
1.日本はイランへの侵略に積極的に関与していない
イラン戦争にフーシ派が正式参戦表明し、イスラエルへの攻撃を開始しましたけれども、3月30日現在、主な攻撃対象はイスラエルの軍事施設を対象にした3月28日の弾道ミサイルによる第1波攻撃とその後の巡航ミサイル+ドローンによる第2波攻撃以外、公式声明で明らかにした攻撃はありません。
そんな中、ANNが「フーシ派」の幹部のモハメド・アルブハイティ氏に取材しました。
アルブハイティ氏は、「バブ・エル・マンデブ海峡の封鎖は圧力の手段だ。侵略行為が止まらなければ、イエメンは関与した国々に対して、この手段を用いざるを得なくなるだろう」と、海峡封鎖を示唆したうえで、海峡を通過する船舶から通航料を徴収することも今後、検討するとしました。イランへの攻撃が続けば、段階的に対抗措置を講じると強調しています。
一方、リップサービスなのか、分断工作なのかわかりませんけれども、アルブハイティ氏は「日本はイランへの侵略に積極的に関与していないため米国の利益に直結しない限り標的となることはない」とも述べています。
2.水面下で手を握るイランとサウジ
昨日のエントリーでは、フーシ派はイランと示し合わせた上でイラン戦争に参戦してきたのかと述べましたけれども、実はサウジも一枚噛んでいるのではないかという指摘があります。
実業家で著名Youtuberの石田和靖氏は3月30日に「サウジとイランが水面下で手を組んでいるのか?」という動画配信をしています。
件の動画の概要は次の通りです。
〇カードを失いつつある指導者たち石田氏は、イスラエルはサウジを戦争に巻き込み、スンニ派対シア派の宗教戦争に仕立て上げることでイラン包囲網を築こうとする狙いだったのに対し、サウジはその手には乗らず、逆に水面下でフーシ派やイランと交渉し、「石油施設や淡水化プラントを攻撃しない代わりに、米軍基地のみを標的とする」といった裏約束があるのではないかと推測しています。
石田和靖です。「越境3.0チャンネル」へようこそ。本日のテーマは「中東危機の泥沼化:出口の見えないネタニアフとトランプ」です。
現在、イスラエルのネタニアフ首相も米国のトランプ大統領も、出すカードが相当限られてきました。トランプに関しては、イランとの戦争において出口が見えなくなっています。これについては、後半でジョン・ミアシャイマー教授の最新インタビューの内容を共有します。そしてネタニアフの暴発です。カードがなくなってきた最終段階として、核兵器を使う可能性が日に日に高まっているのではないかというお話をしていきます。
〇イスラエルの奇襲空爆と米国の矛盾
まず3月28日のニュースです。イスラエルがイランの核施設を空爆し、イランは報復を宣言しました。トランプ大統領は「重要インフラへの攻撃を10日間延長(猶予)する」と発表したばかりでしたが、そのさなかにイスラエルが核施設や発電所へ奇襲をかけたのです。
イスラエル軍は27日、アラクの重水炉、ヤズド近郊のウラン精鉱施設、イスファハンやフーゼスターン州の製油所、発電所などを空爆しました。イランのアラクチ外相は、これが米国の主張と完全に矛盾していると非難しています。トランプ氏は「イランは壊滅的打撃を受けて取引をしたがっている」と強調していますが、イラン側からすれば米国やイスラエルの発言は200%信用できない状況です。米国は早く戦争を終わらせたい思惑がありますが、イスラエルの行動はそれに全く反しています。
〇米軍の兵器消耗:トマホーク850発の衝撃
ロイターの報道によれば、米軍はこの4週間で巡航ミサイル「トマホーク」を850発も使用しました。このペースの速さに国防総省内では強い懸念が広がっています。ホワイトハウスは「十分な備蓄と余力がある」と述べていますが、実際には内部協議が行われるほどの事態です。イラン側は米国を消耗させ、最後にとどめを刺す作戦を考えているのでしょう。この消耗戦に米国が耐えられるとは思えません。
〇ソマリランド進出と物流コストの増大
イスラエルはイエメンのフーシ派に対抗するため、アフリカのソマリランドへの進出を急いでいます。ソマリランドは世界から国家承認されていませんでしたが、イスラエルが昨年末、世界で初めて承認しました。ここはイスラエルの傀儡国家と言えます。
