岸田総理が賭けたNATO

今日はこの話題です。
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1.NATO首脳会合


6月29日、岸田総理は、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に、日本の総理として初めて出席しました。これはNATOからの招待を受けたもので、岸田総理が出席したNATOパートナー・セッションには、NATO加盟国30ヶ国とNATOの主要パートナー国・機関として日本、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、スウェーデン、フィンランド、ジョージア、EUの首脳等が出席しました。

その模様は外務省のサイトで公開されていますけれども、岸田総理は次のように述べています。
(1)国際社会が歴史の岐路に立つ中、NATO首脳会合に、我が国を含むアジア太平洋のパートナーが参加していることは、欧州とインド太平洋の安全保障が切り離せないとの認識の表れである。ロシアによるウクライナ侵略は、欧州だけの問題ではなく、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙。日本は、G7を始め同志国と足並みを揃えて前例のない強力な制裁措置を講じてきており、同時に、ウクライナの人々に寄り添う人道支援、財政支援、防衛装備品支援、避難民受け入れを行っている。加えて、周辺国に対する人道支援やグローバルな食料危機への対応も含め、総額11億ドルの支援を実施していく。

(2)ロシアによるウクライナ侵略は、ポスト冷戦期の終わりを明確に告げた。東シナ海・南シナ海で力を背景とした一方的な現状変更の試みが継続されている。ウクライナは明日の東アジアかもしれないという強い危機感を抱いている。力による一方的な現状変更の試みは、決して成功しないことを、国際社会は結束して示していかねばならない。

(3)また、今次侵略に際するロシアによる核兵器使用の脅しは、核不拡散体制に深刻なダメージを与えたのではないかと危惧。日本の周辺では、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展や核戦力を含む軍事力の不透明な形での増強が見られる。

(4)現下の国際情勢を踏まえ、日本は、本年末までに新たな国家安全保障戦略等を策定する。また、日本の防衛力を5年以内に抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意。日米同盟を新たな高みに引き上げながら、有志国・パートナーとの安全保障協力も強化していく。

(5)NATOは日本の重要なパートナーであり、協力の一層の強化に取り組んでいく。新時代の日NATO協力の地平を開くため、日NATO間での協力文書である「日・NATO国別パートナーシップ協力計画(IPCP)」を大幅にアップグレードする作業を加速化し、サイバー、新興技術、海洋安全保障といった分野での協力を進展させる。防衛当局間の連携も重要。NATO本部への自衛官派遣等を通じて協力を深化するとともに、日NATO相互の演習へのオブザーバー参加を拡充していく。

(6)NATOが、インド太平洋地域への関与を強めていることを歓迎。ストルテンベルグ事務総長の早期の訪日を期待。また、NATOのアジア太平洋パートナー(AP4)である日本、豪州、ニュージーランド及び韓国のNATO理事会会合への定期的な参加を進めていくべき。

(7)日本は、現実的な核軍縮の取組においてもNATO諸国と協力していきたい。特に、国際的な核軍縮・不拡散の礎石であるNPT体制の維持・強化がこれまで以上に求められている。本年8月の運用検討会議における意義ある成果に向けて共に取り組んでいく必要がある。

(8)本日、NATOとパートナーがグローバルな安全保障認識を共有する機会を得たことは、今後への道標となる。法の支配に基づく国際秩序の確立と「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けて、この場の出席者達との連携を強化していきたい。
このように、NATOとインド太平洋地域を結びつけ、安全保障認識を共有する機会としたいという思惑があったようです。


2.結ばれた欧州とインド太平洋


この日、岸田総理はNATO首脳会合等についての会見を行っており、今回の外国訪問の成果及び課題について、次のように述べています。
本日、日本の総理大臣としては初めてNATO(北大西洋条約機構)の首脳会合に出席いたしました。本会合で、欧州とインド太平洋の安全保障は不可分であり、そして、力による現状変更はいかなる地域においても許されない、こうした認識を確認し、そして「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて連携を強化していくこと、こうしたことで一致いたしました。そして日NATO関係を新たなレベルに引き上げることで一致し、新たな共同文書の合意に向けて作業を加速する、こうしたことも確認できました。

そして、本日は首脳会合への出席のほかに日米韓首脳会談も行いました。こちらでは北朝鮮の完全な非核化に向け、日米韓の安全保障協力を含む地域の抑止力強化、安保理での対応、そして外交的な取組といった観点から、引き続き日米韓で緊密に連携していく、こうしたことで一致いたしました。

