話せる人をトップに就くような動きを作らないとおそらくあのこれは出口のない第2のイラク戦争になると思う。だ本来だとトップ取れなかったけどある程度の位置にいてこの人にトップになれますよっていう。そうそうそうだねとこを持ってくしかないっていう。ただそれでうまくまとまるかどうかだけどね。その人が革命防衛隊っていう非常にだから大きな組織だからこれをまとめることはできるかどうか。あとは今やってる最高指導者に本当に誰が置かれるのか。これによってだからまだこれから長引くのか長引かないのかとかがわかってくるかな。
2.ヘッジズ・レポート
更にもっと悲観的な見方もあります。元『ニューヨーク・タイムズ』の中東支局長で、現在はネット番組『The Chris Hedges Report』のホストを務めるジャーナリストのクリス・ヘッジズ氏は、3月7日配信の番組で、元英国外交官であり、MI6での勤務経験もあるとされる中東情勢の重鎮アラステア・クルーク氏をゲストに迎え、「イスラエルと米国はイランの軍事力に耐えうるだろうか?」というテーマで対談しています。
件の対談の前半の概要は次の通りです。
クリス・ヘッジズ:クルック氏によると、イランの戦略は「消耗戦」であり、今イランが打っているミサイルは「お古」であって、それを在庫整理代わりに撃ってイスラエルの高価な迎撃ミサイルを使わせて消耗させているというのですね。そしてそのあとに極超音速ミサイルの「コラムシュ-4」が控えているのだ、と。しかも、イランは「長距離ミサイルは全土の57地区に深く埋設されており、中央司令部が爆破されても、個々の地区が自律的に反撃を継続する体制が組まれている」となれば、イスラエルの迎撃態勢が枯渇すれば、それでジ・エンドになってしまいます。
アラステア、今の我々の目の前で起きていることは、もはや単なる戦争という言葉では足りないほどの、組織的な破滅です。トランプ、ヘグセス、ルビオといった面々が主導するこの戦争は、戦略的論理が完全に欠如しており、彼らの無能さがこの事態を「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」という、極めて致命的で無責任なバージョンへと変貌させています。戦争の目的は、メディアが報じるたびに二転三転しています。ある時は「昨年6月に壊滅させた」はずの核計画を再処理するためだと言い、またある時は「イランが核兵器製造まであと1週間である」という、30年間使い古されてきたベンヤミン・ネタニヤフお決まりの脅し文句を繰り返す。これは明白な欺瞞です。政権交代という抽象的な目標や、ルビオが語るような「イスラエルを守るための戦い」というレトリックにしても、現実の戦況との整合性がまるでありません。トランプはイラン軍に対して「降伏か死か」という二択を迫っていますが、これは彼がこの地域の複雑な地政学を何一つ理解していないことの証明に他なりません。米海軍をホルムズ海峡という、文字通りの「格好の標的(ターキーシュート)」に並べるという発想は、軍事的な教養を欠いた道化師の戯言です。
アラステア・クルック:
その通りです、ヘッジズさん。私の監視しているヘブライ語のメディアには、英語圏の主要メディアが決して報じない真実が克明に記されています。昨年末、ネタニヤフがマー・ア・ラゴへ飛んだ際、彼はトランプに対して非常に冷徹な通告を行いました。核問題など、今のイスラエルにとってはどうでもいい枝葉末節なのです。ネタニヤフがトランプに突きつけた真の要求は、「イランのミサイルシステムを今すぐ破壊せよ」ということでした。イランが築き上げた、幾重にも重なる防衛パラダイムを粉砕しなければ、たとえ核兵器が手に入ろうが入るまいが、イスラエルはそれに対処する能力を完全に失ってしまう。ネタニヤフは、トランプに「これこそが今やるべき唯一の仕事だ」と信じ込ませました。そしてさらに、彼は核合意を支持しようとするトランプを、「私からの『コーシャ(承認)証明書』なしでは、君はアメリカの右翼から見捨てられ、失敗したリーダーとして歴史に名を刻むことになるぞ」と恫喝したのです。トランプは、この政治的な人質交渉に屈服し、攻撃を許可せざるを得なかった。つまり、この戦争は、イランの核という口実を隠れ蓑にした、ネタニヤフの生存をかけた「強制された戦争」なのです。彼らが地上で起きていることの真の結末を知っていれば、これほど軽薄な勝利宣言はできなかったはずです。
クリス・ヘッジズ:
軍事的な実態についても掘り下げましょう。イランの戦術は非常に奇妙でありながら、驚くほど効果を上げているようですね。イスラエルの防空システム、アイアンドームなどは世界最強だと宣伝されてきましたが、現実はどうなっているのですか?
