天井知らずの電気代

今日はこの話題です。
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1.ついに10万超えた電気代


高騰する電気代に各地で悲鳴が上がっています。

ツイッターには「ついに電気代10万超えた」とか「オール電化にした方の電気料金請求書に仰天。ひと月で15万8400円」とか、見たことないような額が踊っています。

電気代には、「規制料金」と「自由料金」という2つの料金体系がありますけれども、規制料金は、電力自由化前から続く料金体系で、燃料費の値上がり分を毎月の電気料金に転嫁できる上限が法的に定められています。それに対し、自由料金の多くは上限がなく、燃料費が高騰した場合は電力会社が自由に値上げできることになっています。

規制料金は、昨年秋に転嫁できる上限に達したことで、1月まで電気料金はほぼ横ばいで推移しているものの、自由料金の方は天井知らず。

東京電力エナジーパートナーでは、一般家庭の約4割が自由料金で契約しているのだそうです。

東京電力エナジーパートナーによると、過去3年間の1月の電気代(一般家庭の電気使用の平均モデルである260kWh/月で算出)は次の通りです。
・規制料金:従量電灯B
2021年1月 6317円
2022年1月 7631円
2023年1月 9126円

・自由料金:スタンダードS
2021年1月 6370円
2022年1月 7683円
2023年1月 11222円
2023年1月は、規制料金で前年比1.19倍、自由料金で前年比1.46倍上昇しています。一昨年と比べると規制料金で1.44倍。自由料金に至っては1.76倍です。

こうした状況を受け、政府は2月検針分の電気代から、電気会社を通して、家庭向けの電気代1キロワットアワーあたり7円を値引きするとしています。これは、先述の平均電気使用量モデルである260kWh/月に換算すると月額1820円の値引きです。

それでも、規制料金で昨年より少し安くなる程度で一昨年の水準には及びません。自由料金に至っては昨年にも届いていません。

ないよりマシだとしても負担感は全く減りません。


2.値上げ幅は3割から4割


ところが、それも束の間、更なる電気料金の値上げは予想されています。

4月から東北、北陸電力など大手5社、6月から東京電力が国に規制料金の値上げを申請しています。

値上げには経産省の審議会での審査が必要となるため、今後は各社の値上げについてそれぞれ妥当性などが審査され、最終的な値上げ幅や時期が決まることになっています。

その申請された値上げ幅は、なんと3割から4割にも及んでいます。

これだけの値上げとなると政府の値下げなど軽く吹き飛んでしまいます。

ただ、値上げ申請していない電機会社もあります。関西電力と九州電力です。

東京電力の値上げ後(6月)の電気代は、政府の補助を差し引いても標準モデルで9917円。これに対し、関西電力は同じ条件で5677円。その差7割にも及びます。


3.なぜここまでの料金差が生じるのか


なぜここまでの料金差が生じるのかというと、いうまでもなく、燃料の高騰です。ロシアのウクライナ侵攻を発端として、液化天然ガス(LNG)や石炭など燃料価格は上昇を続けています。

畢竟、ガスや石炭からの発電、つまり火力発電をすればするほどそのコストは跳ね上がります。従って、各電力会社のうち、この火力発電をどれだけ頼っているかで発電コストが変わり、それが電気料金に転嫁されてくる訳です。

下の図は、各電力会社の火力発電比率と23年6月の電気料金をプロットしたものですけれども、火力発電の比率が高いほど電気料金も高くなっていることが分かります。

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東京電力の火力発電比率は21年実績で77%と、沖縄電力の94%に次いで高く、値上げを申請していない関西電力は43%、九州電力に至って36%しかありません。

関電や九電がなぜ火力発電比率が低いかというと、それはもう、原発が稼働しているからです。関電は大飯原発3・4号機など全国で最多の5基が稼働しています。今年23年には高浜1・2号機の運転も始める予定で。関電の原発稼働率は22年度の5割程度から、23年度には7割台後半にまで高まる見通しとなっています。

九電も玄海・川内の各2原発、計4原発が稼働しています。他の電力会社は四国電力の1基を除けば軒並み稼動原発ゼロですから、原発稼働の有無が如何に電気代に響いてくるか如実に示しています。

実際、北海道電力の藤井裕社長は、電気代値上げについて、記者会見で「お客様に負担をお願いせざるを得なくなり、誠に申し訳ない」と説明する一方で、原発が稼働すれば火力の燃料費削減につながるため、「再稼働したら値下げする」とコメントしています。

北海道電力管轄で、現在停止中の泊原発の再稼働については、原子力規制委員会による安全審査が終わっておらず、この冬には間に合いません。

ネットでは太陽光パネルに雪が積もった画像がアップされ「晴れても発電できないよ」と皮肉めいたツイートも見受けられますけれども、電気代の高騰は国民生活だけでなく、企業活動にも大きく影響してきます。

岸田総理は企業に賃上げを要求していますけれども、こんな状況で賃上げできるとはとても思えません。

政府が経済を回復させたいと本気で思っているのであれば、やるべき政策は論を待たないと思いますね。



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