参院選のダークホース

今日はこの話題です。
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1.参院選2022公示さる


6月22日、参院選が公示され、選挙区と比例代表に合わせて545人が立候補しました。

全国45の選挙区には75人の定員に対し、367人が立候補。政党別では、自民党が49人、立憲民主党が31人、公明党が7人、日本維新の会が20人、国民民主党が13人、共産党が33人、れいわ新選組が5人、社民党が4人、NHK党が73人、ファーストの会が1人、維新政党・新風が9人、幸福実現党が11人、参政党が45人、新党くにもりが8人、日本第一党が8人、諸派が15人、無所属が35人と前回・3年前の選挙の候補者を152人上回り、これまでで最も多かった平成7年の選挙に次いで、2番目に多くなっています。

また、定員50の比例代表では、15の政党と政治団体が名簿を提出。届け出順に、幸福実現党が1人、日本維新の会が26人、れいわ新選組が9人、公明党が17人、ごぼうの党が11人、立憲民主党が20人、国民民主党が9人、参政党が5人、日本第一党が2人、共産党が25人、新党くにもりが2人、自民党が33人、社民党が8人、NHK党が9人、維新政党・新風が1人となっています。

このうち、政党があらかじめ決めた順位に従って優先的に当選が決まる「特定枠」で立候補したのは、れいわ新選組が1人、ごぼうの党が8人、自民党が2人の合わせて11人です。

この結果、選挙区と比例代表をあわせた立候補者の数は545人で前回・3年前の立候補者数より175人多くなっています。


2.ダークホース「参政党」


堅調に高支持率をキープしてきた自民党は、投票先としてはトップの37.5%を快走し、野党は立民と維新が6%台で争っています。

そんな中、"ダークホース"として急速に注目を集めつつある新興勢力が諸派の「参政党」です。

参政党は2021年4月、元大阪府元吹田市議の神谷宗幣氏、政治系YouTuberのKAZUYA氏、政治アナリストの渡瀬裕哉氏、財務省OBで元衆院議員の松田学氏、ジャーナリストの篠原常一郎氏の5人のボードメンバーで結成した政党です。

その後、KAZUYA氏と渡瀬氏が離脱。新たに医療法人会長の吉野敏明氏、昭和の伝説的な右翼活動家、赤尾敏の姪で、アルミ製造会社会長の赤尾由美氏らが中核メンバーとして参加。政策的には反グローバリズムを掲げるなど保守色を強めてリニューアルし、国会での議席獲得を目指して政治活動を本格化。昨年12月には、神谷氏、松田氏らのメンバーと、中部大学元特任教授の武田邦彦氏らが参院選をめざして参戦することを表明しました。

10人以上の候補者を擁立したことで「みなし政党」(諸派)扱いとなったものの、当初メディアの大半は「泡沫」の扱いで丸っきり取り上げることはありませんでした。

ところが、参政党の主要メンバーは、ネットチャンネルで多数の視聴者を抱える人が多いことから、ネットを中心に支持を増やし、リアルでも全国各地で街頭イベント、政治資金パーティーを開催して党勢をじわじわと拡大。関係者によると、今月中旬には、党員数は5万人を突破、選挙資金も4億円集めるまでになったと言われています。


3.保守色が強い参政党


参政党は、バックに大きな組織がついているという訳ではなく、ネットを中心に広がりを見せるネット型政党です。

同じくネット型政党にNHK党がありますけれども、NHK党が「NHKをぶっ壊す」というワンイシュー政党であるのに対して、参政党は教育から国防まで総合的な政策を打ち出しています。

政策は外国企業の土地買収・企業買収の規制や教育における自尊史観の定着などかなり保守色の政策が多く、暗記型の教育から探求型教育へ転換や無農薬農業の推進などといった近年のトレンドをとらえた政策や、国の武漢ウイルスワクチン政策に異論を唱え、マスク着脱の自由化を訴えるなど"独自のコロナ政策"を訴えています。

組織の中核は事務局長の神谷宗幣元吹田市議で、吹田市議として二期活動した後、全国の若手議員を集めた竜馬プロジェクトの会長を長年務めた活動家でもあります。2012年衆院選の落選後、2013年にCGSという教養系ユーチューブチャンネルを開設し、チャンネル登録者数は27万人を数える政治系屈指のチャンネルに成長をさせた経歴の持ち主です。

このCGSのファンとそのスピンオフで生まれたリアル授業を行うイシキカイカク大学の受講者が参政党の核になっているとのことで、それなりの下地と活動があり、決してぽっと出の政党ではないことが分かります。