その狙いは、ガザ住民の移送先確保と、戦略的拠点の構築です。エジプトやヨルダンに移送を拒否された結果、ソマリランドが筆頭候補となりました。地理的にイエメンの真下に位置するため、バブ・エル・マンデブ海峡が火種となり、スエズ運河やホルムズ海峡を含めた海上輸送が安全に航行できなくなります。そうなれば船は喜望峰を回らざるを得ず、輸送コストは倍増し、日本のスーパーに並ぶ物品の値段も上がることになります。
〇サウジアラビアの戦略的判断と水面下の交渉
イスラエルはサウジを戦争に巻き込み、スンニ派対シア派の宗教戦争に仕立て上げることでイラン包囲網を築こうとしましたが、サウジは踏みとどまりました。サウジは戦略的な石油ライン(東西パイプライン)を守ることを優先し、戦争に参加しないという政治的判断を行いました。
実際、サウジは水面下でフーシ派やイランと交渉を続けています。サウジがイランからの攻撃に対して報復しなかったことが、一つの大きな交渉材料となっています。サウジとイラン、フーシ派の間には「石油施設や淡水化プラントを攻撃しない代わりに、米軍基地のみを標的とする」といった裏約束があると考えられます。サウジはトランプ政権を見切り、イランと手を組んでイスラエルを潰すための作戦に動いている可能性があります。
〇ジョン・ミアシャイマー教授による批判
国際政治学者のジョン・ミアシャイマー教授は、トランプ政権の外交政策を厳しく批判しています。「1年前の合理性は消え、トランプは泥沼に追い込まれた。電撃戦で政権崩壊させるという甘いシナリオは崩壊した。イランはホルムズ海峡封鎖やフーシ派との連携という強いカードを持っている。皮肉なことに、米国は世界経済崩壊を防ぐためにイランの石油輸出を止められず、爆撃しながら存続を保証している。トランプは専門家を排斥し、戦略を理解できない不動産業界の友人に囲まれ、ネタニアフに幻想を吹き込まれた。今や、屈辱的な敗北を受け入れるか、世界経済を崖から突き落とすかの二択しかない。トランプの表情には、1941年の真珠湾攻撃前の日本と同じ絶望の色が見える」
〇日本国内への波及と「第三のコミュニティ」
この状況は日本のエネルギー安全保障に直結しています。ナフサ不足によりプラスチック製品やゴミ袋などの製造ができなくなっていると三菱ケミカルなどが発表しています。
イスラエルのネタニアフ政権には「停戦」の文字はなく、戦争を続けるしか選択肢がありません。これに巻き込まれる前に、私たちは横に繋がる必要があります。仕事や家庭以外の「第三のコミュニティ」を作り、愛国者が手を取り合って日本を良くしていくべきです。YouTubeでは言えない真実を各地のリアルセミナーでお伝えしていきます。
本当であればもの凄いことです。サウジのしたたかさもそうですけれども、もしこういう構図があるとするならば、フーシ派の攻撃とか懸念されているバブ・エル・マンデブ海峡の封鎖も緻密にコントロールされたものになる可能性が出てきます。
3.イランには強力な切り札がある 2026年3月19日 https://www.youtube.com/watch?v=tJz_TygUXsY
3.イランもエスカレーションの階段を上ることができる
前述の動画で、石田氏はシカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授がトランプ政権の外交政策を厳しく批判しているということですけれども、米陸軍退役中佐のダニエル・L・デイビス氏が運営する、国際情勢や戦争、国家安全保障を解説するYouTubeチャンネル「Daniel Davis / Deep Dive」の3月19日配信回でジョン・ミアシャイマー教授にインタビューしています。
その様子は次の通りです。
【前略】イランは今の劣勢にどれだけ耐えられるのかという問いに対し、ミアシャイマー教授は、逆にイランがもたらす痛みに我々が耐えられるかどうか、と指摘しています。そして、トランプ大統領には戦争を終わらせるよう強力な圧力がかかり、終わらせることができなければ、国際経済を沈没させるとまで警告しています。
ダニー: おっと、見ていて痛々しいものでした。さて、今日は国際政治学者のジョン・ミアシャイマー教授をお迎えしています。シカゴ大学の政治学教授であり、この番組の長年の友人です。ジョン、お帰りなさい。今のやり取りをどう見ますか? トランプ大統領が主張するように、イランと戦争をしなければならないほどの「差し迫った脅威」があったのかという問いに対し、彼女はどう答えたのでしょうか?
