

1.内閣支持率16ポイント急落36%
8月20~21日、毎日新聞と社会調査研究センターは全国世論調査(調査は、携帯電話のショートメッセージサービス機能を使う方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式の組み合わせ。有効回答=携帯536件・固定429件)を実施しました。
その結果、岸田内閣の支持率は36%と前回7月16~17日の調査の52%から16ポイントと大幅に下落。昨年10月の内閣発足以降で最低となりました。不支持率は54%で前回の37%より17ポイント増加しています。
内閣改造後の調査で、支持率が改造前より低下するのは異例のことで、今回の内閣改造と自民党役員人事については「評価しない」との回答が68%に上り、「評価する」は19%、「関心がない」は13%でした。
自民党と旧統一教会の関係に問題があったと思うかとの問いでは、「極めて問題があったと思う」が64%、「ある程度問題があったと思う」が23%で、合わせて9割弱が問題があったと答え、「それほど問題があったとは思わない」は7%、「全く問題があったとは思わない」は4%で、問題がなかったとの回答は合わせて1割強。自民党支持層でも、7割超が問題があったと回答しています。
また、政治家は旧統一教会との関係を絶つべきだと思うかと尋ねたところ、「関係を絶つべきだ」は86%に上り、「関係を絶つ必要はない」は7%だった。自民党支持層でも「絶つべきだ」は77%で、「絶つ必要はない」の12%を大きく上回った。
内閣改造後も、閣僚ら政務三役や党役員と旧統一教会との関係が相次いで表面化するなど、世間からは旧統一教会との関係を絶ったように見えないことが、内閣支持率の急落に影響しているものと思われます。
この結果を見る限り、内閣改造は失敗だったといえるかと思います。
これについて、選挙コンサルタントの大濱崎卓真氏は「政治と宗教の問題はこれまでクローズアップされてこなかった分野だからこそ、問題解決のフェーズはまだ「実態解明」だったにもかかわらず、早々に『手仕舞い』としての内閣改造を仕掛けたことが裏目に出たとも言い換えられるでしょう。現に、内閣改造後にはほぼすべてのメディアが政務三役の(旧統一教会との)問題を報道するなど、この問題の規模や深刻さを見誤っていたと言われても致し方ない事態です」と指摘しています。
2.旧統一教会の著作権違反主張
今は猛批判だが、直近まで統一教会の宣伝を垂れ流していた報道機関とIT大手
マスコミは旧統一教会と自民党の関係を叩きに叩きまくっていますけれども、旧統一教会側はマスコミに反撃しています。
7月31日、旧統一教会は公式サイトに「【報道機関各位】著作権映像の報道使用に関する注意喚起」というプレスリリースを発表しました。
その概要は次の通りです。
・安倍晋三元首相銃撃事件に関し、日本メディアの報道姿勢は、容疑者の犯行動機など事件自体に関する報道から、世界平和統一家庭連合(以下、当法人)の信教の自由を無視した魔女狩り的なバッシング報道へと移り変わっている実際、テレビは旧統一教会関連の報道ばかりだったのですけれども、この注意喚起について、あるワイドショー関係者は、「一部局の著作権の担当部署は弱気になってしまい、"統一教会の映像使用を控えてほしい"と各番組のプロデューサーに通達しました。追及していく深堀りの報道に関しては“報道引用”には当たらず、訴えられると負ける可能性が高いようです。ですので、生々しいイベントの映像などを使わずに、いかに関係者に取材したりスタジオなどでトーク展開したりできるかにかかっています……正直言って強い映像が使えないとなると、視聴率が下がる可能性が高い。我々も本音を言うとピュアな正義感だけでやっている訳ではなく、視聴率が絶好調だからしつこく統一教会の報道をしている部分もある。数字が下がるようなことになれば、扱いはこれまでより減るかもしれません」と零したそうです。
・報道機関が使用する映像コンテンツの中に、当法人に対して使用許可をとらない、明らかな著作権法違反とわかる報道内容が散見される
・当法人が著作権を有する映像等について、これまで当法人の許可なく使用した報道機関に対しては、即刻使用を取りやめるよう要求する。
・今後、当法人の許可なく、当法人の著作物である映像等を無断使用することは絶対にしないように。この警告にもかかわらず、無断使用をした場合には、法的手段を講じる。
一方、あるテレビ局関係者は「視聴率が良いということは、統一教会の在り方に疑問を抱いている人が多いという証です。日本の家庭が法外な献金によって崩壊したり、韓国の貧困家庭に日本人女性が嫁がされて困窮したりという現実があります……政治家がそのような団体から支援してもらっているという状況は、やはり"報じるに値すること"であるのは間違いありません。国民の関心が高ければ高いほど、この報道は続くでしょうね」と、こちらはまだ火は消えないと見ているようです。
3.異常な過熱報道に対する注意喚起
マスコミは旧統一教会の「反社会性」や、政治家との関係を糾弾する形でわいのわいの報じていますけれども、メディアにも問題があると指摘する声もあります。
