安倍派の受難とドンの決断

今日はこの話題です。
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1.ウチばかり糾弾されているのは不公平


旧統一教会問題で渦中の自民党が揺れています。報道等で特に槍玉に挙がっているのが、安倍派と旧統一教会の関わりです。

安倍派所属のある中堅議員は 「岸信介さんの流れを汲む清和研に、統一教会と関係がある議員が多いのは確か。でも、宏池会にもイベントに顔を出していた議員はいる。ウチばかり糾弾されているのは、なんだか不公平な気がする」と漏らしているそうです。

中でも、安倍氏の弟・岸信夫防衛相をはじめ、細田博之衆院議長、下村博文・安倍派会長代理、萩生田光一経産相に稲田朋美元政調会長と、派閥の中軸が集中砲火を受けています。

安倍派の議員は「選挙の実働部隊として統一教会を重宝している議員は、派閥を問わず多い。それなのに、『統一教会=安倍派』のイメージが定着しつつある。岸田総理は、自分が統一教会と関係がないから、安倍派の幹部を『刺す』ために、過熱する報道を放置しているのではないか」と疑心暗鬼となっているようです。

ある安倍派関係者は「安倍派は問題があるという認識が広がれば、9月の内閣改造で重用しなくて済むという計算があるのだろう」と、こうした安倍派叩き報道を岸田政権はわざと放置しているのではないかとも疑っています。

更に「統一教会の支援を受けていない世耕さんが、教会を『反社会的団体』と厳しく批判し始めた。下村さんや萩生田さんとの、権力争いのネタに利用しようとしているんです。下手をすると、統一教会との距離感で派閥が割れかねない。それもこれも、全ては岸田さんを利することにつながる」と安倍派の分裂の可能性さえあると漏らしています。


2.文化庁が丁寧に説明してほしい


8月1日のエントリー「旧統一教会との距離がまちまちな自民党議員」で、文化庁が旧統一教会の名称変更を18年ものあいだ認めていなかったのが2015年に突然、名称変更が認められたにも関わらず、その理由が黒塗りになっていて一切分からないと紹介しましたけれども、安倍派幹部で当時文科大臣だった下村博文衆院議員は、8月3日、旧統一教会の名称変更が認められた問題について言及しました。

下村氏は「申請を受理したかどうかは、文化庁の当時の担当者に聞いてもらいたい。私は文化庁担当者からの報告は受けたが、まったく関わっていません……文化部長の決済判断です。私が知らないところで全部処理された……もうちょっと丁寧に、当時の状況を踏まえて、今の文科大臣なり、あるいは文化庁なりが説明してもらいたいなというふうに思います。私がそれを受理しろとかどうだとかいうようなことを担当者に申し上げたことはなかったという意味で、関係なかったということを申し上げています」とコメントしました。

更に下村氏は名称変更について、当時、文化庁からは「教団からの名称変更の申請に対応しないと『行政上の不作為』になる可能性がある」と説明を受けたとし、今後の対応については「国民から批判されるようなことがないよう、旧統一教会、関連団体を含めて、襟を正しながら距離を取ることが必要」と述べています。

それにしても、文化部長の決済判断で、知らないところで全部処理されたなんて言い草は、まるで上海電力の問題について追及された橋下徹氏の言い方そっくりです。

橋下氏の主張に懐疑的な人がどれだけいるか分かりませんけれども、少なくとも同じ程度には、下村氏の弁明に納得できない人がいるのではないかと思います。

実際、3日放送のTBS系「ゴゴスマ~GoGo Smile」で元CBCの石井亮次アナウンサーは、「その時大臣だった下村さんが『文化庁が丁寧に』って…。素朴に『僕が先頭切って調査します!』って言うのかと思ったら『文化庁丁寧に』って。僕はちょっと、えっ?と思った」と疑問を投げかけています。


3.安倍派のドン


このように仄かに危機の足音が聞こえ始めた安倍派ですけれども、ここで注目を集め始めているのが、「モリモト」こと森元総理です。

御年85歳の森元総理は'01年の首相退任後、小泉純一郎氏、安倍晋三氏、そして福田康夫氏など自派閥の政治家が次々と首相に就任したことで、彼らの後ろ盾となっていました。

