
1.一強他弱
3月21~22日にかけて、テレビ朝日「報道ステーション」が世論調査を行いました。
高市早苗内閣の支持率は65.2%と前回調査から3.2ポイント上昇。一方で「支持しない」は19.3%と4.9ポイント下落し、政権発足から一定の期間が経過してもなお、極めて高い支持水準を維持しています。
支持の理由は「政策に期待が持てるから」が31.4%で最多となっており、次いで「高市総理の人柄が信頼できるから」が23.7%。これは、高市政権が掲げる経済安全保障や防衛力の強化、あるいは具体的な経済政策に対して、国民が実効性を感じ、一定の評価を下していることを表してると言えるでしょう。一方、対照的に、支持しない理由としては「政策に期待が持てない」が27.2%、「支持する政党の内閣でない」が23.0%と、主義主張の相違による不支持が一定数存在するものの、全体としては「期待感」が「不安感」を大きく上回る結果となっています。
また、政党支持率においても、自由民主党が44.3%(前回比+4.4)と大きく数字を伸ばし、他党を圧倒しています。他方野党はというと、「中道改革連合」が5.6%、「日本維新の会」が5.1%、「国民民主党」が4.0%、「立憲民主党」が3.8%と、野党が小規模な数字で乱立し、拮抗する状況が続いています。特に中道改革連合は前回から4.3ポイントの大幅減となっている点が注目されます。はっきりいえば、自民党の一強他弱になっているということです。
2.支持の強度は弱くなっている
依然として高い内閣支持率ですけれども、その中身は変わってきているという指摘もあります。
3月18日配信の「選挙ドットコム」は次のように解説しています。
今野:よし、次の行ってみましょうか。内閣支持率ですね。JX通信の米重氏によると、高市内閣の見た目の支持率が高いものの、支持の強度は弱くなっていると指摘。高市内閣に対する期待値が剥がれてきていると述べています。
米重:そうなんですよ。電話とネットそれぞれあるんですけど、特に電話に注目していくと、高市政権の内閣支持層を見た時に、「強く支持する」が30%ぐらい、「どちらかといえば支持する」が26%で合わせて56%なんですけど、前回に比べると7.5ポイント下がっていると。
今野:結構下がってますね、JX通信社の調査が。これ、読売とか70%とかあるじゃないですか。
米重:そうですね。会社によって下げ幅は違いますけど、とりあえず下落局面にあるっていう意味では各社共通してるかなと思います。
今野:これ、いつでしたか。
米重:3月の14、15日ですね。イラン戦争始まって、選挙終わって、予算が13日に通過して。解散……じゃない、選挙やって1ヶ月ちょっとぐらい。
今野:意外に落ちてますね。
米重:そうなんですよ。やっぱりこのへんは、選挙終わってからの期待値の剥がれ具合というものを示していて。特に「強く支持する」層っていうのが、高市政権発足してからしばらくはずっと4割ぐらいだったんですね。で、今それが3割なので、強烈に、積極的に支持しているっていう人も、ちょっとその態度が弱まっているっていうのが足元の状況であると。
今野:それなんでですかね?
米重:1つ考えられるのは、これいくつかの要因があるんですけど、男性と女性でちょっと下がり方が違うんですね。実は男性の方は10ポイントぐらい支持率が下がっているんですけど、要は男性って比較的、積極的な支持にしても何にしても、明確になんか理由があって内閣を支持したりしなかったりする傾向が強いんですね。その理由が多分色々出てきているんだろうと。例えば国民民主の支持層に関して言うと、やっぱりこの間の、政権と国民民主の距離感がだんだん開いてきて、その中で「壁を壊すのが好きな野党に振り回されて、面倒見てやったのに恨み節みたいな……」
今野:そうなんですよ。
米重:そういうのちょっとプチ炎上してたりとか。あと参政党支持層に関しても、内閣支持率グッと下がったんですけど、やっぱり特定技能2号を巡る話で、高市政権っていうのは移民政策をもっと厳しくしていくんじゃなかったのかと。
今野:いわゆる外国人労働者ですね。
米重:そうです。それは結構、参政党支持層の方と、彼らが見ているような保守系のインフルエンサーの方が結構、高市政権の方針を問題視している人がいるんですよね。こういう発信が効いている可能性もありますし。あとは複合的ないくつかの要因、選択的夫婦別姓もありますよね。
今野:おお、それはどう?
