予算案と選択的夫婦別姓のバーター取り引き

今日はこの話題です。
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1.予算案と選択的夫婦別姓を取り引き


少数与党の石破政権ですが、新年度予算案の成立に向けて、どの野党と距離を詰めるのかせめぎ合いが続いています。

これに関して、1月20日、夕刊フジ「ZakZak」は「予算案と「選択的夫婦別姓」を取り引きか 石破首相に〝危うい兆候〟熟議の姿勢は見えず「時間はあまり残されていない」発言に反論続々」という記事を掲載しました。

その一部を引用すると次の通りです。
石破茂首相は、岩盤保守層が強く警戒する一方、一部野党が声高に叫ぶ「選択的夫婦別姓」について、自民党の見解を早期に取りまとめる意向を示した。昨年10月の衆院選で惨敗して少数与党に転落した石破政権は、同制度を審議する衆院法務委員会や予算委員会のトップを立憲民主党に譲った。24日召集の通常国会では、新年度予算という「関門」に臨むが、まさか予算案と選択的夫婦別姓を「取り引き」するつもりなのか。国民が熱望する「減税」は放置したままで、「政権居座り」の画策を続ける〝危うい兆候〟が浮き彫りになってきた。

「濃密な議論を早急に行い自民として決めるよう党にお願いしたい。時間はあまり残されていない」「公明党との間で意見の一致をみたい」

石破首相は19日のNHK番組で、選択的夫婦別姓に関する自民党見解の取りまとめを急ぎ、斉藤鉄夫代表率いる公明党とともに、与党案として野党に示す意向を示した。

石破首相は「選択的夫婦別姓を導入する場合のメリットとデメリットを確認したい」と、課題の洗い出しも強調した。国民の手取りを増やす「年収103万円の壁」の引き上げをめぐり、国民民主党と「178万円引き上げ」で合意しながら議論を引き延ばすのとは対照的に、選択的夫婦別姓では機敏な対応をみせている。

【中略】

石破首相の「時間はあまり残されていない」という発言を受け、与野党議員がX(旧ツイッター)で発信した。

自民党の佐藤正久参院議員は19日、「時間は残っていない? 何の時間が残っていないのか? 不明。国民的議論もまだまだという感じが正直あるし、子供の意見もあると思う」と発信した。

岩田氏「石破首相は保守ではなく〝保身〟だ」
参政党の吉川里奈衆院議員も同日、「早急に?? 時間がない?? ほとんどの国民は必要としていない。まずは国民の手取りを増やしてから言うべきでしょう。どうか早急に、お願いします」と書き込んだ。

なぜ、石破首相は夫婦別姓の議論で先走るのか。

政治評論家の有馬晴海氏は「自公与党は過半数を欠く以上、予算や法案について野党の合意が必要だ。昨年の補正予算も、野党に迎合して通してもらった。一方で、政権維持には夏の参院選を切り抜けないとならない。『夫婦別姓』や『103万円の壁』など、世論の関心の高く、野党が主張する政策で存在感を示し、成果をアピールする必要がある。支持率があがれば、衆院選とのダブル選挙の目が出てくるという計算もある。それまではひたすら、野党との協調を図るしかないだろう」と分析する。

自公与党が衆院で過半数割れするなか、自民党は17常任委員長のうち、政府の予算案を審議する重要ポストの8ポストを野党側に配分し、予算委員長は立憲民主党が握った。通常国会で審議される新年度予算案も、「生殺与奪」を握られているともいえる。

ただ、夫婦別姓という社会の根幹にかかわるテーマが政局化している形だけに、懸念の声もあがる。

政治学者の岩田温氏は「石破首相は『保守政治家』を自任しているが、100年以上続いてきた制度を慎重な議論をせずに政局のために軽々しく変えようとしている。保守ではなく〝保身〟だ。参院選では保守層の自民党離れがさらに進むとも予想され、保身にすらならないかもしれない」と突き放した。
題名の通り、石破総理は、「選択的夫婦別姓」をカードにして、立憲と予算案とのバーター取引を画策しているというのですね。

これに関して、嘉悦大の高橋洋一教授は、「「時間がない」??、これで予算を取引すると、次は社会保障改革、消費増税となる悪い予感」とツイートしています。




2.ぶれる103万の壁


1月26日、石破総理は、大相撲初場所の千秋楽が行われた両国国技館を訪れ、優勝決定戦の末に優勝した大関豊昇龍に、内閣総理大臣杯を手渡しました。ところがその場で、会場から「税金下げろ」というヤジが飛んでネットで話題になっています。

このように世間は、夫婦別姓なんかより、税金の方がよほどの関心事です。夫婦別姓が求められているなら、「夫婦別姓早くしろ」といったヤジになっている筈ですから。

となると、やはり注目は103万円の壁になるのですけれども、これに関して石破総理の発言がブレまくっています。

1月28日、衆院本会議で国民民主党の西岡秀子氏から政府・与党が150万円程度への引き上げを検討しているとの一部報道について問われた石破総理は「検討しているとは認識していない」と否定。2024年12月の税制改正大綱で123万円まで引き上げる方針であることから、「法案提出に向けた作業を進めている」と答弁しました。

けれども、翌29日の参院代表質問で、国民民主党の川合孝典氏が「手取りを増やすことができず到底受け入れられない」との批判に対し、石破総理は、「誠実に協議を進めていくと確認されている。誠実に協議を進めるということに忠実に努力していく」とトーンダウン。