ミアシャイマー: 非常に単純です、ダニー。彼女は真実を語ることができないのです。彼女はイランが差し迫った脅威ではなかったことを知っています。インテリジェンス・コミュニティもそれを完全に理解しています。私たち全員が理解しています。しかし、彼女はトランプ大統領のために働いています。彼女は全く独立していません。彼女は政治的に正しい(都合の良い)ことを言ったのです。
ダニー: 実に明快ですね。しかし、私たちはバラバラになった破片を拾い集めようとしています。アメリカ国民にとって、その影響は驚くべきものであり、憂慮すべきものです。以前、憲法上のガードレール、つまり立法府と行政府の三権分立、さらには戦争権限決議そのものについて話しました。大統領が戦争を始めるための非常に狭く限定された根拠は、間違いなく窓から投げ捨てられました。そしてもう一つは、常識的に考えて、必要性がない限り、防衛上の脅威がない限り戦争はしないはずですが、ここではそれらのどれも起きていません。3万フィート(俯瞰的)の視点から見て、現在のアメリカ政府の状況、さらには統治形態について何が分かりますか?
ミアシャイマー: チェック・アンド・バランス(抑制と均衡)に関する限り、現時点ではほとんど無意味です。議会は真面目な機関ではなく、外交政策に関してトランプ大統領を阻止する能力を持っていません。彼は独裁者や国王、皇帝のように振る舞うことができます。彼は自分のやりたいことをほぼ何でもできる自由があります。
「差し迫った脅威があったのか、それゆえにイランへの戦争が正当化されたのか」という議論全体で興味深いのは、それが「私たちが主導権を握り、私たちが戦争を決めた」という前提に立っていることです。しかし、実際はそうではありません。イスラエルと米国内のイスラエル・ロビーが、私たちをこの戦争に導いたのです。私たちに選択肢はほとんどありませんでした。私たちはイスラエルに従ったのです。主導権を握っていたのは彼らであり、私たちではありません。
トランプ大統領自身も、イランが合衆国にとって差し迫った脅威ではないことを理解していたと確信しています。それを立証することはできません、裏付ける証拠がないからです。私は、イランはイスラエルにとっても差し迫った脅威ですらなかったと主張します。しかし、イスラエルは米国を戦争に行かせたかったのです。ネタニヤフが明らかにしたように、彼は過去40年間、私たちを対イラン戦争に引きずり込もうと画策してきました。そしてついに成功したのです。
ダニー: ええ、それ自体が非常に憂慮すべきことです。実際、あなたの今の言葉は推測ですらありません。トランプ大統領自身の口から、攻撃の決定を下す際、タルシ・ギャバードでもCIA長官でも、統合参謀本部議長でも、セントコム(中央軍)司令官でもなく、ジャレッド・クシュナーとスティーブ・ウィトコフ(※字幕ママ、おそらくウィトコフ)の意見に基づいたと述べています。彼自身の説明によれば、彼こそが耳を傾けた相手です。知っての通り、彼らはイスラエルと強い関わりと親和性を持っています。それは問題です。もしガードレールがなく、合衆国大統領が――それがトランプであれ後継者であれ――軍隊を自由自在に操れる「一人芝居」になってしまうなら、それは極めて危険な場所です。それが250年前にこの統治形態を作った理由の一つだったはずですが。
ミアシャイマー: ここには2つの深刻な問題があります。1つはあなたが指摘した、外交政策の執行において憲法が機能しなくなったこと。しかし2つ目の問題は、外国政府がアメリカの国家利益にならない戦争へと私たちを導くことができる状況にあることです。今起きていることは本当に驚くべきことです。トランプ大統領の意思決定プロセスを見れば、彼は交渉の状況についてクシュナーとウィトコフの言うことを頼りにすると明言していました。
昨日のガーディアン紙の記事で、ジョナサン・パウエルという人物(イギリスの元国家安全保障顧問)が、2月28日の開戦直前の米・イラン交渉に同席していたことが分かりました。彼は、合意は可能だったと考えていただけでなく、スティーブ・ウィトコフとジャレッド・クシュナーは事実上の「イスラエルのエージェント(代理人)」または「イスラエルの資産」であったと述べました。考えてみてください、イスラエルの資産です。彼らはイランと戦争をすべきかどうかという問題に対処する、大統領の主要な2人の顧問だったのです。
もちろん、リンゼイ・グラハム上院議員のような人々もいます。彼は自ら認めているように、ネタニヤフ首相に対し、どうすればトランプ大統領をイランとの戦争に誘い込めるかを助言しています。信じがたいことです。合衆国は主権国家であり、歴史上最も強力な国家の一つ、今日地球上で最も強力な国家であるはずです。それなのに、外国であるイスラエルとその同盟者が、ほぼすべての見解において悲惨な結末を招くであろう戦争へと、私たちを導くことができるのです。
ダニー: まさにその通りです。リンゼイ・グラハムのクリップを見せましょう。大統領がそうしたいというだけでなく、メインストリーム・メディアの協力がなければ、ここまで至ることはできません。ジョー・ケントの辞任届にも、主要メディアの積極的な関与がこれを助長したとありました。グラハムがショーン・ハニティの助けを借りて、トランプが戦争に行くべきだったと主張している場面です。
リンゼイ・グラハム(映像): もし最高指導者が核兵器を手に入れたら使うだろうと信じるなら、あなたは正しい。砂に頭を突っ込んで信じない者たちは間違っている。私の友人ジョー・ケントへ、君はシリアで妻を亡くした勲章受章の退役軍人だが、何をしているんだ? 君は嘘に加担している。差し迫った脅威はあった。2週間以内に10個の爆弾を作るのに十分な材料があることが判明して、これ以上の証拠があるか?