また拉致問題に関し、米韓両国から力強い支持を頂きました。そしてさらに本日は、日本、オーストラリア、ニュージーランド及び韓国の4か国による初の首脳会合を行い、NATOとの連携の在り方について考え方を整理いたしました。

そしてそれ以外に、NATO、スペイン、スウェーデン、こうした首脳とバイ会談を行いました。そして今、ロシアによるウクライナ侵略が起き、NATOにおいても新しい「戦略概念」の策定を行って今日確定した、こうしたタイミングでNATOの首脳会合に参加するということは、歴史的な意義を有するものであると考えます。

同志国と連携を強化し、そして欧州とインド太平洋を結ぶ自由と民主主義のための連帯パートナーシップ、これを築いていきたいと思います。
岸田総理は欧州とインド太平洋の安全保障を一体化させ、力による現状変更はいかなる地域においても許されないという認識を確認したと述べています。


3.NATOの新戦略


今回のNATO首脳外交で、共同宣言が採択されたのですけれども、その要旨は次の通りです。
一、ロシアの脅威に対抗するため東欧での部隊を増強。
一、ウクライナ軍の新鋭化など支援強化。
一、日本などアジア太平洋地域のパートナー国との関係強化。
一、ロシアのウクライナ侵攻を強く非難。
一、ロシアは最大かつ直接の脅威。中国はルールに基づく国際秩序を損なおうとしている。
一、フィンランドとスウェーデンが申請した加盟を認めることで合意。
今回の宣言で、北欧2か国の新規加盟に向けた手続きを正式に開始。すべての加盟国での批准を経て、スウェーデンとフィンランドの加盟が実現する運びとなりました。また、東ヨーロッパでNATO戦力が増強され、ウクライナに対し包括的な支援策でも合意しました。

フィンランドの加盟が実現すれば、ロシアとNATO加盟国が接する国境線の長さは2倍近くに伸びることになります。畢竟、ロシアと直接向き合う国々の防衛態勢の強化が必要になります。

そのため、NATOは、来年以降、危機に備えた「即応部隊」を前線には常駐しないものの従来の4万人から30万人以上の規模まで大幅に増強する方針を決定。アメリカは、ポーランドに初めて陸軍司令部を常設し、またバルト3国やルーマニアにも部隊を巡回させるなど、ヨーロッパに10万人規模の兵力を維持するとしています。


4.最大かつ直接の脅威と国際秩序を損なう存在


さらに、「ロシアは最大かつ直接の脅威。中国はルールに基づく国際秩序を損なおうとしている」という部分については、12年ぶりに改定されたNATOの行動指針となる「戦略概念」文書で触れられています。

その「NATO戦略概念」の要旨は次の通りです。
一、ロシアは同盟国の安全保障や欧州・大西洋地域の平和と安定に対する最大かつ直接の脅威。
一、ロシアは強制や破壊活動、侵略、併合を通じて(周辺地域で)直接的支配を確立しようとしている。
一、中国はわれわれの利益、安全保障、価値に挑み、法に基づく国際秩序を壊そうと努めている。中国とロシアの戦略的協力関係の深化はわれわれの価値と利益に反する。
一、中国と建設的な関係を築くための扉は開かれている。われわれは中国が欧米の安全保障に突き付ける体制上の挑戦に対応し、同盟国の防衛と安全を保障するNATOの能力を確保すべく、責任を持って取り組む。
一、インド太平洋地域の発展は欧州・大西洋地域の安全保障に直接影響を及ぼしうるため、NATOにとって重要。
一、われわれは地域をまたぐ課題や安全保障上の共通の関心事に取り組むため、インド太平洋地域の新規および既存のパートナーとの対話や協力を強化する。
1一、ジョージア(グルジア)とウクライナを巡り、(両国の将来のNATO加盟で合意した)2008年の首脳会議などでの決定を再確認する。

NATOは2010年11月に開催されたリスボン首脳会合で、前回の「戦略概念」を採択しているのですけれども、そこでNATOの任務として次のように規定しています。
(イ)NATOの任務
「集団防衛」、「危機管理」及び「協調的安全保障」がNATOの中核的任務。
NATOは、いかなる国も敵とはせず、加盟国の領土及び国民の防衛が最大の責務。
ここではどの国も敵としないとしていたのですね。ところが今回改定された「戦略概念」では「ロシアは最大かつ直接の脅威。中国はルールに基づく国際秩序を損なおうとしている」とほぼほぼ敵国認定しています。

