揺らぐ安倍派と足手まといの公明党

今日はこの話題です。
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1.揺らぐ安倍派


7月13日、自民党安倍派は、暗殺された安倍元総理の後継会長について、当面は置かない方向で調整に入りました。

会長代理の塩谷立・元総務会長ら有力者7人による世話人会を設置し、集団指導体制で運営する方針のようです。

世話人会のメンバーは塩谷元総務会長のほか、同じく会長代理の下村博文・前政調会長、参院安倍派会長の世耕弘成・参院幹事長、副会長の高木毅・国対委員長、事務総長の西村康稔・前経済再生担当相、松野博一官房長官、萩生田光一経済産業相です。会の代表は、最年長で衆院当選回数が最も多い塩谷氏が務めるとしています。

なぜこうなったのかというと、派内に衆目の一致する候補が見当たらないためです。それだけでなく、派閥の求心力を保ち、分裂や混乱を避ける狙いから、呼称に「安倍」の名も残すとのことです。

世耕参院幹事長は11日に出演したテレビ朝日の番組で「ともかく一致団結を優先したい……今決められる状況にない。一呼吸置いて相談しながら決めたい」と述べていましたけれども、安倍元総理の看板が如何に大きかったのかが窺えます。

それでも、いつかは誰かが安倍派を引き継がなければなりません。

その意味で世話人の中から後継候補が選ばれるのは自然の流れです。

その中で後継候補の一人が下村氏です。選対委員長も務め、政治信条の近い安倍元総理が党総裁候補に挙げたこともあります。その一方で言動が物議を醸すことがあり、11日には内閣改造・党役員人事に関し「保守を疎んじればその人たちは逃げる」と岸田総理を牽制し、派内から「葬儀も終わっていないのに」と眉をひそめさせました。

一方、政府と党の要職を経験し、調整役として定評のある萩生田氏を推す声もあります。安倍元総理の最側近であり、引退後も派に影響力を残す森元総理や麻生副総裁らと懇意という強みもあります。ただ、衆院当選6回と議員歴が比較的浅く、ベテラン勢が反発する可能性があると見る向きもあります。

また、世話人ではありませんけれども、安倍元総理が凶弾に斃れたことを考えるとその実弟である岸信夫防衛相も候補の一人に上がってもしかるべきかと思いますけれども、健康問題があります。

無派閥のある閣僚経験者は「仕切れるのは萩生田氏しかいないが、後ろ盾がいなくなった……集団指導体制で競わせるしかない」とコメントしたそうですけれども、100人近い大所帯の安倍派を纏めるとなると簡単な話ではありません。

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2.黄金の三年間


今回の参院選を大勝した岸田総理は1年の間に衆参と2つの国政選挙を勝ちました。安倍元総理も2012年の衆院選、2013年の参院選で2連勝し、政権基盤を固めました。

つまり、形の上では岸田総理も当時の安倍元総理と肩をならべたことになり、しばらくは国政選挙がない「黄金の3年間」を手にしたとも言われています。

要するに、岸田総理は安定的な政権基盤を手にしたことになるのですけれども、冒頭に述べた安倍派が集団指導体制になったことで、党内力学が大きく変わりそうな雲行きとなっています。

これまで自民党内で「アベノミクス重視・積極財政・改憲推進」勢力の中心であった安倍派と「緊縮財政・改憲消極的」の岸田総理および宏池会との綱引きがありました。

けれども、安倍元総理の急逝で安倍派の力が弱まると一気に「緊縮・改憲見送り」の方向に流れるのではないかと見る向きもあります。

ただ、その一方で、安倍派内の反岸田勢力や菅前総理など、党内の反対派の不満や反発を安倍元総理が重しとなって押さえていたという面もありました。

前節で、下村・前政調会長が岸田総理の内閣改造・党役員人事に関し「保守を疎んじればその人たちは逃げる」とコメントしたように、安倍派をあまりにも蔑ろにするようであれば、一気に内部政局にならないとも限りません。

こうしてみると「黄金の3年間」は本当に黄金なのかという疑念も湧いてきます。

ただ、岸田総理本人は、テレビ番組で「『黄金の3年』という考え方は取らない」と答えたそうですけれども、聞き方によれば、複数年に渡る政策課題はやらないという風にも取れなくもなく、少し気になるところです。