米重:あれは、「氏(うじ)」の使用の法制化をする時に「単独氏(たんどうくし)」、要するに「旧姓だけを使うことができるような形で検討する」っていう方針を一応高市内閣としては打ち出したと思うんですけど、そしたら「それって選択的夫婦別姓と何が違うの?」っていうツッコミがまた保守系のインフルエンサーの方から出ちゃう。
今野:だから「米重香織」になったとしても、ずっと「千葉香織」で表記できると。行政的なものも含めてってことですよね。
米重:戸籍は「米重香織」さんのはずだけど、表で出ることはないってことですよね。「併記」だと「米重(千葉)香織」になるわけですよね。
今野:併記だと米重と千葉が共存するけど、「単独氏」っていうのは旧姓だけを使うから、事実上の選択的夫婦別姓じゃないかっていう。三原じゅん子さんとかが国会質問で。
米重:まさにそういうツッコミどころがある。大臣室で「単独氏」で出してたはずが、なぜかパスポートとかは「併記」でもいいって言って、どっちなんじゃい!みたいになってる。
今野:そうなんですよね。あれ、意外にどっちからも支持されなくなるんですよね、ああいうこと言っちゃうと。
米重:まあ、多分「単独」っていうのは結構、高市さんご自身の心情というか考え方なんだとは思うんですけど。やっぱり選択的夫婦別姓に反対する方っていうのは、個人というよりは「家制度」的なものに対して重きを置いてるわけじゃないですか。家っていうのは1つの名字で括られるんだ、っていう考え方が多分あると思うんですよね。国があり、家があり、その下に個人がある、みたいな。そう考えると、やっぱり単独氏はしっくりこないんだろうなっていうのは、SNSとか見てると感じますね。
今野:そうですね。多少こう、ちょっとね、保守層向けに見ると軌道修正を図っているところは感じられる。
米重:そうなんですよね。個人に重きを置くのか、家に重きを置くのか、どっちなのかが分かんなくなってきている。
今野:しかもネットの方はやっぱり支持率下がってるんですね。
米重:そうですね。ネットで「強く支持する」人がだいぶ少なくなっていて。30%あったのが、今は13.9%まで落ちてます。
今野:だいぶ違いますね、これね。
米重:そう、だから支持態度が若干、全体的に弱まってはいる。支持率の数自体は全然高いんですけど、指示の強度が弱まっている、という風に捉えていただくと。
今野:なるほどね。不支持率は変わってないですもんね。
米重:そうですね、不支持は電話でちょっと超えてるぐらいですね。全然これで直ちに高市内閣が危ないとかそういう話ではなく、非常に安定はしているんですが、ただ選挙を経て支持強度がちょっと下がっている。その間の1ヶ月にあったこととしては、経済だったり、保守的な論議を呼ぶ話題であったり、そういうことが影響している。まとめると、期待感で今まではドライブできたけれど、これからはやったこと、実績で評価されるフェーズに入ったってことですよね。
今野:でもそうすると、ちょっときつくなってきますね。せっかくガソリンの暫定税率を51年ぶりに廃止して、ガソリンが140円台ぐらいまで行ったんじゃないかな。
米重:そうですね。ただイラン戦争で一気にまた200円近くまで跳ね上がって。
今野:今度、激変緩和措置で補助金入れるから170円ぐらいまで落ち着くけど。いや、ちょっとタイミングとしては厳しい局面に入るかもしれない状況ですよね。
米重:だから逆に言うと、そういうタイミングに入る前に選挙をやれて、結果論としては政権としては良かったのかもしれないですね。
今野:ええ、そこまで計算してたとはとても思えないですけれど。
米重:そういう意味では、高市さんにはまだ「運の月」があるのかなという風にも取れますね。
3.少数野党の生きる道
この高市内閣に対する期待値剥がれについて、「選挙ドットコム」は次の様に述べています。
今野:よし、じゃあ次のスライド行ってみましょう。衆院選後の政権運営の評価。「衆院選で高市総理率いる自民党が大勝してから約1ヶ月が経過しました。あなたは高市内閣の衆院選後およそ1ヶ月間の政権運営を全体としてどう評価しますか?」米重氏は高市内閣の政権運営について、衆院選後の1ヶ月間は、期待を上回っている人と下回っている人が半々で拮抗していることを挙げ、特に「期待を大きく下回っている」人が2割いる点に着目し、この中に高市政権に対し不満に思っている保守系の支持層がいると指摘しています。
