信頼性が民主化する日 《高市内閣シリーズ#2》

今日はこの話題です。
画像

 ブログランキングに参加しています。よろしければ応援クリックお願いします。


2026-04-02-204900.jpg


1.ぶら下がりよりX


更に、政策を打ち出すという意味では、これまでのマスコミから、SNSや動画チャンネルなどによる、政治家が直接有権者に訴えるよりダイレクトな情報発信が増々重要になってくるのは避けられません。

高市政権になってからは、特にXなどでの情報発信が盛んになってきていますけれども、それと反比例してメディアを介しての情報発信の頻度が減っているのは事実のようです。

高市総理は、記者団の前で立ち止まって質問に答える「ぶら下がり取材」に応じる機会が歴代首相に比べて少ないそうです。

共同通信が日々配信する「首相動静」によると、就任から今月21日までの5ヶ月間で、ぶら下がり取材に応じたのは34回。過去4代の首相は、同じ期間で石破茂氏が57回、岸田文雄氏が90回、菅義偉氏が50回、安倍晋三氏が44回と、高市総理を上回っています。もっとも、節目に実施する記者会見の回数に大きな差異はありません。

一方、高市総理は自身のXに連日投稿し、主張や政策の発信手段としています。その件数は5ヶ月間で約370件。1日平均2件を超えるペースで発信を続けています。首相周辺は「若者ら幅広い層に、自身が伝えたいことを届けるツールとして活用している」と狙いを明かしています。ただ、専門家は「自身の主張を展開できる場を戦略的に選んでいる」と指摘し、主張の十分な検証が必要だとコメントしています。

SNSで自身の主張を述べるという意味では、アメリカのトランプ大統領と同じではないかとも思わなくもありませんけれども、高市総理のそれと比べて差があるのかどうか、AI(Gemini)に評価させたところ、次のような回答を出してきました。

〇投稿スタイル
トランプ大統領:感情的な「扇動型」
トランプ大統領の投稿は、大文字の多用や過激な形容詞(「Disastrous」「Weak」「Crooked」)を特徴とします。

分断の利用: 「我々 vs 彼ら」という構図を鮮明にし、支持者の感情を揺さぶることでバイラル(拡散)を狙います。
事実より「印象」: 正確なデータよりも、キャッチーなフレーズや直感的な訴えを優先します。

高市総理:理性的・事務的な「論理型」
高市総理の投稿は、比較的落ち着いたトーンで、政策の細部や報道に対する事実確認(ファクトチェック)に重きを置いています。

「正論」の展開: 自身の国家観や具体的な経済政策、安保政策を丁寧に(時に長文で)解説します。
「丁寧さ」の演出: 批判を浴びた際も、感情的に反撃するよりは「事実関係はこうです」と淡々と説明するスタイル(例:カタログギフト報道への対応)を好みます。

〇メディアとの距離感
トランプ大統領:メディアを「敵」として利用。メディアが自分の投稿を批判的に報じることさえ、支持者への「私はメディアと戦っている」というパフォーマンスとして利用します。炎上すらもエネルギーに変えるスタイルです。

高市総理:メディアを「回避」して活用。ぶら下がり取材の回数を減らし、SNSを「公式声明の場」に昇華させています。記者の質問による「失言リスク」を物理的に遮断し、自身のコントロール下にある言葉だけで世論を形成しようとする「戦略的広報」の色合いが強いのが特徴です。

結論:2人の共通点と決定的な違い
両者とも「既存メディアの門番(ゲートキーパー)機能を無効化したい」という点では共通しています。

しかし、トランプ大統領が「カオス(混乱)を引き起こして主導権を握る」タイプであるのに対し、高市総理は「理知的な発信を積み重ねて自身のブランドを盤石にする」タイプだと言えます。高市総理のSNS活用は、トランプ流の「過激さ」を取り入れたというよりは、むしろ「安倍元首相が進めたデジタル広報」をさらに精緻化・徹底させた進化系と見るのが妥当でしょう。
なるほど。それなりに説得力のある分析だと思います。特にトランプ大統領が「カオスを引き起こして主導権を握る」タイプという評価は、イラン戦争関連の投稿をみても大いにその傾向があるように見えます。