ダニー: 昨年7月の番組でテッド・ポストルが話した通り、400kg以上の再処理材料があり10個の爆弾を作れることは以前から分かっていました。交渉の中でそれを「発見した」というのは真っ赤な嘘です。100%の嘘です。しかし、テレビでは「大変だ、あと1、2週間で爆弾ができることが分かった」と性格付けされています。これがあなたの言う問題に拍車をかけているように見えます。
ミアシャイマー: リンゼイ・グラハムの言うことも、トランプ大統領の言うことも信じられません。そして、先ほどのギャバードについても同様です。合衆国の悲しい現状です。権威ある立場にある人物のほとんどを信じることができません。
ダニー: 誰の言うことも信じられない状況で、どうして国が効果的に機能し続けられるのでしょうか?
ミアシャイマー: 効果的に機能することは不可能です。その証拠が欲しければ、今イランで起きていることを見ればいい。それ以前のアフガニスタン、さらに前のイラクを見ればいい。合衆国は「逆マイダス・タッチ(触れるものすべてを悪くする)」を持っています。それがこの状況の主な理由の一つです。
ダニー: 「逆マイダス・タッチ」、痛烈な呼び名ですね。現状を見てみましょう。私たちは自ら嘘をついてこの窮地に陥り、今やトランプ大統領は必死に出口を探しています。過去の紛争とは違い、今回はイラン側にホルムズ海峡というレバレッジを渡してしまいました。彼らは私たちが好まないことをしない限り、海峡を閉鎖し続ける力を持っています。さて、ここでジョン・ボルトンの発言を見てみましょう。
ジョン・ボルトン(映像): 最高指導者に加え、軍民問わず数百人のイラン高官が殺害されました。実際の数はもっと多いでしょう。革命防衛隊、バスィージ、コッズ部隊には甚大な損害が与えられました。しかし、まだ道のりは長いです。イランの独裁体制は47年かけて築かれたものであり、国民を抑圧し隣国を脅かす巨大な兵器です。まだ3週目に入ったばかりです。しかし、米イスラエル共同作戦は次々と成功を収めていると考えています。
ダニー: 彼が言っているのはイスラエルの暗殺プログラムのことです。イスラエルのカッツ国防相は今日、「宗教、政府、軍、科学者、誰であれ、ターゲット・サークルが閉じれば追加の承認なしに排除することを軍に許可した」と公言しました。暗殺によってこの戦争を切り抜けようとしているように聞こえます。これはうまくいきますか?
ミアシャイマー: いいえ。イランの層は厚く、暗殺された者は有能な人物に取って代わられます。場合によっては、前任者より効果的な人物になることもあるでしょう。イスラエルが「斬首作戦」でこの戦争に勝つという考えは妄想です。起き得ません。しかし、ボルトンが「これは長い戦争の始まりだ」と言ったことが重要です。長期戦になれば、私たちは深い苦境に立たされます。経済予測を見てください。原油・ガス価格の上昇がインフレを引き起こし、社会的・政治的混乱を招くだけでなく、「肥料」の問題もあります。世界の肥料の3分の1はホルムズ海峡を通過します。食料価格の大幅な上昇を招くでしょう。
さらに今日、事態は悪化しました。イスラエルがイランのサウス・パルス天然ガス田を攻撃しました。世界最大のガス田です。これに対しイランは、サウジアラビア、UAE、カタールの石油施設を攻撃すると表明しました。エスカレーションの階段を上っており、双方がエネルギー・インフラを叩き合っています。世界経済へのダメージは計り知れません。合衆国は真の苦境にあり、トランプ大統領には戦争を終わらせるよう強力な圧力がかかるでしょう。もし終わらせることができなければ、国際経済を沈没させることになりかねません。
ダニー: 今朝のCNBCでは、現在97ドルの原油価格が、もし海峡が月内に開かなければ2週間以内に120ドルから150ドルに達すると予測していました。肥料の原料となる尿素なども含まれます。暗殺キャンペーンについて、イランのアブドラヒアン外相(※字幕ママ、おそらくアラクチ)はこう述べています。
アラクチ(映像): なぜ米イスラエルがこの点を理解しないのか分かりません。イランには強固な政治構造があり、個人の有無は構造に影響しません。指導者自身が殉教してもシステムは即座に後継者を提供しました。外相が殉教しても誰かがその座を継ぐだけです。
ダニー: 9,300万人の国のシステムを殺すことはできない、という彼の自信は妥当でしょうか?