そして、1月31日、CS放送「国会トーク フロントライン」のインタビューで、石破総理は「去年、年末の自民公明国民民主の3党の幹事長の間で、178を目指してって文章がきちんと入ってるわけですよね。だから今123万円って物価上昇分を勘案して出してるわけだけども同時に178万を目指してってことですから、123万円から、びた一文たりとも動かないぞというような頑なな姿勢を取るものでは当然ない」と述べ、引き上げ幅については「引き上げた場合の財源や、働き控えがどの程度解消されるのかなど、「精緻に分析して決めることであって雑な決め方をするわけではない」と述べています。





3.蠢く石破おろし


1月28日の段階で、石破総理が123万以上の引き上げは検討していないと否定したのは、冒頭で述べたように「夫婦別姓」と予算案との取引が立憲との間でいいところまで進んでいるからではないかと思っていたのですけれども、そうだとすれば、翌日からトーンダウンする必要はないはずです。

とすると、立憲との取引とは別の要因があることが考えられます。例えば自民党内です。

1月29日、茂木敏充前幹事長が率いた派閥「平成研究会」の中堅・若手らが29日、勉強会を立ち上げました。茂木氏を講師役に、旧安倍派の萩生田光一元政調会長や稲田朋美元防衛相、ほかに野田聖子元総務相ら約70人が出席しました。

会合では、安倍晋三政権で経済再生担当相として日米貿易協定交渉に臨んだ経験を踏まえ、ドナルド・トランプ米大統領との向き合い方など、外交政策について意見交換したそうです。

勉強会の後、茂木氏は「予想以上に多くの人に集まってもらった……固定ではなく自由に、関心のある方に集まってもらう」と記者団に語っています。

この勉強会は、今後も外交や経済などをテーマに定期開催する方針だそうですけれども、党のベテランは「崖っぷちの石破内閣を見据えた『ポスト石破』の動きだ」との見方が党内外に広がっているようです。

また、1月27日、ジャーナリストの門田隆将氏が「昨日の高市早苗&長尾たかし福岡講演会で高市氏が「選択的夫婦別姓制度に関して私は日本の政治家として断固反対しています。もし党議拘束をかけるなら、私は自民党から除名されるかもしれませんし、党員資格を停止されるかもしれません。でも私の事などどうでもいいんです。これに賛成する事は私の人格を全否定される事になりますので」と反対宣言。会場は大拍手。」とツイートし、ネットの一部では高市氏が党を割って新党を創るのではないかと騒ぎになったようです。





4.通称使用を推進する高市法案


その高市氏は30日、夕刊フジの単独インタビューに応じ、夫婦別姓について自身の見解をのべています。

件の記事の街頭部分を引用すると次の通りです。

【前略】

そして今、問題意識を強く持つのが「選択的夫婦別姓」だ。安倍氏も、性急な制度導入を強く懸念していた。

「現行では婚姻届を提出した夫婦は全て戸籍上は同氏(姓)で、出生した子は両親と同氏になる。戸籍上も別氏の夫婦を認めれば、親族間で争いが生じる懸念がある。まずは、冷静な議論が必須だ」

高市氏は総務相時代、通称使用の拡大に尽力し、住民票やマイナンバーカード、免許証やパスポートでも旧氏併記が認められている。国家資格でも旧氏が使用できるなど、社会生活の不便さは相当解消されている。

また、過去に2度、通称使用を推進する独自の「高市法案」を自民党の法務部会に提出したことがある。近くバージョンアップした法案を執行部に示すという。

「選択的夫婦別氏制度の法制化で、戸籍が同氏か別氏の『二択』になると、『戸籍上は夫婦親子同氏を希望し、社会生活では旧氏を通称使用したい』と希望する人の声を無視することになる。世論の最大数が取り残される制度にしてはならない」

高市氏に「保守の再生」を期待する声は強い。これから、何を目指すのか。

「先祖がつないだ命の連続性は何より大事だ。国民の命を守り、国民を包み込む国家を守る。外交、防衛、経済、技術、人材、情報。さまざまな分野の『力』を高めるために、一丸となって取り組んでいきたい」
記事によると高市氏は、通称使用を推進する独自の「高市法案」を執行部に出すようです。

実際、自民党内でも選択的夫婦別姓については意見が割れています。

例の「LGBT理解増進法」の成立で、自民党は“岩盤支持層”を失ったとも考えられていて、選択的夫婦別姓が推進されればさらに支持層を失うことを懸念していて「選択的夫婦別姓を推進し、次の参院選で負けたら、自民党は終わる」と嘆く議員もいるようです。

それゆえ、自民党の執行部も方向性に頭を悩ませている。関係者によると、今月27日の本会議前には、森山幹事長が高市氏に「戸籍についての考え方に困っている」と相談したという話もあるとの噂もあります。

高市氏は「私や他の議員が作っている通称使用拡大の法案を出させて下さい」と伝えたとされているのですけれども、「高市案」を踏まえて選択的夫婦別姓の議論が展開されていけば、自然と党内で高市氏の存在感は上がっていくという指摘もあります。これも「ポスト石破」の布石ともなり得ます。

もっとも、仮に「高市法案」を出したとしても、それに立憲がOKを出して手を握ってくれるかどうかは分かりません。

立憲、国民、維新。果たして与党はどの党と組んで予算案を通すのか。夏の参院選にも影響を及ぼす重要な判断になるかと思いますね。


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