2.情報社会のテクノロジー


昨日のエントリーで取り上げた、3月18日配信の「選挙ドットコム」では、冒頭で次のようなやり取りをしています。


今野:はい、ごめんなさい。本業はこれ、米重さんって言えば「選挙分析、世論調査のプロ」というイメージなんですけど、本業じゃないんですか、これ?
米重:はい。あの、JX通信社っていう会社は「報道ベンチャー」なので、ニュース報道と世論調査って大きく分けて2つドメインがあって。
今野:そうか、だから選挙というか、世論調査以外にニュース報道があるわけですね。
米重:そうですね。だから例えば「視聴者提供」っていうクレジットがついた映像とかあると思うんですけど、ニュース番組で。あれ実は、ほとんどうちが裏側で集めて、テレビ局とかに配信してるんです。
今野:えっ、そうなの!? すごいね、あの、よく番組で「視聴者提供」って出ますよね。
米重:そうなんですよ。あれ見たら私の顔を思い浮かべていただくと、大体間違いがないです。
今野:え、そんなに牛耳ってんの?
米重:あの、ほとんど入ってないテレビ局がほぼないので。
今野:ないんだ。独占状態。
米重:独占状態です。「FASTALERT(ファストアラート)」というサービスで。
今野:なんぼぐらい儲かってんですか?
米重:あ、それはちょっと言えないですけど(笑)。
今野:えー、いいじゃん、そこ。
米重:いや、テレビ、新聞、ほとんど入ってるので。
今野:マジすか。すごいですね。
米重:なので、まあ今は、視聴者提供に限らず、いわゆる災害とか事故とか事件とかの「発生モノ」って言いますよね。ああいうものを社会部の皆さんとかが取材される時に、各地の端緒になる情報を我々が配信してると。で、それを要は取材のトリガーにして、記者の方が警察や現場に行ったりされるっていう。
今野:あ、今そうなってんの。
米重:そうなんですよ。あの、昔は多分違いましたよね。「警電」って言って、警察署全体に2時間に1回電話して……。
今野:2時間に1回。そうそう、電話するんですよ。「何かないですか」って言って。
米重:それを、要は人手不足でなかなかできないわけじゃないですか。
今野:警電かけらんないだろうね。
米重:そうなんですよ。あと無線聞くとか。そういうのよりも、やっぱり現地に目撃者の方がいるので、SNSとかアプリとかのところから情報を集めて、AIで分析をして。で、それを「どこどこでこういうことがあったみたいだから、調べてみたらどうですか」っていう感じで、情報として報道各社に我々が配信していくっていう。
今野:そうね。そっちの方が実は、事業として圧倒的に大きいんですか。
米重:あ、そう……えっ、何? 選挙とか世論調査は二の次というか、セカンド?
米重:いや、全然「負の業務」ってことはなく、ちゃんとした事業としてやってるんですけど……。
今野:割合、どれぐらい違うんですか、その1と2で。
米重:まあ、でも1桁違うと思いますね。
今野:えっ、そんなに違うんだ! あ、じゃあもう本当、こっちが稼ぎ頭というか、本業なわけですね。
米重:そうですね。ええ、そうなんですよ。で、選挙とかがあると私がいろんなテレビとか、もう今、地上波多いですよね。BS、CS……なんか選挙の季節労働者みたいな感じで出てますけど、純粋になんか選挙の会社の調査機関っていうのはあってはいるんですけど、主事業としては別にもう1本あるっていう。
今野:なるほど。で、そっちの方が1桁多いと。
米重:まあ、そうですね。
今野:なるほどね。すごいな。
米重:あのお客様が、報道機関だけじゃなくて、政府とか自治体とか、あとは民間企業でも製造業とかインフラの会社とか。
今野:あ、そうか。報道だけじゃないんですね。
米重:そうですね。鉄道とか航空会社とか、そういうところにも。まさに通信社なんで、そういう情報を配信する。AIでちゃんと処理したリスク情報を届けるとか。
今野:「ちょっとここでこういう事故かもしれません」みたいな。
米重:そうなんですよ。だから災害にしても事故にしても事件にしても、やっぱり「どこに何が起きた」っていうのを一番早く確知……我々にそういう情報が一度集まってくるっていう、そういう形にしてるんで。
今野:マジすか。なるほど、よくわかりました。あれだね、じゃあ僕はJXに拾ってもらえばいいですね、なんか。
米重:いやもう、本当こんな些細な報道ベンチャー……。
今野:そんなに儲かってんなら心強い。
米重:いやいやいや、そんなもう、全然弱小なんで。
今野:そんなことないでしょ(笑)。
米重:今だって、報道でそんなちゃんとマネタイズできているところって、多分少ないと思いますよ。小さいから、あのできる部分もあるかもしれないですね。やっぱり報道機関って、なんでもかんでも人海戦術でアナログで、結構大きい規模でやるっていうことだと思うんですけど、我々の場合は記者ゼロで。なるべくこう機械化して、自動化して、それで報道機関の機能を再現できないかっていう会社なので。
今野:社会実験的な意味はあるわけですね。
米重:そうですね。正確な情報を社会に大量に届けるっていうことができないといけないんですけど、人海戦術だと結局、1000人だったら1000人の記者が使える情報しか届けられないじゃないですか。でも今、1億人がもうボコボコ情報発信してる時代なので。
今野:そう、1億人みんなこれ(スマホ)持ってりゃ発信できる。
米重:そうなんですよ。で、その中に確率論的にものすごい量の、間違った情報とかフェイクニュースとかデマみたいなものが混ざってるわけじゃないですか。って考えると、やっぱり機械的に正確な情報を大量に届けられる仕組みっていうのを、多分誰かが作らないといけないんですけど、あまりそれを報道機関が既存の形ではなかなかやれないので、そういうテクノロジーを我々が開発して実装していくっていう。その一つが速報だったり、こういう調査であったり、ということなんですよね。
ここで、JX通信社代表取締役の米重氏が、今のネット時代でフェイクニュースやデマが混ざるのを削除しているテクノロジーが必要だと述べている点はその通りで、うまい手立てを考える必要があるとは思います。


