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1.十日間延長することを表明する
3月26日、アメリカのトランプ大統領は、自身のSNSで、イランのエネルギー施設への攻撃を中止する期間を10日間延期し、アメリカ東部時間4月6日午後8時までとすると発表しました。
件の投稿は次の通りです。
イラン政府の要請に基づき、本声明をもって、エネルギー発電所への攻撃停止期間を2026年4月6日(月)午後8時(米国東部時間)まで10日間延長することを表明する。協議は継続中であり、フェイクニュースメディアなどによる誤った報道に反して、極めて順調に進展している。本件に対する国民の関心に感謝する。トランプ大統領は、その後、FOXニュースの番組で、「私は10日間の猶予を与えた。彼らは7日間を要求した……ある意味では、われわれは既に勝利している」と述べています。
ドナルド・J・トランプ大統領
「ある意味」とはどんな意味なのかツッコミたくなるところですけれども、とりあえずは4月6日まで先送りになったようです。
2.モハンマド・バーゲル・ガリバフ
果たしてアメリカはイランと交渉しているのか。交渉しているとしたら誰としているのか。
これについて国際政治Youtuberの及川幸久氏は次のように述べています。
皆様こんにちは、そしてこんばんは。及川幸久です。今日のテーマは「アメリカ・イランの裏交渉、急浮上したガリバフとは」ということでお送りいたします。ぜひお付き合いください。及川氏によると、イラン側は、モハンマド・バーゲル・ガリバフというイラン議会議長が窓口のようです。
トランプ大統領はイランとの交渉に関してこう言っていますね。「非常に良好かつ実りある対話を今行っているんだ」と。で、イランとの間で和平合意に向けた進展がある。なので、先週末行っていたイランのエネルギー・インフラへの攻撃、これは5日間延期すると。今延期している最中なわけですね。こう言っています。
それに対してイラン側、例えばアッバース・アラーグチ外務大臣はこう言っています。「アメリカとの交渉は断固否定する」と断固否定しています。「対話も交渉も一切ない。アメリカの提案は拒否した。こちらから対抗の要求を提示したんだ」と言っているんですね。全く食い違っています。
どちらかが嘘をついているのか、真実は何なのかということなんですが、国際社会ではどういうことなのかというのが大体明らかになっていて、「交渉は行われている。ただし裏ルートで」ということなんです。これがイランの裏ルート戦術ということで、表向きは交渉を否定しているんですね。ただ裏ルートで交渉している。これはイランの常套手段なんです。後ほど触れますが、過去も毎回この手口を使っています。
じゃあ、その裏ルートで水面下でやっている秘密交渉、今のイラン側の代表は一体誰なのかということなんですが、それがこの方、イランの議会議長、ガリバフ(カリバフ)氏です。モハンマド・バーゲル・ガリバフという方ですね。
この方はイラン議会の議長を長年務めている方です。保守派の次世代リーダーと言われていて、元大統領候補でもあります。現在、最高指導部がアメリカとイスラエルの攻撃によって次々と殺害されたため、その後にイランの中の重要人物として台頭してきました。元々はイスラム革命防衛隊の司令官だった方ですので、強硬派です。しかし、強硬派であっても現実主義者ということになります。
ただし、表向きはアメリカとの交渉は一切否定しています。ガリバフ氏のX(旧Twitter)の最新の投稿でも、「アメリカはイランの島の一つ(ハルク島)を占領する準備を進めている。我々の部隊は監視しており、行動に出れば地域国家の重要インフラが容赦ない連続攻撃の標的となるだろう」と強硬な姿勢のままなんです。
ただ、ニューヨーク・タイムズやAP通信、ロイター、ウォール・ストリート・ジャーナルなどが一斉に、このガリバフ氏がアメリカとの交渉相手として急浮上していると報じています。さらにウォール・ストリート・ジャーナルは、アメリカとイスラエル当局が交渉を促進するため、数日間ガリバフ氏とアラーグチ外相を標的リスト(殺害リスト)から一時的に除外したという記事も出しています。
イスラエルのチャンネル14のレポートによると、現在イラン内部は大混乱しており、ガリバフ議長とイスラム革命防衛隊の間で内部対立が起きているようです。ガリバフ氏は「お前たちは金を全て持ち去った。兵士たちが給料をもらえず苦しんでいる。盗んだ金を返せ」と言っていると報じられています。ガリバフ氏は現在、アメリカとの交渉を強く推進する側ですが、革命防衛隊の指導部は反対しており、内部分裂が起きているということです。
