イランのイスラエル攻撃と新しいルール 《イラン情勢シリーズ#16》

今日はこの話題です。
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1.イランのテルアビブ攻撃


イラン戦争でいろんな情報が飛び交っています。

一方的にやられているのはイランの方かと思いきや、ネットでは、イスラエル中部で車が吹き飛び、道路に大きなクレーターができた映像とか、住宅地・ビル直撃の爆発映像。テルアビブ近郊のショハムやホロンでミサイル破片が落下し火災や構造物の損壊映像などが流れています。

こちらの現地ブログでは、イランからは、毎日ミサイルが、ヒズボラからもロケット弾が、イスラエルに向けて発射されていると綴り、昨夜、3月13日夜も、イスラエル中央に向けて、ミサイルの波が7回あったと報告していますから、攻撃自体はあると思われます。

3月16日、アルジャジーラはニュースで次のように伝えています。
司会者:
イランがイスラエルに向けて新たな報復ミサイル攻撃を開始したと発表しました。先ほど、地元当局やメディアは南部エイラートでの攻撃を報告しており、国の中部上空でも爆発音が聞こえました。イスラエル中部を標的とした複数の攻撃が夜通し行われています。占領下のヨルダン川西岸地区ラマッラーから、ニュース担当のヌール・オデーが最新状況を伝えます。何かわかっていることはありますか? もちろん、イスラエル当局によって多くのセキュリティ上の制限が課されていますが。

ヌール・オデー:
その通りです。イスラエル軍の検閲官は、何が起きているかについて非常に厳重な口を閉ざしており、一般のイスラエル国民や、世界中の視聴者に状況を伝えようとする私たちジャーナリストを苛立たせています。エイラートへの攻撃は2回ありましたが、地理的な理由から否定するのは不可能でした。紅海に面したヨルダンの都市アカバは、エイラートのちょうど反対側にあり、住民が煙を目撃し、その後、市内の10カ所で発生した被害の動画を投稿し始めました。地元当局および医療当局は、1人が重体であるなど、7人が負傷したと発表しています。

また、イランが発射した他のミサイルは、特にイスラエル中部のエリアで財産や建物に損害を与えました。ここは軍事基地やベン・グリオン空港、その他の軍事・諜報関連施設があるテルアビブ広域圏です。そこで破壊を確認しましたが、標的が何であったかはわかっていません。もちろん、これは国内軍司令部の制限緩和能力を試し続けています。伝えられるところでは、避難所が適切に整備されていれば、来週には1カ所に最大100人が集まれるようになる可能性があるとのことです。

司会者:
ヌールさん、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は緊張緩和を呼びかけ、イスラエルとレバノンの間で仲介を試みているようです。イスラエル側において、外交的な解決は検討されているのでしょうか?

ヌール・オデー:
彼らは2つのことを検討しています。報道では、フランスの提案について語られています。レバノンがイスラエルを承認する代わりに、イスラエルがレバノン領土から撤退し、レバノン軍がイスラエルとの国境に展開するというものです。これはアメリカとイスラエルによる検討対象とされています。その一方で、イスラエルの首相は腹心のロン・ダーマーを調停役に任命しました。彼はレバノンに関するすべての事柄において、イスラエルとアメリカの仲介役となります。

同時に、内閣はさらなる増援の派遣と、リタニ川までのレバノン領土の10%を占領するための進軍命令を検討しています。興味深いことに、ヌールさん(注:司会者の誤り)、48年前の今日、イスラエルはまさにそれを行いました。南レバノンの一部をリタニ川まで占領したのです。それは数日しか続きませんでしたが、イスラエルは国連安保理によって撤退を余儀なくされました。現在、イスラエル政府はそのような圧力を感じていません。政府は、自分たちが納得できないことに対して、ワシントンがイスラエルに強い圧力をかけることはないとさえ感じています。

司会者:
ラマッラーから伝えてくれたヌールさん、ありがとうございました。
これを見る限り、イランがイスラエルに被害を与えているというのはまるっきりの嘘という訳ではなさそうです。