東京オリンピック・パラリンピック運営のあらゆることは、組織委員会の会長だった森元総理の了解なしに進められることはなかったとさえ言われています。

ある都政関係者は「組織委員会立ち上げ当初、森元首相は政界を引退した人ぐらいの認識だった人も多かったが、あの安倍元首相が森会長を直立して出迎え、ここまでやるかと思うほど丁重に扱っていたことから、『この人、すごく偉いんだな』という認識が広まった」と述べています。

現在、安倍派は、97人の国会議員を擁する自民党最大派閥ですけれども、安倍元総理亡き後、森元総理は実質的な最高権力者であり、「安倍派のドン」となっています。

現在、安倍派には安倍元総理の後継者となる会長はおらず、幹部議員による集団指導体制を取っているのですけれども、次期会長の座に誰が座るのかを最終的に判断するのは、「ドン」である森元総理ではないかとされているようです。


4.退場を命じられた下村氏


その森元総理は、読売新聞のインタビューで、安倍氏亡き後の安倍派はどうなるのかと問われ、次のように答えています。
誰が安倍さんの後継になるかなんて、簡単に言っているけれども、これだけの数を持っている派閥であれば、トップは必ず、総裁選に出なければいけない。総理、総裁になる心の準備はできているかどうか。政治家以外のところの応援があるのかどうか。それだけの資金力はあるかどうか。候補者となる人も、後継になりたい人も、9月27日の安倍さんの国葬までに冷静に自分の立場を考えた方がいい。後継になる人は、安倍さんの次はこの人についていこうと派内の人に思われるように自分を売り込まなくては。その努力もしないで、後継になりますと言っても、誰がついていきますか。
このように、森元総理は、安倍派の会長は次の総理総裁となる心の準備が必要で、政治家以外にも応援があるのか等々、いくつか条件を挙げています。

それでも、月刊誌『正論』(令和4年9月号)へ寄せた森元総理の寄稿では、後継会長について、もう少し踏み込んで次のように述べています。
少なくとも二年か、三年のうちに、五人(松野博一、西村康稔、萩生田光一、高木毅、世耕弘成)のうちで自然に序列が決まっていく……みんなの一致していることは、下村博文だけは排除しようということ……安倍さんは優しいから付き合っていたけど、やっと下村はいかがなものかということがわかってきた
はっきりと、下村氏は落第だといっているのですね。

その一方、森元総理は西村氏と萩生田氏の2氏に注目し、周辺もこの二氏が後継候補ではないかと見る向きもあるようですけれども、ある全国紙政治部記者は「5人の集団指導体制であれば派閥内は何となくまとまりますが、政権運営、党内運営について安倍派の誰に相談していいかわからないままでは交渉力を完全に失います。交渉力を失えば求心力を失い、派閥から出ていく議員もでてくるかもしれません。安倍元首相の四十九日法要である8月25日までは、とにかく静かにしていようという話もありますから、秋にはポスト安倍レースが始まるはずです。候補は、萩生田氏と西村氏に絞られた感がありますが、争いの勝敗が決したからといってどちらかが出ていくと『最大派閥』という大看板を失うことになります。なので、今後二人は『仲良くケンカ』していくことになります」と指摘しています。


5.安倍派の行く末


確かに安倍派の誰に相談していいか分からない状態が続けば交渉力はなくなってしまいます。

そんな中、8月3日夜、岸田総理は東京都内のホテルで森元総理、青木元官房長官、遠藤利明選対委員長、小渕優子組織運動本部長と会食しています。

9月に想定される内閣改造・党役員人事が近付く中、今後の政権運営についても意見交換したとみられ、関係者によると、森元総理、青木元官房長官は岸田総理に「焦らずじっくり政権運営をやるように」と助言したそうです。

出席者は「安倍晋三元首相の死去で今後が不透明なときに、党の安定のため有意義な会合だった」と述べており、それなりの感触を得たようですけれども、森元総理が会食に呼ばれたということは、ある意味、安倍派の窓口と、認識されているということでもあるといえるかと思います。

その意味では、森元総理は未だに「安倍派のドン」であり、大きな影響力を持っていると見ていいのかもしれません。

安倍派が後継会長を立てて纏まるのか。それとも分裂の憂き目に遭うのか。要注目です。



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