これは大きな方針転換といえると思います。

果たしてこのNATOの方針転換に岸田総理がどこまで影響を与えたのか分かりませんけれども、あるいは、NATOの安全保障の対象をインド太平洋地域とドッキングさせるために、対露制裁やウクライナ支援をいち早く決定したのではないかという気もします。

つまり、日本の安全保障について、いざというときにNATOにも守って貰うために、いち早くウクライナ側についたのではないかということです。

ただ、ここでウクライナが勝てば、戦勝のおこぼれに預かれるかもしれませんけれども、万が一ロシアが勝つようなことになると、当然報復というか、その責を負うことになります。

5月31日のエントリー「岸田殿の63人と外の人」で、ロシアが勝った場合、日本はうまく立ち回れるのかと述べたことがありますけれども、岸田総理は、この件に関しては「検討します」と曖昧にすることなく、次々と「決断」してみせています。要するに、ウクライナ側にチップを全賭けしているようなもので、万が一、読みが外れて負けた時の事を考えているようには見えません。

岸田総理が賭けた結果がどうなるのか。その答えはいずれ明らかになります。



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この記事へのコメント

  • 深森

    世界中、すでにコロナ禍でボロボロという前提状況を考えると
    >読みが外れて負けた時の事
    …は、あまり関係ないという事態になって来るという可能性のほうが、はるかに高くなりそうです。すでに不穏な予兆がビシバシ出ていますし、必要な対策の質と量に対して、残された時間があまりに少ない

    岸田政権は、すでにその事態を想定していて、最悪の状況になったとしても日本が最小限のダメージで生き残れるよう、動いている模様です
    原発の再稼働について、岸田首相が海外の場で表明したという件があります。ロシアが、いきなり「サハリン2」接収に動いた理由でもあると推測されます。明らかに連動しています

    >NATOの安全保障の対象をインド太平洋地域とドッキングさせるために、対露制裁やウクライナ支援をいち早く決定した
    安倍前首相の素晴らしい成果「セキュリティ・ダイヤモンド(クアッド)」が、抜かりなく生かされ始めているところですね。岸田首相は、クアッド構想を、現実の外交安保フェーズへと、間違いなく実現化を進めていますね
    2022年07月02日 08:20
  • Naga

    「いざというときにNATOにも守って貰うために、いち早くウクライナ側についた」と言っても当然直接介入するわけでなく日本自身が戦わないと支援もしてくれないから、日本自身の覚悟や憲法改正は非常に重要ですね。共産党や立憲共産党、公明党のような世迷言を聞いている暇はないわけです。
    もちろんそれでもNATOと連携したのは抑止力の一部としては良いことだと思います。
    ロシアが勝ったとしても西側全部で結束して立ち向かうことを維持するしかないと思います。
    2022年07月02日 10:27
  • 日比野

    深森さん。こんにちは。連日のコメントありがとうございます。

    まず、読みが外れた場合の対処の時間が残されていないというのはその通りだと思います。

    岸田総理は一見実績を出しているように見えますが、その中身は党の政策であり、もっとはっきりいえば、安倍・菅前総理の路線のものをそのまま、借り物です。「新しい資本主義」とやらは何か分からず、国益のためには反対があっても押し切ってやることもない。提案されても「検討する」。批判をうければすぐ転ぶ。このあたりが「何もしない」と言われる所以かと思います。

    もっとも、岸田総理は非安倍の姿勢を見せることでマスコミを敵にせず、その裏で安倍路線の政策をビシバシ通している訳で、その意味ではしたたかであるとはいえます。

    ただ、岸田総理は自分が神輿に乗せられた総理であることが気にいらないのか、借り物の政策に岸田ビジョンと名付けてみたり、総理は自分だとアピールしているように見えなくもありません。

    ある意味、ウクライナへの全賭けも、「非安倍」のアピールではないかと勘繰ってしまいたくなります。

    一方、その裏で総理の専権事項である人事権を行使して、自分のお気に入りを閣僚や事務次官に置くなりして、徐々に安倍元総理の影響力を削ごうとしているような動きもあります。