あるいは、単年で結果の出る政策を次々にやって「実績」を積むことで求心力を得ようとする狙いがあるのかもしれません。


3.憲法改正の早期発議


7月10日、岸田総理は、10日の文化放送番組で、衆参両院の3分の2の賛成が必要になる憲法改正案について「できるだけ早く発議し、国民投票に結びつけていく……改正するかどうかではなく、具体的な中身で3分の2が集まらないといけない」と憲法改正に意欲を見せました。

また、岸田総理はフジテレビ番組で、憲法9条への自衛隊明記や緊急事態条項など自民党が叩き台として纏めた4項目に関しても言及し、「喫緊で現代的な課題を自民党として提案している。ぜひ推し進めていかなければならない」と述べています。

結党以来、自民党が党是としていた憲法改正などとても「単年で結果の出る政策」とは思えず、それこそ「黄金の3年間」を丸々費やすくらいでないと難しいと思うのですけれども、岸田総理がどこまで本気なのか、ちょっと測りかねるところがあります。

自民党は選挙公約で「憲法改正を早期に実現する」と明記し、改憲項目に関して「自衛隊の明記」「緊急事態対応」「合区解消」「教育充実」の4項目を記しています。

これについて、自民党の茂木幹事長は10日、主要な政党間でどの項目を優先するか、スケジュール的にどうしていくか共通認識をつくりできるだけ早く発議する」と述べ、必ずしも4項目に拘らない考えを示しています。

現在、国会の改憲容認勢力は自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党の4党です。

昨年の衆院選で、4党の合計議席は勿論のこと、「消極的改憲姿勢」の公明党を除いた3党だけでも、発議要件である総議員の3分の2を超えています。

けれども、参議院は今回の選挙の結果、4党の合計では発議要件を維持したのですけれども、公明党を除いた3党では、自民110、維新の会21、国民民主10と計141で発議要件である3分の2である166に25議席足りません。

10議席以上持っている立憲や共産が憲法改正に賛成するとは思えず、改憲にはどうしても公明の賛成が必要になってきます。


4.公明党はあなた方の足手まといになる


公明党=創価学会に“反旗”を翻した自民「小野田紀美氏」が圧勝 故・安倍元首相も評価した岡山のジャンヌダルクの“信念”

7月11日、毎日新聞は参院選の全候補者に実施したアンケートで当選者分を再集計しました。

その結果、9条の改正について、自民は87%、維新は92%、国民民主は40%が自衛隊明記と回答したものの、公明は69%が改正に反対。4党で改正反対と回答した当選者がいるのは公明だけとなりました。やはりというかなんというか、立憲民主党は94%、共産党、社民党、れいわ新選組は全員反対でした。

緊急事態条項についても、自民は78%、維新は92%、国民民主は40%が内閣の権限強化と国会議員の任期延長の両方を認めるべきだと回答する一方、公明は38%が「緊急事態条項を設ける憲法改正は必要ない」と答え、緊急事態条項創設を認めた31%もその全員が「国会議員の任期延長のみ認めるべきだ」と限定付きでした。

国会では非常時に内閣が国会の議決を経ずに法律並みの効力を持つ「緊急政令」を制定できる規定を憲法に盛り込むことが検討されているのですけれども、公明は恣意的な発動で私権が制限されかねないとの警戒感が強いようです。

なるほど、これなら茂木幹事長が改憲4項目に拘らないという訳です。

2013年、当時日本維新の会の共同代表だった故・石原慎太郎は、党首討論で憲法改正の必要性を訴え、「この問題を乗り越えないと、この国は再生しないと思いますよ。自民党も再生しないと思いますよ。私ねあえては忠告しますけど、必ず公明党はあなた方の足手まといになりますな」と語りました。

「失礼だ」とヤジが飛ぶと石原氏は「いや、本当のことを言ってんだ、君らも反省しろよ」と与党席を睨んでいましたけれども、やはりここにきて、予言通り公明が足手まといになるかどうか。岸田総理が憲法改正の発議まで持ち込めるのかどうか。

要注目ですね。




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