ブログランキングに参加しています。よろしければ応援クリックお願いします。
1.護衛艦さざなみの台湾海峡通過
9月25日、海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」が、中国大陸と台湾の間にある台湾海峡を初めて通過したことが分かりました。
複数の関係者によると、南シナ海で行われる多国間訓練に参加するために移動していたということで、台湾海峡を北から南に向かって通過。オーストラリアの駆逐艦、ニュージーランドの補給艦も台湾海峡を通ったということです。
海上自衛隊の護衛艦が台湾海峡を通過したのは今回が初めてです。
台湾海峡は最も狭い部分でも幅が約130キロメートル。沿岸国の主権が及ぶのは沿岸の基線から12カイリ(約22キロメートル)の領海で、米国などは台湾海峡について、どの国の領海にも属さない国際水域だとの立場をとり、日本政府も「中国の領海外は航行の自由が認められ、護衛艦が通過することに問題はない」との見解を取っています。
翌26日、林官房長官は記者会見で、自衛隊を含む各国の艦艇が台湾海峡を航行することは国際法上、問題ないと考えるか見解を問われたのに対し、「自衛隊の運用に関する事柄については答えを差し控えたい。一般論で言えば、自衛隊の活動はすべからく国際法や国内法令に従って行われている」と述べるにとどめています。
日本の歴代政権はこれまで中国側の反発を考慮し、海自艦艇による台湾海峡通過を控えてきたのですけれども、今回は、岸田総理が護衛艦の派遣を指示したとのことです。
2.越えてはならないレッドライン
これに対し26日、中国外務省の林剣(リンジエン)副報道局長は記者会見で、「台湾問題は中国の主権と領土保全、中日関係の政治的基礎に関わる問題で、越えてはならないレッドラインだ……日本側が台湾問題について言動を慎み、中日関係や台湾海峡の平和と安定を妨害しないよう促す……中国軍は法に基づいて対処した。今回の日本の行動の政治的意図を警戒している……日本に対して厳正な申し入れを行った」と述べ、同じく26日、中国国防省の報道官は記者会見で「『台湾独立』勢力に誤ったシグナルを送り、中国の主権に危害を及ぼす挑発行為に断固反対する」と反発した。
林剣・副報道局長は「中国軍は法に基づいて対処した」と述べていますけれども、これは護衛艦「さざなみ」が台湾海峡を通過した際、中国海軍の艦艇が追尾していたことを指しているものと思われます。
実際、中国国防省も中国軍が全航程を警戒監視していたと認めています。
3.日本の行動の政治的意図は何か
なぜ、遺憾砲しか撃たない日本政府が、海自護衛艦に台湾海峡を通過させたのか。
日本のマスコミは、航行の自由を主張するねらいなどがあるなどと論評しているようですけれども、中国外務省は「日本の行動の政治的意図を警戒している」と述べています。
8月26日、中国は長崎県の男女群島沖の日本領空を侵犯していますけれども、識者の中には自民党総裁選という政治的空白を突いて、日本の出方を探ったのだと論じる人もいます。
筆者は今回の台湾海峡通過は、これと同じことを日本がやり返したのではないかと訝っています。
中国の習近平主席について、昨今重病説だとか、失脚説だとか、いろんな憶測が飛び交っています。つまり、今の中国政府の権力が誰が握っているのか。習近平主席が軍権を握っているのか探ったのではないかということです。
ジャーナリストの鳴霞氏は、21日自身の動画で次のように述べています。
・9月13日、人民解放軍の陸軍副司令官2人が一気に逮捕された張又侠・党中央軍事委員会副主席が陸軍を掌握し、習近平派の陸軍幹部を一層したというのですね。
・これで習近平派の陸軍幹部が一層された
・今後、陸軍は、張又侠・党中央軍事委員会副主席が支配する。これは中国マスコミも報じている
・人民解放軍は陸軍1番、空軍2番目海軍3番目、中国五大戦区全部に陸軍がある
・習近平が抑えている東部戦区、西部戦区も人事中で張又侠に追放されるかもしれない
当然、こうした情報は日本もアメリカも掴んでいるでしょう。
8月29日、アメリカのサリバン大統領補佐官は、その張又俠副主席と会談を行っています。