    参院選が終わったら、その勝ち方にもよりますけれども、本性を発揮して増税をやるだろうという声もあります。

    今夏の電力逼迫問題にしても
    ①火力発電所の廃止によって、かねてから今夏・今冬の供給力は厳しいものになると見られていた。
    ②3月16日の福島県沖地震により、福島県浜通りの発電所が複数停止し、夏季・冬季の需給は更に厳しいものとなっていた。
    ③想定より早く梅雨明けしたことにより、定期検査に入っていた火力発電所の再稼働が間に合っていない。
    が理由とされていますけれども、定期点検中に梅雨が明け、40度にもなる猛暑。前倒して稼動させてみたら、他の発電所が故障する間の悪さ。私は、このあたりに岸田総理の「天運のなさ」を感じてしまいます。

    非安倍を見せることでマスコミに叩かれないようにするというのも政権維持の一つの手かもしれませんけれども、それではマスコミのいいなりということですからね。

    これは裏を返せば、「現在ただいま」のことしか対応しないということでもありますから。

    どうも、これから、岸田総理の先見力がどこまでのものなのかが試されそうな気がします。
    2022年07月02日 12:20
  • 深森

    日比野様、コメント返信ありがとうございます。

    >その中身は党の政策であり、もっとはっきりいえば、安倍・菅前総理の路線のものをそのまま、借り物です。「新しい資本主義」とやらは何か分からず、国益のためには反対があっても押し切ってやることもない。提案されても「検討する」。批判をうければすぐ転ぶ。このあたりが「何もしない」と言われる所以かと思います

    安倍・菅前総理の路線を引き継ぐ後継者として、岸田総理は仕事をキッチリ進めている。しかも変に岸田オリジナル路線を押し切ったり、突っ走ったりしない。
    …民主党の鳩山前総理のような「トラスト・ミー、民意を一瞥もせず、予想のナナメウエへブッ飛んでゆく方」よりは、よほど「何もしない」ので問題は無いと言える、と受け取りました。

    >「新しい資本主義」

    日比野庵本館さまのところでは詳しく扱わない分野である、と理解しております。
    (外交や安保といった方面をメインに論じていると認識しております)

    >岸田総理は自分が神輿に乗せられた総理であることが気にいらないのか、借り物の政策に岸田ビジョンと名付けてみたり、総理は自分だとアピールしているように見えなくもありません

    総理個人の心情は一般国民の窺い知れる部分では無いので、済みません、飛ばします。

    「安倍・菅前総理の路線のものをそのまま」という事ですから、バトンタッチで「前政権から引き継いだ政策」ですね。国家ビジョンは「国家百年の計」ですし、その実行(実現化)ともなると文字どおり百年レベルで、一生かけても完遂できるような仕事ではなく。
    安倍・菅政権でしたら「安倍ビジョン・菅ビジョン」になったと思いますし、福田・麻生政権でしたら「福田ビジョン・麻生ビジョン」、高市政権でしたら「高市ビジョン」になったかな、と思います。

    >ウクライナへの全賭けも、「非安倍」のアピールではないか

    「非安倍のアピールで」というのは、外交安保の判断基準として絶対ありえないと思っております。日本国家としての意思表明、国運を左右するような重大な決断が「個人のアピール」という些末な理由で決まる筈が無いです。かりに、当時、安倍総理だったとして、安倍総理が決断したとしても、日本政府の選択として「ウクライナへ全賭け」になったと思っております。
    国際パワーバランスやグローバル経済の状況を見ると、日本国としては必然的にそういう決断になりますし、個人アピールなどの事情を挟む余地など皆無ではないかと…

    >一方、その裏で総理の専権事項である人事権を行使して、自分のお気に入りを閣僚や事務次官に置くなりして、徐々に安倍元総理の影響力を削ごうとしているような動きもあります。
    >参院選が終わったら、その勝ち方にもよりますけれども、本性を発揮して増税をやるだろうという声もあります。

    「安倍元総理の影響力がもっと強く残っていた方が良いと見る」という事で、了解しました。
    増税に関しては、まだ決定事項では無い様子…選挙の行方に注目ですね。

    >今夏の電力逼迫問題

    自然の変化や事故発生の確率は、誰にもコントロールできませんね…

    予想外というくらい驚いたのは、「原発を再稼働せよ」との民意が、このタイミングで大きく盛り上がったという事実であります。再稼働スケジュールも急遽、前倒しになりました。電力事情が厳しいのは変わりませんが、日本は、エネルギー危機をギリギリ回避できそうな雰囲気ですね。