ジャーナリストの青沼陽一郎氏は、2020年2月5日、武漢ウイルスが日本に上陸し、感染者が多発したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が横浜港に着岸したことが大きく報じられていた時期のニュースサイトに、『文鮮明先生聖誕100周年』とか『真の父母聖誕100周年記念』などと大きく記載し、写真も使われている点を取り上げ、報道機関も、直近まで統一教会の宣伝を垂れ流していたと指摘し、「統一教会への警戒心、緩んでいたのは政界だけではなくメディアもではないのか」と糾弾しています。
そんな中、旧統一教会は21日、「異常な過熱報道に対する注意喚起」とする新たなプレスリリースを発表しました。その概要は次の通りです。
・現在、民放のワイドショーや報道番組、新聞・週刊誌記事を中心として、世界平和統一家庭連合(以下、当法人)および友好団体等に対する異常ともいえる過熱報道が続いている。なにやら、かの国が日本を批判するときの口振りに似ていると感じなくもありませんけれども、要するに、「俺たちを好きなように叩いているが、お前たちだって、俺たちと関わりがあるじゃないか。俺たちが反社というなら、関わりを持たない筈だろう。俺たちとお前らの関係を暴露してやるからな」ということです。
・これらのメディア報道は、「信教の自由」を無視した魔女狩り的なバッシング行為であり、名誉棄損であると同時に、当法人の信者ならびに関係者に対する深刻な人権侵害に当たる。
・当法人の関係施設および信者の自宅周辺で繰り返される強引な取材は、当法人信者に深刻な不安と精神的ダメージを与え、身の危険を感じさせる程の恐怖となっている。
・当法人は、報道機関に対して強行取材の停止を求めると共に、これまでの強行取材によって、当法人信者が被った心的被害に対する謝罪を要求する。
・一部の民放ワイドショーが意図的にたれ流す元信者と称する人物の証言インタビューには、事実確認が行われたとは到底思えない内容が散見される。
・それらの報道が視聴者に与える誤解、影響は甚大であり、報道によって誘発された差別・ヘイト感情はそのまま当法人の全国の教会にぶつけられ、その影響は信者家庭における離婚騒動や親子断絶問題にまで発展している。
・多くの報道機関が、政治家と当法人および友好団体等との関わりをテーマに「祝電を送った」「イベントに参加した」等、政治家が当法人および友好団体等と少しでも接点を持っていれば、まるで犯罪を犯したかのような取り上げ方を繰り返している。
・また、一部の新聞社や通信社は政治家に対し、当法人および友好団体等との関係を炙りだすことを目的とした卑劣なアンケート調査を実施し、まるで「魔女狩り」や「踏み絵」を行うかの如き不当な追及を行ってきた。
・仮に、当法人および友好団体等が、「反社会的」で関係を持つことが許されないような団体だったとすれば、各報道機関はその調査能力を総動員して、過去から現在に至るまで当法人および友好団体等に全く関わらないように注意を払ってきた筈だ。
・これまでそのようなことは一切なかった。それどころか、当法人および友好団体等が開催するイベントへの取材活動を始め、実に多くの報道機関が密接に関わって来たことは疑いようのない事実だ。
・現在、各報道機関と当法人および友好団体等とのこれまでの関わり等について、過去に遡って詳細な調査を進めている。調査結果がまとまり次第、全面的に公表する。
・各報道機関に於いては、事実に基づいた報道を心掛けていただき、無闇に当法人および友好団体等を陥れることを目的とした報道を行わないようお願いする。
・今後は、事実に反する報道や不当に当法人等を貶める報道に対しては、法的手段を講じて厳重に対処する。
いわば、マスコミが旧統一教会を叩く「反社団体だ」というロジックをそのまま使って、反撃された訳で、クリンチというか抱きつき戦法をとったように見えます。
4.御社は統一教会と関係はないんですか
この反社と付き合うのがダメなら、お前らはどうなんだ、というロジックはマスコミにとって、痛いところを突かれたのは間違いありません。
2016年8月にニューヨークで旧統一教会の教団施設で講演し、2019年4月に講師として参加した熊本県での講演会の主催者の1人が統一教会の信者だったことが指摘されている自民党の杉田水脈総務大臣政務官は、会見で、2019年の講演について「主催団体が関連団体とは知らず、現在も確認できていない。役員の1人が教団関係者との指摘はあるが、講演当時は知らなかった……関連団体というのかどうかは誰も確認できない。定義がわからないので、これ以上のことは申し上げられない」と発言し、一部から、「開き直りだ」といった批判が寄せられました。
これについて、8月19日、光文社「女性自身」が取材したところ、担当者から「ちなみに御社は統一教会と関係はないんですか?……関係ないと、どうやって証明されますか?……『統一教会と関係のあるメディアからは取材を受けるな』と言われているので、こちらも安心して答えるわけにはいかないので。"関係ない"ということを証明していただかないと」と返されたそうなのですね。
これについて「女性自身」は「"謎問答"が返ってきた」なんていっていますけれども、これも、旧統一教会と関係したこと自体悪い事だというロジックでマスコミが議員を叩いているロジックでそのまま返されただけのことです。「謎」でもなんでもありません。