実際、参政党の街頭演説は、東京新宿では1000人、大阪、神戸、また各地方都市でも数百人レベルで聴衆を集めています。


4.参政党を無視できなくなってきたメディア


神谷氏は「既得権益を優先する既存の政党政治では、祖先が守ってきた日本がダメになる……参政党には何のバックもない。裏に自民党、創価学会、統一教会、幸福の科学がついてるとかない。そんな守護霊はついていない。ウソだったら、辞めさせればいい」と"しがらみのなさ"を強調しています。

また、吉野氏は「参議院選挙まで90日。今回ダメなら次でいいというわけにはいかない。何もしなければお金と土地と建物じゃなく、日本人の魂まで取られる」と危機感をあらわにし、大阪で推し進められているカジノを含む統合型リゾート施設(IR)についても「欧米、香港のカジノ会社がやる。観光客が来るとか言ってるけど、日本人のお金が直接、国際金融に流れるだけ。外国が入って箱モノまで作ったら二度と戻れない」と外国資本だけが儲かるとの考えを示しました。

既に一部の既存政党の演説会を上回る勢いを見せていることもあり、吉野氏は「大手メディアはほとんど報道しないが、無視できなくなったでしょ?……参政党の党員は社民党を抜いた。国民民主党も射程距離と思っている。参院選では100万票を目標にする」と自信をみせています。

参政党の吉野氏が指摘するように、確かに大手でないにせよ、メディアも参政党を無視できなくなってきたようです。

石川テレビが6月17~19日に、石川県内の有権者407人を対象に参院選挙の情勢調査を行ったところ、比例の投票先で、参政党は3.0%とれいら新選組に並び共産、社民を超えています。

都市部ではなく石川でこれですから、それなりに参政党の名は浸透している可能性があります。

更に、前京都市議が、関西の複数のローカルメディアが運営するニュースサイトに寄稿したコラムで参政党の躍進ぶりを取り上げ、ヤフーニュースでも、初めて参政党にクローズアップした記事が掲載されています。

また、夕刊フジでも恒例の議席予測で、著名な選挙プランナーが比例区で1議席獲得との見方を示し、これも大手メディアで初めて議席獲得の可能性を論じる記事となりました。




5.自民の岩盤保守層が離れ始めた


この現象に「楽勝ムード」が漂うともいわれている自民党内でも危機感を募らせている議員もいます。

和田政宗参院議員は、月刊Hanadaプラスの6月5日付の記事「世論調査ではわからない岩盤保守層の自民党離れ」で次のように述べています。
岸田内閣の直近の支持率は66%(日経・5月27日~29日調査)、自民党支持率は51%と極めて高い状態であるが、この数字から読み取れない部分をまずしっかりと分析しなくてはならない。それは何か。SNSの動向や全国各地での意見交換で感じるのは、安倍政権の国政選挙の際には必ず支えていた岩盤保守層約20%が今回そのまま自民党に投票するのかという点である。

岩盤保守層では、岸田政権の外交政策などを明確に支持しないと意見表明をする人が相次いでいる。20%のうち10%弱はすでに自民党支持をやめているとみられ、これらの方々は、参政党や新党くにもりに投票するか、投票に行かないという行動を取るとみられる。その数は、1人区の選挙区で3万人にも及ぶとみられ、「立憲共産」共闘候補と接戦の選挙区では自民党候補はかなり厳しい状況となる。

なお、これら岩盤保守層の方々はマスコミ不信からあえて世論調査に答えなかったり、勤務時間中で答えられなかったりするので、世論調査の数字には反映されにくくなっており、こうした方々の動向を加味して分析することが重要である。これまでは自民に投票していた方々であり、動きを見誤れば手痛い結果となる。
和田議員によると、自民党を支持する岩盤保守層約20%のうち10%は自民支持を止め、参政党や新党くにもりに投票するか、投票に行かないというのですね。そしてその数は1人区の選挙区で3万人にも及び、野党候補と接戦の選挙区では苦戦するのではないかと。

この分析がどこまで正鵠を得ているか分かりませんけれども、岩盤保守層が岸田政権を支持しないとなれば、より保守政策を出している参政党に票が流れることはあり得ない話ではありません。

岸田総理は勝敗ラインを自公で過半数維持、今回の改選では56議席以上としていますけれども、改選する全125議席のうち過半数の63議席が取れなければ、岸田総理の求心力に陰りが出るという見方もあり予断を許しません。