    ※東日本大震災の後、ずっと反原発の天下という雰囲気でした。「電力不足で死者がドンドン出るという事態になっても、頑として原発を再稼働しないだろう」と思っておりました。反原発という民意が全国に広がっていましたし、あちこちで「原発を再稼働しないように」との地裁判決も…

    >非安倍を見せることでマスコミに叩かれないようにするというのも政権維持の一つの手かもしれませんけれども、それではマスコミのいいなりということ

    済みません、当方では正確に理解できていなかったようです(汗)
    「岸田総理は一見実績を出しているように見えますが、その中身は党の政策であり、もっとはっきりいえば、安倍・菅前総理の路線のものをそのまま、借り物です」という事でしたが、それが、実は「非安倍を見せることで、マスコミのいいなり状態」であるという事で…

    進行しているのは安倍路線(現実の実績として存在する)で、アピールして見せられているのは非安倍路線(現実の実績としては存在しない)…??
    つくづく頭が悪くて申し訳ありません><;
    結局のところ全体的には「岸田オリジナル路線アピール」という事…という事で、政策のほうで「岸田ビジョン」と名付けられているのは「マスコミのいいなりになって、アピールしてる」という事で?

    最後になりましたが…
    当方としては、岸田総理の個人的な天運などは枝葉末節と思っております。日本全体としての天運のほうが、もっと重大な要素と感じております。

    いつも丁寧な議論を拝見させて頂いております。ありがとうございます。
    ますますのご活躍を祈念しております。暑さ厳しき折、体調に気を付けてお過ごしください。
    2022年07月03日 08:58
  • 日比野

    深森さん、こんにちは。コメントありがとうございます。

    >安倍・菅前総理の路線を引き継ぐ後継者として、岸田総理は仕事をキッチリ進めている。しかも変に岸田オリジナル路線を押し切ったり、突っ走ったりしない。

    そうですね。ここらが「ステルス岸田」と言われる理由でしょう。


    >安倍・菅政権でしたら「安倍ビジョン・菅ビジョン」になったと思いますし、福田・麻生政権でしたら「福田ビジョン・麻生ビジョン」、高市政権でしたら「高市ビジョン」になったかな、と思います。

    評論家の渡邉哲也氏によると、政策に自分の名前は付けないのが慣例なのだそうです。アベノミクスにしても安倍元総理は自分でそう言ったことはなく、周りがそう名付けたそうですけれども、岸田ビジョンは自分からそういったということであまり評判はよくないようです。


    >当時、安倍総理だったとして、安倍総理が決断したとしても、日本政府の選択として「ウクライナへ全賭け」になったと思っております。

    ロシアのクリミア編入時も西側諸国は対露制裁していますけれども、当時安倍総理はアメリカの猛反対を押し切ってロシアを訪問して、プーチン大統領と会談を行っています。

    当時アメリカは民主党のオバマ大統領でしたし、今回のと似た構図であったかと思います。

    もちろん、ロシアがウクライナ侵攻に踏み切ってからは、ウクライナ側に着くしかないのは当然なのですけれども、安倍元総理であれば、その前の段階で何等かのアクションをしたのではないかとは思っています。何某かの繋がりを残すという意味で。


    >「安倍元総理の影響力がもっと強く残っていた方が良いと見る」という事で、了解しました。

    現時点までで、岸田総理のやっていることは、表向き「非安倍」をアピールしてマスコミから批判されないようにして、裏では安倍・菅路線の政策を進める「ステルス岸田」スタイルです。

    岸田総理がそのポジションで割り切って、そのまま進めてくれるのなら、麻生副総裁ではないですが「やらせてみたらそこそこやる」でよいのですけれども、人事の面で、少しづつ「非安倍」を進めて、安倍・菅路線の政策を中から骨抜きにしようとしているようにも見えるんですね。

    それでも、岸田総理の「ビジョン」が間違いないのであれば、それで国家運営してくれてもよいのですけれども、「現状維持」を目標としている割には、そのための手をうっていない、打っても遅すぎるように見えます。

    はっきりいえば、安倍総理の先見力に及んでいない面が見受けられるので、本来はその部分をサポートしてもらうようにするべきだと思います。

    政策を進めるために「非安倍」のポーズをとって、マスコミの批判を避けて「ステルス化」している分にはよいのですけれども、人事を弄って、中身を骨抜きにされてしまっては意味がない。それがとても気になっています。