米重:これもですね、概ね評価まで含めると半分ぐらいが評価。「期待を上回っている」「概ね期待通りである」を合わせて、電話では45%ぐらいの方が評価しているんですが、一方で43%ぐらいの方は「期待をやや、もしくは大きく下回っている」と。平たく言うと、衆院選後の1ヶ月間は、期待を上回っている人と下回っている人が半々で拮抗しているよ、ということですよね。特に「大きく下回っている」人が2割いるっていうのはポイントで、こういう人たちの中に、さっき申し上げた政策だとか選択的夫婦別姓だとか特定技能とか、様々な理由で不満に思っている保守系の支持層がいるよ、ということなんですよね。
今野:なるほど。参政党とかがちょっと高市さんから「反・高市」に回って、ある程度成功しているとも言えるんですか。
米重:成功はしていないと思います。まだこれからだと思いますね。支持率的に言うと、別にすごい上がっている状況ではないです。ただ、だんだん差別化というか、高市政権・高市自民党との区別が進んできているのかなと。参政党にしても国民民主党にしても、高市内閣発足直後は支持層の中で7割、8割、場合によっては9割が高市内閣を支持する、っていう人がいたんですよね。それがもう3割とか4割とかそれぐらいまで減ってますから。国民民主は支持するけど高市さんは支持しない、参政党は支持するけど高市さんは支持しない、こういう風になってきている。その上で、それぞれの支持率がどれぐらい今後変化していくか、ということですよね。
今野:割と選挙がむしろ終わってはっきりしてきてんですね。今までややこしかったじゃないですか。「参政党支持者は高市さん支持者」だったり、「国民民主党支援者は高市さん支持」だったり。選挙でこれどっちに入れるのか、みたいな。
米重:そうなんですよ。そうするとやっぱり高市自民党に非常に勢いがあるわけですから、支持層を国民民主とか参政党はめちゃくちゃ吸い上げられちゃうわけですよね、高市さんに。で、吸い上げられる一方で「中道」がガラガラっと、旧立憲支持層が溶けてしまったので、その人たちが行き場を失っていたところ、国民民主とかチーム未来に流れていったという構造感があったんですよね。その結果、特に国民に関しては支持層の「野党化」が進んでいるなと思いますね。
今野:支持層の野党化か。はい、まあ野党なんですけどね(笑)。
米重:元々、野党的性格になってますよね。
今野:なるほどね。それが今回はそうやって聞くとよくわかりますね、今回の予算の……。
米重:反対して、距離を置いてみたりね。予算は反対、特例公債は賛成するということですから、「対決より解決」というポリシー自体は維持しながらも、やっぱり野党として予算のプロセスには問題があるので反対するという、スタンスの取り方。これは今の支持層のメンタリティにはある程度合致しているんじゃないかと。
今野:合ってると思いますね。なんか「中道」と国民民主で、政治資金規正法の改正案を一緒に出してみたり。
米重:そうですね、だからそういうこともある意味、支持層の暗黙的な要請に沿っている動きだと思いますね。これからは国民民主も参政党も、高市自民党とどう違うのかを明確にしていかないと、支持率を維持・伸ばしていくのは難しいので。選挙を経てフェーズが変わった、より差別化戦略が求められるようになったということですね。
そして、野党についても、だんだんと差別化、高市政権・高市自民党との区別が進んできていると述べています。保守の中でも色分けがされてきたというところでしょうか。和洋中と色んなメニューを揃えているファミレスから、一部、専門店に流れていく人が出てきているのかな、という印象を受けました。
ちょっと前は、国民民主の103万円の壁を引き上げる政策が評価され、実現されました。つまり少数野党といえども、ちゃんと国民を向いた政策を出せば評価されることが証明されています。
その意味では、米重氏の言う「より差別化戦略が求められる」というのは、うちは、寿司屋だ、こっちは天麩羅だ、というようにより特化した形の政策提言を打ち出す野党が求められるのかもしれませんね。
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