ミアシャイマー: 妥当です。イランはこの戦争に備えてきました。彼らはイスラエルが長年「斬首作戦」を行ってきたことを知っています。しかし、それはうまくいきません。イランのような大規模で確立された国家に対しては特にそうです。だからこそボルトンは「長い戦争になる」と言ったのです。
もう一点。今朝のサウス・パルスへの攻撃を受け、価格は1バレル108ドル付近まで上がっています。イランがサウジやUAEに報復すれば、さらに跳ね上がるでしょう。トランプ大統領はイスラエルに「石油施設を撃つな」と言ってきました。価格高騰を恐れたからです。しかし、撃ったのはイスラエルです。アメリカ側は激怒しているはずです。
ダニー: カタールも「危険で無責任なステップだ」と激怒しています。一部のアナリストは、これはイランの報復を誘発し、GCC諸国をイスラエル側の一致団結した勢力として引きずり込もうとするイスラエルの試みだと言っています。つまり、戦争の責任をイランに押し付けるためです。これはうまくいきますか?
ミアシャイマー: その議論は理解できません。GCC(湾岸協力会議)は最初からこれに関わっています。サウジやUAEが米イスラエルに対イラン戦争を促した証拠はいくらでもあります。戦争が始まってからも、彼らは「イランを徹底的に叩いて仕事を終わらせろ」と励ましてきました。さらに、これらの国々には米軍基地があり、そこから戦争が遂行されています。彼らが基地の使用を拒否したこともありません。GCC、イスラエル、アメリカは最初から「同じベッド」に寝ているのです。彼らの軍事資産がバランスを変えるという主張は笑止千万です。彼らは、米イスラエルと同盟を組み、攻撃を促した代償として、恐ろしい対価を支払うことになるでしょう。
ダニー: アラクチ外相もエスカレーションについて、「我々は戦争を拡大させていない。戦争は本質的に拡大するものだ。米軍が1万マイル先から攻撃してくるなら、我々は必然的に地域内の米軍基地を叩くしかない。残念ながらそれらは友好的な国々の領土にある」と述べています。さて、外交の余地はありますか? それともウクライナのように戦場で決まるのでしょうか。
ミアシャイマー: 「オフランプ(出口戦略)」があるかという問いですが、私には見えません。私の友人たちが出した答えは「勝利を宣言して撤退する」ことですが、それは勝利ではなく屈辱的な敗北であることは誰の目にも明らかです。さらに、戦争を終わらせるにはイランを納得させる譲歩が必要ですが、トランプ大統領がイスラエルや国内政治の手前、意味のある譲歩をできるとは思えません。
ダニー: アラクチ外相は昨日、「停戦は信じない。全戦線での戦争終結を信じる」と述べました。イラン側はこれ以上の痛みに耐えられるでしょうか?
ミアシャイマー: その問いに答える前に、イランも私たちと同様に「エスカレーションの階段」を上ることができるという点に注目してください。問題は、私たちが彼らのもたらす痛みに耐えられるかどうかです。彼らには手札があります。世界の肥料の3分の1を遮断し、食料生産とインフレに甚大なダメージを与えています。原油価格を上げる手段も持っています。紅海はまだ開いていますが、フーシ派と協力してそこを閉鎖すれば、世界経済に壊滅的な影響を与えます。さらに、湾岸諸国の「淡水化プラント」です。クウェートの水の90%、サウジの70%、UAEの42%が淡水化によるものです。これらは巨大な標的です。イランが絶望すれば、そこを狙うでしょう。そうなれば……。
先述の石田氏が指摘したとおり、サウジとイランが水面下で手を組んで、フーシ派が行動しているのだとすれば、事は簡単には進まないことは容易に想像できます。早期の停戦なり、なんらかの決着がなければ、世界経済を巻き込んだ大混乱が待ち受けることになるかもしれませんね。
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