アラステア・クルック:
イランは、イスラエルと湾岸諸国に対して、極めて狡猾な「消耗戦」を仕掛けています。彼らが現在投入しているのは、2012年から2013年頃の古い在庫ミサイルと、安価なドローンです。これを大量に飛ばすだけで、イスラエルは1発を撃ち落とすために10発から12発の迎撃ミサイルを消費させられる。このコストパフォーマンスの逆転は、米国の兵器庫の底を突きつつあります。そしてさらに深刻なのは、米国の軍事優位性の根幹であった「ISR(情報・監視・偵察)システム」の壊滅です。湾岸諸国を支えていた数基の巨大レーダー基地は、もはや跡形もありません。これはただのレーダーではなく、ウクライナ紛争でNATOが使用していたのと同じ、戦場をリアルタイムで仮想マップ化し、パイロットに直接攻撃指示を送る「デジタル神経系」でした。これが破壊されたことで、米軍とイスラエル軍は完全に盲目になりました。ステルス機だろうと何だろうと、どこに何があるのかさえ把握できない状態です。
クリス・ヘッジズ:
その盲目状態で、極超音速ミサイルの攻撃を受けているわけですね。
アラステア・クルック:
その通りです。イランの「コラムシュ-4」はマッハ14で飛行し、80個の操縦可能な弾頭が同時着弾する。イスラエルの迎撃能力では、これに対処することは不可能です。被害を隠そうと検閲を強めても、テルアビブの惨状は隠しきれない。しかも、イランの防衛構造は「分散型」です。長距離ミサイルは全土の57地区に深く埋設されており、中央司令部が爆破されても、個々の地区が自律的に反撃を継続する「デッドハンド(死の手)」体制が組まれています。これは2006年にヒズボラが準備した戦術を、国家規模で完成させたものです。たとえ米国がテヘランを更地にしたところで、戦争は終わらないどころか、イランの反撃によりイスラエルが完全に滅びるという結論だけが用意されているのです。米国が信じ込んでいる「短期間のクリーンな勝利」など、最初から幻想に過ぎません。
ヘッジズ氏の番組では、更にイスラエルの政権が終末思想に染まっているとも指摘しています。
後半のやり取りの概要は次の通りです。
クリス・ヘッジズ:クルック氏は先日、トランプ大統領が、ホルムズ海峡を渡る艦船に保険を提供し、場合によってはアメリカ艦隊が護衛すると述べたことについても、「幅わずか21キロの海峡で、米海軍の艦船など、対艦ミサイルを装備した小型船の格好の獲物です。米国が覇権を守るために行った行動が、皮肉にも米国のドルの地位と、世界規模の防衛網を同時に粉砕しているのです」と斬って捨てています。
経済的な影響も、もはや無視できない域に達していますね。ホルムズ海峡を通る石油・ガスの供給途絶は、欧州経済にとって致命的です。アラステア、この状況をあなたはどのように分析しますか?
アラステア・クルック:
これは、米国が掲げた「覇権維持戦略」の完全なる失敗です。米国はホルムズ海峡や紅海を統制することで、エネルギーと物流をコントロールし、それによって中国の経済成長を止め、ロシアを封じ込めるという「19世紀的な封鎖モデル」を強行しました。しかし、結果はどうなったか。エネルギー価格の高騰は、地下備蓄を枯渇させている欧州の産業を凍りつかせています。さらに、ドバイやUAEなどの湾岸地域が、もはや「安全なビジネス拠点」ではないことが露呈しました。アジアの投資家は一斉に資金を引き揚げ、米ドル経済圏から離脱しています。彼らは利益の行き先に、もう米ドルを選ばない。円や、中国・香港の「物理的な金」への投資へと資産を逃がしています。ドルの国際的な信頼が、戦場での失策とともに急速に崩壊しているのです。
クリス・ヘッジズ:
安全保障の面でも、サウジアラビアなどの同盟国が米国の動きに疑念を抱いていますね。
アラステア・クルック:
まさに「アメリカの保護は幻想だった」と、彼らも気づき始めています。サウジアラビアは見ています。米国がいざとなったら、すべての迎撃ミサイルをイスラエルのために使い、同盟国である自分たちには一発も回さない現実を。これは、数十年間続いた安全保障契約の破棄に等しい。さらに、米国がインドの招待で友好訪問中だったイランの非武装船を潜水艦で沈めるという非道を行えば、イラン側もホルムズ海峡の封鎖を躊躇しません。幅わずか21キロの海峡で、米海軍の艦船など、対艦ミサイルを装備した小型船の格好の獲物です。米国が覇権を守るために行った行動が、皮肉にも米国のドルの地位と、世界規模の防衛網を同時に粉砕しているのです。
クリス・ヘッジズ:
最後になりますが、イスラエルの内情について聞かせてください。なぜこれほどまでに、彼らは自国を破滅させる道を選んでいるのですか? 合理的な外交交渉という道は、もう存在しないのでしょうか。
アラステア・クルック:
クリス、イスラエルを理解するのに、「世俗的で合理的なレンズ」を使ってはいけません。今のイスラエルは、メシア的・終末論的な政治思想を持つ極右勢力によって乗っ取られています。ネタニヤフは、ユダ王国の再興を信じ、ハルマゲドンを歓迎するような宗教的ナショナリストたちの狂気を、政権維持のエンジンとして利用しました。彼らにとって、戦争は安全保障ではありません。それは救世主を招くための、不可避の預言的儀式なのです。社会は実存的な分裂を起こし、かつての世俗的な国家はもうどこにもありません。イスラエルは今、自らが作り出した熱狂の中で、自らを焼き払おうとしているのです。
クリス・ヘッジズ:
そして米国が、この誤認を増幅させている。
アラステア・クルック:
その通りです。これが最大の悲劇です。米国はイランを、漫画のような悪役として描くことで、彼らの深い文化、伝統、そして何より最高指導者に見られるような深い教養から目を背けました。イランを人間として扱わず、イスラエルの下層に置くという傲慢な誤認。対話や共感が成立するはずもありません。結論として、これは米国が「負ける」戦争です。イランはただ、この暴風雨が過ぎ去るのを耐え忍ぶことで、米国の無敵神話を粉砕するでしょう。米国の世界支配は、この中東という墓場で、その幕を閉じようとしている。イスラエルは以前の姿には二度と戻らず、米国はその政治的影響力が地に落ちる瞬間を、歴史の証人として目撃することになるはずです。
そして、クルック氏はアメリカの「イランを人間として扱わず、イスラエルの下層に置くという傲慢な誤認」を指摘してアメリカは負ける。イランは生き残るだけでよい、と双方の勝利条件の違いを指摘しています。
確かにトランプ大統領にとっての勝利条件は、イランを親米国家として体制転換することでしょうけれども、イランの勝利条件は耐え忍んで生き残るだけでよい。イラン戦争の行方は時間がどちらの味方をするのかに掛かっているのではないかと思いますね。
3.戦争は間もなく終わる
一方、トランプ大統領は戦争は間もなく終わるという見通しを示しています。
3月9日、トランプ大統領はフロリダ州マイアミで記者会見しました。
トランプ大統領の発言と、質疑応答は次の通りです。
トランプ大統領:このトランプ大統領の発言に市場はすぐに反応しました。
皆さん、こんにちは。これからの2日間、Washington DCに戻る直前に話しておきたいことがある。まずは、皆さんに素晴らしい夜となるよう願っている。週末にかけて、米軍とイスラエル国防軍は「オペレーション・エピック・フューリー」を非常に成功させた。過去9日間で、世界がこれまでに見たことのないほど強力かつ複雑な軍事攻撃と機動を行ってきた。これに「ミッドナイト・ハンマー」作戦によるイランの核脅威の排除といった他の成果を加えれば、歴史的な瞬間だと言える。ベネズエラをはじめ、どの場所でも非常に大きな成功を収めている。
我々の軍事目標の達成は非常に順調であり、ほぼ完了している。イランのあらゆる勢力を完全に排除し、彼らの海軍力のほとんど、約51隻の艦船を撃沈した。これらは戦闘用艦船であったが、我々との戦いには適していなかった。現在もイランのドローンおよびミサイル能力を標的にし続けている。ドローン製造拠点は一つずつ叩かれ、ミサイル能力は10%以下にまで低下した。5,000以上の標的を攻撃してきたが、いざという時のために取っておいた重要な標的もある。これらを叩けば回復に何年もかかるだろう。必要がない限りは避けたいが、いつでも破壊可能である。現在、ミサイル発射台は90%、ドローン発射は83%減少した。我々のハイテク技術と優れた人材のおかげで、ミサイル発射から5分以内に発射台を正確に無力化できている。さらにB2爆撃機が地下深くに隠されたミサイル発射台を破壊し、製造拠点も壊滅させている。
リーダーシップも既に複数回排除した。私は、将来の世代にこの状況を残したくない。そのため、平和的な変化をもたらすことができる新しいリーダーの選出を望んでいる。イラン体制は47年間、テロを広め、アメリカ人を攻撃してきた。彼らは核兵器を求め続け、イスラエルを殲滅しようとしていた。「ミッドナイト・ハンマー」で彼らの核のポテンシャルを叩かなければ、彼らは核兵器を使用し、イスラエルが消滅していただろう。我々には世界最高の軍隊と装備、そして献身的な人員がいる。
