電気がなければ暮らしは守れない

今日はこの話題です。
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1.梅雨明けしている


気象庁からの梅雨明けの発表はないものの、先週末あたりから関東を中心に晴れて厳しい暑さとなっています。

東京都心で2日連続の猛暑日を観測。株式会社ウェザーニューズは気象庁の梅雨明け発表に先がけて、アプリ利用者に対して「もう梅雨明けしているか?」という調査を実施しました。

その結果、約6000件の回答があり、関東では8割以上が「梅雨明けしている」と回答。近畿でも半分程度がすでに梅雨明けと感じていることがわかりました。

この先1週間の天気図を見ると、夏の暑さをもたらす太平洋高気圧が本州付近に勢力を広げて、西日本から東日本を覆う予想となっています。梅雨前線は北海道から東北付近に停滞の見込みで、関東以西では少なくとも1週間程度は晴れて暑い日が続くとみられています。

気圧配置は完全に真夏だそうで、気象庁は27日、関東甲信地方と東海地方、九州南部が梅雨明けしたとみられると発表しています。関東甲信が6月中に梅雨明けするのは2018年以来で、1951年の観測開始以降最速とのことです。

2.電力需給逼迫注意報


この暑さに心配されるのは電力です。

6月26日、経済産業省は東京電力管内で27日に電力需給が逼迫する見通しになったとして、家庭や企業に節電の必要性を呼びかける「注意報」を初めて発令しました。注意報が発令されたのは、27日も関東地方を中心に6月として記録的な猛暑が続く可能性が高まったためです。

気温上昇に伴って冷房利用が伸び、電力需要に対する供給余力は午後4時~4時半に4.7%、午後4時半~5時に3.7%と、注意報の発令基準となる5%未満に低下する見通しとのことで、経産省は午後3~6時に、不要な照明を消すなど「無理のない範囲でできる限りの節電」を求めています。対象地域は東電管内の1都8県(群馬、栃木、茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、静岡の一部)。

「注意報」は、3月の電力需給逼迫を受け、「警報」の前段階として新設されました。節電の必要性を早期に周知するため、前日の午後4時を目途に発令されます。また、供給余力が3%未満に低下すると予想された場合、一段の節電を促す「警報」に切り替えることになっています。


3.某アジアの衰退途上国では政府が国民に電気使用を控えさせてるそうです


6月21日、岸田総理はこの日に開催された「物価・賃金・生活総合対策本部」の会合で一般家庭の節電に応じてポイントを付与する仕組みを作ると発表しました。

東京電力では7月1日から9月30日まで、節電量1kWhあたり5ポイントが付与されるとしていたのですけれども、ある記者によると「月に260kwhを使うモデル家庭で、目標とする3%の節電をした場合では、還元されるポイントは月数十円ほどにしかなりません。これは東電の場合ですが、ほかの電力会社でも大差はないでしょう。『エアコンつけるな、暑さに耐えろ』といって、数十円の見返りしかないのでは、節電に協力する気も失せてしまうのも仕方ないでしょう」と効果に疑問を呈していました。

当然ながらネットでもあまりのショボさに「月数十円」は一時、Twitterのトレンド入り。更に、「月数十円のポイントをあげるので節電してください、って言われてもたぶん皆、それじゃあ数十円払って快適に過ごしますね、といってエアコン付け出すので意味ないですよね」とか「岸田政権やばいね 月数十円の還元のシステムを作るのにいくら税金投入するんだろ…?もうほんとやだ」とか失望の声で埋まりました。

ひろゆき氏も、自身のTwitterで「満足に電気が使えない発展途上国では、精密機器工場などが作られません。21世紀の産業に電気は不可欠なので、先進国の政府はエネルギー確保の努力をしています。ただ、某アジアの衰退途上国では政府がエネルギー確保を怠り、国民や企業に電気使用を控えさせてるそうです」と批判。国民民主党の玉木雄一郎代表も「やめた方がいいと思います。ポイント還元するなら、税の還付か現金給付してください。また、そもそも今政府がやるべきは、節電のお願いではなく、電力の安定供給の確保では」と至極当然の指摘をしています。




4.決断も実行もせず暮らしも守らない


この批判にビビったのか24日、木原官房副長官は、記者会見で、節電を行った家庭へのポイント付与について、「節電プログラムに参加いただく家庭に2000円相当のポイントの支給を開始し、その後、家庭や事業所がもう一段の節電を頂いた場合に、電力会社の節電ポイントに国がさらに上乗せ支援をする」と述べ、開始時期については、「準備が整い次第、速やかに進めていく」としています。

通常、ポイント制度は仕組みを作るために莫大な費用がかかる上、さらに関係団体・組織の"利権"にも繋がりかねません。にも拘らず、政府がポイント制度に拘ることについて、経済ジャーナリストの荻原博子氏は「電力会社はすでに節電の割合に応じてポイントを付与するキャンペーン制度を導入しており、政府としてはその仕組みに乗った、ということでしょう。つまり、ポイント制度にこだわるというよりも、政府としての策が打ち出せなかったわけです。さらに言えば、電気代が上がっているのは燃料代の高騰だけではなく、福島原発の事故処理費用21兆円分が家計に上乗せされていることも忘れてはなりません」と述べています。

要するに、即効性のある有効な手立てがないから、既存の仕組みに乗っかって凌ごうという訳です。しかも最初は、数十円程度しか還元されないとなって国民の怒りを買い、慌てて2000円にするとは、行き当たりばったりを通り越して「無策」に近いといってよいのではないかと思います。

しかも、早や梅雨明けかと思うくらいの真夏日が続く現状では、準備が整う前にブラックアウトになってもおかしくありません。

嘉悦大学教授の高橋洋一氏は政府の節電要請について「電力をピンポイントで数%程度節電できれば、電力危機を回避できる。節電を国民にお願いするのは、最後の手段として仕方がない。そのために、ポイント付与にすがっているのだろう」と指摘していますけれども、これも、政府に手がないことの裏返しです。

本当は原発をさっさと再稼働していれば、こんなことで騒ぐ必要はなかったのです。

ロシアのウクライナ侵攻、エネルギー価格高騰、円安等々で、日系企業の国内回帰も見られ始めています。こういう時こそ、発電量を増やして電気代を安くすることで、国内生産を活性化するチャンスであるのに、それを活かせない。

あるいは岸田総理は参院選が終わるまでは原発再稼働には触れず、国民に節電させて乗り切ろうと思っているかもしれませんけれども、もし、この真夏日が連日続いて電力需給が逼迫し、ブラックアウトでも起きようものなら、その責を厳しく問われることになると思います。

実際、都内では26日午後3時までに熱中症の疑いで14歳から97歳までの男女46人が病院に搬送されたと報じられています。

東京消防庁は我慢せずに冷房を使用し、のどが渇く前にこまめに水分補給をするほか、屋外で人と2メートル以上距離が確保できる場合はマスクを外すなどして対策をとるよう呼びかけていますけれども、国民に我慢ばかりを強いて、決断も実行もせず、暮らしも守らないとなると、やがてその報いはやってきます。もしかしたら、それを、天が「猛暑」という形で与えるのかもしれませんね。


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この記事へのコメント

  • 深森

    いま選挙期間です。民意を示すチャンスです。
    「原発再稼働に積極的に賛成する候補者たちに、投票する」というやり方が取れますね。

    候補者と選挙公約をシッカリ調べて、慎重に投票するということで…
    2022年06月28日 19:05

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