イランには「公の場では交渉を否定し、裏で交渉を進める」という過去からの手口があります。2015年のイラン核合意(JCPOA)の際も、2011年から2013年にかけてオマーンで秘密会談が行われていました。当時の最高指導者ハメネイ氏も表では「アメリカとは決して交渉しない」と主張していましたが、裏では進めていたのです。なぜ隠すのかというと、国民に「大悪魔(アメリカ)」に対する弱さの印象を与えないためだと言われています。宗教国家として、悪魔と妥協することはありえないという建前を貫く必要があるからです。
今回も全く同じ手口です。現在、パキスタンが主要な仲介者となってメッセージの伝達を行っており、早ければ今週末にもイスラマバードで和平会談が行われる可能性があります。他にもオマーン、トルコ、エジプトなどが仲介に入っています。
トランプ大統領が攻撃方針を急に5日間延期したのは、まさにこの裏ルートでの具体的な和平計画の提示があったからだと見られています。当初トランプ氏は楽観的な表現をしていましたが、実際どうなるかは最後まで分かりません。ガリバフ氏やアラーグチ氏が今の情勢の中でどこまで妥協・合意できるか、今週末(金曜・土曜)が一つの期限として注目されます。
3.仲介はパキスタン
このアメリカとイランの水面下交渉についてパキスタンが仲介しているという話があります。
3月27日、サウジアラビアのリヤドに拠点を置く、中東最大手の英字日刊新聞「アラブニュース」は、「パキスタンが米・イラン協議の仲介を確認、15項目提案の見直しへ」という記事を掲載しています。
件の記事の概要は次の通りです。
・パキスタンは、現在進行中の中東紛争を終結させるための間接協議の一環として、米国とイラン間のメッセージを中継している、とイシャク・ダール副首相兼外相が木曜日に語った。パキスタンはイランに次いで世界で2番目にイスラム教シーア派人口が多い国ですけれども、交戦勃発直後の2月末、アメリカとイスラエルの攻撃でイラン最高指導者だったハメネイ師が死亡した翌日には、全国的な抗議活動が起きています。
・「和平交渉に関して、メディアでは不必要な憶測が飛び交っている」とダール副首相はXに掲載された声明の中で述べた。
・彼は、ワシントンはテヘランと15項目の提案を共有し、現在イラン当局が検討中であると付け加えた。
・ダール氏は、トルコやエジプトを含む国々もこのイニシアティブを支持していると述べ、パキスタンは平和と安定の促進に引き続き尽力していると強調した。
・「対話と外交が唯一の道だ」と述べた。
・この発言は、2月28日に紛争が始まって以来、イスラマバードがワシントンとテヘラン間の意思疎通を促進する役割を公式に確認した初めてのケースとなる。
・パキスタンの高官2人がAFPに語ったところによると、米国の提案はパキスタンの仲介者を通じてイランに伝えられ、戦争を止めることを目的とした15項目で構成されているという。
・パキスタンは、隣国イランとの緊密な関係や、アメリカや湾岸アラブ諸国との関係から、重要な仲介役として浮上している。政府関係者によれば、イスラマバードは双方に直接コンタクトを取り続け、潜在的な会談を主催することを申し出ているという。
・高官は、パキスタンのアシム・ムニール陸軍大将も外交努力に関与しており、最近ドナルド・トランプ米大統領と話し合いを持ったと付け加えた。
・協議に詳しいパキスタンの情報筋がロイターに語ったところによると、イスラエルは最近、パキスタンの介入を受けて、イランのアッバス・アラグチ外相とモハンマド・バケル・カリバフ国会議長を潜在的標的リストから外したという。
・ウォール・ストリート・ジャーナル紙は先に、米政府関係者の話として、外交的な選択肢を検討するため、この2人を一時的にリストから外したと報じた。
・イラン政府高官は、ワシントンと交渉が行われていることを公には否定しているが、「友好国」が両者の間でメッセージを伝えていることは認めている。
アナリストや治安当局者によると、イランでの戦争が長引いてパキスタンに波及するリスクは、パキスタンにとって最大の懸念の一つで、アフガニスタンのタリバン暫定政権との紛争が続くパキスタンは、イランでの戦争による燃料供給途絶にも苦しんでいます。
つまり、パキスタンにしてみれば、なんとしてでも、アメリカとイランには停戦して欲しいわけです。
イランの国営メディアによると、アメリカから提案された15項目の条件に関して、25日の夜に仲介国を通じて回答をしたようで、イランは返答を待っているとする一方で、アメリカとの地上戦に向け100万人以上の戦闘員を組織。また、イランの高官はアメリカの提案が「一方的で不公平」だと評価していると語っていると報じています。
トランプ大統領が、イランのエネルギー施設への攻撃を中止する期間を10日間延期したのは、イランからの15項目が一方的に過ぎるという返答を受けて、再検討するための時間として設けた側面もあるかもしれません。
4.イランで話せる最後の二人
このパキスタンの仲介について、独立系アナリストのシャナカ・アンスレム・ペレラ氏は自身のXで次のツイートをしています。