3.情報の信頼性を担保するブロックチェーン


ただし、ここで注意すべきなのは、そのフェイクニュースやデマというものを誰がどう判断するのかという点です。イーロンマスクがツイッターを買収する前までは、ツイッターが個々人の発信を検閲していたことが明らかになり、問題視されました。一部の人達ににそういう権限を持たせるのはやはり危険だと思います。

ネットが普及してからというもの、よく「情報の民主化」と言われていますけれども、同じく、フェイクニュースやデマの除去も民主化してしかるべきだと思います。

例えば、ビットコインで使われているブロックチェーン技術などは、取引記録を複数人で認証・共有・管理する「分散型台帳技術」ですけれども、これも認証の民主化ともいえます。

この情報の信頼性を民主的に担保する取り組みは既に、いくつかの機関で行われています。

その例は次の通りです。
〇報道・メディアにおける信頼性担保
・Starling Lab(スターリング・ラボ):
スタンフォード大学と南カリフォルニア大学による共同プロジェクトです。戦地での証拠写真などを撮影した瞬間、カメラのメタデータ(位置情報や時間)とハッシュ値をブロックチェーンに記録します。これにより、後から画像が加工されたり、別の場所の写真として転送されたりすることを防ぎます。
・News Provenance Project (ニューヨーク・タイムズ):
IBMと協力し、ブロックチェーン上に写真のメタデータを記録。SNSなどで写真が拡散された際、ユーザーがその「オリジナルの出所」をワンクリックで確認できる仕組みをプロトタイプ化しています。

〇デジタルコンテンツの標準規格との連携
・C2PA (Coalition for Content Provenance and Authenticity):
Adobe、Microsoft、ソニー、ニコンなどが主導する「コンテンツの出自」を記録する標準規格。C2PAのデータ(Content Credentials)をブロックチェーンに書き込むことで、元データが削除されたり、メタデータが剥ぎ取られたりしても、「消えない証明書」として機能させます。
・Numbers Protocol(ナンバーズ・プロトコル):
デジタル資産に「パスポート」のようなIDを付与し、ブロックチェーンで管理。AI生成コンテンツかどうかのラベル付けや、クリエイターの権利保護に特化したインフラを提供しています。

〇日本国内の取り組み
・富士通と国内9組織による偽情報対策プラットフォーム:
2025年度末(まさに現在進行中)までに、ブロックチェーンやグラフ解析、AI技術を統合した「世界初の偽情報対策システム」の構築を目指しています。SNS上の情報の拡散経路を可視化し、その信頼性をスコアリングする試みです。
 +Capture(キャプチャ): 撮影・作成時にカメラやデバイスがデジタル署名を生成。
 +Store(記録): 署名とハッシュ値をブロックチェーン(分散型台帳)に記録。
 +Verify(検証): 閲覧者がその情報を見た際、台帳と照合して「改ざんがないか」「元ソースはどこか」を瞬時に確認。
これらの取り組みのポイントだと思うのは、情報そのものには、出自とか伝達経路とか記録を付けるだけで、その情報そのものが本当か嘘かは、あくまでもその情報を受け取った本人に委ねられているという点です。