張副主席は、「中米が軍事安全分野の安定を保つことは双方の共通した利益に合致し、国際社会の普遍的な期待でもある。米国は相互尊重、平和共存、協力ウィンウィンの道のりにおいて、中国と同じ方向に向かい、力を注ぐことを望む。米国は中国に対する戦略的認識を正しく調整し、理性的で実務的な対中政策に戻り、中国の核心的利益を尊重しながら、中国と共に両軍の交流を推進し、大国としての責任を共に負うべきだ」との見解を示しました。
また、張副主席は、「台湾問題は中国の核心的利益の核心であり、中米関係の政治的基礎中の基礎であり、中米関係の超えてはならない第一のレッドラインだ。中国は終始、台湾海峡の平和と安定維持に力を尽くしているが、『台湾独立』は台湾海峡の平和や安定とは水と火のように相容れないものだ。『台湾独立』に断固として反対し、祖国の統一を促進することは中国人民解放軍の使命と職責だ。『台湾独立』勢力によるわがままの挑発行為に対して必ず報復しなければならない」と述べています。
張副主席が台湾問題はレッドラインだといった傍から、台湾海峡通過です。そのレッドラインとどこに引かれているのか。軍権を把握し、動かしているのは誰なのかを探る意図はあったのではないかと思います。
実際、護衛艦「さざなみ」を追跡していたとのことですから、誰が指示を出したいたのかは注目すべきところです。当然日米当局は分析を進めていると思われます。
4.習近平の復讐
では、習近平主席は本当に失脚したのか。
これについて、元拓殖大学海外事情研究所教授の澁谷司氏は9月27日の自身の動画で次のように解説しています。
・劉鶴副首相・中国社会科学院トップが一掃された。習近平主席は自身の健康問題をリークした者を次々に粛清しているというのですね。
・中国社会科学院というのは、中国の中で最も権威のある機関
・ここの機関で働けるということはその方が優秀であるという意味
・中国科学院っていうのは、日本いうと、なんとか研究センターとか大学とは無関係の機関など文系のシンクタンクに相当
・その社会科学院経済研究所の指導部が総入れ替になってしまった
・その裏には共産党内の複雑な路線闘争とか権力闘争がある
・さらにこの研究所が習近平主席の体調不良について、どうやら漏洩したんではないかと言われてる
・習近平は7月から8月にかけて重い病気にかかられておりますけれども、体力が回復した今特に機密または秘密をリークしたものに対して報復している
・主席の健康状態は党と国家のトップシークレットだが、社会科学院経済研究所が外部リークしたそのルートの1つなってるんではない
かという風に疑われ、その背景に元副首相だった劉鶴がいるという
・かつて劉鶴は習近平の側近で、経済問題や対米交渉を担当していた。
・一回引退した劉鶴を習近平は再度起用した。その理由は習近平政権には経済を分かっている人が殆どいないから
・劉鶴が「文化大革命」や計画経済に反対し、アメリカとの友好を唱えた。
・その後習近平と劉鶴との関係は悪化。劉鶴は「太子党」だが同じ「太子党」の習近平と対立している
・劉鶴の父親は劉植岩といい、中央委員会組織部所長など重要な職務を歴任した。
・ところが「文革」中、劉植岩は「劉少奇ら反革命グループの一員」として反革命分子の烙印を押され、1967年12月成都の錦江ホテルから飛び降り自殺した
・7月から8月に習主席の病気の噂が流れたが、その背景に「太子党」や長老達の動きがあった。
・劉鶴は「太子党」の「反習派」陣営に加わっている
・劉鶴こそが社会科学院経済研究所の設立者という話がある
・胡・温政権では、社会科学院の学者は独自の意見を述べることができ、政権の「内部顧問」として機能していた
・習近平によって中国経済が破壊され、主席が学者らを解任した今、将来、誰も助言する勇気がなくなり政権の政策を宣伝することしかできなくなる
・一説には、習近平は「認知障害」を持つ独裁者と言われている
日本がバタバタしているときに、中国もぐちゃぐちゃであれば、台湾有事のリスクも少し小さくなることが期待されます。願わくば、日本が落ち着くまで、中国が混乱状態のままでいてくれることを願いたいですね。
この記事へのコメント