おそらく「ぐぅの音」もでないものだから、悔し紛れにこんな言い方で誤魔化しているようにしか見えません。
これは半ば冗談ですけれども、もし逆に取材を受ける場合は旧統一教会だけでなく、他に関係した宗教団体、その他団体全て挙げて、同じ強度で答えてやってもいいのではないかとさえ思ってしまいます。
創価学会なり、立正佼成会なり、100団体あったら、100全部上げて、いついつどこで何をしたか全部答えてやる。取材者がが旧統一教会だけ聞きたいといっても、特定の宗教団体だけ特別扱いは憲法上できないといって、それこそ、100時間でも200時間でも、フィリバスターになっても答えてやる手もあるかもしれません。
5.統一教会の報道問題
今回の旧統一教会を巡るマスコミ報道については、名誉棄損で民事訴訟になるリスクがあるという指摘もあります。
経済評論家の渡邉哲也氏は、統一教会の報道問題として、次のように整理しています。
統一教会の報道問題渡邉哲也氏は「訴訟でメディア側が敗訴したら、メディアの浄化も進むでしょう」とツイートしていますけれども、反撃してこない相手に好き勝手やれても、牙をむき、噛みついてくる相手にはそうもいかないというのは自明の理です。
政教分離原則 これは国家(行政、司法)が特定の宗教団体だけを優遇、弾圧してはいけないというものであり、政治と宗教を完全に切り離すものではない。また、宗教団体には信徒団体としての側面があり、日本国民である以上、信徒の参政権と結社の権利は憲法で保障されている。
憲法 第二十一条
一項、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
二項、検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
宗教団体と宗教法人 宗教団体を作ることは結社の自由で保障されている。そのうえで、検閲や通信の自由を侵すことはできない。そして、宗教法人とは、それらの活動に関して、都道府県や国に登録することで、公益事業部分の免税等を得られる制度であり、これは宗教法人のみならず非営利団体全体に認められている権利である。また、職員の給与等に関しても、所得に応じて課税がなされているし、会計の公開が義務づけられ、税務申告、税務調査も行われている。逆に法人格を失い任意団体になった場合、行政の管理から外れ地下化するだけであるといえる。
憲法 第二十条
信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
② 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
③ 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
この問題に関する議論は何も今に始まったものではなく、オウム問題などの際にも繰り返し議論され、破防法の適用に関しても、野党などの反対によりとん挫した話である。それを今になって、逆の立場で批判するのはおかしいとしか言いようがない。
また、教義などに関して批判をする人がいるが、国としては教義に踏み込むことはできない。これは行政だけの判断ではなく、司法が出し続けている答えであり、多数の判例となっているわけだ。そして、各宗教の教義に踏み込めば、憲法違反となってしまうのである。最近の判例でいえば、
「大本建物明渡請求事件 宗教法人大本が、4代教主であることを主張し、その地位に基づいて建物を 占有している被告に対し、建物明渡を請求する訴訟を提起一審の京都地裁は、4代教主の地位の判断をするには教義、信仰の内容に立ち入らなければ ならないとして、訴えを却下し、大阪高裁、最高裁も維持した。」がそれを明示している。
また、いわゆる「霊感商法等」に関しても、平成30年の消費者契約法の法改正により、契約を容易に取り消せるようにし、事実上、時効も撤廃しているのである。(契約後10年、又は取り消せる事実を知ってから5年)時系列を無視し、過去の問題と現在を混同して語り悪い印象だけを植え付ける。これこそメディアによる洗脳といえるのだと思う。
教団側は、2009年にコンプライアンスを強化し、2014年以降、消費者センターなどからの連絡はないとしている。また、消費者契約法改正以降、2019年にさらにコンプライアンスを強化したとしており、組織犯罪としての要件を構成していない。つまり、組織犯罪として処罰するのはほぼ困難といえる。
これらの過去の判例や実例を無視し、時系列も無視した印象操作はメディア側に業務妨害などの犯罪を構成する可能性が高く、民事においても名誉棄損などが成立する可能性が高い。また、それに同調する行為に関しても、民事訴訟等のリスクが高いといえる。
これも一種の抑止力であるともいえ、反撃能力を持つことの重要性を知らしめているとも思いますね。
統一教会vsメディア 訴訟でメディア側が敗訴したら、メディアの浄化も進むでしょう。さらに、問題発言した出演者は大変でしょうね。メディアは責任をとってくれず、出演者に責任を押し付ける。
— 渡邉哲也 (@daitojimari) August 21, 2022
この記事へのコメント