核兵器製造の試みに対し、我々は施設を破壊した。彼らは別の保護された地下施設で活動を再開しようとしたが、それも阻止しつつある。彼らの弾道ミサイル脅威は、海外の基地やアメリカ本土にまで及ぶ可能性があった。しかし、我々の防衛技術、パトリオット・ミサイル、そして間もなく実用化されるレーザー技術によって、それらの脅威は無力化された。
我々の目標は、エネルギーと石油の供給を維持することである。イランが世界の石油供給を人質に取ることは断固として許さない。ホルムズ海峡の安全は維持され、海軍が地雷掃海を含め警戒している。もし彼らが何かを仕掛ければ、計り知れない報復を受けることになる。これらすべての結果として、将来的には石油価格が安定し、アメリカの家族にとって安価なエネルギーが提供されるようになる。
中国など、この海峡を通じて石油を輸入している国々を含め、世界をこの異常な集団の脅威から守っている。石油関連の制裁を一時的に緩和することもあるが、海峡の安定を優先する。
記者:
イランの新しい最高指導者を承認しますか?また、プーチン大統領との電話会談の内容を教えてください。
トランプ大統領:
プーチン大統領とは非常に良い会話ができた。主にウクライナ情勢について話し、また中東についても議論した。彼は協力的になりたいと考えているようである。
記者:
イランの戦いは「まもなく終了する」と言われましたが、今週中という意味ですか?
トランプ大統領:
近日中には終わるはずだ。イランのリーダーシップ、海軍、空軍、通信機能は既に壊滅している。
記者:
キューバが取引を求めているとのことですが、アメリカは何を得るのでしょうか?また、マルコ・ルビオ氏が交渉することへの信頼について教えてください。
トランプ大統領:
ルビオ氏は史上最高の国務長官になるだろう。彼は成功を収めており、言語も話せる。キューバはエネルギーも金も底をついており、人道的な危機にある。我々は彼らと取引をするか、あるいは別の方法をとる。カストロ体制はベネズエラに依存してきたが、今やベネズエラからの支援もない。
記者:
トマホークミサイルがイランの学校を破壊した可能性が指摘されています。責任を認めますか?
トランプ大統領:
見ていないが、トマホークは汎用的な武器であり、多くの国が所有している。調査中である。
記者:
「戦いは非常に完了している」と言いましたが、国防長官は「始まりに過ぎない」と言っています。どちらが正しいのですか?
トランプ大統領:
どちらも正しい。戦争という観点では3日でほぼ完了したが、新しい国を築く始まりという意味ではこれからである。
記者:
追加の石油制裁緩和について詳しく教えてください。
トランプ大統領:
石油価格を低く抑えるためだ。この軍事作戦は非常に短期間で成功した。軍事力は世界最高であり、プーチン大統領も感銘を受けていた。
記者:
「セーブ・アメリカ・アクト」が可決されるまで法律に署名しないと述べていますが、これにはDHSの資金調達法案なども含まれますか?
トランプ大統領:
その通りだ。我々は有権者ID、市民権の確認、郵便投票の制限を求めている。これにスポーツ関連の制限などを加えた5つのポイントである。民主党指導部以外は、国民の多くがこれを支持している。
記者:
イランが米国内の寝台細胞(スリーパーセル)を活性化したという報告はありますか?
トランプ大統領:
彼らは長く試みてきたが、我々はそれを把握している。民主党による政権シャットダウンが障害になっているが、インテリジェンスは機能している。
記者:
新しいイランの指導者は内部から選ぶべきですか?
トランプ大統領:
内部からの選出が望ましい。外部から無理やり押し付けるよりも、ベネズエラの例のように安定した継承が望ましいと考えている。
記者:
イランの戦いでの米軍死者について。何人まで許容できますか?
トランプ大統領:
紛争には犠牲が伴う。私は昨日ドーバーで遺族に会った。彼らは「仕事を完遂してくれ」と言った。それが答えだ。
3月10日早朝、アジア各地の市場ではブレント原油が1バレル92.50ドルとなり、約8.5%下落。アメリカで取引される原油も約9%下落し、1バレル88.60ドルとなりました。
原油価格の下落を受け、アジア市場の株価は上昇。日経平均は前日比1519円67銭高の54248円39銭。韓国総合株価指数(KOSPI)も、5532.59と5.35%上昇しています。
果たして、イラク戦争は早期終結できるのか。行方を見守りたいと思います。
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