2.逃げ出すアメリカ人


実際、アメリカ政府は自国民にイスラエルからの退避を呼び掛けています。

3月11日、アメリカ政府は「ディラン・ジョンソン次官補による、中東における米国市民支援活動の成功に関する声明」を出しています。

件の声明の内容は次の通りです。
2月28日以降、4万3000人以上のアメリカ国民が中東から無事に米国に帰国した。

トランプ大統領とルビオ国務長官のリーダーシップの下、国務省は30便以上のチャーター便を運航し、数千人のアメリカ人を中東から安全に避難させた。

地域全体の民間航空便の利用可能性は改善を続けているものの、国務省のチャーター便および地上輸送業務は縮小される予定だ。これは、国務省のチャーター便の座席数が、同地域に滞在する米国人からの需要を大幅に上回っているためである。3月11日、国務省はアラブ首長国連邦に滞在する約9,000人の米国市民に連絡を取り、米国政府のチャーター便の利用を提案した。しかし、こうした努力にもかかわらず、需要不足のため、これらの便は空席を残したままアラブ首長国連邦を出発した。

支援を要請したアメリカ人のほとんどは、支援の申し出を断り、国内に留まるか、民間航空便を予約することを選択した。

国務省の24時間体制のタスクフォースを通じて、私たちは海外にいる3万人以上のアメリカ人に直接支援を提供し、安全に関する助言や旅行支援を行ってきた。

中東に滞在中で支援が必要な米国人は、米国国務省に24時間365日いつでも+1-202-501-4444まで電話することができる。

この地域における目覚ましい成功と需要の減少を鑑み、今回の更新が最後の日次更新となる。当省は必要に応じて引き続き更新情報を提供する。
また、アメリカ国務省当局者は3月12日、トランプ政権はイランとの米イスラエル戦争開始 以来、中東から米国民を帰国させるための便を50便近く手配したと述べ、当局者らはこれらの便の需要は減少しているとし、「本日中に約40便のフライトを完了し、これらのフライトで数千人のアメリカ人を中東から安全に避難させる予定です」と述べています。


3.ネタニヤフ死亡説


そんな中、ネットでは、イスラエルのネタニヤフ首相が死亡したという説まで流れ、話題になりました。

事の発端は、3月13日に行われたネタニヤフ首相のテレビ演説でした。演説映像を見たインターネットユーザーの一部が、「首相の手に6本の指があるように見える」と指摘しました。この「指が6本」という不自然な視覚的特徴が、AI(人工知能)生成画像やディープフェイク動画ではないかという疑念を呼び、そこから派生して「本人は既に死亡しており、AIによって生成された偽の首相が演説しているのではないか」「替え玉が使われているのではないか」といった根拠のない陰謀論へと発展していきました。

アメリカの保守系政治評論家キャンディス・オーウェンズ氏も13日、Xに「ビビ(ネタニヤフ氏の愛称)はどこにいるのか」とし、「なぜ首相府が彼の偽のAI映像を公開し、その後削除したのか」と投稿し、疑惑を提起しました。

この騒動を受けてなのか、15日、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)はネタニヤフ首相を殺害すると公然と表明しました。イスラム革命防衛隊(IRGC)は、自身の傘下のメディア「セパ・ニュース」のウェブサイトを通じて「もし子どもたちを殺害したこの犯罪者が生きているのなら、われわれは彼を追い続け、必ず殺害する」と明らかにしています。ただ、ネタニヤフ首相について「生きていれば」と枕詞を付けるあたり、SNSを中心に拡散した「ネタニヤフ死亡説」を意識したものとみられています。

けれども、専門家らは、撮影角度や照明などによって一瞬、指が異常に見えることがあり得るとして、死亡説の信憑性は高くないとの見方を示していて、イスラエル首相府も14日、「ネタニヤフ死亡説」について「フェイクニュースだ。首相の身辺に異常はない」と述べました。

そして翌15日、ネタニヤフ首相がテレグラムのアカウントにエルサレム郊外のあるカフェを訪れてコーヒーを飲む動画を投稿しています。

動画では、ネタニヤフ首相の補佐官が死亡説について尋ねると、ヘブライ語で「私はコーヒーが大好きなんだ。知っているか? 私は国民のことが大好きだ」と答えながらコーヒーを飲む様子が収められています。

けれども、ネタニヤフ首相は、例の「六本指動画」を相当気にしたのか、カメラの前で五本の指を広げて見せる場面もありました。ロイター通信は、ネタニヤフ首相がこの日そのカフェを訪れたことは、カフェの複数の投稿からも確認できると報じていますけれども、ネットでは、「カップが淵まで泡立っているのにこぼれてない」とか「ネタニヤフがコーヒーを飲んだときに上唇についた泡が次の瞬間に消えている」とか「ネタニヤフが左手をポケットに入れた途端、ポケットの裾が勝手にすりあがった」とかとか、こんな細かいところまでというくらいツッコミというかこの動画こそがフェイクだという書き込みも散見されます。