また、仮に過半数が取れたとしても、岸田派の改選議員が悉く落選するようであれば、やはり求心力に疑問符が付くことになります。

ちなみに、岸田派で今回の参院選改選者は、選挙区では宮沢洋一氏(広島)、磯崎仁彦氏(香川)、小鑓隆史氏(滋賀)、比例では、水落敏栄氏、足立敏之氏、藤木真也氏です。

長崎選挙区の金子原二郎氏と比例の藤井基之氏は任期満了に伴い引退し、金子氏の後継は山本啓介元県議。藤井氏の後継は神谷政幸・日本薬剤師連盟副会長が就くようです。

今回の自民からの参院立候補者計82名のうち、岸田派所属議員はわずか6名ですけれども、彼らの当落にも注目していきたいと思います。


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この記事へのコメント

  • k

    参政党について報告が上がりました。
    「パチンコの倒産を応援するブログ」

    >以前、コメント欄で書きましたけど、
    >参政党とかいうのに期待している人達には悪いですが、
    >期待できる要素ゼロです。

    >特に最近の陰謀論にもがっつり乗っかって
    >過去にも陰謀論に乗っかっていて
    >Qアノンを経由してプーアノン化してるところで論外なのですが、
    >そもそもが神谷某氏が自分が議員になる事と資金と組織を作る事を考えて
    >あのような組織を作ったのだろうとしかブログ主は考えておりません。

    >プーアノンの税金の無駄でしかない議員なんて
    >佐賀1区のグーグルアースだけでも胸焼けするくらいおなかいっぱいなのに……。

    これをどう思われますか? ご意見が聞きたいです。
    2022年06月24日 12:04
  • みどりこ

    参政党の政策は魅力的です。
    神谷さんのおっしゃることも信用できます。
    ただ、このところ隠れているようですが、
    篠原常一郎氏が秋篠宮家を叩いているのがとても気にかかります。
    篠原氏にたきつけられたか、たくさんの人が秋篠宮家叩きに走るようになりました。
    元共産党の篠原氏、愛子内親王の即位を目論んでいませんか。
    そしてそれは日本人でない配偶者をあてがうこと、即ち皇室破壊、日本破壊につながります。
    この点から、どうしても参政党を支持しきれずにいるのです。
    2022年06月24日 16:23
  • 日比野

    k様、おはようございます。コメントありがとうございます。

    >これをどう思われますか? ご意見が聞きたいです。

    参政党がQアノン云々や神谷氏が議員になるために云々がどうかは分かりません。

    ただ、参政党が日本を変えてくれるのを期待できるかどうかについては、ほぼNoです。

    なぜなら野党として1議席や2議席取ったところで国政に影響を与える機会は得られないからです。

    あるとすれば連立与党となって、内部から意見をいう、あるいは、委員会で意見をいうくらいです。

    けれども、1議席2議席で連立を組んでくれるかとなると、与党からみて連立を組むメリットを明確にしなければなりません。

    公明党が連立与党に入ることができているのは、そこそこの議席と選挙のときに手足となって票を運んできてくれるからです。

    自民からみて、同じくらいのメリットがなければ参政党と連立を組む理由はありません。

    たとえば、参政党が無党派層に絶大な影響力をもち、ひと声で大きな票が動くとなれば無視できなくなってくるかと思いますが、そこまでいけるのかは今のところ分かりません。

    あとは、1,2議席でもスパイスを効かせる存在、社会の理不尽なり不公正を暴いてただすことで存在力を発揮する。こちらはNHK党がやっている路線になりますけれども、そういったところですね。

    政策は勿論のこと、無党派というつかみどころのない層を、いかに掴んで安定した票田に出来るか。参政党のこれからの課題はそこらあたりにあるのではないかと思います。
    2022年06月25日 07:45
  • 日比野

    みどりこさん

    おはようございます。コメントありがとうございます。

    篠原さんの言説はよく知りませんけれども、ジャーナリストを名乗る以上、なんらかのネタは握っているのだろうとは思います。

    ただ、たくさんの人が秋篠宮家叩きに走っているのであれば、それだけの影響力があるということです。

    参政党がどこまで無党派層の票を取り込めるのか。注目したいと思います。
    2022年06月25日 07:45
  • まお

    『パチンコの倒産を応援するブログ』は以前見てましたが、あそこはワクチン推進派なんですよね。『反ワクチン派は低学歴、低収入』というアンケート調査を紹介して、ワクチンを打たない人を貶していたので、それから見るのをやめました。
    ちなみに私はそのアンケートを見た時「ああ、ここまでしてワクチンを打たせたい勢力がいるんだ」と思いました。

    さて、参政党が出てきて、それに対するネガティブな意見も出てきていますが、やっぱり存在が邪魔な人が工作してくるのは想定内ですね。
    神谷さんや吉野さんも、これから潰されるとおっしゃってますし。
    著名なブログでそう言ってるから事実だろうと思わずに、自分の頭で判断する事が大事です。
    確かに数議席では影響力は無いかもしれません。でも少なくとも今のこの自民党とアホな野党に任せていると日本は終わる、という危機感があり、それ故の新党結成なので期待したいと思いますし、参政党のポリシーは国民1人ひとりの政治参加なので、投票したら終わり、ではなくこれからの日本を真剣に考えて行動する事が必要だと思います。
    2022年06月25日 10:25

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