パキスタンは、地球上でこの戦争を終わらせることができる最後の2人を、戦争を引き起こした国による殺害から救ったばかりだ。パキスタンによってホルムズ海峡はかろうじて繋がっている。アメリカとイランの協議が表向きに行われるのか。要注目です。
ロイターは、パキスタン当局者の引用として確認した:イスラエルは、イラン外相アッバス・アラグチと議長モハンマド・バゲル・ガリバフを暗殺するための詳細な計画を策定しており、移動座標も含んでいた。パキスタン情報機関がこの計画を傍受した。イスラマバードはワシントンに緊急メッセージを送った:この2人を排除すれば、話す相手はもう誰もいなくなる。停戦交渉できる唯一の人物が死に、強硬派のIRGC司令官たちが完全な支配権を握り、彼らは交渉に興味がなく、料金所を開き続け、ミサイルを飛ばし、ホルムズ海峡を閉鎖し続けることにのみ興味がある。
ワシントンは耳を傾けた。米国はイスラエルに直接介入した。アラグチとガリバフは、4~5日間の一時的な共同標的リストから除外された。WSJはこの猶予期間を確認した。裏ルートは今、開かれた。パキスタンはテヘランに15項目のアメリカ提案を仲介している。トルコとエジプトがこの取り組みを支援している。イシャク・ダル外相は3月26日にこれをすべて公に確認した。
今起こったことを処理せよ。先月、首相が演説台に立ち、ドナルド・トランプを「本物の平和の男」「南アジアの救世主」と呼び、ノーベル平和賞に推薦した国が、その情報機関を使って、グローバル経済を破壊する戦争における最後の外交的脱出口を崩壊させるイスラエル攻撃を防いだのだ。パキスタンは軍艦を送らなかった。パキスタンはミサイルを発射しなかった。パキスタンはメッセージを送った。そして、そのメッセージは機能した。
NATOはこれをやらなかった。NATOにはホルムズ海峡を再開するための軍艦派遣が求められた。ドイツは「これは我々の戦争ではない」と述べた。フランスは戦闘終了後に参加すると述べた。英国は計画がないと述べた。トランプは今朝6:16に「決して忘れるな」と投稿した。総防衛費1.6兆ドルの30カ国同盟は、トランプが「全く何も」と呼んだものを提供した。GDPがベルギーより小さく、防衛予算の一部を中国融資で賄うパキスタンが、交渉を維持するための情報傍受を提供した。
矛盾は構造にある。トランプがこの戦争を戦うために築いた同盟は戦おうとしなかった。トランプが称賛したおべっかを使った国が、今、平和を仲介する国だ。NATOは任務を議論する。パキスタンは提案を仲介する。NATOはエスカレーションのリスクを引用する。パキスタンはエスカレーションのリスクを取る。15項目のアメリカ提案は今、テヘランで審議されている。なぜなら、パキスタンの情報将校が電話をかけ、ワシントンに外相殺害が会話を永久に終わらせるだろうと伝えたからだ。
海峡はまだ閉鎖されている。料金所はまだ人民元で徴収されている。ヘリウムはまだオフラインだ。ディーゼルはまだ配給制だ。硫酸は届いていない。クラスター爆弾はカファル・カーシムにまだ降り注いでいる。ホルムズ回廊を構築したIRGC司令官は死んでいるが、回廊はまだ稼働している。9千の標的が破壊されたが、ホルムズは再開されていない。2000億ドルは運動エネルギー優位を買った。停戦は買わなかった。停戦が来るなら、それは1.6兆ドルを防衛に費やした同盟ではなく、電話1本を外交に費やした国によって仲介されるだろう。
イスラマバードは会談のホスト提供を申し出た。可能なサミット:副大統領ヴァンスとガリバフかアラグチ。猶予期間は4~5日だ。3月29~31日頃に期限切れになる。会談が失敗すれば、標的はリストに戻る。座標はすでにプロット済みだ。パイロットはすでにブリーフィングを受けている。最後の2人のイラン外交官とイスラエル精密兵器の間に立ちはだかる唯一のものは、世界のほとんどの人が関与を忘れていた国からのメッセージだ。
分子は誰が停戦を仲介するかを気にしない。分子は海峡の開放を必要とする。海峡は会話を必要とする。会話は2人の生存者を必要とする。その2人は、パキスタンが電話をかけたから生きている。
Pakistan just saved the last two people on Earth who can end this war from being killed by the country that started it.
— Shanaka Anslem Perera ⚡ (@shanaka86) March 26, 2026
Reuters confirmed, citing a Pakistani official: Israel had developed detailed plans, including movement coordinates, to assassinate Iranian Foreign Minister… pic.twitter.com/v7LQxfWgxY
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