4.新しいルールはマンダリン語で書かれています


ネタニヤフ首相が死亡したのか生きているのかはさておき、イランは防空網もミサイルランチャーもやられまくっている筈なのに、それでも尚、イランの攻撃は脅威になるのか。

これについて、独立系アナリストのシャナカ・アンスレム・ペレラ氏がXで気になる投稿をしています。

件の投稿は次の通りです。
速報:昨日、私はペルシャ湾の船舶が、イランの攻撃を避けるためにトランスポンダーを変更して「中国所有」「全員中国人乗組員」と放送していると書きました。海洋のルールが変わりました。新しいルールはマンダリン語で書かれています。

今、オマーン湾に3万トンの中国情報収集船が停泊しており、トランスポンダー信号がすでに伝えていることをまさに確認しています。

遼望-1は、次世代の信号情報収集および宇宙追跡船で、2025年に就役しました。排水量3万トンです。少なくとも5つのレーダードームと高利得アンテナを搭載し、ディープニューラルネットワークアルゴリズムを用いて、1,200の航空・ミサイル目標を同時に追跡し、95%以上の識別精度を達成します。センサー範囲は約6,000キロメートルに及びます。Type 055およびType 052D駆逐艦が護衛しています。

それはオマーン近海の公海に停泊し、戦争を見張っています。

中国は公式に、これらの船舶を衛星追跡およびロケットテレメトリー船と説明しています。それは事実です。宇宙発射やミサイル試験を追跡します。設計に組み込まれた信憑性のある否認可能性があります。中国の衛星を追跡する同じセンサーは、アメリカの空母を追跡できます。弾道再突入体を識別する同じアルゴリズムは、ジェラルド・R・フォードからのF-35の発進を識別できます。

複数の出版物の防衛アナリストは、遼望-1が米国とイスラエルの海軍および航空作戦に関するリアルタイムの電磁情報収集を行っていると評価しています。その情報がイランと共有されているかどうかは未確認です。中国またはイランの公式声明はデータ転送を認めていません。しかし、その船舶の位置、タイミング、能力は、ワシントンのあらゆるアナリストがすでに導き出している推論を生み出しています。

テヘランの視点から運用状況を考えてみてください。IDFによると、イランの防空網は80%破壊されています。イランのレーダー網は劣化しています。イランの衛星画像は限定的です。しかし、オマーン湾に6,000キロメートルのセンサー範囲を持つ中国船舶が停泊していれば、戦域内のすべての空母の動き、すべての空中給油軌道、すべてのミサイル発射回廊、すべての潜水艦の浮上イベントを見ることができます。そのデータのわずかな一部でも、イラン司令官に何らかの経路で届けば、イランの残存防衛への価値は計り知れません。

中国は武器を発射していません。国際法に違反していません。イラン領海に入っていません。どの国も運用する権利がある公海に監視プラットフォームを展開しただけです。そして、それをアメリカが爆撃している国にとって、そのプラットフォームが収集する情報が最大の戦略的価値を持つまさにその瞬間に実行しました。

冷戦時代には、これに名前がありました:直接戦闘関与なしに交戦国への情報支援。ソ連は、何十年もAGI船でアメリカ空母を追跡してこれを行いました。中国は、ソ連が想像もしなかったニューラルネットワーク処理能力を持つ船舶でこれをやっています。

船舶は生き残るために中国の身元を偽装しています。中国の情報収集船は、次に起こるすべてのことを知るために見張っています。新しい海洋秩序は近づいていません。それは到着しました。そして、それはオマーン湾に停泊し、全てを見ている3万トンのレーダードームとニューラルネットワークです。
なんと、ペレラ氏によると、中国の次世代の信号情報収集船「遼望-1」がオマーン湾に停泊してレーダーの代わりとなってイランに情報提供しているのではないかというのですね。

本当なら大変なことなのですけれども、フェイクだという指摘もあります。さっそくこの投稿には「遼望-1は中国にいるぞ」というコミュニティノートがついています。

ネタニヤフ死亡説もそうですけれども、激しい情報戦、認知戦の暴風の中にあると考えた方がよさそうですね。




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