決して誰かが検閲して、真偽を決めているわけではない。逆にいえば、その情報を受け取ったユーザーがその真偽を自分で確認するという姿勢が必要であり、それなくしては成立しないということです。

民主主義は個々人がそれぞれ主体となって判断し行動するものであることはいうまでもありませんけれども、民主化された情報においても同じことがいえる訳です。

情報元が特定の少数が握って居られた情報独裁体制は終わりを迎えつつあります。情報の民主化が進むということは、情報の受け手にもそれに相応しい態度と行動が求められるということをよくよく知る必要があるかと思いますね。




  twitterのフリーアイコン素材 (1).jpeg  SNS人物アイコン 3.jpeg  カサのピクトアイコン5 (1).jpeg  津波の無料アイコン3.jpeg  ビルのアイコン素材 その2.jpeg  

この記事へのコメント

  • 素浪人

    今日は。大変ご無沙汰しております。

    情報の民主化等々、今日は難しい話題でしたが、高市さんが念願としていたセキュリティークリアランス実現も目指し、情報ダダ漏れ国家である我が国を何とか正常化したいものですね。

    あと、日比野様の最近の記事では、イラン情勢の分析を面白く拝読させて頂きました。現・革命イランはチャイナとのつながりが深く、日本国民の間では今回のイラン戦争でのトランプ大統領の決断を支持する向きも多い様に思います。また、イラン戦争を肯定する論者の中には、『革命イランは自国民のデモ参加者を何万人も虐殺し、女性差別が酷く、一刻も早く打倒すべき』という理由で、アメリカとイスラエルによる開戦も止む無し、と捉える傾向が有ります。

    然りながら、愚見では、イランとアメリカは核濃縮問題で交渉中であったにも係わらず、イスラエルに引っ張り出される形でトランプ大統領は一方的に先制攻撃を仕掛けました。これは国際法云々以前に、人道に反する行いなのではないかと思います。ルビオ国務長官は『イラン側から米軍に向けた先制攻撃の兆候を掴んでいたから仕方無かった』などと言っていますが、イラクの時にも大量破壊兵器の存在がぁ~と言っていましたけど結局有りませんでした。その時とやり方が重なります。やっぱりシオニストに毒されたアメリカだよ、とも思います。そう言えば、今回の対イラン交渉を担当していた米側のクシュナーとウィトコフは二人ともいわゆるユダヤ系だそうですね。トランプさん自身も相当、ユダヤ側に取り込まれている様で、これではどう考えてもイスラエル寄りにならざるを得ないかと思います。

    ですので、今回、法律の問題は有ったにせよ、我が国が海上自衛隊を派遣しないで良かったと思います。派遣すれば、何らかの攻撃を受けたかも知れませんし、伝統的な親日国としてのイランを失うことにもなった可能性も有りました。日本が、日米同盟(という名の属国関係)のくびきは有るにせよ、米・イスラエルの敵対国と敵対する理由は一切、有りません。

    長々と書かせて頂きましたが、またぜひ、イラン情勢について日比野様の興味深い記事を楽しみにしております。
    2026年04月05日 13:05
  • 日比野

    素浪人様。こんばんは。こちらこそご無沙汰してます。

    >イラクの時にも大量破壊兵器の存在がぁ~と言っていましたけど結局有りませんでした。その時とやり方が重なります。やっぱりシオニストに毒されたアメリカだよ、とも思います。

    前回のイラク戦争のときとの違いがあるとすれば、まさに「シオニストに毒されたアメリカ」という言説が表にでてきたことだと思っています。なにか国際世論も微妙が感じで、「イスラエルが悪いんじゃないの論」が水面下で蠢いているような気がしないでもないです。

    トランプ大統領はNATOからの離脱を言い始めてますけど、イラン戦争が、そのための口実に使われる/使いたい節も感じます。

    イラン情勢はちょっと出口が見えない状況ですが、明日のエントリーはまたイラン情勢にする予定です。

    今後ともよろしくお願いいたします。
    2026年04月05日 18:40