    防衛省の島田和久事務次官を退任させた件でも、安倍元総理からの留任直談判にも木で鼻を括った対応をして「不愉快だ」と激怒させたと聞きます。

    従って、参院選の勝ち方とその後の内閣改造人事が極めて重い意味を持つことになると見ています。
    2022年07月03日 12:57
  • 深森

    日比野様、詳しいお考えをお聞かせ下さり、ありがとうございます。

    >岸田ビジョンは自分からそういったということであまり評判はよくないようです

    本当に評判がよくないのなら、岸田政権の支持率、ここまで高くは無かったと思います。最近は支持率が低下していますが、原因は「岸田ビジョン」ネーミングとは別ですね。

    >ロシアのクリミア編入時も西側諸国は対露制裁していますけれども、当時安倍総理はアメリカの猛反対を押し切ってロシアを訪問して、プーチン大統領と会談を行っています。
    >当時アメリカは民主党のオバマ大統領でしたし、今回のと似た構図であったかと思います
    >安倍元総理であれば、その前の段階で何等かのアクションをしたのではないかとは思っています。何某かの繋がりを残すという意味で

    安倍元総理の行動は、日本の国益を第一にした是々非々の行動でした。岸田総理も、安倍元総理と同じ方針のもとに行動しています。

    岸田総理が「その前の段階で何等かのアクション」をしていないのは、プーチン大統領&安倍元総理という、現在稼働中のトップクラス人脈が、すでにあるからだと思います。あの安倍元総理が、事前に何らかのバックアップをしなかった筈がありません。
    「何らかのアクションが必要だった場合」、安倍元総理とプーチン大統領の人脈は、それほどに頼りない、バックアップにもならない性質のものであったと判断されていたという事になります。当方としては、安倍元総理が築き上げた人脈の確かさを信じます。

    >岸田総理の「ビジョン」が間違いないのであれば、それで国家運営してくれてもよいのですけれども、「現状維持」を目標としている割には、そのための手をうっていない、打っても遅すぎるように見えます

    いわゆる「ステルス」ゆえ、そのように見えるだけかな?と思いました。原発再稼働の件などは、ものすごい神速だったと思います。

    >安倍総理の先見力に及んでいない面が見受けられるので、本来はその部分をサポートしてもらうようにするべきだと思います

    安倍元総理からのサポートが無ければ、あれほど先見力のある外交をやってのける事は出来ないと思います。しかも、いまのところ外交ミスが全く有りません。岸田総理は現在進行形で、間違いなく、安倍元総理のサポートを万全に受けている筈です。
    岸田総理は、かつて安倍内閣の外相として安倍外交を支えた人ですから、安倍元総理と呼吸を合わせて事に臨むのは長けているかと。

    >防衛省の島田和久事務次官を退任させた件でも、安倍元総理からの留任直談判にも木で鼻を括った対応をして「不愉快だ」と激怒させたと聞きます。

    実際にそういう事が起きたかどうかは分からないので、済みません、飛ばします。それに、その他大勢の一般国民にとっては関心の無い領域です。多くの国民が絶対に知る必要がある、国家存亡の危機につながるような出来事だ、という事でしたら、いつかブログ記事で詳しくお聞かせください。

    >中身を骨抜きにされてしまっては意味がない。それがとても気になっています

    そこが最も気になっている所、ということで了解しました。
    とはいえコロナ流行前に策定された政策が、コロナ流行後の政策として適切かどうかは再考の必要があり、必要があれば、社会・時代の変化に合わせて換骨奪胎されるべきと思います。

    一般国民としては、総理の仕事(人事を含む)として、単なる骨抜きで終わるか、それとも前政権の政策を受け継ぎつつ更にクオリティアップした内容になるかが重要、という風に思います。

    そのあたりは、「その中身は党の政策であり、もっとはっきりいえば、安倍・菅前総理の路線のものをそのまま、借り物」であると評価されている「岸田ビジョン」を打ち出した岸田総理の手腕次第であり、最後の意見に同意します。

    (関心のあるテーマと言う事もあって、何だかコメント欄が延びてしまいました。済みません。日比野様の返信があれば、気付き次第、拝見に参りますが、コメント欄が長くなったことを考慮して、拝見のみに留めますね。よろしくお願いいたします)
    2022年07月03日 16:10

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