

1.東京都の太陽光パネル義務化案
6月7~8日の東京都議会本会議で、一戸建て住宅を含む新築建築物に太陽光発電のパネルの設置を義務付ける条例改正案の制定を都が検討していることについて、都議会議員から「多くの反対の声が寄せられている」などとして、慎重に都民の意見を聞くように求める声が相次ぎました。
公明の谷村都議は「都民からは住宅価格に設置費用が上乗せされてしまえば、都民への義務化と変わらないとの指摘が出ている……最終的に都民に選択の余地を残すなど、納得と理解を得るべきだ」と求めると、小池百合子知事は「個人が設置の有無を選択できる弾力的な仕組みを前提に、さらに具体的な検討を進める」と答弁。新築住宅を建てる人の一部がパネル設置をしないケースでも住宅メーカーが義務を達成できるような制度を検討すると回答しました。
また都民ファーストの会の荒木都議が義務化に伴い、都民や事業者への支援を求めたのに対し、小池知事は「専門家の意見をうかがい必要な支援につなげていく」と新たな支援策を検討する考えを示しました。
更に、自民の柴崎都議が「SNSなどで非常に多くの反対の声が寄せられている。パブリックコメントの結果を踏まえ、義務化には慎重な議論をさらに重ねるべきだ」と指摘すると、栗岡祥一環境局長は「都民や事業者から出ているさまざまな課題に丁寧に答え、理解と共感を得られる制度と支援策を検討する」と述べました。
2.勝手にやるな!リコールだ!
このように柴崎都議はSNSでの反対の声を取り上げていますけれども、ネットでは「小池、勝手にやるな!リコールだ」とか「小池百合子が変なのは以前からだが、それを押しとどめるべき都議会が機能しない。知事も都議会も全員リコールだ!」などともっと過激にリコールを求める声が挙がっています。
現在、都の環境審議会が纏めた案では、一戸建てなど中小規模の建物では、建築主ではなく、中小規模の建物の供給量が都内で年間2万平方メートル以上の住宅メーカーに義務が課されるとしています。
都は義務化で家庭での再生エネルギーの利用を進め、2030年の温室効果ガスの排出量を2000年比で半減したい考えだそうですけれどの、一般住宅で太陽光パネルを設置するには百万円程度が必要になります。
批判の声の高まりに、小池知事は、個人が設置の有無を選択できる云々といっていますけれども、都内で自分で家を建てられるような人は一部のお金持ちであり、大多数は設置の有無を選択できる以前に、最初から住宅が出来上がっている建売の筈です。
太陽光パネル設置義務は建築主ではなく、住宅メーカーに課す以上、その分値上がりになることは避けられません。
小池都知事は5月末の段階では、廃棄物の増加などへの懸念から義務化に反対の声があることについて、「おかしいとキャンペーンをしているところもあるが、そうではない」と強調していたのです。
それがここにきて、個人が設置の有無を選択できる云々といいだしたということは、相当、反対の声が届いているということなのだと思います。
3.住宅の電気代を削減する3つの技術
東京都は二酸化炭素排出量を2050年に実質ゼロにする「ゼロエミッション東京」というのを進めていますけれども、今回の太陽光パネル設置はその一環の政策とされています。
先述したように設置義務は、住宅の供給メーカーなどの事業者に義務付けられるのですけれども、その事業者は大手50社が対象で、日照条件や屋根の状況などを勘案して、販売数の85%に太陽光発電を設置する目論見としています。未達の場合は業者名の公表などペナルティを科す予定ともされ、かなり強権的です。
これにより、年間43000戸の新築戸建住宅の約50%に太陽光発電設備が設置される見通しのようです。
もし義務化されれば、現状の約2倍の設置件数が予想され、太陽光パネルの供給が逼迫する恐れがあるとも言われています。
東京大学大学院の前真之准教授は、住宅で電気代の削減を考えた時、節電効果が大きく、かつ完全に熟成され、コストもこなれた技術は3つしかないと述べています。
それは「断熱・気密」、「高効率設備」、そして「再エネ」です。
前真之准教授は「再エネ」の一つとして太陽光発電があり、日本においては、既に「断熱・気密」と「高効率設備」については、十分に対策、普及が進んでおり、今後進展があるとすれば「太陽光発電」だとして普及すべきだと主張しています。
前真之准教授は、今回の東京都の取り組みを評価しているのですけれども、それに反対する人々から『ヘイト』ともいえる執拗な批判がされていることに対し「太陽光の課題を論じる時だけ豹変ひょうへんする『トキダケ環境主義者』『トキダケ人権主義者』が、本当に環境や人権を真面目に考えているとは思えない」と手厳しく批判しています。
4.人権と国益と太陽光
前真之准教授がいう『トキダケ環境主義者』『トキダケ人権主義者』が真面目に環境や人権を考えているかどうかはさておき、現状で、都が推進する太陽光発電義務化に進んだ場合、人権的な問題が発生する可能性があります。
それはウイグル問題が絡む可能性があるからです。
5月24日、アメリカ非営利団体「共産主義犠牲者記念財団」(VOC)は、中国共産党によるウイグル人迫害の新たな証拠として「新疆公安文書」を公表しました。
それによると、新疆公安当局のシステムへのハッキングで流出した機密文書や膨大なデータのほか、3000人近くの収容者の写真があり、文書には収容所から逃亡しようとする者に対する射殺命令、殺人許可なども含まれいるそうです。
このジェノサイドは、政府首脳部の指示によるものであることも明らかとなったことから、イギリスとドイツの外相は中国を非難し、王毅国務委員兼外相に調査を要請しました。
現在、世界における太陽光発電用の多結晶シリコンの80%は中国製で、その半分以上が新疆ウイグルにおける生産されています、その世界シェアは実に45%にも達します。
今、太陽光発電を義務付けることは、ジェノサイドへの加担になりかねず、アメリカは既に法律によってウイグル製品をすべて輸入禁止にしています。
国会で、新疆ウイグル自治区におけるジェノサイドの非難決議も出来なかった日本がこのままウイグル産太陽光パネルをバンバン輸入でもしようものなら、下手をすればジェノサイドに加担したことにもなりかねません。
それを考えると、どうせ強制するのなら、都は、闇雲な推進ではなくて、パネルは国産のものに限定するなりなんなり、人権と国益双方に十分配慮した政策にするのが先ではないかと思いますね。
この記事へのコメント
みどりこ
その上、パネルは全て粗悪品で有名な中国製、元を取る前に壊れてしまうのでは?
建物ではなく山や丘などに設置すれば景観を損ないます。
その上、感電の危険があるので、火災の場合、消火活動の妨げになります。
東京のような建物密集地では、もしもの場合、大惨事になりそうです。